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#137 豆味噌(赤味噌)を作ろう。その1
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畑に到着した壱は、枝豆畑で作業をしている男性に声を掛ける。
「マルタさん、こんにちは」
「おうイチ、こんちわ」
男性、マルタは手を止めてくれた。
「枝豆の種が欲しいんです。分けて貰えませんか?」
「おう、構わんぜ。どんだけ要るんだ?」
マルタは気安く応えてくれる。
「ありがとうございます。750グラムぐらいで」
米味噌を作る時に、茂造が貰って来てくれた時も、それぐらいの容量だった。1リットルの大豆は大凡750グラムなのである。
一度で茹でたり出来る分量でもある。出来た暁には、また残量の確保などをサユリに頼る事になるのだろう。本当に感謝だ。
「オッケー。ちょっと待ってろ、持って来てやるよ」
「あ、俺も行きますよ」
「そうか?」
壱とマルタは並んで、種などを保管してある納戸に向かう。中に入り、棚に置かれている幾つかの布の袋のひとつをマルタが開けると、半分ほどの大豆が入っていた。
「750グラムな。ええと、袋、袋っと」
「あ、袋あります」
「おう」
壱が掴んでいた紙の袋を差し出すと、マルタはそれに枝豆の種、つまりは大豆を入れてくれる。スケールに乗せ、750グラムを量る。
「ほらよ、枝豆の種750グラム」
「ありがとうございます」
壱は受け取って頭を下げた。
「何だ? また壱たちの世界の食いもん作んのか? 前に店長さんが種取りに来た時に、んな事言ってたからよ」
「そうなんです。食べ物って言うか調味料なんですけど、前の時と同じやつの味違いを。前に作ったのは、今度食堂でも出せたら良いなって思ってて」
「お、そりゃあ楽しみだ。じゃあ種ももっと用意しとかなきゃな」
「その時にはよろしくお願いします」
「おうよ、任せとけ」
マルタの頼もしい笑顔。
壱はうきうきとスキップでもする様な足取りで、食堂に戻った。
では、豆味噌、要は赤味噌作りの開始である。2階のキッチンで行う。時間魔法の為にサユリはテーブルの上でスタンバイ。茂造も作り方を是非見たいと椅子に掛けている。
「まずか豆麹を作るよ。大豆を洗って、と」
大豆をザルに入れ、ボウルを下に重ね、流水に晒しながら、軽く大豆同士を擦り合わせる様にしながら洗う。
水を切り、下に重ねていたボウルを濯いで、そこに大豆を移す。大豆がしっかりと浸かるまでたっぷりの水を入れる。
「これで丸1日放置。サユリ、お願い出来る?」
「任せるカピ」
サユリが右前足を上げ、宙に円を書く様に動かす。
「終わったカピ」
「ありがとう。じゃあこれをこの水ごと煮て行くよ」
大豆を水ごと大きな鍋に移し、火に掛ける。まずは強火で。沸いたら弱火に落とす。
「ここから2、3時間煮るんだ。サユリ、まずは2時間お願い出来る?」
「うむカピ」
右前足を上げるサユリ。
「終わりカピ」
「ありがとう」
壱はスプーンで大豆を1粒掬うと、指で摘んで潰してみる。うむ、まだ少し真ん中に芯が残っている感じがする。
「あと15分、お願い出来る?」
「うむカピ」
また右前足をひらり。
「出来たカピ」
「ありがとう。どうかな」
先程の作業をもう1度。うん、今度はちゃんと中まで柔らかく潰れた。
「良しっと。じゃあザルで湯を切って、鍋に戻して、水分を飛ばしてっと」
大きな鍋なので、持ち手は両手に付いている。しっかりと掴んで、火に掛けて返しながら大豆の表面を乾かして行く。
それが終わると、テーブルの上に大きめな紙を敷き、大豆を広げる。
「これの温度を36度まで下げる。サユリ、頼める?」
「ほれカピ」
右前足を上げる。
「ありがとう」
そこに麹菌を掛け、全体に行き渡る様に両手で混ぜて行く。
全ての大豆に麹菌が行く様に。眼を凝らしながら両手を大きく動かして行く。
小麦粉を茶色になるまで炒ったものをはったい粉と言うのだが、それを麹菌に混ぜると、この作業の時に色のお陰で麹菌が満遍無く行っているか判りやすいのである。だがこれを作る事自体が手間なので、省略した。
