別れ話をしましょうか。

ふまさ

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 コリンナの婚約者が、暴走した馬車にひかれ、亡くなってしまったのだ。

 泣き崩れるコリンナ。デージーは、必死に慰めた。泣かないで。泣かないでお姉様、と。けれど知らせを聞き、駆けつけたアールの姿に、デージーの心が身勝手に震えた。

 アールの胸の中で泣きじゃくるコリンナ。どくん。デージーの鼓動が、大きく跳ねた。

(……違う。いまは、そんな場合じゃ……お姉様に、アール様を取られるなんて……考えている場合じゃ)

 実の姉が、こんなに哀しんでいるのに。なんて自分勝手なのだろう。そんな自分に呆れながらも、思考は止まってはくれなかった。

(もし、もしそうだとしても、覚悟はしていたはずなのに……)

 そのときがくることが、たまらなく怖かった。その日から、何度も夢を見るようになった。アールとコリンナが、愛し合う夢を。

(やめて……こんなの見たくない。まだ、そうと決まったわけではないのに……っ)

 ある意味でこれは、二人を信じていないことにもなる。そのことにも、罪悪感を覚えた。


 ──でも。

 コリンナの婚約者が亡くなってから、三ヶ月ほど経ったころ。

「……あの、お姉様」

「な、なに?」

「いえ。その……」

 なに、はこちらが言いたい。デージーは、カチャ、と皿にナイフとフォークを置いた。二人はいま、屋敷の食堂で、夕食を共にしていたのだが──。

「お姉様が、わたしをチラチラと見ているような気がして……」

「そ、そうだったかしら」

 あからさまに動揺するコリンナ。こちらを何か言いたげに見詰めてくることは、今回がはじめてではなかったので、デージーは思いきって、たずねてみることにした。

「あの、わたしに何かたずねたいことでもあるのでしょうか……?」

 コリンナは、そうね、と答え、迷いながらも、決意したように口火を切った。

 
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