転生したら乙女ゲームのモブキャラだったのでモブハーレム作ろうとしたら…BLな方向になるのだが

松林 松茸

文字の大きさ
10 / 88

第十話 武術鍛錬で

しおりを挟む
武術鍛錬の時間、レナンジェスは荒れていた。

「強い…」

「これ程とは…」

ミーアの護衛2人を同時に相手にしたレナンジェス。護衛2人はレナンジェスに打ちのめされて倒れている。

『やり過ぎです』

ヒューイとドゥーイが止めに入るがレナンジェスは冷やかな眼差しで護衛を見下ろしている。

「久しぶりに君達の成長も見せてくれ」

レナンジェスはヒューイとドゥーイに言う。その眼差しは悲し気であり憤怒に塗れた様でもあった。

『はい…』

そう言うと2人の従者は全力でレナンジェスに襲い掛かる。

「早さと連携が伴った良い攻撃だな」

そう言いながらも木剣を一閃しただけで2人の従者を吹き飛ばした。

「レナンジェス、何を荒れている?」

異様な雰囲気を纏ったレナンジェスに侯爵家嫡男のジュドー=マッケンシー声を掛けてくる。

彼は“トキメキ魔法学院”の攻略キャラであり明るい性格の好青年だ。同時に国軍の総司令官の息子として武に長けているキャラでもある。勿論、座学の成績も悪くはない。

「普通に鍛錬しているだけですよ」

ボソリと答えるレナンジェス。

「わたしには君が八つ当たりしている様にしか見えないよ」

「私は八つ当たりなど…」

「それでは君の剣で語ってくれ」

そう言いながら木剣を構えるジュドー。それを見たレナンジェスは剣を構える。
そして次の瞬間、予備動作無しでジュドーの剣の柄に突きを繰り出す。そしてジュドーの木剣を破壊した。

「何て鋭い突きだ…」

ジュドーは唖然とする。同時に普段は相手に華を持たせるレナンジェスとは別人に感じる。

「これで宜しいですか?」

「あぁ、でも君の剣は泣いているようだね。まるで深い悲しみに取り込まれたような…」

「別にそんな事は…」

「男爵令嬢達が原因か?」

ジュドーの言葉で鋭い殺気を纏うレナンジェス。

「図星の様だな」

「…だったらどうだと言うのですか?」

「いや、君は自己嫌悪に陥っているのが良く分かったよ。君は3人を愛していなかったのだろ?単に下心だけで付き合っていた。そして彼女等を悲しませた時に自らの行いを恥じたのだろ?」

その言葉に黙り込むレナンジェス。

「3人の女性を傷つけた自分に嫌悪感を抱く。悪いのは自分だと理解している。その怒りの矛先が解らない」

「…」

「だったら謝って来いよ。悲しませたこと、下心で付き合っていたことをさ」

その言葉にレナンジェスは剣を落す。そして一筋の涙を流した。



「イテテ…」

『もう、こんなに顔を腫らして…良い男が台無しですよ』

ヒューイとドゥーイはそう言いながらレナンジェスの顔に薬を塗る。

ジュドーに言われた後、レナンジェスは男爵令嬢達の元へ行き己の心境を吐露した。そして殴って気が済むならそうしてくれと言ったのだ。すると男爵令嬢トリオは遠慮のない魔法攻撃をレナンジェスの顔面に食らわせた。

『レナンジェス様の心は知っておりました。それでも慕っておりましたよ』

3人は涙ながらにそう言うとその場を去った。

その後、ぶっ倒れているレナンジェスを発見したヒューイとドゥーイが彼を部屋まで運んだ。そして治療である。

「それにしてもドゥーイの薬はよく効くな」

既に顔の傷が消え失せ腫れが引いた自分の顔を鏡で見ながら苦笑いする。それでも心はスッキリしていた。

「それから…昼間はすまなかった」

『いえ、僕達も天狗になっておりました。自分の未熟さを知る機会を与えて頂きありがとうございます』

そう寂しそうな笑顔で言う2人の頭をレナンジェスは優しく撫でる。すると2人は啖呵を切ったように泣き出した。

「ごめん、ごめんな」

泣きじゃくる2人を抱きしめるレナンジェス。2人の温もりはレナンジェスに安らぎを与えていた。



翌日、レナンジェスは授業が終わるとジュドーを尋ねる。

「どうしたんだい?」

ジュドーは爽やかな笑顔でレナンジェスに問い掛ける。

「昨日は大変失礼しました」

「気にしていないから良いよ。それに君は男爵令嬢達にボコボコにされたそうじゃないか」

「それが彼女等に対する贖罪です」

「罪滅ぼしにしては過激だね。わたしも事情を知っているから」

「と言いますと?」

「彼女等は他の子爵家や伯爵家の令嬢に疎まれたのさ。この国一番の麒麟児の寵愛に嫉妬してね。それを影で助けていたのが意外な事にミーア公爵だったけど」

「そうでしたか。それなのにミーア嬢の護衛を私は…」

「あれは良い経験じゃないか?彼等も天狗になっていたしね。それよりも僕の方が脅威を感じているよ。従者を鍛え、集団戦法を自由自在に駆使する君にね」

「私は…」

「軍に興味が無いのだろ?それは知ってる」

そう言いながら爽やかな笑みをレナンジェスに向けるジュドーであった。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

