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15話 キーファside

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「キーファ、仕事には慣れたかしら?」

そう言って優しく微笑むのは、オリビア様です。

私がテオル様の婚約者だったときに、兄のマロン様の婚約者だったオリビア様とは色々、相談していくうちに気付いたら仲良くなっていました。

本当はそれぞれ結婚して、義理の姉妹になれるのを楽しみにしていたんですけど、2人共婚約破棄されてしまったのでそれは叶わぬ夢になってしまったんですけどね。

オリビア様に

「えぇ。皆さんとても優しいですし、とてもやりがいがある仕事ですわ」

そう言って微笑むと、ホッとした表情で微笑んでくれました。

私は今メイドとして働いているんですが、働き先を紹介してくれたのはオリビア様なんですよ。

オリビア様の親戚のおうちで、とても良くしてもらっています。

本当にありがたいです。

そう思っていると、急に真面目な顔をして

「それで今日呼び出したのは...」

と話始めようとしたので、私は懐に入れておいた一通の手紙を取り出しました。

「.........これ、ですよね?」

一昨日、急にテオル様から届いた手紙です。

すると、オリビア様は

「やっぱりあなたの所にも届いていたのね」

そう言ってため息をつきました。

やっぱり、ということはオリビア様にも届いたんでしょうね。

「はい。返事は返していませんが......」

「私もよ。大体、自分から婚約破棄しておいて今更戻ってこいなんて、都合が良すぎますわよ」

確かにその通りなんですけど、思わず苦笑してしまいました。

2人に手紙が届いた、ということは、アリスさんはどうなったんでしょう?

そう思いましたが、なんとなく話を逸らした方が良いような気がしたので

「でもオリビア様は新しく婚約を結んだんですよね?お祝いを言うのが遅くなって申し訳ありませんわ」

噂によると、オリビア様と今の婚約者との仲は良好で、いつ結婚してもおかしくない、と言われています。

「いいのよ。ちゃんとキーファからの手紙は届いていましたもの」

「それでもやっぱり直接言いたいですわ」

「ふふっ。ありがとう」

さっきの手紙の時とは打って変わった優しい笑顔を見せるオリビア様にホッとしながら

「それで...新しい方はどんな人なんですか?」

と聞くと

「そうねぇ......一緒にいてとても楽しいわ」

少し頬を赤くしながらそういいました。

「まぁ!」

まさかオリビア様の口からそんなことが聞けるなんて思わなかったから驚きです。

するとオリビア様は

「今まではマロン様の顔色を伺いながらやっていたことも、彼は自由にやって欲しい、って言ってくれるの」

そういいました。

なるほど......確かにオリビア様は商会に行っても居ずらい雰囲気がありましたからね。

理由はマロン様が睨みつけていたからなんですけど。

「おかげで私も勉強のやる気も起きますし、それに......色んなことを学ぶのはやっぱり楽しいですわ」

そう幸せそうに語るオリビア様を見て、私も嬉しい気持ちになりました。
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