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第一章 中盤
第51話:それぞれの戦い
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いったい何が起きたんだ……。
あまりにも一瞬の出来事で、何も出来ずにドアンゴを連れ去られてしまった。
それに、さっきの男の子のあの魔力……あれは絶対魔族だ。
ジルが言っていた魔族っていうのはきっと奴の方だ。
くっ……オーガなら簡単に処理できると油断したオレのミスだ。
「こりゃぁ参った! 俺みたいなA級冒険者じゃ太刀打ち出来ないような大物じゃねぇか!」
オレが悔やんでいると、突然グラムさんが額に手をあてて叫んだ。何か知ってそうだ。
それと、やはりグラムさんはA級冒険者か。
「グラムさん、あいつが誰か知ってるんですか?」
「あぁ! ありゃぁ魔王軍六魔将の一人『堕天のクロケル』だ。悪魔の癖に神聖魔法を使いこなすと言われている奴だな。ぶっちゃけ逃げてくれてホッとしてるぜ」
また六魔将か! 技巧のアモンといい、厄介な奴らだ……。
さっき消え去ったのは、本来なら白き雷光によってあらかじめ設定した場所に転移する帰還魔法らしい。
聖エリス神国でも使い手が数人しかいないすごい魔法らしいが、あらかじめ設定出来る場所は一ヶ所だけなようなので、ジルの転移魔法の劣化版のように感じるな。
いや、違う違う! 十分すごいから!
あぶな……オレだけでも一般人の感覚を失わないようにしないと……。
それを言ったら現存するほとんどの魔法はジルの使う魔法の劣化版になる。
「そんなすごい奴なんですね」
「それに奴がやっかいなもう一つの理由は狡猾さだ」
クロケルは神聖魔法以外にも人心を誑かすのも得意なようで、あいつのせいで過去に内部から崩壊させられた町まであるらしい。
これは要注意だな。オレだけでなくおそらく『恒久の転生竜』は、みんな搦手で来る奴は苦手だと思う。
古代とか神代の人やモノじゃなければ、真っ向勝負でそうそう負けることはないだろうけど、いろいろ搦手で来られると簡単に手玉に取られるかもしれない。
そんな奴らと比べたら、まだまだパーティーとしても個人としても経験が浅く絶対的に足りていない。約二名は常識が足りていない。
しかし……今いろいろ考えても仕方ないか。
それよりも早く対処しないといけない問題が残されている。
「グラムさん、逃げられたのは痛いですが、実は他でも問題が起こってまして……」
オレは魔界門という魔物が溢れ出す転移門が、北の貴族門と南の広場に出現している事、その対応に『恒久の転生竜』の仲間があたっていることを説明する。
「なんてこった! 今、緊急依頼の準備をさせてたんだが、そんな悠長な事してる暇はなさそうだな!」
「はい。では、オレはとりあえず南の広場の方に先に向かわせてもらいます!」
リルラも心配だが、戦力的にリリーとルルーの方に向かう方がいいと判断し、オレは南の広場へと向かって駆け出したのだった。
◆◇◆◇ 時は少し遡り、リリー視点 ◆◇◆◇
私たちはジルさんに広場まで転移してもらうと、すぐにそこにいる人たちに避難を呼びかけました。ですが、みんな突然現れた魔界門に興味津々で、誰も避難しようとしてくれませんでした。
これは、私たちがよそ者で知っている人が誰もいないというのもありますが、もしかすると学術都市に住む人たちならではの高い好奇心のせいかもしれません。
しかし、どうしたものでしょう……このままでは被害が大きくなってしまいます。
せっかく私たちを信じて送り出してくれたコウガにも顔向けが出来ません。
そして私たちがここについて数分。
避難もままならないまま、とうとう門が静かに開かれてしまいました。
中から現れたのは以前見たようなスケルトンではなく、コボルトと呼ばれる魔物でした。
二足歩行の狼のような姿をしていて、知能こそ低いですが狡猾で連携して来るので低ランクの魔物の中ではかなり厄介な魔物です。
でも……私たちの敵ではありません。
私たちは神獣の加護による全ステータス向上により、以前より格段に強くなりました。
【ギフト:共鳴の舞】と『鋼の四重奏』の相乗効果もあり、門から溢れ出るコボルトたちを次々と黒い霧へと変えていきます。
今まで好奇心から門の周りに集まっていた人たちも、なんとか無事に逃すことが出来ました。
ですが……次々と門から現れるコボルトに段々と追い付かなくなってきています。
「ルルー。なんとか私たちで抑えきる……にゃ」
「リリー。コウガに頼まれたんだからいいとこ見せる……にゃ」
私もですがルルーもやる気十分です。
このまま何時間だって倒し続けてみせましょう!
