おおぅ、神よ……ここからってマジですか?

夢限

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第04章 奴隷狩り

14 オークション

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「いたっ、アルムだ」

 オークションの出品商品一覧の本を見ていたパルマーがそう言って叫んだので、俺たちもその指し示すページを見てみた。
 するとそこには、パルマーそっくりの男の絵姿が描かれていた。

「へぇ、これがアルム、似てるわね」
「ていうか兄弟だからってここまで似るか?」
「双子?」

 そっくりにもほどがあるほどよく似ているから双子ではないかと思った。

「いや、双子じゃねぇんだよ。こいつら」
「よく言われるけどね」

 どうやら違うらしい。まぁ、確かに兄弟でも双子を疑いたくなるほどそっくりな兄弟って、いることはいるからな。

「でも、これで確定したわけか」
「ああ、ぜってぇ取り返してやる」
「5日後、それまでに金を用意しとかないとな」
「ああ」
「そうか、まぁ頑張れよ」
「おう」

 俺たちはここまで関わったとはいえ、部外者のためこれぐらいしかいうことはないな。

 その後、ディームたちは金策に走りだした。
 
「なんだかんだで、まじめな奴らだな」
「だな。まぁだから冒険者として実績を詰めてるってことだろ」
「そうね。でもさ。さすがに忍び込むのは無理でしょ。ディームたちもそれは理解できてるんでしょ」
「だろうな」
「それもそうか」

 アルムを助ける方法は何もわざわざオークションに参加し競り落とす以外にも、忍び込んで助け出すという方法も当然ながらある。
 しかし、アルムが現在いる会場には、騎士やら兵士やらがわんさかいて所狭しと警備している。
 これは、多分出品される珍しいものを目当ての盗賊などの襲撃に備えてのものだろう。
 そんなことろにのこのこ乗り込んだら間違いなく犯罪者として追われる身となる。
 コルマベイントで追われ、辟易したってのにこの国でもそんな面倒は御免だ。
 ということで、正攻法で行くしかないというわけだな。

「俺らはどうする?」
「5日後だろ、とりあえずいつもの通りでいいんじゃねぇ」
「そうねそうしましょ」

 そんなわけで俺たちは俺たちで本来の目的通り、王都の中を見て回ることにした。



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 5日後


「いよいよだな」
「ああ」
「待ってろよ、アルム!」

 ディームたちは気合を入れて会場に入っていく。

「金ちゃんと集まったのかね」
「どうだろうな」
「借金はしてないみたいだったけどね」

 借金で苦しんだシュンナが言うのなら、間違いなく借金まではしていないということだろう。
 しかしそれで足りるのか、こういっては何だが、おそらくアルムは結構高額になる可能性がある。
 なにせ、若く健康、冒険者ということで鍛え抜かれ、顔も悪くない。いわゆるイケメンの範疇には入る方で、前世の俺の感覚では腹を立てるほどだ。
 まぁ、今世の俺も村一の美少女だった母さんとよく似ているらしいから、それなりに整ってはいるみたいだけどな。
 ただ、俺の中には前世の感覚が強く残っているためにやはり、腹立たしい。
 とまぁ、そんなことはどうでもいいとして、とにかく今はさっさと会場に入ろう。

