異世界もふもふ食堂〜僕と爺ちゃんと魔法使い仔カピバラの味噌スローライフ〜

山いい奈

文字の大きさ
114 / 190

#114 豚の味噌炒めと澄まし汁の朝ご飯

しおりを挟む
 さて、今朝も朝ご飯を作ろう。

 昨夜サユリに聞かれた時に、漠然ばくぜんと豚肉を使おうかと思い付いたが、そのまま採用する事にする。

 厨房に降り、冷蔵庫から豚肉と卵、棚からブロッコリと玉ねぎを出すと、抱えて上に戻る。

 まずは米を炊く。そして鍋に水を張り、昆布を入れる。

 別の鍋に水を入れて火に掛けると、ブロッコリを小房にして行く。湯が沸いたら塩を入れ、ブロッコリを茹でる。

 その間に玉ねぎをざく切りに。

 茹で上がったブロッコリは、ザルに丘上げにしておく。

 鰹節かつおぶしを引き削りして。

 米の鍋の火加減を調整して。

 昆布の鍋を火に掛ける。

 合わせ調味料を作る。ボウルに味噌と砂糖を入れて擦り合わせ、水少量で伸ばしておく。

 昆布の鍋が沸騰寸前になったので、昆布を引き上げ、火を止めて鰹節を入れて、沈むまで待つ。

 その間に豚肉をスライスし、塩胡椒で下味を付けておく。

 さて、出来上がった昆布鰹出汁だしを別の鍋に移し、火に掛けて玉ねぎを入れる。

 昆布と鰹の出汁殻だしがらも当然有効活用。昆布は千切りにして、鰹はそのまま、合わせ調味料に加える。

 米が炊き上がったので火を止めて、ふたを開けて解し、また蓋をして蒸らす。

 出汁の中の玉ねぎがしんなりして来たら、砂糖少々と塩で味を整え、解いた卵を回し入れる。ふんわりと出来たら弱火に。

 さて。後は仕上げだけなのだが。洗い物をしながら、サユリと茂造が起きて来るのを待つ。

 終わる頃に、茂造が姿を現した。

「おはようの。今朝もありがとうの」

「じいちゃんおはよう。サユリよろしくね」

「ほいほい」

 茂造が行くと、壱は最後の1品に取り掛かる。

 フライパンを火に掛け、温まったらオリーブオイルを引く。そこでまずは豚肉をしっかり焼いて行く。

 そこに塩茹でしたブロッコリを加えてさっと炒めたら、合わせ調味料を入れる。

 中華だとスピード勝負な場面だが、これは中華では無いので、慌てる必要は無い。

 味噌の香ばしさを出したいのと、ブロッコリも温めたいので、強火でフライパンを前後に細かく動かしながら、中身を木べらで返して行く。

 仕上げにごま油などで風味付けをしたい所だが、無いので諦めるしか無い。

 さて、豚肉とブロッコリの味噌炒めの出来上がりだ。

 皿に盛り、玉ねぎと卵の澄まし汁と米をそれぞれスープボウルに、サユリの分はサラダボウルに注ぎ、テーブルに並べたら、朝ご飯の出来上がりである。

 今朝は仕上げに少し時間を使ったので、サユリと茂造は既にダイニングテーブルで待っていた。

「はい、出来上がり。どうぞ」

「ありがとうの。いただきます」

「いただくカピ」

「はい。いただきます」

 手を合わせて、まず口にしたのは澄まし汁。やや味が物足りない気もするが、醤油が無いので仕方が無い。だが出汁は良く出ている。膨よかな味わいだ。

「ふむ、出汁の味が強いのだカピな。良いカピ」

 サユリが言いながら澄まし汁のサラダボウルに顔を埋めている。気に入って貰えた様だ。

「うむ、出汁の味わいが良いのう」

 茂造も満足そうに啜っていた。

 では次に、豚肉とブロッコリの味噌炒め。味付けは完全に和に寄った訳だが、さて。

 ……うん。良い味が出ている。味噌がベースではあるが、出汁殻の昆布と鰹が良い味を醸し出している。やはり入れて良かった。

 合わせ調味料を入れてからもしっかり炒めたからか、香ばしさも出ている。これは、今回はブロッコリにしたが、きゃべつに変えたら和風回鍋肉ホイコーローなどが出来るかも知れない。今度作ってみよう。

