なんでも思い通りにしないと気が済まない妹から逃げ出したい

木崎優

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29.研究内容2

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「……私のために無理をしないでほしいとお願いしたと思うのですが」
「無理なことはしませんよ。あなたを悲しませてまで討伐に赴くほど、僕は慈悲深くないので」
「ですが、魔術師に依頼する案件は……どれも危険がつきものだと伺っています」
「調査依頼のついでに一体ほど拝借するのはいかがですか?」
「追加費用について、依頼主ともめますよ」

 調査依頼でも、場合によっては魔物を討伐することもある。襲われそうになったとか目が気に食わなかったとかで。
 塔はその場合も、魔物の討伐費用を依頼主に請求する。魔物の強さによって依頼料を変動させてはいるけど、こちらが勝手にやったことなのでと無償にしたりはしない。

 もしも無償で行えば、調査依頼のついでに討伐してくれないかと期待する依頼主が出てくるからだ。期待だけならいいが、最終的に期待を裏切られたと文句を言ってくる可能性も否めない。そして、調査依頼にまで弟子ではなく魔術師の派遣を望む人が出てくるかもしれない。
 だから、費用を請求するのだけど、当然もめる。

「そこはバレなければ問題ありません」

 もめたらノエルやフロランの負担が増えるので、そこを足掛かりに説得しようと思ったけど、無理だった。
 人体を作るのは法に反すると話した時と同じ調子でさらっと言われ、一瞬本気か冗談かわからなくなる。
 だけど話の流れから、本気だと考えて、じっとノエルの瞳を見据える。

「それでノエルが傷を負ったり死んだりしたら、私は悲しいです。悲しませるほどでは、ないんですよね?」

 言い聞かせるようにゆっくり言うと、ノエルは少しの間をおいて頷いた。

「わかりました。あなたがそこまで言うのなら、我慢します」
「はい。お願いします」

 我慢しなければいけないほどなのか。
 そのことに心の中で驚きながらも、ノエルの目から視線を外さず、抱いた疑問を口にする。

「……どうしてそこまでして、私のために動こうとするのですか?」

 数年前に私と会い、好きになったのだと彼は言っていた。だけど私の中に、ノエルと出会った記憶はない。
 だからつまり、ひと目惚れとか、そういう類いなのだと思う。でもひと目惚れでそこまで思いを募らせられるものなのだろうか。

「あなたが喜ぶと僕も嬉しいからですよ」
「いえ、そういうことではなく……どうしてそこまで好いてくださるのか、不思議でならないんです」

 塔で出会ってからは、業務上のやり取りしかしたことがなくて、趣味とかを聞いたのは求婚した時がはじめてだった。
 親しいやり取りもほとんどない。というか、ノエルはこの調子なので求婚した時のように事務的な返ししかしてこなかった。

「私のことを、どうしてノエルは……好きなんですか?」
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