 というわけで俺たちもディームたちの後を追い、会場に入ったのだった。

「いらっしゃいませ、控え札はお持ちですか?」

 会場に入ると受付がおり、そんなことを聞いてきた。

「おう、これだな」
「はい、これ」

 ディームとシュンナがそれぞれ代表して控え札を受付に渡した。

「確かに、それではこちらが番号札となっております。こちらはお帰りの際必ず返してください」
「おう」
「わかったわ」

 そうしていよいよ会場に入る俺たちであった。
 会場はどうかというと、思っていた以上に広くすでに多くの客がひしめき合っていた。

「席は自由みたいだな」
「どこにする」
「あのあたりにするか」
「そうだな」

 ディームが指示した場所は会場の中頃の端、ここなら全体を見渡すことも可能だな。
 オークションの入札方法はオークショニアが順に値段を読み上げていき、それぞれ持つ番号札を掲げることで入札となり、その札を掲げる者が1人となった時点でその人物の落札となる。
 しかし、例えば間違って掲げてしまってその額が払えませんとなった場合は、犯罪となり逮捕されてしまうそうだ。だから、掲げるときはしっかりと気を付けてやらないといけない。俺はたまにぼうっと人の話を聞いていないことがあるからな。特に気を付けねぇといけないな。
 まぁ、多少なら問題ないんだけどな。
 俺たちの資金は相当にあるから払えませんとはなかなかならないからだ。

 さてそれはともかくとして、会場に入ってしばし壇上にあるテーブルの前にオークショニアが入って来た。

「お待たせいたしました。これより王都ザヒーリアオークションを開始いたします」

 いよいよオークションが始まった。

「本日最初の商品は、こちらです」

 オークショニアがそういうと最初の商品が出てきた。

「本日1つ目の商品はこちら、レッサーワイバーンの魔石です」

 レッサーワイバーンはレッサーとついているだけあって、俺たちがロッカールド山脈でびくびくしたワイバーンの劣等種となっている。ワイバーンはシュンナやダンクスでも討伐は不可能だが、このレッサーワイバーンなら腕の立つ冒険者10人程度いれば何とか討伐は可能で、シュンナとダンクスであれば2人で問題なく討伐できるだろう。

「でかいな」
「レッサーとはいえワイバーンだからな」
「落札するの?」
「いや、必要はないだろ」

 魔石の利用方法は主に魔道具を作る際に魔法式を刻むことで魔道具の核とするわけだが、この際魔石が大きければその分刻める魔法式が多くでかくなる。
 これがあれば相当良い魔道具を作ることができるだろう、しかし今現在の俺たちはそんなでかい魔石は必要ない。ていうか俺だったらもっと小さい魔石でも全く問題ないしな。

「まぁ、確かにスニルにはいらないか」
「それもそうね。おっ、始まったみたいね」

 オークショニアが値段を言い始め、それを受けた客たちが一斉に番号札を掲げ始めた。
 こうして始まったオークション、だが肝心のアルムを含む奴隷の出品はこれらの後でありまだまだ先だ。

 そうして、次々に商品が出されていき13品目目、俺たちは目を疑った。
 一覧を買い見てはいたが、さすがに全部は見ることができず完全に見落としていたらしい。

「次なる商品はこちら、先ごろコルマベイント王国で開発された食品フリーズドライです。こちらはなんとお湯をかけるだけですぐさま出来立ての料理を食すことができるという優れものとなっております」

 そう、驚くことに俺たちがカリブリンで開発したフリーズドライだった。まさかこんなところでお目にかかれるとは思はなかった。ていうか、オークションにでるとはな。

「す、すげぇ」
「なんだよ。あれ!」
「くそっ、アルムのことがなかったら」

 ディームたちもかなり悔しそうにしている。この様子だとアルムのことがなかったらこいつらなんとしても落札しようとしたかもしれないな。

「そんなに落胆することはないわよ」

 シュンナがディームたちに向かいそういった。

「どういうことだ。はっ、もしかして、お前らが……」
「違うわよ」

 ディームは俺たちが落札すると思ったようだが、まぁ当然だよな。まさか開発者だとは思はないからな。

「今はまだ数の関係でコルマベイントの南部でしか出回ってないけどそのうちこっちにも出回ることになるわよ。そうなるとギルドで買えるようになるわよ」
「まじかっ!」
「そ、それは本当なのか?!」
「ああ、それもこんな高額じゃなく駆け出しの冒険者でも買えるような値段でな。そういう契約だったし、まぁ、輸送費が多少は上乗せされるだろうけどな」
「そうそう」

