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予期せぬ結婚式
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翌朝、朝食の席に向かうと、見たことがない女性が控えていた。
眼鏡をかけ、髪をきっちりと結い上げたその人は、いかにも厳格そうな雰囲気を纏っている。
「クラリス様ですね。私がこれから三か月、あなたの教育を担当するスーザンと申します」
「……え、今から?」
心の準備も何もあったものではない。
ナイフとフォークの持ち方からすぐに指摘され、食事の作法、淑女らしい姿勢、挨拶の仕方……容赦ない指導が次々と降り注ぐ。
それからの日々は、まさしく戦場だった。
お茶会でのマナー、ダンスの足さばき、微笑みの角度。
正直、傭兵団での訓練より苦痛だった。
剣は振ればそれなりに結果が出るが、優雅さは努力しても空振りするばかりなのだ。
――そして三か月後。
「よくここまで頑張りましたね」
教育最終日、スーザン先生がふっと微笑んだ。初めて見る柔らかい表情だった。
「こんなに淑女とかけ離れている生徒は初めてでしたよ。すぐに投げ出すと思っていましたが、あなたの努力には目を見張りました」
「……先生が見放さないでくださったおかげです。本当に、ありがとうございました」
涙ぐむ私に、先生は深々と一礼した。
叱責され続けた日々も、ようやく報われた気がした。
気づけば三か月はあっという間に過ぎ去っていた。
出立の日。
「お父様、お母様……今までお世話になりました。どうかお元気で」
「クラリス……辛いことがあったら、すぐ戻ってきなさい」
父が強く抱きしめてくれる。母は涙をこらえきれず、声にならない。
「マティ。これからはあなたがこの家を守るのよ」
「姉上!やっとまた一緒に暮らせると思ったのに!行かないでください!」
弟の必死の声に、私の胸は締めつけられる。
「もう、マティったら。もう子供じゃないんだからしゃんとしなきゃ。 沢山手紙を書くから、ね?」
「……はい、姉上……」
涙を拭った顔には、子供から大人へ変わろうとする影が見え、私は少し安心した。
こうして私は馬車に揺られ、嫁ぎ先――グレイヴズ家へ向かう。
「まさかこの私が結婚するなんて……」
窓に映る自分の顔には、三か月で身に着けた淑女の仮面が貼りついている。
化粧も整え、変装のために染めていた髪色も元通り。
三か月前の傭兵帰りの姿は、もはや見る影もなかった。
だがそれは、あくまでも上辺だけの話。果たして、このままうまくやっていけるだろうか。
しかも――一度も顔見せに来なかった相手。
普通なら一度くらいは挨拶があるはず。それすらないということは、つまり気が進まないのだろう。
まぁ、それはお互い様かもしれないけれど。
到着したその日、私は執事に出迎えられた。
「クラリス様、ようこそお越しくださいました。旦那様は生憎多忙を極めておりまして、本日はお帰りになることができません。ですが、何不自由なく過ごせるよう、使用人一同努めさせていただきます」
私の到着日を知っているはずなのに不在とは。未来の夫が私を歓迎していないことは明白だった。
「クラリス様のお世話を仰せつかっております。侍女のメリンダと申します。まずはクラリス様のお部屋に案内させていただきます」
メリンダに案内され、2階へと上がる。
「ここが、クラリス様の部屋となります。今は最低限の物しか置かれておりませんが、旦那様からはクラリス様の好きになさっていいと伺っております」
「あら、意外と寛大なのね。時間はたっぷりあるでしょうから、追々考えていくわ」
私は努めて冷静な振りを見せた。
「それでは湯あみの準備をしてまいります。何かあれば外に待機している者にお申し付けください」
「えぇ、わかったわ」
メリンダが出て行くのを淑女さながらの微笑みを浮かべながら見送る。
(部屋……でっか!!!!)
目の前には、目がくらむほどの広さと、柔らかな光が差し込む空間が広がっていた。
ヴァレンティーナ家にあるどの部屋よりも格段に広い。
我慢できず、見るからに高そうなベッドにダイブする。
(ふかふかだ!)