「成る程カピ。やはり豚と味噌はとても合うカピな。豚汁も旨かったカピが、これもなかなか良いカピ」

 サユリが言いながら、炒め物にがっついでいた。

「うむ、これは美味しいのう。味噌にはこんな使い方もあるんじゃのう。成る程のう」

 茂造も笑みを浮かべながら、炒め物を口に運んでいた。

 良かった。サユリにも茂造にも気に入って貰えた様だ。

 白米を食べながらの味噌炒め、そして汁物。素晴らしきループ。

 今日の朝ご飯も成功した様だ。壱は満足の笑みを浮かべながら、白米を口に運んだ。

「あ、じいちゃん、昼と夜の間の休憩時間、厨房のオーブン使って良い?」

「構わんぞい。何か作るのかの?」

「クッキー焼こうと思って。昨日マリルに服、今着てるやつ、貰ったからお礼に。勿論食堂のみんなにも」

「おお、それは嬉しいのう」

 茂造がほっほっほっと笑った。



 朝食が終わり、まずは米の種籾たねもみの確認。まだ少し掛かるだろうか。

 解散して、壱は食堂の厨房へ。昼営業の仕込みに入る。

 そのまま昼営業が始まり、慌ただしく時間は過ぎる。賄いはバジルソースパスタをかっ込んだ。

 そうしてようやく休憩時間に。木製工房では箸と串が出来ていると思うが、取りに行くのは後で。まずはクッキーを作ろう。

 壱は部屋に入り、スマートフォンでレシピを調べる。型と冷凍庫が無いので、ドロップクッキーが良いだろう。

 幾つかあるレシピから、材料も作り方もシンプルなものを選んで、紙に写して行った。
しおりを挟む
感想 10

あなたにおすすめの小説

「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~

あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。 彼は気づいたら異世界にいた。 その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。 科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。

五十一歳、森の中で家族を作る ~異世界で始める職人ライフ~

よっしぃ
ファンタジー
【ホットランキング1位達成!皆さまのおかげです】 多くの応援、本当にありがとうございます! 職人一筋、五十一歳――現場に出て働き続けた工務店の親方・昭雄(アキオ)は、作業中の地震に巻き込まれ、目覚めたらそこは見知らぬ森の中だった。 持ち物は、現場仕事で鍛えた知恵と経験、そして人や自然を不思議と「調和」させる力だけ。 偶然助けたのは、戦火に追われた五人の子供たち。 「この子たちを見捨てられるか」――そうして始まった、ゼロからの異世界スローライフ。 草木で屋根を組み、石でかまどを作り、土器を焼く。やがて薬師のエルフや、獣人の少女、訳ありの元王女たちも仲間に加わり、アキオの暮らしは「町」と呼べるほどに広がっていく。 頼れる父であり、愛される夫であり、誰かのために動ける男―― 年齢なんて関係ない。 五十路の職人が“家族”と共に未来を切り拓く、愛と癒しの異世界共同体ファンタジー!

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~

いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。 他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。 「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。 しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。 1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化! 自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働! 「転移者が世界を良くする?」 「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」 追放された少年の第2の人生が、始まる――! ※本作品は他サイト様でも掲載中です。

異世界へ誤召喚されちゃいました 女神の加護でほのぼのスローライフ送ります

モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎ 飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。 保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。 そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。 召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。 強制的に放り込まれた異世界。 知らない土地、知らない人、知らない世界。 不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。 そんなほのぼのとした物語。

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた

りゅう
ファンタジー
 異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。  いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。  その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。

うちの孫知りませんか?! 召喚された孫を追いかけ異世界転移。ばぁばとじぃじと探偵さんのスローライフ。

かの
ファンタジー
 孫の雷人(14歳)からテレパシーを受け取った光江(ばぁば64歳)。誘拐されたと思っていた雷人は異世界に召喚されていた。康夫(じぃじ66歳)と柏木(探偵534歳)⁈ をお供に従え、異世界へ転移。料理自慢のばぁばのスキルは胃袋を掴む事だけ。そしてじぃじのスキルは有り余る財力だけ。そんなばぁばとじぃじが、異世界で繰り広げるほのぼのスローライフ。  ばぁばとじぃじは無事異世界で孫の雷人に会えるのか⁈

異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?

お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。 飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい? 自重して目立たないようにする? 無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ! お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は? 主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。 (実践出来るかどうかは別だけど)

処理中です...