 シュンナとダンクスがそう言ってフリーズドライについて説明をした。

「ほんとかっ?!」
「ホントよ」
「ていうかなんでお前らがそんなこと知ってるんだよ」

 2人が知っていることにパルマーがそう聞いてきた。

「そりゃぁ、あれってあたしたちが作ったものだし」

 シュンナがこともなげにそう言った。正確には俺が作ったものだが、俺の見た目の関係もあり、一応俺たち3人で作ったということにしているわけだ。もちろんこれはある程度信用できる奴ら限定で、そうではない者たちには知り合いとかそもそも話さないか。

「まじかっ、お前らが、うそだろっ」
「ほんとよ。だから、今はアルムのことを考えていたほうがいいわよ」
「な、なぁ、お前らもしかしてあれ持っているのか」

 ディームがそこに気が付いた。

「持ってるわよ。いくつか」
「ほんとか、頼む譲ってくれ」
「いいけど」
「ありがたい」
「ちょっと待て、そうなるとアルムの金が」

 ディームが持っている金をその場で出してシュンナに渡そうとしたところで、パルマーがようやく弟のことに気が付いた。ていうかこいつら一瞬忘れてただろ、まぁそれだけフリーズドライは冒険者にとって喉から手が出るほど欲しい物だろうからな。特にこいつら料理とかできないみたいだし、唯一の女であるジェニスも壊滅的にだめらしいしな。

「ちゃんと正規の値段で売ってあげるわよ」
「ありがたい」
「あれっ、ちょっと待った。なぁ、もしかして今競ってる奴らって無駄なことしてるってことか」

 ジェニスが気が付いてしまった。そうなんだよな時間はかかってもここでも安価で手に入るものをに今高額で競り落とそうと必死になっているんだからな。

「そう考えると、滑稽だけどな」
「確かにね」

 ダンクスとシュンナもそう言ってくすっと笑う。まぁ、俺も笑ったけどな。でも、今競っているやつらは知らないんだよな。そのうち簡単に手に入るものだってことが、今は何よりもこの画期的なものを手に入れたいんだろう。
 その気持ちはなんとなくわかる気がする。誰だって新しい物珍しい物画期的なものはほしいからな。特に商人であればなおのことだろう。今競っているやつらもその商人のように見える。奴らはきっとあの画期的なものを解析でもしてぜひとも自分たちで作り販売したいんだろう。
 これはカリブリンの商人たちも同じだったしな。でも残念、あれはどんな優れた奴でも解析はできないしできたとしても製法が無理だ。そもそも、フリーズドライと俺たちは呼んでいるが実はこれは日本語でつけた名前で、この世界の人間には意味の分からない言葉でしかないんだよな。
 だから、名前から製法を読み解くことすらできない。ご苦労さんってわけだ。


 さて、そんな驚きの出品物はいいとしてその後もいくつか商品が出てきたわけだが、その中に剣が1振りあった。

「シュンナ、あれ落としてくれ」
「あの剣? あたしたちのほうがいい物じゃない」

 俺たちの財布を握っているのはシュンナだ。そのため今回オークションで落札をするのもシュンナとなっている。
 そのため俺たちはほしいものがあるとシュンナに頼むしかない。もちろんシュンナが許可してくれればの話だが……

「俺もあれはちょっと気になる」

 出品されている剣は一見するとただの剣にしか見えない。一覧を確認してみたがドワーフ作とは書かれていたが、名のあるものではないという素材もただの魔鋼製としか書かれていない。
 しかし、なんだろうか勘みたいなものだが、何か特別な力を持っているように見えるんだよな。

「スニルも? まったく、これだから男は、仕方ないわねぇ」

 シュンナも呆れながらも番号札を掲げてくれた。はてさて、どうなることやら……
 こうして始まった俺たちにとって初めてのオークションである。
 オークショニアが次々に値段を提示していき、それに対してシュンナを含めた数人が番号札を掲げていった。
 やはり一見するとただの剣だけあって、札を上げているのは全部で15人ぐらいか、しかも値段が上がるにつれて掲げる人数も1人1人と減っていく、そして、ついにシュンナを含む2人となった。