ベッドの上をゴロリと転がり上を向くと高い天井がある。
これが伯爵家……自分もその一員になるのか。まだ実感がわかなかった。
そのままぼんやり天井を眺めていると、軽いノックの音とともにメリンダの声が響いた。
「クラリス様、湯あみの準備ができました」
慌ててベッドから飛び降り、必死に元あった状態へと戻す。
乱れた髪やドレスを整え、淑女の仮面をかぶりなおしてメリンダのもとへと向かった。
今日はもう、何があっても驚かない――そう思っていたけれど、甘い考えだったらしい。
私の知っている湯あみとはまるで違った。侍女たちの手で入念に磨き上げられ、肌はつるつるに、髪は艶やかに整えられている。
湯あみを終えふかふかのベッドに倒れ込むと、緊張が徐々にほぐれ、瞬く間に深い眠りに落ちた。
――そして翌朝。
目を覚ますと、慌ただしさがすぐに押し寄せる。侍女たちにより、豪奢なドレスに身を包まされた。
鏡に映る自分は、念入りに施された化粧により別人のよう。髪は部屋に差し込む光を反射して艶めいている。
優雅に微笑みを浮かべれば、三か月前まで傭兵として剣を振り回していたなど誰も想像しないだろう。
「クラリス様、いかがでしょうか」
一通り支度が終わったのか、メリンダに声をかけられる。
私はしばし考え込む。この姿なら、伯爵家に嫁いできた女として十分だろうか。
否、今の姿はどちらかというと純真無垢といった感じだ。これでは舐められてしまうかもしれない。
「もうちょっと、気が強い感じにできないかしら?これだと私のイメージには合わないわ」
「かしこまりました」
さすが伯爵家で働く侍女、腕がいい。化粧をし直された私は、勝ち気な表情をたたえていた。
「ところで……伯爵家ではこの装いが普通なのかしら」
「いいえ、クラリス様。旦那様きってのご要望で、これから結婚式が執り行われます。クラリス様には事前にお伝えしていると思ったのですが……」
「入れ違いがあったのね。わかったわ、教えてくれてありがとう」
一度も会っていないのに、どうやって伝えるというのだろう。
手紙?それも貰ってませんけど!
悪態をつきたくなるのをぐっと堪えた。
ふと、香水の瓶が目に留まり、私はこれでもかというほど振りまいてやった。
妻となる女性が強烈な匂いを放っていたら、どんな反応をするだろうか。
当てつけのような行動をすることで、なんとか溜飲が下がる。
馬車に揺られ、教会へと向かう。整然とした空間には人影がなく、神父だけが静かに待っていた。
形式的な儀式だとすぐに理解する。
今日に至るまでの清々しいほどの振る舞いの数々が思い起こされ、逆に私の心に火をつけた。
完璧な淑女として、旦那様を迎えてやろうじゃないの――。
やがて、私の隣に男が立つ気配がした。
常人とは思えない、重々しい気配が。
神父に促され、低い声が響く――それはひどく聞き覚えのある声だった。
「……え?」
思わず声が漏れる。
まさか、そんなはずはない。
父はあの時何と言っていたか。私は必死に思い出そうとした。
『グレイヴズ家の嫡男はずっと留学していたそうなんだ。それが最近になって帰国し、家を継いだ』
不在の理由が留学ではなかったとしたら……?
心臓が張り裂けそうなほど高鳴る。
ヴェール越しで視界ははっきりしないが、背丈も、体格も、雰囲気も、あの人にあまりに似すぎている。
そして――誓いのキス。
ヴェールが持ち上げられる。目の前に近づいてくる顔を見て、私は目を見開き、微動だにできなくなった。
(……嘘、でしょ。団長――!?)
眼鏡をかけ、髪をきっちりと結い上げたその人は、いかにも厳格そうな雰囲気を纏っている。
「クラリス様ですね。私がこれから三か月、あなたの教育を担当するスーザンと申します」
「……え、今から?」
心の準備も何もあったものではない。
ナイフとフォークの持ち方からすぐに指摘され、食事の作法、淑女らしい姿勢、挨拶の仕方……容赦ない指導が次々と降り注ぐ。
それからの日々は、まさしく戦場だった。
お茶会でのマナー、ダンスの足さばき、微笑みの角度。
正直、傭兵団での訓練より苦痛だった。
剣は振ればそれなりに結果が出るが、優雅さは努力しても空振りするばかりなのだ。
――そして三か月後。
「よくここまで頑張りましたね」
教育最終日、スーザン先生がふっと微笑んだ。初めて見る柔らかい表情だった。
「こんなに淑女とかけ離れている生徒は初めてでしたよ。すぐに投げ出すと思っていましたが、あなたの努力には目を見張りました」
「……先生が見放さないでくださったおかげです。本当に、ありがとうございました」
涙ぐむ私に、先生は深々と一礼した。
叱責され続けた日々も、ようやく報われた気がした。
気づけば三か月はあっという間に過ぎ去っていた。
出立の日。
「お父様、お母様……今までお世話になりました。どうかお元気で」
「クラリス……辛いことがあったら、すぐ戻ってきなさい」
父が強く抱きしめてくれる。母は涙をこらえきれず、声にならない。
「マティ。これからはあなたがこの家を守るのよ」
「姉上!やっとまた一緒に暮らせると思ったのに!行かないでください!」
弟の必死の声に、私の胸は締めつけられる。
「もう、マティったら。もう子供じゃないんだからしゃんとしなきゃ。 沢山手紙を書くから、ね?」
「……はい、姉上……」
涙を拭った顔には、子供から大人へ変わろうとする影が見え、私は少し安心した。
こうして私は馬車に揺られ、嫁ぎ先――グレイヴズ家へ向かう。
「まさかこの私が結婚するなんて……」
窓に映る自分の顔には、三か月で身に着けた淑女の仮面が貼りついている。
化粧も整え、変装のために染めていた髪色も元通り。
三か月前の傭兵帰りの姿は、もはや見る影もなかった。
だがそれは、あくまでも上辺だけの話。果たして、このままうまくやっていけるだろうか。
しかも――一度も顔見せに来なかった相手。
普通なら一度くらいは挨拶があるはず。それすらないということは、つまり気が進まないのだろう。
まぁ、それはお互い様かもしれないけれど。
到着したその日、私は執事に出迎えられた。
「クラリス様、ようこそお越しくださいました。旦那様は生憎多忙を極めておりまして、本日はお帰りになることができません。ですが、何不自由なく過ごせるよう、使用人一同努めさせていただきます」
私の到着日を知っているはずなのに不在とは。未来の夫が私を歓迎していないことは明白だった。
「クラリス様のお世話を仰せつかっております。侍女のメリンダと申します。まずはクラリス様のお部屋に案内させていただきます」
メリンダに案内され、2階へと上がる。
「ここが、クラリス様の部屋となります。今は最低限の物しか置かれておりませんが、旦那様からはクラリス様の好きになさっていいと伺っております」
「あら、意外と寛大なのね。時間はたっぷりあるでしょうから、追々考えていくわ」
私は努めて冷静な振りを見せた。
「それでは湯あみの準備をしてまいります。何かあれば外に待機している者にお申し付けください」
「えぇ、わかったわ」
メリンダが出て行くのを淑女さながらの微笑みを浮かべながら見送る。
(部屋……でっか!!!!)
