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本編
犯人は…… side ランバート
しおりを挟む「リナ、待て!!それはまだ使えない!」
師匠が焦ってイリーナを止めたが、彼女は振り返る事なく魔具を発動させた。彼女の魔力が膨れ上がり部屋を覆い尽くすと、荒らされる前の部屋が現れた。
「これは……一体……」
「物の記憶を視る為の魔具だ。まだ未完成で魔力の消耗が激しく使用出来ないはずなんだが……」
驚き過ぎて考えが纏まらない。魔具が発動した事に師匠も驚いている。物の記憶を視る?……部屋の記憶を視るつもりか?……一体どんな風に視えると言うんだ。
師匠達と一緒に呆然と部屋を視ていると、俺に纏わり付いていた侍女の一人が勝手に部屋に入って来た。部屋の中に過去の景色が写し出されているのか?人物が動いているが声は聞こえない。
「コイツが犯人か……」
師匠の言葉を裏付けるように、侍女は何か呟きながら短剣を取り出すと部屋にあった物を切り裂く。一通り切り裂くと最後にドレスを踏みつけて出て行った。これで終わりかと思えば、数分後に細身の男が部屋に入って来た。
「コイツは誰だ?」
「……侯爵家の元当主です」
オーウェン殿の疑問に答えたのは師匠だった。話しをしている俺達の前で男は何かを呟きながら懐から手のひら程のビンを取り出すと蓋を開け中身を撒き散らした。
うす煙を出しながら部屋中が変色していく。最後に本の中にもビンの中身を掛けてから部屋を後にした。
「犯人が……二人か……」
犯人が分かると景色は元の荒らされた部屋の姿に戻り、部屋の中央には魔具に触れたまま倒れるイリーナの姿があった。
慌てて駆け寄ると魔力を使い果たして青ざめた顔の彼女が眠っている。魔具から手を外し抱き上げると、オーウェン殿が外に出る様に指示を出してきた。
「この薬品は吸い込むだけで肺が焼ける」
廊下に出た俺に彼女を先ずは休ませる為に向かいの俺が使っている部屋のベッドに寝かせる。師匠は口元を布で覆い隠してから魔具の回収の為に部屋に入った。
「……魔力切れは明日には回復するだろう。ただ……肺が少しヤられたようだ」
オーウェン殿が魔法を使って彼女の状態を確認すると、眉間にシワを寄せて考えていた。クソ!何が護り石だ……身代わりなんて役にたたないじゃないか!!
「肺に直接、効く薬は無い。治癒を助ける薬はあるが意識が戻らねば飲めん」
イリーナが少し息苦しそうに咳き込み、息をする度にゼーゼーと掠れた音がする。このまま一晩、待つしかない状態に苛立ちが込み上げた。
「魔具に記録されている侍女は呼んだから、直ぐに来るだろう。問題は元当主の男だ」
師匠が言い終わるとほぼ同時に扉を叩く音とともに、女性が入室を求める声が聞こえる。この女が……
「入れ」
俺の代わりに師匠が声を掛けると、侍女の制服を着て派手な化粧をした女が扉を開けたまま動けずにいた。
「何をしている。話があるから入れ」
「は、はい」
師匠のただならぬ気配に怯えながら部屋に入った女は、師匠の前に立ちながらも俺の顔をチラチラと見ている。あぁ、この不愉快な視線の女だったか……
「お前、俺の義娘の部屋で何をした?」
「え?むすめ?……何方の事でございましょうか?」
女は本気で分からない様な素振りで、首を傾げて考える仕草をした。俺の隣でイリーナの処置をしていたオーウェン殿から舌打ちが聞こえたかと思うと、彼は勢いよく立ち上がり女の服を掴んで睨み付けた。
「女、真実を話せ」
「ヒッ!!あ、あ……し、知りません!本当に知りません!!」
彼が突き放す様に手を放すと、女は床に倒れ込んだ。しかし、この部屋で女を助ける者は誰も居ない。女の顔が徐々に青ざめ助けを探す様に、キョロキョロと周囲を見回りしベッドで休むイリーナに視線を止めた。
「な……ぜ……?……ここは……この部屋は……むすめ……まさか……」
女の手が震え顔から血の気が消え失せる。パーティーに参加していない下位貴族か?いや、全員に通達はしたはず。それとも無知なのか……女の様子を伺っていたが俺も我慢の限界だ。
「イリーナの部屋で何をした?」
「勇者……さ……ま……」
俺が女に尋ねれば一瞬、笑顔を浮かべたが俺の顔を見て固まった。
「彼女のドレスを切り裂き踏みつけて何がしたい?」
「あ、あぁ、いや……」
更に尋ねると女はガタガタと震え床を這うように後ろへ下がる。下がった先にいる師匠に気付くと動きを止め、師匠と俺の顔を交互に見て涙を流し始める。
さっさと彼女の部屋を荒らした理由を貰おうか
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