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本編
ヤられたらやり返す!!
しおりを挟む「ヤられた……」
楽しい夕食後お風呂も済ませて後は寝るだけのはずだったのに、部屋に戻ると中は滅茶苦茶。ベッドの布団や枕は切り裂かれ、薬品を撒き散らしたのか家具や壁に床まで至る所が変色している。これは寝れないというか……部屋が使えない。……あぁ、そういえば今朝の紙に出て行けと書いてましたね~
「イリーナ?どうし……た。これは酷いな」
扉の前で立ち尽くす私に気付いたランバートさんが部屋を覗いて驚いている。廊下の向かいはランバートさんが使っている部屋だし、その隣はお義父様。二人が部屋に居ない時間を狙った犯行って事ですか。用意周到ですね。
「師匠達に連絡は?」
「まだです」
彼からの質問に端的に答えた私は、部屋の中に置いてある荷物を確認する為に中に入った。廊下ではランバートさんが使用人を捕まえて伝言を頼んでいる。今朝の件があったから貴重品は無限収納に入れて持ち歩いていたけど、部屋に置いてあった読みかけの本やパーティーの時に着ていたドレスはボロボロになっていた。
ここまでする?出て行って欲しいなら直接、私に言いに来れば良いじゃない……せっかく王妃様が買ってくれたドレスも、図書室で借りた貴重な本もグチャグチャ。何も無いのは不自然だから残しておく様に言われていたけど……
「イリーナ、師匠達は直ぐ来ると返事が……どうし……た?」
「……やり返す」
「え?」
「ヤられたらやり返す!!」
私の横でランバートさんが狼狽えているけど、もう頭にきた!怒りで頭の中が一杯になった私は、ポーチから試作途中の魔具を取り出すと、部屋の中央に置く。発動はするけど、魔力を大量に使うこの魔具は、物の記憶を視て記憶する為の装置。まだ、半日程しか遡って視る事しか出来ないけど、今回は十分です。
「ランバートさん、今から魔具を発動させますが欠点があります。私は動けなくなると思うので、後はお願いしますね」
「え?一体どんな魔具を……」
ランバートさんの疑問に私は答えず、彼に廊下で待機して貰う。お義父様やオーウェンさんが来たみたいだけど、廊下を振り返る事なく魔具を発動させた。
「リナ、待て!!それは……」
お義父様が止める声を最後に、私の意識は魔具が視せる過去の景色に取り込まれた。
『ムカつく……このドレスも……平民のクセに!』
侍女の服を着た女性が一人で、私に対する文句を言いながら短剣でドレスを切り裂いた。次に布団や枕を切り裂く。スッキリしたのか大きく息を吐き肩の力を抜くと、最後にドレスを踏みつけてから部屋を出ていった。
あれ?本には何もしなかった……薬品も……
女性が出て数分後、がチャリと扉の開く音が静かな部屋に響く。ゆっくりと部屋に入って来たのは、黒い箱を受け取った細身の男性だった。
『……随分嫌われたモノだな……ククッ……』
部屋の惨状を見て愉しげに笑った男性が服の中に手を入れると、ガラス容器を取り出し蓋を開けた。
『気化したモノを吸うだけでも影響があると言っていたからな……』
誰かから貰ったモノなのか、自分に言い聞かせる様に言葉にしながら部屋に中身を撒き散らした。シューと嫌な音が聞こえる中、ベッドの橫に置いてある本に気付いた男性は鼻で笑った。
『こんな本……理解出来んな』
そう言いながら図書室で借りた本を開き中が読めなくなるほど薬品を掛けた後、咳き込みながら出ていった。
最悪だ……犯人は一人じゃないなんて……
はぁ……面倒臭い
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