【完結】愛執 ~愛されたい子供を拾って溺愛したのは邪神でした~

綾雅(りょうが)要らない悪役令嬢
BL
「なんだ、お前。鎖で繋がれてるのかよ! ひでぇな」  洞窟の神殿に鎖で繋がれた子供は、愛情も温もりも知らずに育った。 子供が欲しかったのは、自分を抱き締めてくれる腕――誰も与えてくれない温もりをくれたのは、人間ではなくて邪神。人間に害をなすとされた破壊神は、純粋な子供に絆され、子供に名をつけて溺愛し始める。  人のフリを長く続けたが愛情を理解できなかった破壊神と、初めての愛情を貪欲に欲しがる物知らぬ子供。愛を知らぬ者同士が徐々に惹かれ合う、ひたすら甘くて切ない恋物語。 「僕ね、セティのこと大好きだよ」   【注意事項】BL、R15、性的描写あり(※印) 【重複投稿】アルファポリス、カクヨム、小説家になろう、エブリスタ 【完結】2021/9/13 ※2020/11/01  エブリスタ BLカテゴリー6位 ※2021/09/09  エブリスタ、BLカテゴリー2位

【完結】召喚された勇者は贄として、魔王に美味しく頂かれました

綾雅(りょうが)要らない悪役令嬢
BL
美しき異形の魔王×勇者の名目で召喚された生贄、執着激しいヤンデレの愛の行方は? 最初から贄として召喚するなんて、ひどいんじゃないか? 人生に何の不満もなく生きてきた俺は、突然異世界に召喚された。 よくある話なのか? 正直帰りたい。勇者として呼ばれたのに、碌な装備もないまま魔王を鎮める贄として差し出され、美味しく頂かれてしまった。美しい異形の魔王はなぜか俺に執着し、閉じ込めて溺愛し始める。ひたすら優しい魔王に、徐々に俺も絆されていく。もういっか、帰れなくても……。 ハッピーエンド確定 ※は性的描写あり 【完結】2021/10/31 【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、エブリスタ 2021/10/03  エブリスタ、BLカテゴリー 1位

【完結】悪役に転生したので、皇太子を推して生き延びる

ざっしゅ
BL
気づけば、男の婚約者がいる悪役として転生してしまったソウタ。 この小説は、主人公である皇太子ルースが、悪役たちの陰謀によって記憶を失い、最終的に復讐を遂げるという残酷な物語だった。ソウタは、自分の命を守るため、原作の悪役としての行動を改め、記憶を失ったルースを友人として大切にする。 ソウタの献身的な行動は周囲に「ルースへの深い愛」だと噂され、ルース自身もその噂に満更でもない様子を見せ始める。

運悪く放課後に屯してる不良たちと一緒に転移に巻き込まれた俺、到底馴染めそうにないのでソロで無双する事に決めました。~なのに何故かついて来る…

こまの ととと
BL
『申し訳ございませんが、皆様には今からこちらへと来て頂きます。強制となってしまった事、改めて非礼申し上げます』  ある日、教室中に響いた声だ。  ……この言い方には語弊があった。  正確には、頭の中に響いた声だ。何故なら、耳から聞こえて来た感覚は無く、直接頭を揺らされたという感覚に襲われたからだ。  テレパシーというものが実際にあったなら、確かにこういうものなのかも知れない。  問題はいくつかあるが、最大の問題は……俺はただその教室近くの廊下を歩いていただけという事だ。 *当作品はカクヨム様でも掲載しております。

【完結】双子の兄が主人公で、困る

  *  ゆるゆ
BL
『きらきら男は僕のモノ』公言する、ぴんくの髪の主人公な兄のせいで、見た目はそっくりだが質実剛健、ちいさなことからコツコツとな双子の弟が、兄のとばっちりで断罪されかけたり、 悪役令息からいじわるされたり 、逆ハーレムになりかけたりとか、ほんとに困る──! 伴侶(予定)いるので。……って思ってたのに……! ルティとトトの動画を作りました! インスタ @yuruyu0 絵もあがります Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます プロフのwebサイトから飛べるので、もしよかったら! 本編、両親にごあいさつ編、完結しました! おまけのお話を、時々更新しています。 本編以外はぜんぶ、アルファポリスさまだけですー! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!

麗しの眠り姫は義兄の腕で惰眠を貪る

黒木  鳴
BL
妖精のように愛らしく、深窓の姫君のように美しいセレナードのあだ名は「眠り姫」。学園祭で主役を演じたことが由来だが……皮肉にもそのあだ名はぴったりだった。公爵家の出と学年一位の学力、そしてなによりその美貌に周囲はいいように勘違いしているが、セレナードの中身はアホの子……もとい睡眠欲求高めの不思議ちゃん系(自由人なお子さま)。惰眠とおかしを貪りたいセレナードと、そんなセレナードが可愛くて仕方がない義兄のギルバート、なんやかんやで振り回される従兄のエリオットたちのお話し。完結しました!

処理中です...