それにはったい粉は壱の家の蔵でも使っていないし、壱は経験から培われた感覚で、無くても判る。大豆の薄いベージュと麹菌の白色は確かに近いが、慣れているので区別が付くのである。
「マルタさん、こんにちは」
「おうイチ、こんちわ」
男性、マルタは手を止めてくれた。
「枝豆の種が欲しいんです。分けて貰えませんか?」
「おう、構わんぜ。どんだけ要るんだ?」
マルタは気安く応えてくれる。
「ありがとうございます。750グラムぐらいで」
米味噌を作る時に、茂造が貰って来てくれた時も、それぐらいの容量だった。1リットルの大豆は大凡750グラムなのである。
一度で茹でたり出来る分量でもある。出来た暁には、また残量の確保などをサユリに頼る事になるのだろう。本当に感謝だ。
「オッケー。ちょっと待ってろ、持って来てやるよ」
「あ、俺も行きますよ」
「そうか?」
壱とマルタは並んで、種などを保管してある納戸に向かう。中に入り、棚に置かれている幾つかの布の袋のひとつをマルタが開けると、半分ほどの大豆が入っていた。
「750グラムな。ええと、袋、袋っと」
「あ、袋あります」
「おう」
壱が掴んでいた紙の袋を差し出すと、マルタはそれに枝豆の種、つまりは大豆を入れてくれる。スケールに乗せ、750グラムを量る。
「ほらよ、枝豆の種750グラム」
「ありがとうございます」
壱は受け取って頭を下げた。
「何だ? また壱たちの世界の食いもん作んのか? 前に店長さんが種取りに来た時に、んな事言ってたからよ」
「そうなんです。食べ物って言うか調味料なんですけど、前の時と同じやつの味違いを。前に作ったのは、今度食堂でも出せたら良いなって思ってて」
「お、そりゃあ楽しみだ。じゃあ種ももっと用意しとかなきゃな」
「その時にはよろしくお願いします」
「おうよ、任せとけ」
マルタの頼もしい笑顔。
壱はうきうきとスキップでもする様な足取りで、食堂に戻った。
では、豆味噌、要は赤味噌作りの開始である。2階のキッチンで行う。時間魔法の為にサユリはテーブルの上でスタンバイ。茂造も作り方を是非見たいと椅子に掛けている。
「まずか豆麹を作るよ。大豆を洗って、と」
大豆をザルに入れ、ボウルを下に重ね、流水に晒しながら、軽く大豆同士を擦り合わせる様にしながら洗う。
水を切り、下に重ねていたボウルを濯いで、そこに大豆を移す。大豆がしっかりと浸かるまでたっぷりの水を入れる。
「これで丸1日放置。サユリ、お願い出来る?」
「任せるカピ」
サユリが右前足を上げ、宙に円を書く様に動かす。
「終わったカピ」
「ありがとう。じゃあこれをこの水ごと煮て行くよ」
大豆を水ごと大きな鍋に移し、火に掛ける。まずは強火で。沸いたら弱火に落とす。
「ここから2、3時間煮るんだ。サユリ、まずは2時間お願い出来る?」
「うむカピ」
右前足を上げるサユリ。
「終わりカピ」
「ありがとう」
壱はスプーンで大豆を1粒掬うと、指で摘んで潰してみる。うむ、まだ少し真ん中に芯が残っている感じがする。
「あと15分、お願い出来る?」
「うむカピ」
また右前足をひらり。
「出来たカピ」
「ありがとう。どうかな」
先程の作業をもう1度。うん、今度はちゃんと中まで柔らかく潰れた。
「良しっと。じゃあザルで湯を切って、鍋に戻して、水分を飛ばしてっと」
大きな鍋なので、持ち手は両手に付いている。しっかりと掴んで、火に掛けて返しながら大豆の表面を乾かして行く。
それが終わると、テーブルの上に大きめな紙を敷き、大豆を広げる。
「これの温度を36度まで下げる。サユリ、頼める?」
「ほれカピ」
右前足を上げる。
「ありがとう」
そこに麹菌を掛け、全体に行き渡る様に両手で混ぜて行く。
全ての大豆に麹菌が行く様に。眼を凝らしながら両手を大きく動かして行く。
小麦粉を茶色になるまで炒ったものをはったい粉と言うのだが、それを麹菌に混ぜると、この作業の時に色のお陰で麹菌が満遍無く行っているか判りやすいのである。だがこれを作る事自体が手間なので、省略した。
それにはったい粉は壱の家の蔵でも使っていないし、壱は経験から培われた感覚で、無くても判る。大豆の薄いベージュと麹菌の白色は確かに近いが、慣れているので区別が付くのである。
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