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滞在
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1時間も経つと薄暗くなってきた。
でもぐっすり眠っていて起こすのが可哀想だ。
2時間後、ノックと共に男性が入ってきた。
男性が灯りを灯すと
「……クロノス伯爵令嬢ですね。
私はエリアス様の専属侍従のアーノルドと申します。
伯爵家には早馬を送っておりますので今夜はお泊まりください」
「帰りたかったのですが、心労でリュカ様は深く眠られて…。起きたら帰ります。馬車を出していただけますか」
「……食事もご用意しております」
「では、いただいて帰りますわ」
「…エリアス様、エリアス様」
「アーノルド……」
「起きてください。クロノス伯爵令嬢が可哀想です」
「えっ!!」
飛び起きた。ああ…血流が戻って脚が…くぅっ!!
「何時だ」
「19時になるところです。食事のご用意をお伝えに参りました。伯爵家にはご令嬢を預かると早馬を出しました」
「すまない、リリアーナ。食事をしよう」
「……私にはお構いなく。少しここで休ませてください。すぐに帰ります」
「リリ?」
「脚が痺れて…立てません」
「起こせばいいだろう」
「だって、ぐっすり寝ていたから、疲れたんだなと思って」
「ごめん!責めたんじゃない!ごめん!泣くな!」
その後は大号泣してしまった。
何故か涙は止まらない。
痺れが治り、号泣しながら帰ろうとする私を引き止めようとリュカ様とアーノルド様とメイド達が必死だった。
それでも帰ろうと歩き出す私をリュカ様が抱き上げて客間に連れて行った。貴賓室のようだ。
テーブルの椅子にリュカ様が座りその上に私を下ろした。
リュカ様は食事をここに持ってくるよう指示を出す。
その間に崩れた化粧をメイドに拭わせた。
リュカ様が鼻をかませ、涎掛けのように私にタオルを巻くと、用意された食事を私の口に入れた。
私は泣きながら食べた。
アーノルド様は“器用に泣きながら食べますね”と笑っていた。
最後のデザートを口にした頃には涙は止まっていた。
「美味しい」
「そうか」
リュカ様も食事を終えると私を膝から下ろした。
私は優しく微笑むメイド達に流れるように湯浴みをさせられマッサージを受けていた。
特に顔や首肩を入念に。
大泣きしたから目を腫らさないようにしてくれたのだろう。いつの間にか眠ってしまった。
起きると陽が昇っていた。
「まずい!!」
呼び鈴を鳴らす。
「ごめんなさい!遅刻しちゃうから帰ります」
「リリアーナ様とお呼びしてもよろしいですか」
「はい」
急いでるのに~!
「侍女長のオデット・クルスと申します。
お世話をできて光栄でございます。
制服などは昨夜伯爵家から預かりました。
伯爵家の馬車も王宮に迎えに参ります。
ここから学園へ通えますのでご安心ください。
まだ、出発までに1時間半ございます。
身支度をさせていただき、その後朝食をお召し上がりください」
「お心遣いに感謝いたします。クルス様」
「……オデットとお呼びください。ではメイドを入れます」
身支度をした。制服を着て髪を少し結ってもらった。
案内されるがまま着いて行ったことに後悔した。
王族の食事の席だった。
「……」
深い礼をとると、陛下が、
「リリアーナ・クロノス嬢、其方のことは紹介してもらった。エリアスの友人で、昨日はエリアスが迷惑をかけたそうだな。すまなかった。
挨拶はいいから座ってくれ」
「リリ、こっちに来い」
こやつめ~!!
「可愛い顔をして睨んでも駄目だ。早く来い。
また膝の上がいいのか?食べさせてやるか?」
「ちょっと!リュカ様!」
「早く来ないと…」
仕方なく隣に座った。
「…エリアス、伯爵令嬢とは学園で知り合った友人なのだよな?」
「そうです。猛勉強をすると言うので昼休みに教えています。兄上も学園時代は誰かに教えましたか」
「多少な」
「クロノス伯爵令嬢は婚約者がいらしたわよね」
「ええ、オヌール公爵家の嫡男ですが、破断にする予定です。義姉上、いい策はありませんか」
「エリアス様がそうしたいのですか?」
「互いの婚約者がそれぞれ不貞をしていそうなので互いに協力することにしたのです」
「クロノス伯爵令嬢に協力してもらうの?」
「はい、母上。リリには昨日メイドに扮装してもらい情報を探ってもらいましたから、次は私の番です。
父上、6人の男の調査をしていただきたい。
まずは近衛騎士2人。次に貴族令息2人、最後にヘンダーソン家の侍従と義兄の順です」
「何故だ」
「6人ともジョアンナが寝た相手だからです」
皆一斉に咽せたわね。
「リリ、ジャムが付いているぞ」
「自分で拭けます」
「リリ」
「……」
「綺麗になったぞ」
「…ありがとうございます」
「……エリアス、リリアーナ。授業が終わったら、2人とも執務室へ来い」
「リリもですか? 分かりました」
「…はい陛下」
何でなの~!!
