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第2章:落ちこぼれの箱舟
2-1:約束の地へ
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翌日、大地は始発電車に乗っていた。
ガタン、ゴトンと規則正しいリズムを刻む車内は、驚くほど空いていた。向かいの席に座る老人は虚ろな目で窓の外を眺め、斜め向かいのサラリーマンはスマートフォンを握りしめたまま眠りに落ちている。誰もが、終末という名の巨大な鎮静剤を投与されたかのように、静かだった。
窓の外を流れていく景色もまた、生気がない。建設途中で放棄されたマンションが骸骨のように立ち並び、手入れされなくなった田畑は雑草にその身を委ねていた。すべてが緩やかに、確実に、死に向かっている。
(俺は、一体どこへ向かっているんだろう)
リュックの底で、あの銀色のカードが冷たく鎮座している。昨夜の自暴自棄な決意は、朝の光を浴びて少しだけ色褪せていた。馬鹿げたことだとはわかっている。だが、今さら引き返すという選択肢も、彼の中にはなかった。帰る場所なんて、もうないのだから。
つくばエクスプレスの終着駅、つくば駅。かつては日本の科学技術の粋を集めた学術都市の玄関口も、今では閑散としていた。点灯していない電子広告が黒い鏡のように人々を映し、改札を抜ける足音だけがやけに大きく響く。
カードに示された地図を頼りに、大地は歩き始めた。
歩道は、アスファルトの亀裂から突き出した雑草で覆われていた。色褪せた研究施設の案内看板が、傾いたまま放置されている。街全体が、巨大な廃墟への入口のようだった。
歩き始めて三十分ほど経った頃だろうか。視界の先に、巨大な構造物が見えてきた。空に向かって突き出す、巨大なパラボラアンテナ。それはまるで、遠い昔に神との交信を諦めた文明が建てた、巨大な墓標のようにも見えた。
目的地、旧・宇宙科学技術センター。
錆び付いた鉄のゲートは固く閉ざされていたが、脇の通用口がわずかに開いていた。大地は息を呑み、その隙間に、自分の未来を滑り込ませるようにして足を踏み入れた。
ガタン、ゴトンと規則正しいリズムを刻む車内は、驚くほど空いていた。向かいの席に座る老人は虚ろな目で窓の外を眺め、斜め向かいのサラリーマンはスマートフォンを握りしめたまま眠りに落ちている。誰もが、終末という名の巨大な鎮静剤を投与されたかのように、静かだった。
窓の外を流れていく景色もまた、生気がない。建設途中で放棄されたマンションが骸骨のように立ち並び、手入れされなくなった田畑は雑草にその身を委ねていた。すべてが緩やかに、確実に、死に向かっている。
(俺は、一体どこへ向かっているんだろう)
リュックの底で、あの銀色のカードが冷たく鎮座している。昨夜の自暴自棄な決意は、朝の光を浴びて少しだけ色褪せていた。馬鹿げたことだとはわかっている。だが、今さら引き返すという選択肢も、彼の中にはなかった。帰る場所なんて、もうないのだから。
つくばエクスプレスの終着駅、つくば駅。かつては日本の科学技術の粋を集めた学術都市の玄関口も、今では閑散としていた。点灯していない電子広告が黒い鏡のように人々を映し、改札を抜ける足音だけがやけに大きく響く。
カードに示された地図を頼りに、大地は歩き始めた。
歩道は、アスファルトの亀裂から突き出した雑草で覆われていた。色褪せた研究施設の案内看板が、傾いたまま放置されている。街全体が、巨大な廃墟への入口のようだった。
歩き始めて三十分ほど経った頃だろうか。視界の先に、巨大な構造物が見えてきた。空に向かって突き出す、巨大なパラボラアンテナ。それはまるで、遠い昔に神との交信を諦めた文明が建てた、巨大な墓標のようにも見えた。
目的地、旧・宇宙科学技術センター。
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