45 / 190
#45 コンシャリド村プチツアー。その1
しおりを挟む
和朝食の余韻で幸せなまま、ユミヤ食堂の昼営業を終えた壱。昼食の賄いで食べたカルボナーラで打ち消されたなんて決して言ってやらない。
従業員が全員、一時帰宅した頃。
「壱よ、今日は休憩時間を使って、村を案内するぞい」
茂造の台詞に、壱は頷いた。
「やっとだな。米とか味噌とか作ったり、俺が熱出したりしたもんなぁ」
「まぁそう広い村でも無いでな。休憩時間の2時間程もあれば充分じゃ。ちなみにこの食堂は、村の真ん中にあるぞ。先々代のユミヤがここに食堂を作って、それから周りにいろいろ作られて行ったという感じかのう」
「その頃ユミヤさんとかが過ごしてた小屋は?」
「ユミヤの家はこの食堂を建てる時に取り壊したカピ。とは言え今の食堂も当時のものでは無く、更に大きく立て替えているけどカピ。土地的に今より大きくするのは難しいカピがな。システムを作って、村人が増えて、大きくして来たのだカピ」
「成る程な」
「だが、最初に逃げて来たカップル、後の夫婦が暮らした小屋は修復を続けて今も残っているカピ。今のマユリの家カピ」
「へ?」
「言っていなかったカピか? マユリはその夫妻の末裔なのだカピ」
「そうなの!?」
「そうじゃ。なのでマユリの両親は、村の会議なんかの時には参加するぞい。所謂幹部と言うやつじゃな」
「へぇ。仕事って世襲制なのか?」
「基本はそうカピが、子が他の仕事をしたいと言うのなら、止めはしないカピ。それぞれの仕事に満遍無く人手があれば問題無いカピからな。その調整も村長である我や茂造、幹部の仕事カピ。幹部と言っても多くは無いカピが」
「そうやって巧く村を回しているのか。でもたまに問題が起きたりもして」
「そう大きなものでは無いカピ。シェムスの浮気とか、そんな微々たるものカピ」
いや、あれは結構な修羅場だった様に思うが。壱はつい遠い眼をしてしまう。
「では壱、サユリさん、そろそろ行くかの。そうじゃの、学校から時計回りに行くかの」
壱たちは食堂を表から出ると、茂造が先頭になってのんびりと歩き出す。
道に人通りはあまり無い。村人は仕事に勤しんでいるのだろうか。まだ14時過ぎだ。
「ここが学校じゃ」
食堂から程無く見えて来た建物。平屋造りだが、それなりの広さがありそうだ。窓があったのでふと中を覗いて見たら、前に教師らしき大人がふたり立ち、数人の子どもが熱心に勉強をしている模様。
壱も見慣れた風景である。違いは、子どもの人数が少ないので、時折テレビなどで見る事がある、所謂「田舎の学校」の様である。
「今は授業中じゃから、職員室に行ってみようかの。校長とふたりの先生がいる部屋じゃ。今先生は教室におるが、校長がおる筈じゃ」
勝手知ったると言う様に、茂造とサユリは学校の建物に入って行く。壱も続いた。下駄箱などは無く、土足で入る。間も無くあるドアに、茂造が手を掛けた。
「ほいほい、済まんの、邪魔するぞい」
「おや店長。どうされたんです?」
そう言いながら壱たちを迎えてくれたのは、茂造とそう変わらぬ年齢と思われる男性だった。
横に置かれた机が向かい合わせに2台、それらの横面に付けて正面に1台が置かれている。男性はその机に向かっていた。壱たちを見て立ち上がる。
「儂の孫が来たものでの、村の案内をしておるんじゃ」
「ああ、イチくんですね。もう早速厨房に入っていると聞きました。どうぞよろしくお願いします。私はツムラと申します」
やたらと腰の低い男性で、壱は恐縮してしまう。
「よろしくお願いします。壱です」
つい何度も頭を下げてしまう。サラリーマンか。つい壱は内心で突っ込む。
「教師ふたりは今授業中なもので……ご紹介出来なくて申し訳無いのですが」
「いやいや、それはまたいつでも機会があるじゃろ。今日はこの辺での」
「はい。また今夜お邪魔しますので」
茂造の台詞に校長ツムラはふんわりと笑う。
笑顔の校長ツムラに見送られ、壱たちは職員室を辞し、そのまま外に出た。
従業員が全員、一時帰宅した頃。
「壱よ、今日は休憩時間を使って、村を案内するぞい」
茂造の台詞に、壱は頷いた。
「やっとだな。米とか味噌とか作ったり、俺が熱出したりしたもんなぁ」
「まぁそう広い村でも無いでな。休憩時間の2時間程もあれば充分じゃ。ちなみにこの食堂は、村の真ん中にあるぞ。先々代のユミヤがここに食堂を作って、それから周りにいろいろ作られて行ったという感じかのう」
「その頃ユミヤさんとかが過ごしてた小屋は?」
「ユミヤの家はこの食堂を建てる時に取り壊したカピ。とは言え今の食堂も当時のものでは無く、更に大きく立て替えているけどカピ。土地的に今より大きくするのは難しいカピがな。システムを作って、村人が増えて、大きくして来たのだカピ」
「成る程な」
「だが、最初に逃げて来たカップル、後の夫婦が暮らした小屋は修復を続けて今も残っているカピ。今のマユリの家カピ」
「へ?」
「言っていなかったカピか? マユリはその夫妻の末裔なのだカピ」
「そうなの!?」
「そうじゃ。なのでマユリの両親は、村の会議なんかの時には参加するぞい。所謂幹部と言うやつじゃな」
「へぇ。仕事って世襲制なのか?」
「基本はそうカピが、子が他の仕事をしたいと言うのなら、止めはしないカピ。それぞれの仕事に満遍無く人手があれば問題無いカピからな。その調整も村長である我や茂造、幹部の仕事カピ。幹部と言っても多くは無いカピが」
「そうやって巧く村を回しているのか。でもたまに問題が起きたりもして」
「そう大きなものでは無いカピ。シェムスの浮気とか、そんな微々たるものカピ」
いや、あれは結構な修羅場だった様に思うが。壱はつい遠い眼をしてしまう。
「では壱、サユリさん、そろそろ行くかの。そうじゃの、学校から時計回りに行くかの」
壱たちは食堂を表から出ると、茂造が先頭になってのんびりと歩き出す。
道に人通りはあまり無い。村人は仕事に勤しんでいるのだろうか。まだ14時過ぎだ。
「ここが学校じゃ」
食堂から程無く見えて来た建物。平屋造りだが、それなりの広さがありそうだ。窓があったのでふと中を覗いて見たら、前に教師らしき大人がふたり立ち、数人の子どもが熱心に勉強をしている模様。
壱も見慣れた風景である。違いは、子どもの人数が少ないので、時折テレビなどで見る事がある、所謂「田舎の学校」の様である。
「今は授業中じゃから、職員室に行ってみようかの。校長とふたりの先生がいる部屋じゃ。今先生は教室におるが、校長がおる筈じゃ」
勝手知ったると言う様に、茂造とサユリは学校の建物に入って行く。壱も続いた。下駄箱などは無く、土足で入る。間も無くあるドアに、茂造が手を掛けた。
「ほいほい、済まんの、邪魔するぞい」
「おや店長。どうされたんです?」
そう言いながら壱たちを迎えてくれたのは、茂造とそう変わらぬ年齢と思われる男性だった。