でもぐっすり眠っていて起こすのが可哀想だ。
2時間後、ノックと共に男性が入ってきた。
男性が灯りを灯すと
「……クロノス伯爵令嬢ですね。
私はエリアス様の専属侍従のアーノルドと申します。
伯爵家には早馬を送っておりますので今夜はお泊まりください」
「帰りたかったのですが、心労でリュカ様は深く眠られて…。起きたら帰ります。馬車を出していただけますか」
「……食事もご用意しております」
「では、いただいて帰りますわ」
「…エリアス様、エリアス様」
「アーノルド……」
「起きてください。クロノス伯爵令嬢が可哀想です」
「えっ!!」
飛び起きた。ああ…血流が戻って脚が…くぅっ!!
「何時だ」
「19時になるところです。食事のご用意をお伝えに参りました。伯爵家にはご令嬢を預かると早馬を出しました」
「すまない、リリアーナ。食事をしよう」
「……私にはお構いなく。少しここで休ませてください。すぐに帰ります」
「リリ?」
「脚が痺れて…立てません」
「起こせばいいだろう」
「だって、ぐっすり寝ていたから、疲れたんだなと思って」
「ごめん!責めたんじゃない!ごめん!泣くな!」
その後は大号泣してしまった。
何故か涙は止まらない。
痺れが治り、号泣しながら帰ろうとする私を引き止めようとリュカ様とアーノルド様とメイド達が必死だった。
それでも帰ろうと歩き出す私をリュカ様が抱き上げて客間に連れて行った。貴賓室のようだ。
テーブルの椅子にリュカ様が座りその上に私を下ろした。
リュカ様は食事をここに持ってくるよう指示を出す。
その間に崩れた化粧をメイドに拭わせた。
リュカ様が鼻をかませ、涎掛けのように私にタオルを巻くと、用意された食事を私の口に入れた。
私は泣きながら食べた。
アーノルド様は“器用に泣きながら食べますね”と笑っていた。
最後のデザートを口にした頃には涙は止まっていた。
「美味しい」
「そうか」
リュカ様も食事を終えると私を膝から下ろした。
私は優しく微笑むメイド達に流れるように湯浴みをさせられマッサージを受けていた。
特に顔や首肩を入念に。
大泣きしたから目を腫らさないようにしてくれたのだろう。いつの間にか眠ってしまった。
起きると陽が昇っていた。
「まずい!!」
呼び鈴を鳴らす。
「ごめんなさい!遅刻しちゃうから帰ります」
「リリアーナ様とお呼びしてもよろしいですか」
「はい」
急いでるのに~!
「侍女長のオデット・クルスと申します。
お世話をできて光栄でございます。
制服などは昨夜伯爵家から預かりました。
伯爵家の馬車も王宮に迎えに参ります。
ここから学園へ通えますのでご安心ください。
まだ、出発までに1時間半ございます。
身支度をさせていただき、その後朝食をお召し上がりください」
「お心遣いに感謝いたします。クルス様」
「……オデットとお呼びください。ではメイドを入れます」
身支度をした。制服を着て髪を少し結ってもらった。
案内されるがまま着いて行ったことに後悔した。
王族の食事の席だった。
「……」
深い礼をとると、陛下が、
「リリアーナ・クロノス嬢、其方のことは紹介してもらった。エリアスの友人で、昨日はエリアスが迷惑をかけたそうだな。すまなかった。
挨拶はいいから座ってくれ」
「リリ、こっちに来い」
こやつめ~!!
「可愛い顔をして睨んでも駄目だ。早く来い。
また膝の上がいいのか?食べさせてやるか?」
「ちょっと!リュカ様!」
「早く来ないと…」
仕方なく隣に座った。
「…エリアス、伯爵令嬢とは学園で知り合った友人なのだよな?」
「そうです。猛勉強をすると言うので昼休みに教えています。兄上も学園時代は誰かに教えましたか」
「多少な」
「クロノス伯爵令嬢は婚約者がいらしたわよね」
「ええ、オヌール公爵家の嫡男ですが、破断にする予定です。義姉上、いい策はありませんか」
「エリアス様がそうしたいのですか?」
「互いの婚約者がそれぞれ不貞をしていそうなので互いに協力することにしたのです」
「クロノス伯爵令嬢に協力してもらうの?」
「はい、母上。リリには昨日メイドに扮装してもらい情報を探ってもらいましたから、次は私の番です。
父上、6人の男の調査をしていただきたい。
まずは近衛騎士2人。次に貴族令息2人、最後にヘンダーソン家の侍従と義兄の順です」
「何故だ」
「6人ともジョアンナが寝た相手だからです」
皆一斉に咽せたわね。
「リリ、ジャムが付いているぞ」
「自分で拭けます」
「リリ」
「……」
「綺麗になったぞ」
「…ありがとうございます」
「……エリアス、リリアーナ。授業が終わったら、2人とも執務室へ来い」
「リリもですか? 分かりました」
「…はい陛下」
何でなの~!!
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