おおぅ、神よ……ここからってマジですか?

夢限

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第02章 旅立ちと出会い

05 両親の軌跡

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「お前さんらの分はわかった、んで、坊主お前さんはどうするんじゃ」

 2人の注文が終わったところで、ドワーフは俺を見てそう聞いてきた。
 確かに、俺も武器を欲しいと思っていたけど、まさか向こうから聞いてくるとは。
 こうして、せっかく聞いてきたんならと、俺は日本刀について説明して、作ってもらうことにした。
 もちろん日本刀の製法は独特なものだし、ドワーフも知らない製法だったこともあり、喜々として取り組んでくれるようだ。

「では、受け渡しは1週間後ということでよろしいでしょうか?」
「ああ、構わないぞ」
「畏まりました、では、代金はその時で結構ですので」
「はい、お願いします」

 そんなわけで、俺たちは武器屋を後にしたのだった。

「そういえば、スニルって剣も使えたんだね」
「ああ、使えるっていっても、剣術のスキルがあるだけだけど」
「剣術?」

 この世界のスキルにはこういった技術系のスキルもある。例えば、シュンナであれば双剣スキルで、ダンクスは片手剣スキルという風にだ。でも、俺のように剣術といったスキルはない。
 ちなみに、この剣術スキルは日本刀特化となっている。
 そんなことを説明していると、目の前に冒険者ギルドが見えてきた。

「あそこがギルドよ。こうしてみると、どこも同じようなデザインなのね」
「そうみたいだな。テッカラも似た感じだったよ」
「ああ、俺の故郷のトリセットも、リエリュークもこんな感じだったな」

 俺たちはそれぞれ知っている街で見た、冒険者ギルドの姿を思い出しながらギルドの中に入っていく。

「いらっしゃいませ、本日はどのようなご用件でしょうか?」

 俺たちがギルドの受付に行くと、受付嬢が一瞬だけ俺たちを見て驚いたような表情をしたが、すぐに持ち直してそう尋ねてきた。

「えっと、この子なんだけど、以前このギルドでご両親が冒険者をしていたそうで」

 まず、受付に応えたのはシュンナだ。俺は知っての通り人見知りで人と話すのが苦手だ、そして、ダンクスはいきなり声をかけるには顔が怖い、そこで、人当たりの良い元冒険者でもあるシュンナが代表となったわけだ。

「そうですか。では、何かご両親のことがわかるものはあるかな?」

 受付嬢は、シュンナから俺に向き直りまさに子供に聞くように尋ねてきた。
 いや、まぁ俺は、見た目が幼いから仕方ないか。
 気にしても仕方ないと、あきらめて答える。

「えっと、家にこれがあった」

 そういって、俺が取り出したのは2枚のカードだった。

「ああ、ギルドカードね。それじゃ、ちょっとそれに魔力を流してみてもらえるかな。方法はわかる?」

 俺が出したのはギルドカード、冒険者ならだれもが登録時にもらえるものだ。
 それが、家に両親の分おいてあったのでそれを出したというわけだ。

「わかる」

 受付嬢に言われた通り、カードに俺自身の魔力を流してみる。
 すると、カードが2枚とも淡く光り何やら文字が出現した。
 そこには、それぞれ両親の名前、『ミリア』『ヒュリック』と表示されていた。
 どういうことかというと、これはシュンナから聞いたことだが、ギルドカードは魔道具で、魔力を通すと名前を含むいくつかの情報が表示されるようになっている。
 そして、この表示させる機能は本人の魔力でなければ表示されない仕組みになっているそうだ。
 尤も、ギルドでは別な方法で読み取ることができるらしいが……
 んで、この本人しか無理なのになぜ俺が両親の名前を表示させることができたのかというと、それは俺が子供だからだ。
 というのも、これは”森羅万象”にもあるが、魔力というものは人によって波長が違う。しかし、親子など血縁となると、波長が受け継がれる。もちろん世代を超えて行けば別のものになっているらしい。
 つまり、俺の魔力波長は両親から受け継いだ2人と似通った波長となる。
 だから、両親のカードを表示させることができたというわけだ。

「えっと、ええ、間違いなくご両親ね。えっと、名前はミリアさんとヒュリックさんね。登録番号は……ちょっと待ってね」
「えっ!!」

 受付嬢が両親の名前を読み、そこに書かれている番号を見てから、待つように告げ席を離れようとしたところで、突如隣からそんな驚愕したような声が響いたので思わずそっちを見た。
 すると、そこには30代ぐらいの女性がこっちを見ていた。