◆◇◆◇ リルラ視点 ◆◇◆◇
今、私の目の前でようやく門が開かれようとしています。
リリーとルルーの向かった広場と違い、まだ魔界門が設置されてからあまり時間がたっていなかった貴族街の門は、中々扉が開きませんでした。
しかしそのおかげで、魔族に倒されていた衛兵さんたちの治療も終わり、もう魔界門包囲網も完成しています。
「まあ。ようやくお出ましのようですね」
扉が開ききると、中からトカゲのような姿の二足歩行の魔物が次々と現れだしました。
たしかあれはリザードマンという魔物で、それなりの知能を持ち、器用に武器を使いこなしたはず。実際、彼らの手には鈍色の剣が握られています。
「り、リルラさん。も、もっとお下がりください」
私を守ろうと、衛兵さんたちがガタガタと震えながらもその場に留まってくれています。
さっき治療して差し上げた隊長らしきおじさまが「こんな小さな子一人守れずに何が衛兵か!」と言って張り切っていましたが、実戦経験があまりないのか、先ほどから足の震えがとまらないようです。
「隊長様。私は大丈夫ですのでご安心ください」
私は隊長様にそう伝えると、改めて精霊達にこうお願いするのです。
「それじゃぁ精霊達、とかげもどきをやっちゃってください」
さぁ、ここからは殲滅戦です。一匹たりとも逃がしませんよ?
あまりにも一瞬の出来事で、何も出来ずにドアンゴを連れ去られてしまった。
それに、さっきの男の子のあの魔力……あれは絶対魔族だ。
ジルが言っていた魔族っていうのはきっと奴の方だ。
くっ……オーガなら簡単に処理できると油断したオレのミスだ。
「こりゃぁ参った! 俺みたいなA級冒険者じゃ太刀打ち出来ないような大物じゃねぇか!」
オレが悔やんでいると、突然グラムさんが額に手をあてて叫んだ。何か知ってそうだ。
それと、やはりグラムさんはA級冒険者か。
「グラムさん、あいつが誰か知ってるんですか?」
「あぁ! ありゃぁ魔王軍六魔将の一人『堕天のクロケル』だ。悪魔の癖に神聖魔法を使いこなすと言われている奴だな。ぶっちゃけ逃げてくれてホッとしてるぜ」
また六魔将か! 技巧のアモンといい、厄介な奴らだ……。
さっき消え去ったのは、本来なら白き雷光によってあらかじめ設定した場所に転移する帰還魔法らしい。
聖エリス神国でも使い手が数人しかいないすごい魔法らしいが、あらかじめ設定出来る場所は一ヶ所だけなようなので、ジルの転移魔法の劣化版のように感じるな。
いや、違う違う! 十分すごいから!
