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14話 メイドside
しおりを挟むここ最近、様子がおかしいんです。
「殿下ぁ~」
今日も甲高い声が王宮に響き渡ります。
「なんだ?アリス」
それに対して引き攣った笑顔を見せる殿下。
その後ろから
「あ!アリスおはよう!」
と公爵子息のレオン様が満面な笑みで顔を出しました。
「レオン様ぁ~!おはようございますぅ」
この3人はいつも通りです。
いつも通りアリス様の可愛らしい姿を褒め、いつも通りキャッキャと話をしていらっしゃいます。
でも.........気付きましたか?
今まで5人でアリス様の取り合いをしていたんですが、最近はユリアス様、マロン様、テオル様の3人が王宮に来なくなったんです。
あぁ、来なくなった...は違いますね。
ユリアス様は殿下の仕事の手伝いをしに来ていますよ。
でも最近のユリアス様はなんだか......柔らかくなった、といいますか、なんと言いますか...。
今まで私達メイドに会った時は見て見ぬ振りでアリス様のところに一目散だったんですが、最近は話しかけてくれるんです。
逆にアリス様を見ると避けているようにも見えましたね。
何かあったんでしょうか?
自分で振った元婚約者のリディア様と一緒に歩いているのを噂で耳にしました。
よりを戻したんでしょうか?
そんな訳ありませんよね。
自分勝手な理由で婚約破棄してきたのに、やっぱりよりを戻したい、なんて言われたら大体の人は断りますよ。
なんて考えながら王妃様に持っていくブランケットを持って、3人の横を通り過ぎようとすると
「おい、そこのメイド」
と急に声をかけられました。
そこのメイド...って。
声をかけてきたのはレオン様でした。
「はい?」
と私が返事をすると
「はい、じゃないだろう?アリスの喉が渇いているんだ。気を利かせてお茶の準備をしたらどうなんだ?」
何をそんなに怒っているのでしょう?
大体、アリス様の喉が渇いている、なんて私が知るわけがないじゃありませんか。
溜息をつきそうになるのを堪えながら
「お茶の準備、ですか......一体どこでお茶を飲むつもりで?」
と聞いてみました。
するとレオン様は私をバカにしたように
「はっ!そんなこともわからないのか!庭だったり、客室だったりと色々あるだろう!?」
そう言ってきました。
なぜ公爵子息がそんなことを言っているんでしょう?
そんなに自由に使えるわけないじゃないですか。
「申し訳ございません。庭は王妃様がお茶会を開いております。客室は隣国からの客人が来ておりますので空いておりません」
これは本当のことですよ。
今は王妃様がお茶会の最中、寒そうだったので、ひざ掛けを取りに行っていたんですもの。
あら?殿下は私が王妃様付きのメイドだと気付いたみたいですね。
顔が真っ青になっています。
まぁ、これ以外でも私が見た事は全て報告済みなんですけどね。
ですが、レオン様はそれを知るわけもないので
「空いていないなら場所を確保してこい!」
私にそんなバカげた指示を出してきました。
はぁ......これだから王宮のメイドをやめたくなるんですよ。
たまにいるんですよね。
王宮で働いているメイドは自分の家のメイドだ!みたいな勘違いをしている方。
「申し訳ございません。私が仕えるのは陛下と王妃様ですので、2人の命令がなければ動けません。ましてや殿下の命令ではなく公爵子息の命令なら尚更です」
私がそう言うと、レオン様は顔を真っ赤にさせて黙ってしまいました。
でも、当たり前ですよね?
私は貴方の家のメイドではございませんので。
「失礼致します」
そう言って、早足にその場を後にしました。
あー、ビックリしました。
さて...急いで王妃様にブランケットを届けましょう。
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