「い、今、ミリアとヒュリックって言わなかった。それに、あなた、あっ、ごめんなさい、突然」

 女性はどうやら、両親の名に覚えがあるのかかなり驚いているんだが、まぁ、その後すぐに冷静に戻って突然声をかけたことに謝って来たけどな。

「い、いえ、あ、あの、もしかして、この子の両親のことを?」

 そんな女性に俺たちの中で一番コミュ力があるシュンナが尋ねた。

「え、ええ、ごめんなさい、ちょっとそのカード見せてもらってもいいかしら」
「……」

 俺はそれにうなずきつつ、カードを差し出すことで答えた。

「ありがと……やっぱり、あの2人のカード、じゃぁ、あなたは、あの2人の、そう、そうなのね」
「あんた、こいつの両親の知り合いなのか?」

 ここで、ダンクスが俺たちを代表して聞いた。

「ええ、もちろん知っているわ。なにせ、私は元冒険者で、ミリアとヒュリック、2人とはパーティーを組んでいたんだからね」
「えっ!?」
「お待たせしました。あら、シエリルさん、どうされました?」
「ええ、ちょっとね。それで?」
「ああ、はい、ミリアさんとヒュリックさんは当ギルドで登録されているわ。それから、ああ、そっか、シエリルさんとワイエノさんとパーティーを組んでいたんですね」
「そう、だから私も隣で聞いて、驚いちゃってね。ああ、私はシエリルよ。ワイエノは今は私の旦那よ」

 ということらしい、どうやらまさかの両親のことをよく知っている人物だった。

「というわけだから、この子たちはこっちで預かるわね」
「わかりました」

 そんなわけで、俺はシエリルに連れていかれてギルド内に設置されている休憩スペースというか談話スペースへとやって来た。

「改めて、自己紹介をするわね。私はシエリル、元冒険者で当時あなたの両親であるミリアとヒュリックとはパーティを組んでいたのよ。それで、今は引退して旦那、さっきも言ったけど同じくパーティーを組んでいたワイエノと冒険者向けの雑貨屋を営んでいるわ」
「えっと、俺はスニル」
「あたしは、シュンナと言います」
「俺はダンクスだ。スニルとは、ここに来る途中で知り合って、今は一緒に行動している」
「そう、えっと、それで、どうして2人のことを? まさか!」
「……」

 俺が両親のことを尋ねてきたということが、どういうことなのかを悟ったシエリルは口をふさぐが、俺は小さくうなずいた。

「亡くなったそうです。10年前に2人とも、スニルは当時2歳で、両親のこと覚えていないそうです」
「えっ! ちょっとまって、10年前、えっ、それって、どういう?」

 シュンナが簡潔に両親のことを説明したことで、シエリルは混乱したらしい。どうやら、両親が死んだことは知らなかったらしい。

「やっぱり、ご存じなかったんですね?」
「え、ええ、知らなかった。連絡はなかったけど、元気にしているとばかり、で、でも、ちょっとまって、スニル君、あなた、一体いくつ?」
「12」
「それは間違いないですよ。鑑定水晶でも確認してますから」
「ああ、門のところでな」
「そんな、だって、君、どう見ても」

 どう見ても、もっと幼い、シエリルはそういいたいんだろうが、言えないでいるようだ。

「まぁ、これにはちょっとした事情がありまして」
「そ、そう、わかったわ、で、でも、ここじゃなんだし、これから私の店に来てもらえるかな」
「……」
「わかりました」

 シエリルの問いに俺はうなずいて答え、シュンナがはっきりと言葉で伝えた。


 こうして、俺たちはシエリルについてギルドを出て、少し離れたところにある、路地に入っていき少し進んだところにある店にやって来た。

「ここよ。さぁ、入って、あんたー!」

 シエリルは店に入るなり、すぐに旦那であるワイエノを呼んだ。

「あんだよ。大声なんか出しやがって、んっ、客か?」
「ええ、ミリアとヒュリックの子よ」
「なに! おおっ、そうか、あいつらげ……」

 ワイエノが何かを言おうとしたところで、いつの間にかシエリルが動いており、ワイエノの口をふさいだ。
 すげぇ、見えなかったな。元冒険者とは伊達じゃないな。

「なんだよ」
「ちょっと、こっち来て」

 それから、シエリルは何やら、小声で話し始めた。
 そうして、少ししたところでワイエノが少し気まずそうにやって来た。
 まぁ、おそらく両親のことを話したんだろう。

「お、おう、悪いな。えっと、それで、スニルだったか、なるほどな、ミリアにそっくりじゃねぇか」

 ワイエノはそういってにかっと笑いながら、俺の頭を撫でた。

「それで、さっきのこと聞かせてもらいたいんだけど、いいかしら」
「は、はい、ダンクス」
「ああ、そうだな。スニル、俺たちは店でも見ていようぜ」
「んっ、ああ、そうだな。そうするか」

