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第十話 武術鍛錬で
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武術鍛錬の時間、レナンジェスは荒れていた。
「強い…」
「これ程とは…」
ミーアの護衛2人を同時に相手にしたレナンジェス。護衛2人はレナンジェスに打ちのめされて倒れている。
『やり過ぎです』
ヒューイとドゥーイが止めに入るがレナンジェスは冷やかな眼差しで護衛を見下ろしている。
「久しぶりに君達の成長も見せてくれ」
レナンジェスはヒューイとドゥーイに言う。その眼差しは悲し気であり憤怒に塗れた様でもあった。
『はい…』
そう言うと2人の従者は全力でレナンジェスに襲い掛かる。
「早さと連携が伴った良い攻撃だな」
そう言いながらも木剣を一閃しただけで2人の従者を吹き飛ばした。
「レナンジェス、何を荒れている?」
異様な雰囲気を纏ったレナンジェスに侯爵家嫡男のジュドー=マッケンシー声を掛けてくる。
彼は“トキメキ魔法学院”の攻略キャラであり明るい性格の好青年だ。同時に国軍の総司令官の息子として武に長けているキャラでもある。勿論、座学の成績も悪くはない。
「普通に鍛錬しているだけですよ」
ボソリと答えるレナンジェス。
「わたしには君が八つ当たりしている様にしか見えないよ」
「私は八つ当たりなど…」
「それでは君の剣で語ってくれ」
そう言いながら木剣を構えるジュドー。それを見たレナンジェスは剣を構える。
そして次の瞬間、予備動作無しでジュドーの剣の柄に突きを繰り出す。そしてジュドーの木剣を破壊した。
「何て鋭い突きだ…」
ジュドーは唖然とする。同時に普段は相手に華を持たせるレナンジェスとは別人に感じる。
「これで宜しいですか?」
「あぁ、でも君の剣は泣いているようだね。まるで深い悲しみに取り込まれたような…」
「別にそんな事は…」
「男爵令嬢達が原因か?」
ジュドーの言葉で鋭い殺気を纏うレナンジェス。
「図星の様だな」
「…だったらどうだと言うのですか?」
「いや、君は自己嫌悪に陥っているのが良く分かったよ。君は3人を愛していなかったのだろ?単に下心だけで付き合っていた。そして彼女等を悲しませた時に自らの行いを恥じたのだろ?」
その言葉に黙り込むレナンジェス。
「3人の女性を傷つけた自分に嫌悪感を抱く。悪いのは自分だと理解している。その怒りの矛先が解らない」
「…」
「だったら謝って来いよ。悲しませたこと、下心で付き合っていたことをさ」
その言葉にレナンジェスは剣を落す。そして一筋の涙を流した。
「イテテ…」
『もう、こんなに顔を腫らして…良い男が台無しですよ』
ヒューイとドゥーイはそう言いながらレナンジェスの顔に薬を塗る。
ジュドーに言われた後、レナンジェスは男爵令嬢達の元へ行き己の心境を吐露した。そして殴って気が済むならそうしてくれと言ったのだ。すると男爵令嬢トリオは遠慮のない魔法攻撃をレナンジェスの顔面に食らわせた。
『レナンジェス様の心は知っておりました。それでも慕っておりましたよ』
3人は涙ながらにそう言うとその場を去った。
その後、ぶっ倒れているレナンジェスを発見したヒューイとドゥーイが彼を部屋まで運んだ。そして治療である。
「それにしてもドゥーイの薬はよく効くな」
既に顔の傷が消え失せ腫れが引いた自分の顔を鏡で見ながら苦笑いする。それでも心はスッキリしていた。
「それから…昼間はすまなかった」
『いえ、僕達も天狗になっておりました。自分の未熟さを知る機会を与えて頂きありがとうございます』
そう寂しそうな笑顔で言う2人の頭をレナンジェスは優しく撫でる。すると2人は啖呵を切ったように泣き出した。
「ごめん、ごめんな」
泣きじゃくる2人を抱きしめるレナンジェス。2人の温もりはレナンジェスに安らぎを与えていた。
翌日、レナンジェスは授業が終わるとジュドーを尋ねる。
「どうしたんだい?」
ジュドーは爽やかな笑顔でレナンジェスに問い掛ける。
「昨日は大変失礼しました」
「気にしていないから良いよ。それに君は男爵令嬢達にボコボコにされたそうじゃないか」
「それが彼女等に対する贖罪です」
「罪滅ぼしにしては過激だね。わたしも事情を知っているから」
「と言いますと?」
「彼女等は他の子爵家や伯爵家の令嬢に疎まれたのさ。この国一番の麒麟児の寵愛に嫉妬してね。それを影で助けていたのが意外な事にミーア公爵だったけど」
「そうでしたか。それなのにミーア嬢の護衛を私は…」
「あれは良い経験じゃないか?彼等も天狗になっていたしね。それよりも僕の方が脅威を感じているよ。従者を鍛え、集団戦法を自由自在に駆使する君にね」
「私は…」
「軍に興味が無いのだろ?それは知ってる」
