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幕間・間違えただけ、なのに
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朝のミーティングは、週明けということもあって少しだけ慌ただしい空気に包まれていた。
澪は手元の資料を確認しながら、崇雅の隣に歩み寄る。
プレゼンに使う資料の差し替えだ。
まだ他のメンバーが着席していないタイミングだった。
「すみません、こっちの最新データに差し替えておきました。……崇雅さん、確認お願いしま――」
一瞬の静寂。
直後、カタ、と誰かのペンが落ちる音と、小さく吹き出すような笑いがあちこちから聞こえた。
澪の背中がぴんと伸び、顔が見る間に赤くなっていく。
「っ……部長。すみません……」
唇を噛みながら訂正する彼女に、崇雅は眉一つ動かさず「確認する」とだけ返す。
けれどその声には、明らかに笑いを含んだ柔らかさがあった。
それがまた澪の頬を熱くさせる。
ミーティングが終わったあと、資料を片付けていると、横から西岡が小声で囁いてきた。
「朝からすごいの聞いちゃったな~。ねえ、もしかして、社内でも名前呼び?」
「ち、ちが……違いますっ! たまたま……間違えただけで……!」
「そうなんだ。あの部長が全然否定しなかったのがまたレアだよね。むしろ嬉しそうだったし」
「や、やめてくださいっ」
耳まで真っ赤になって逃げるように立ち去る澪に、後ろから西岡のからかうような笑い声が追いかけてくる。
その日の午後、ふとした拍子に崇雅が澪に「さっきは焦ってたな」と呟いた。
「……部長、あの……もう絶対に間違えませんから……!」
「別に。俺は、ああ呼ばれるの、嫌じゃない」
「っ……職場なので……」
「じゃあ、俺の名前を呼んでいいのは、2人きりになってからだな」
「……っ、も、もう、そういうのやめてください……」
崇雅は何も言わずに、澪の頭を軽く撫でて立ち去っていく。
澪は、真っ赤になった顔を手で隠しながら、小さくため息をついた。
(……恥ずかしすぎる……もう二度と間違えない……)
心に固く誓った澪だったが、翌週のミーティングでも――
また無意識に「崇雅さん」と呼んでしまい、部内の女子たちが密かに「尊い……」とざわつくのだった。
澪は手元の資料を確認しながら、崇雅の隣に歩み寄る。
プレゼンに使う資料の差し替えだ。
まだ他のメンバーが着席していないタイミングだった。
「すみません、こっちの最新データに差し替えておきました。……崇雅さん、確認お願いしま――」
一瞬の静寂。
直後、カタ、と誰かのペンが落ちる音と、小さく吹き出すような笑いがあちこちから聞こえた。
澪の背中がぴんと伸び、顔が見る間に赤くなっていく。
「っ……部長。すみません……」
唇を噛みながら訂正する彼女に、崇雅は眉一つ動かさず「確認する」とだけ返す。
けれどその声には、明らかに笑いを含んだ柔らかさがあった。
それがまた澪の頬を熱くさせる。
ミーティングが終わったあと、資料を片付けていると、横から西岡が小声で囁いてきた。
「朝からすごいの聞いちゃったな~。ねえ、もしかして、社内でも名前呼び?」
「ち、ちが……違いますっ! たまたま……間違えただけで……!」
「そうなんだ。あの部長が全然否定しなかったのがまたレアだよね。むしろ嬉しそうだったし」
「や、やめてくださいっ」
耳まで真っ赤になって逃げるように立ち去る澪に、後ろから西岡のからかうような笑い声が追いかけてくる。
その日の午後、ふとした拍子に崇雅が澪に「さっきは焦ってたな」と呟いた。
「……部長、あの……もう絶対に間違えませんから……!」
「別に。俺は、ああ呼ばれるの、嫌じゃない」
「っ……職場なので……」
「じゃあ、俺の名前を呼んでいいのは、2人きりになってからだな」
「……っ、も、もう、そういうのやめてください……」
崇雅は何も言わずに、澪の頭を軽く撫でて立ち去っていく。
澪は、真っ赤になった顔を手で隠しながら、小さくため息をついた。
(……恥ずかしすぎる……もう二度と間違えない……)
心に固く誓った澪だったが、翌週のミーティングでも――
また無意識に「崇雅さん」と呼んでしまい、部内の女子たちが密かに「尊い……」とざわつくのだった。
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