「結構頑張るわね」
「だな、もしかしたら相手も気が付いたのか」
「だとしたら、まずいよな」

 そう思ったら、突如相手が急に札を上げなくなった。ちらっとその相手を見てみたら、何やらにやけていた。

「あいつ、嫌がらせか?」
「まじか、いるんだなそういう奴」
「ホントに、最悪じゃない」

 オークションにはこうして、嫌がらせとして競って値段を無駄に釣り上げるという奴がたまにいるらしい。
 尤も、一歩間違えばいらない物を落札してしまうというリスクもある。
 ていうかなんで嫌がらせを受けたのかよくわからん。でもまぁ、シュンナが落札したのは事実だ。
 カンカンカンカンッとオークショニアが落札を告げる。

「127番、25万3千ドリアスで落札」

 この値段は剣としては高額に相当するものとなるが、俺の見立てではこれでも安いほうだと思うんだよなぁ。まぁ、あとで実際に鑑定でもしてみないとわからないけど。

「ふぅ、ちょっと疲れたわね」
「お疲れさん。悪いなシュンナ」
「いいわよ。それより、次はダンクスあげてくれない。もちろんあたしがこれ以上はだめって言ったら下げるのよ」
「お、おうわかった」

 確かにずっと番号札を掲げ続けるのも大変だからな。

 それから、またしばらく時が経った。俺たちはあれから2つほど参加し、そのうちの1つを落札した。

「さてと、いよいよ奴隷だな」
「おう、待ってろよアルム」

 奴隷の番がやって来てアルムを落札するために気合を入れるパルマーである。

 4番目、ついにアルムの番がやってきた。

「アルム! くそっ!」

 アルムの登場にパルマーが気合十分に番号札を掲げた。いや、まだ始まってないって……
 パルマーが掲げた時、まだアルムが出てきただけで、オークショニアは開始の合図を出していない。そんなタイミングで上げたところで、落札なんてできねぇって、まぁ、気持ちはわかる気がするんで何も言わないけどな。
 誰だって、家族がオークションにかけられて冷静でいられるわけがないからな。

「さぁ、こちらの商品ですが、年は20と若く健康で丈夫です。開始価格は5万、入札単位は千となっております」

 5万スタート、奴隷のオークションとしてこれで4人目ではあるが、大体開始はこの辺りからだった。

「それでは、5万からスタートです……5万1千……5万2千……」

 オークショニアがこれまた次々に値段を提示していく。
 それに対して、多くの札が掲げられている。

「くそがっ!」

 パルマーが歯噛みしているが、まだ始まったばかり掲げる人数もそんなに減らない。

「60万……60万1千……」

 ついに60万へ突入した。それでも、まだ20人ぐらい札を掲げていた。
 すげぇ人気だな。

「くそっ、まだかよ」
「パルマー、そろそろやばいぞ」
「わかってる。けどよ」

 ディームたちの限界が近づいてきたようだが、いまだ掲げている人数から落札が難しくなってきた。

「さぁ、100万の大台となりました」

 そうこうしている間についに100万に突入した。

「くそっ!」
「ま、待てってパルマー、それ以上は……」

 これまで何とか頑張ってきたパルマーであったが、さすがにこれ以上は無理だとディームがそれを止めた。

「はなせ!! ディーム」
「無理だって、これ以上は金がないって」

 ディームたちが用意していた金はまさにこの100万、冒険者としてはかなりの額だが、これが3人の全財産をかき集めた結果だったが、アルムはまだ落札されず番号札を掲げているのはまだ2人いた。

「……シュンナ」

 俺は短くシュンナの名を呼んだ。

「ふふっ、任せて」

 シュンナも俺の意図を読み取り、番号札を掲げた。

「えっ、シュンナ?」

 俺の意図とは、シュンナにアルムを落札してくれというもので、シュンナもこれを了承したというわけだ。
 そうして、値が上がっていきついに110万4千となったところで、番号札を掲げているのがシュンナただ一人となった。

「ほかには誰もおられませんか? ……127番110万4千ドリアスで落札」

 カンカンカンカンッとついにシュンナがアルムを落札したのだった。
 それにしても、かなりの額になったな。
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