そう言いながら爽やかな笑みをレナンジェスに向けるジュドーであった。
「強い…」
「これ程とは…」
ミーアの護衛2人を同時に相手にしたレナンジェス。護衛2人はレナンジェスに打ちのめされて倒れている。
『やり過ぎです』
ヒューイとドゥーイが止めに入るがレナンジェスは冷やかな眼差しで護衛を見下ろしている。
「久しぶりに君達の成長も見せてくれ」
レナンジェスはヒューイとドゥーイに言う。その眼差しは悲し気であり憤怒に塗れた様でもあった。
『はい…』
そう言うと2人の従者は全力でレナンジェスに襲い掛かる。
「早さと連携が伴った良い攻撃だな」
そう言いながらも木剣を一閃しただけで2人の従者を吹き飛ばした。
「レナンジェス、何を荒れている?」
異様な雰囲気を纏ったレナンジェスに侯爵家嫡男のジュドー=マッケンシー声を掛けてくる。
彼は“トキメキ魔法学院”の攻略キャラであり明るい性格の好青年だ。同時に国軍の総司令官の息子として武に長けているキャラでもある。勿論、座学の成績も悪くはない。
「普通に鍛錬しているだけですよ」
ボソリと答えるレナンジェス。
「わたしには君が八つ当たりしている様にしか見えないよ」
「私は八つ当たりなど…」
「それでは君の剣で語ってくれ」
そう言いながら木剣を構えるジュドー。それを見たレナンジェスは剣を構える。
そして次の瞬間、予備動作無しでジュドーの剣の柄に突きを繰り出す。そしてジュドーの木剣を破壊した。
「何て鋭い突きだ…」
ジュドーは唖然とする。同時に普段は相手に華を持たせるレナンジェスとは別人に感じる。
「これで宜しいですか?」
「あぁ、でも君の剣は泣いているようだね。まるで深い悲しみに取り込まれたような…」
「別にそんな事は…」
「男爵令嬢達が原因か?」
ジュドーの言葉で鋭い殺気を纏うレナンジェス。
「図星の様だな」
「…だったらどうだと言うのですか?」
「いや、君は自己嫌悪に陥っているのが良く分かったよ。君は3人を愛していなかったのだろ?単に下心だけで付き合っていた。そして彼女等を悲しませた時に自らの行いを恥じたのだろ?」
その言葉に黙り込むレナンジェス。
「3人の女性を傷つけた自分に嫌悪感を抱く。悪いのは自分だと理解している。その怒りの矛先が解らない」
「…」
「だったら謝って来いよ。悲しませたこと、下心で付き合っていたことをさ」
その言葉にレナンジェスは剣を落す。そして一筋の涙を流した。
「イテテ…」
『もう、こんなに顔を腫らして…良い男が台無しですよ』
ヒューイとドゥーイはそう言いながらレナンジェスの顔に薬を塗る。
ジュドーに言われた後、レナンジェスは男爵令嬢達の元へ行き己の心境を吐露した。そして殴って気が済むならそうしてくれと言ったのだ。すると男爵令嬢トリオは遠慮のない魔法攻撃をレナンジェスの顔面に食らわせた。
『レナンジェス様の心は知っておりました。それでも慕っておりましたよ』
3人は涙ながらにそう言うとその場を去った。
その後、ぶっ倒れているレナンジェスを発見したヒューイとドゥーイが彼を部屋まで運んだ。そして治療である。
「それにしてもドゥーイの薬はよく効くな」
既に顔の傷が消え失せ腫れが引いた自分の顔を鏡で見ながら苦笑いする。それでも心はスッキリしていた。
「それから…昼間はすまなかった」
『いえ、僕達も天狗になっておりました。自分の未熟さを知る機会を与えて頂きありがとうございます』
そう寂しそうな笑顔で言う2人の頭をレナンジェスは優しく撫でる。すると2人は啖呵を切ったように泣き出した。
「ごめん、ごめんな」
泣きじゃくる2人を抱きしめるレナンジェス。2人の温もりはレナンジェスに安らぎを与えていた。
翌日、レナンジェスは授業が終わるとジュドーを尋ねる。
「どうしたんだい?」
ジュドーは爽やかな笑顔でレナンジェスに問い掛ける。
「昨日は大変失礼しました」
「気にしていないから良いよ。それに君は男爵令嬢達にボコボコにされたそうじゃないか」
「それが彼女等に対する贖罪です」
「罪滅ぼしにしては過激だね。わたしも事情を知っているから」
「と言いますと?」
「彼女等は他の子爵家や伯爵家の令嬢に疎まれたのさ。この国一番の麒麟児の寵愛に嫉妬してね。それを影で助けていたのが意外な事にミーア公爵だったけど」
「そうでしたか。それなのにミーア嬢の護衛を私は…」
「あれは良い経験じゃないか?彼等も天狗になっていたしね。それよりも僕の方が脅威を感じているよ。従者を鍛え、集団戦法を自由自在に駆使する君にね」
「私は…」
「軍に興味が無いのだろ?それは知ってる」
そう言いながら爽やかな笑みをレナンジェスに向けるジュドーであった。
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