異世界もふもふ食堂〜僕と爺ちゃんと魔法使い仔カピバラの味噌スローライフ〜

山いい奈

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#113 深夜のひととき、マリルの贈り物

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 夜営業が終わり、まかないも食べ、風呂を浴び、寝支度をする。

 いつもの様にサユリも壱に付いて来て、ベッドに掛ける壱の横でくつろいでいる。眠たそうに欠伸あくびをして、すぐにでも寝落ちてしまいそうだ。

「サユリ、そう言えば今日、マユリの様子がおかしかった気がするんだけど。何かあったのかな」

「ふあ、そうカピな。うむ、壱はそのままでいてくれた方が、この村は平和だカピ」

「ん? 良く判らないけど、サユリがそう言うなら」

 壱は首を傾げながらも、マリルに貰った紙袋を手にする。

「マリル、何くれたんだろ」

 言いながら中身を出すと、それは洋服だった。ネイビーとマスタードイエローの細い縦ストライプで7分袖、ブイネックのトップスだった。

「あ、結構可愛い」

 壱が前方に手を掲げ、シャツを広げる。

「へぇ、誰のデザインだろ。あそこはシャノさんのデザインが多いんだっけ?」

「そうカピな。けど、マリルがくれたのだカピ。マリルのデザインなのでは無いカピか? 確かシャノの指導を受けている筈カピ」

「そうなんだ。じゃあ明日早速着てみようかな。似合うかなぁ。あ、マリルに何かお返ししなきゃな。ここの服の価格相場が判らないけど、結構なものなんじゃ無いの?」

 少なくとも壱たちの世界では、ブランドなどにもよるが、話を聞いただけの礼にぽんと贈る様な価格帯の物では無い。

「基本1点物カピからな。同じ布を使う事があっても、違う型紙を使ったりしているカピ。しかし壱、お返しは気を付けなければ、マリルの性格上、お返し合戦になる可能性があるカピよ」

「確かにそうかも。何かちょっとした甘い物とか作ろうかな。クッキーとかどうだろう。休憩時間なら厨房のオーブン使えるよね」

「ほう、クッキーが作れるのだカピ? この村では作れる者がおらず、街で買う嗜好品だカピ。村の贅沢品のひとつだカピな」

「そうなんだ。ベーシックなやつなら材料は村で揃う筈だし、明日作ってみようかな」

 紅茶の葉があるから、紅茶味のものも作れるだろう。

「謹んで我の分も焼くが良いカピ」

「食堂のメンバー分焼いてみるよ」

 サユリの言い方がおかしくて、壱は小さく噴き出してしまう。

 さて、そろそろ寝ようか。シャツを丁寧に畳み、目覚し時計のスイッチを入れる。

「ところで壱、明日の朝ご飯は何カピか?」

「そうだなぁ、何にしようかな。豚肉で何かしようかな、豚汁以外で」

「そうカピか。それは楽しみカピ。ふわぁ」

 また大きな欠伸をひとつ。

「眠いだろ? 俺ももう寝るから、サユリも寝よう。お休みー」

 言いながら布団に潜り込むと、サユリは定位置、壱の腰の辺りへ、のそりと動く。

「お休みカピ」

 壱も眼を閉じると、直ぐにうとうとし始めた。
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