目の前には、目がくらむほどの広さと、柔らかな光が差し込む空間が広がっていた。
ヴァレンティーナ家にあるどの部屋よりも格段に広い。
我慢できず、見るからに高そうなベッドにダイブする。
(ふかふかだ!)
ベッドの上をゴロリと転がり上を向くと高い天井がある。
これが伯爵家……自分もその一員になるのか。まだ実感がわかなかった。
そのままぼんやり天井を眺めていると、軽いノックの音とともにメリンダの声が響いた。
「クラリス様、湯あみの準備ができました」
慌ててベッドから飛び降り、必死に元あった状態へと戻す。
乱れた髪やドレスを整え、淑女の仮面をかぶりなおしてメリンダのもとへと向かった。
今日はもう、何があっても驚かない――そう思っていたけれど、甘い考えだったらしい。
私の知っている湯あみとはまるで違った。侍女たちの手で入念に磨き上げられ、肌はつるつるに、髪は艶やかに整えられている。
湯あみを終えふかふかのベッドに倒れ込むと、緊張が徐々にほぐれ、瞬く間に深い眠りに落ちた。
――そして翌朝。
目を覚ますと、慌ただしさがすぐに押し寄せる。侍女たちにより、豪奢なドレスに身を包まされた。
鏡に映る自分は、念入りに施された化粧により別人のよう。髪は部屋に差し込む光を反射して艶めいている。
優雅に微笑みを浮かべれば、三か月前まで傭兵として剣を振り回していたなど誰も想像しないだろう。
「クラリス様、いかがでしょうか」
一通り支度が終わったのか、メリンダに声をかけられる。
私はしばし考え込む。この姿なら、伯爵家に嫁いできた女として十分だろうか。
否、今の姿はどちらかというと純真無垢といった感じだ。これでは舐められてしまうかもしれない。
「もうちょっと、気が強い感じにできないかしら?これだと私のイメージには合わないわ」
「かしこまりました」
さすが伯爵家で働く侍女、腕がいい。化粧をし直された私は、勝ち気な表情をたたえていた。
「ところで……伯爵家ではこの装いが普通なのかしら」
「いいえ、クラリス様。旦那様きってのご要望で、これから結婚式が執り行われます。クラリス様には事前にお伝えしていると思ったのですが……」
「入れ違いがあったのね。わかったわ、教えてくれてありがとう」
一度も会っていないのに、どうやって伝えるというのだろう。
手紙?それも貰ってませんけど!
悪態をつきたくなるのをぐっと堪えた。
ふと、香水の瓶が目に留まり、私はこれでもかというほど振りまいてやった。
妻となる女性が強烈な匂いを放っていたら、どんな反応をするだろうか。
当てつけのような行動をすることで、なんとか溜飲が下がる。
馬車に揺られ、教会へと向かう。整然とした空間には人影がなく、神父だけが静かに待っていた。
形式的な儀式だとすぐに理解する。
今日に至るまでの清々しいほどの振る舞いの数々が思い起こされ、逆に私の心に火をつけた。
完璧な淑女として、旦那様を迎えてやろうじゃないの――。
やがて、私の隣に男が立つ気配がした。
常人とは思えない、重々しい気配が。
神父に促され、低い声が響く――それはひどく聞き覚えのある声だった。
「……え?」
思わず声が漏れる。
まさか、そんなはずはない。
父はあの時何と言っていたか。私は必死に思い出そうとした。
『グレイヴズ家の嫡男はずっと留学していたそうなんだ。それが最近になって帰国し、家を継いだ』
不在の理由が留学ではなかったとしたら……?
心臓が張り裂けそうなほど高鳴る。
ヴェール越しで視界ははっきりしないが、背丈も、体格も、雰囲気も、あの人にあまりに似すぎている。
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