 シュンナが俺のことを話そうとしたところで、シュンナはダンクスの名を呼び、ダンクスもシュンナの意図を理解したのかすぐに俺を誘ってきた。
 そんな2人のやり取りを見て、俺自身もシュンナの意図がわかったのでその誘いに乗った。
 これは、シュンナの気遣いで、いくら俺が前世の大人としての記憶を持っているからといっても、さすがに虐待の話を自らあちこちにしたいというわけではないし、何より俺自身忘れたい過去でもある。
 だから、こうして俺のいないところで話してくれるんならありがたい。


 そんなわけで、俺とダンクスは店にやって来て、商品をいろいろ見て周っている。

「へぇ、いろいろあるんだな」

 テントに毛布、ロープなどに始まり調理器具、見れば納得の品ばかりだ。
 もっとも、”収納”に大量の食い物と、マジックテントを持つ俺にはあまり必要ないものが多い。だが、ロープとかは必要だ。あとは背嚢かな”収納”があるからいらないんだが、さすがに手ぶらで旅をするのは不自然だからな。

「なんだこれ?」

 見て周っていると不意に石みたいな黒い何かを見つけた。
 なんで、石を売ってるんだ。
 俺がそんな不思議に首をかしげていると、ダンクスがやって来た。

「どうした、スニル。ああ、堅パンか」
「カタパン、なんだ、それ」
「恐ろしく硬いパンだ。保存食なんだよ」

 なんと、パンらしい、しかも恐ろしく硬いって、確かに俺も石かと思ったけど、どうやって食うんだよ。

「どうやって、食うんだ」
「さすがにこのままじゃ、無理だぜ。まぁ、大体スープなんかに付けたりしてから食うんだよ。まぁ、それでも硬いけどな」

 何をしたところでとにかく硬いらしい。
 これは、あれだなどうしようもなくなった時の最後の保存食だな。

「スニル、ダンクス、もういいわよ」

 俺たちがいろいろ見て周っているとシュンナが声をかけてきた。どうやら、俺についての話が終わったらしい。
 ということで、俺とダンクスは先ほどいた奥に戻ったわけだが、やはりというべきかシエリルとワイエノは不自然な笑顔を顔に張り付けていた。
 まぁ、気持ちはわかる。俺だってもし、まぁ、いなかったが、友人もしくは親友とも呼べるやつが知らぬ間に命を落としていて、その息子が虐待を受けていた。それは腹が立って仕方ないだろう、でもそれを若干12歳でしかない本人を目の前に出すわけにはいかず、不自然な笑顔となったわけだ。
 というか、さっき2人の怒号が聞こえたしな、まぁ、俺も気が付かないふりして本題を聞こうと思う。

「お、おう、えっと、それで、スニル、お前はあいつらのことを知りたいんだよな」
「聞かせてほしい」
「任せて、そうね。何から話そうかしら……」

 ということで、シエリルとワイエノの2人が両親のことを話してくれた。
 といっても、まず2人が始めたのは2人が冒険者になるところからだった。

 シエリルとワイエノはこの街で生まれ育った幼馴染で、この店はシエリルの実家だそうで幼いころから店に来る冒険者の話に憧れて冒険者となったという。
 そうして、1年過ごしているとそこにこれまた同じ町で育っただけあり、ともに遊んだこともあった父さんが登録したところで一緒にパーティーを組むことにした。
 そうして、一緒に仕事をすることさらに10か月ほどたったころ、ふとギルドに足を踏み入れた3人の前にちょうど村から出て登録を済ませたばかりの少女、つまり母さんがいたという。
 そんな母さんを見た父さんはフリーズ、一方で母さんも同じくフリーズしていた。
 どうやら俺の両親はお互いに一目ぼれだったらしい、いや、なんだか気恥ずかしいんだが……。

 そんな両親の姿を見たシエリルとワイエノは、さっそく母さんをパーティーに誘ったという。
 こうして、4人パーティーとなりそれから数年、カリブリンで活動をつづけたそうだ。
 そして、シエリルがワイエノの子を身ごもったことを期に2人は冒険者を引退、また、そのころちょうどシエリルの両親が隠居を考えていたこともあり、2人でこの店を継いだとのことだった。
 それからは、両親2人で活動していたらしいが、今度は母さんが俺を身ごもったことで引退し母さんの故郷であるゾーリン村に戻ったとのことだった。

「……そうか、ありがと」
「ううん、いいのよ」

 そういって、シエリルは俺のもとにやってきて俺を抱きしめてきた。
 俺はそれを甘んじて受け入れつつ、両親が過ごしたこの街をもう少し見て周りたいと思っていた。
 あとはやっぱり、父さんが育った孤児院だな、あとで場所を聞いてみよう。
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