横に置かれた机が向かい合わせに2台、それらの横面に付けて正面に1台が置かれている。男性はその机に向かっていた。壱たちを見て立ち上がる。
「儂の孫が来たものでの、村の案内をしておるんじゃ」
「ああ、イチくんですね。もう早速厨房に入っていると聞きました。どうぞよろしくお願いします。私はツムラと申します」
やたらと腰の低い男性で、壱は恐縮してしまう。
「よろしくお願いします。壱です」
つい何度も頭を下げてしまう。サラリーマンか。つい壱は内心で突っ込む。
「教師ふたりは今授業中なもので……ご紹介出来なくて申し訳無いのですが」
「いやいや、それはまたいつでも機会があるじゃろ。今日はこの辺での」
「はい。また今夜お邪魔しますので」
茂造の台詞に校長ツムラはふんわりと笑う。
笑顔の校長ツムラに見送られ、壱たちは職員室を辞し、そのまま外に出た。
13
あなたにおすすめの小説
「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~
あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。
彼は気づいたら異世界にいた。
その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。
科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。
五十一歳、森の中で家族を作る ~異世界で始める職人ライフ~
よっしぃ
ファンタジー
【ホットランキング1位達成!皆さまのおかげです】
多くの応援、本当にありがとうございます!
職人一筋、五十一歳――現場に出て働き続けた工務店の親方・昭雄(アキオ)は、作業中の地震に巻き込まれ、目覚めたらそこは見知らぬ森の中だった。
持ち物は、現場仕事で鍛えた知恵と経験、そして人や自然を不思議と「調和」させる力だけ。
偶然助けたのは、戦火に追われた五人の子供たち。
「この子たちを見捨てられるか」――そうして始まった、ゼロからの異世界スローライフ。
草木で屋根を組み、石でかまどを作り、土器を焼く。やがて薬師のエルフや、獣人の少女、訳ありの元王女たちも仲間に加わり、アキオの暮らしは「町」と呼べるほどに広がっていく。
頼れる父であり、愛される夫であり、誰かのために動ける男――
年齢なんて関係ない。
五十路の職人が“家族”と共に未来を切り拓く、愛と癒しの異世界共同体ファンタジー!
クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~
いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。
他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。
「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。
しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。
1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化!
自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働!
「転移者が世界を良くする?」
「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」
追放された少年の第2の人生が、始まる――!
※本作品は他サイト様でも掲載中です。
異世界へ誤召喚されちゃいました 女神の加護でほのぼのスローライフ送ります
モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎
飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。
保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。
そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。
召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。
強制的に放り込まれた異世界。
知らない土地、知らない人、知らない世界。
不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。
そんなほのぼのとした物語。
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた
りゅう
ファンタジー
異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。
いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。
その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。
うちの孫知りませんか?! 召喚された孫を追いかけ異世界転移。ばぁばとじぃじと探偵さんのスローライフ。
かの
ファンタジー
孫の雷人(14歳)からテレパシーを受け取った光江(ばぁば64歳)。誘拐されたと思っていた雷人は異世界に召喚されていた。康夫(じぃじ66歳)と柏木(探偵534歳)⁈ をお供に従え、異世界へ転移。料理自慢のばぁばのスキルは胃袋を掴む事だけ。そしてじぃじのスキルは有り余る財力だけ。そんなばぁばとじぃじが、異世界で繰り広げるほのぼのスローライフ。
ばぁばとじぃじは無事異世界で孫の雷人に会えるのか⁈
異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?
お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。
飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい?
自重して目立たないようにする?
無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ!
お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は?
主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。
(実践出来るかどうかは別だけど)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる