某国の皇子、冒険者となる

くー

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最終章 死と光

6. 新たな物語

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平和だなあ……

俺は一人、帝都にあるカフェの二階のテラス席にいた。

「ノア!」
「ウィル……」

ウィルが現れた。見つかったか……

「こんなところにいたのか」
「うん……」

ウィルは俺の向かいの席に座り、こう続けた。

「ノアはこれから、どうするんだ?」
「俺は、そうだなあ……旅に出たいな。まだ行ったことのない町に行ったり、見たことのない景色を見たり、美味しいものを食べたり」
「旅か……これから寒くなるし、南の方なんてどうだ?」
「いいね!」
「ノアとふたり旅か……楽しみだな」

そうなのだ。暇を持て余しているのは俺とウィルだけだった。

エトワールはエルフの里で兄弟の結婚式に出席するよう呼び戻され、しばらくそちらに滞在することになっていた。
ニケは魔族の里の書物に夢中になり、しばらく里に滞在するという。ニケの錬金術の腕は魔族たちにも認められており、彼らは失われた技術が蘇ると期待に目を輝かせているらしい。
ジンも魔族の里に出入りする内に昔の仲間たちと意気投合し、しばらく留まるそうだ。

「そのことなんだけど……俺、しばらくひとりで旅をしようかなって……」
「は?なんで!危険だろ!?」
「でも……俺もだいぶ強くなったと思うし……」
「それはそうだけど……」

「ダメだ、ノア」

背後を振り返ると、赤子を抱きかかえた兄上が立っていた。
髪を纏め、フードを被ったお忍びスタイルだ。

「あ、兄上!?どうしてここに……」
「ノアの行きつけのカフェに私も興味があったのだ。ついでに驚かせてやろうと思ってな?」

いたずら成功と言わんばかりに兄上はドヤ顔だ。

「……ダメだって兄上……何故ですか?」
「……まったく。おまえには危機感が足りていない。何かあってからでは遅いのだぞ」

兄上はため息を吐いた。

「とはいえ、一人になりたいおまえの気持ちもわからんでもない。せめて、護衛としてラウルスを連れていきなさい」
「へ、陛下……!俺だってノアを守れます!俺がノアと共に行きます!」
「ウィル・クリスティオ。おまえを信用していないわけではないのだが、私はノアとおまえをふたりきりにしたくないのだ」
「なっ…何故ですか!?」
「……ノアを守るためだ」
「…………」

守る?俺を?

「違います!俺はただ……」
「ウィル、私を誰だと思っている?おまえの考えていることなどお見通しだ。下がるがいい」
「くっ……!」

ウィル……?あいつ、なにか兄上の機嫌を損ねることをしてしまったのか……

「でも兄上……ラウルスは忙しいのでは……」
「うむ……だがあいつにも休息が必要だろう。護衛とは言え、そこまで危険な場所へ行くわけではあるまい?」
「まあ……はい……もちろん」
「万が一、危険な場所に行く際は私に必ず連絡を入れるよう、ラウルスにも厳命しておく。そのときは私も一緒に行ってやろう」
「はあ……ラウルスの同行はもう決定事項なのですね……」
「うむ。しかし……ラウルスの不在は二か月が限度だろうな。まあ、ノアも二か月もしたら城がそろそろ恋しくなるはずだから、ちょうどよいな!」

どうかなあ……




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