あぶな……オレだけでも一般人の感覚を失わないようにしないと……。
それを言ったら現存するほとんどの魔法はジルの使う魔法の劣化版になる。
「そんなすごい奴なんですね」
「それに奴がやっかいなもう一つの理由は狡猾さだ」
クロケルは神聖魔法以外にも人心を誑かすのも得意なようで、あいつのせいで過去に内部から崩壊させられた町まであるらしい。
これは要注意だな。オレだけでなくおそらく『恒久の転生竜』は、みんな搦手で来る奴は苦手だと思う。
古代とか神代の人やモノじゃなければ、真っ向勝負でそうそう負けることはないだろうけど、いろいろ搦手で来られると簡単に手玉に取られるかもしれない。
そんな奴らと比べたら、まだまだパーティーとしても個人としても経験が浅く絶対的に足りていない。約二名は常識が足りていない。
しかし……今いろいろ考えても仕方ないか。
それよりも早く対処しないといけない問題が残されている。
「グラムさん、逃げられたのは痛いですが、実は他でも問題が起こってまして……」
オレは魔界門という魔物が溢れ出す転移門が、北の貴族門と南の広場に出現している事、その対応に『恒久の転生竜』の仲間があたっていることを説明する。
「なんてこった! 今、緊急依頼の準備をさせてたんだが、そんな悠長な事してる暇はなさそうだな!」
「はい。では、オレはとりあえず南の広場の方に先に向かわせてもらいます!」
リルラも心配だが、戦力的にリリーとルルーの方に向かう方がいいと判断し、オレは南の広場へと向かって駆け出したのだった。
◆◇◆◇ 時は少し遡り、リリー視点 ◆◇◆◇
私たちはジルさんに広場まで転移してもらうと、すぐにそこにいる人たちに避難を呼びかけました。ですが、みんな突然現れた魔界門に興味津々で、誰も避難しようとしてくれませんでした。
これは、私たちがよそ者で知っている人が誰もいないというのもありますが、もしかすると学術都市に住む人たちならではの高い好奇心のせいかもしれません。
しかし、どうしたものでしょう……このままでは被害が大きくなってしまいます。
せっかく私たちを信じて送り出してくれたコウガにも顔向けが出来ません。
そして私たちがここについて数分。
避難もままならないまま、とうとう門が静かに開かれてしまいました。
中から現れたのは以前見たようなスケルトンではなく、コボルトと呼ばれる魔物でした。
二足歩行の狼のような姿をしていて、知能こそ低いですが狡猾で連携して来るので低ランクの魔物の中ではかなり厄介な魔物です。
でも……私たちの敵ではありません。
私たちは神獣の加護による全ステータス向上により、以前より格段に強くなりました。
【ギフト:共鳴の舞】と『鋼の四重奏』の相乗効果もあり、門から溢れ出るコボルトたちを次々と黒い霧へと変えていきます。
今まで好奇心から門の周りに集まっていた人たちも、なんとか無事に逃すことが出来ました。
ですが……次々と門から現れるコボルトに段々と追い付かなくなってきています。
「ルルー。なんとか私たちで抑えきる……にゃ」
「リリー。コウガに頼まれたんだからいいとこ見せる……にゃ」
私もですがルルーもやる気十分です。
このまま何時間だって倒し続けてみせましょう!
◆◇◆◇ リルラ視点 ◆◇◆◇
今、私の目の前でようやく門が開かれようとしています。
リリーとルルーの向かった広場と違い、まだ魔界門が設置されてからあまり時間がたっていなかった貴族街の門は、中々扉が開きませんでした。
しかしそのおかげで、魔族に倒されていた衛兵さんたちの治療も終わり、もう魔界門包囲網も完成しています。
「まあ。ようやくお出ましのようですね」
扉が開ききると、中からトカゲのような姿の二足歩行の魔物が次々と現れだしました。
たしかあれはリザードマンという魔物で、それなりの知能を持ち、器用に武器を使いこなしたはず。実際、彼らの手には鈍色の剣が握られています。
「り、リルラさん。も、もっとお下がりください」
私を守ろうと、衛兵さんたちがガタガタと震えながらもその場に留まってくれています。
さっき治療して差し上げた隊長らしきおじさまが「こんな小さな子一人守れずに何が衛兵か!」と言って張り切っていましたが、実戦経験があまりないのか、先ほどから足の震えがとまらないようです。
「隊長様。私は大丈夫ですのでご安心ください」
私は隊長様にそう伝えると、改めて精霊達にこうお願いするのです。
「それじゃぁ精霊達、とかげもどきをやっちゃってください」
さぁ、ここからは殲滅戦です。一匹たりとも逃がしませんよ?
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