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年末に近い今日、王宮で晩餐会が開かれる。
招待客はサンドル侯爵夫妻とジョアンナ様、
オヌール公爵夫妻とランドルフ様、
カザハ公爵夫妻とご子息の夫妻、
婚約者の私。
宿泊込みらしい。
私は一足早く登場して着飾っている。
ランドルフ様の婚約者という位置付けだが、王家の協力者として雇われた。
ということでドレスからアクセサリーまで王家が用意してくれた。
自分でも思う。フランシス先生やベンナ先生のお陰で少し綺麗になった。
そして王宮の凄腕メイドが私を磨き上げ飾りつける。
別人にはしないでくださいとお願いしておいた。
そしてドレスを着た私にオデット侍女長が
「素敵!とても良くお似合いですわ!」
「でもこれ、まずくないですか?なんかリュカ様の色ではありませんか?」
「偶然ですわ。この布地が人気で、おさえられたのがこの色だったのです。刺繍をシルバーにしようと思ったのですが地味になりそうだったので金になりました」
「……」
ドレスの布地はリュカ様の瞳の色。刺繍はリュカ様の髪の色。
ランドルフ様の気配は何処にもないドレスだ。
誤解されないか心配だ。
先日オデット侍女長と行ったレストランの話で盛り上がっているとあと10分と言われた。
「リリアーナ様、カザハ公爵様はオヌール公爵様より遠縁になりますが保守派の礼儀に厳しい方ですので最初が肝心です。陛下にご挨拶するように丁寧になさってください。慎ましい感じで乗り切るといいと思います」
「オデット侍女長、ありがとうございます。
助言通りにしますわ」
緊張する~!
呼ばれて謁見の間に入ると全員が揃っていた。
ランドルフ様は驚いているし、リュカ様は微笑んでる。
カザハ公爵一家へ挨拶する番がやってきた。深く膝を折り、丁寧にカーテシーをした。
公爵様は頷いて
「クロノス伯爵令嬢、美しいな」
「恐れ入ります」
「素敵なご挨拶をありがとう。妻のキャサリンと申します」
「お会いできて光栄にございます」
「嫡男のドミニクです。どうぞ宜しく」
「宜しくお願い致します」
「ドミニク様の妻のイライザですわ。もしかして最近流行りの布地ではなくて?素敵だわ」
「ありがとうございます。入手が難しかったようです。イライザ様のドレスもナディア王国の西の伝統的なレース編みを用いておられ、とても優雅でございますね」
「まぁ!分かるのね!凄いわ!リリアーナ様とお呼びしていいかしら。イライザと呼んでくださるかしら」
「はい、イライザ様。リリアーナとお呼びください」
「料理が冷めぬうちに席に着こう」
「はい、陛下」
よし!このまま気を引き締めて…
席は左隣にランドルフ様、右隣にイライザ様、正面にカザハ公爵夫人、斜め左向かにカザハ公爵様、斜め右にはサンドル侯爵令嬢が座った。
「リリアーナ様はどうしてお詳しいのですか?」
「学園に入ってから個人で講師を雇いまして、社交に役立ちそうな教育を施してくださるのです。
ドレスの歴史を観に行くこともありますし、人気の仕立て屋さんに話を聞きに行くこともありました。
歴史の先生は国内外の歴史を、外国語の先生は国外の様々な事を教えてくださるのです」
「素晴らしい。リリアーナ嬢の最近の気になることは何かな」
「はい、カザハ公爵様。先日、北の国境付近で発生した不明の病です。患者が増えているという記事を読みました」
「どう思う」
「国境の先の隣国では騒がれていないようですので、特効薬的な物があるのか、予防となる物があるのかと気になりました」
「発症がないらしい」
「だとしたら、隣国で口にされる物で、こちらでは口にしないものの中に予防か毒消になるような物があるのかもしれません。
体質かもしれませんが。
逆に隣国で食べず、北の国境付近で口にする何かか、触れる何かかもしれません。
浅知恵で恥ずかしいのですがそのくらいしか思いつきません」
「触れる何か?」
「虫や鳥や動物、植物や水です。
井戸や川が汚染されていますと、飲むことで患うのか、植物が吸い上げて患うのか、川魚が二次汚染されて患うのか。
可能性が多すぎて気になって仕方がないのです」
「成程」
「優しいのね」
「他人事とは思えません。原因によっては国全体に広がり、大事な人が苦しむかもしれません」
「その通りだな。探りを入れてみよう。何か分かったら知らせよう」
「恐れ入ります」
「サンドル侯爵令嬢の最近気になることは何かな」
「えっ、…私も国境の病には気になっておりましたわ」
「サンドル侯爵令嬢も国境新聞を読んだのかな」
「はい。毎月読んでおります」
あ~引っかったな。残念。
「では症状を説明してあげてくれ。患っているとすぐ分かる症状だ。新聞に載っていただろう」
「……」
「リリアーナ。教えてあげてくれ」
呼び捨て~
「口の周りに白い発疹、爪の色も少し変色します」
「北の国境の新聞の発刊は?」
「……不定期です。発刊予告は王宮発行の新聞の最後の方に載ります」
「素晴らしい。勤勉で所作も実に優雅だ。
サンドル侯爵令嬢、貴女は王子妃になりたいのなら国内外の情報に敏感でないとならない。
知らないことは下手に知っているふりをすると恥をかく。王子妃になってからやれば国の恥だ」
「申し訳ございません」
話題を変えないと!
招待客はサンドル侯爵夫妻とジョアンナ様、
オヌール公爵夫妻とランドルフ様、
カザハ公爵夫妻とご子息の夫妻、
婚約者の私。
宿泊込みらしい。
私は一足早く登場して着飾っている。
ランドルフ様の婚約者という位置付けだが、王家の協力者として雇われた。
ということでドレスからアクセサリーまで王家が用意してくれた。
自分でも思う。フランシス先生やベンナ先生のお陰で少し綺麗になった。
そして王宮の凄腕メイドが私を磨き上げ飾りつける。
別人にはしないでくださいとお願いしておいた。
そしてドレスを着た私にオデット侍女長が
「素敵!とても良くお似合いですわ!」
「でもこれ、まずくないですか?なんかリュカ様の色ではありませんか?」
「偶然ですわ。この布地が人気で、おさえられたのがこの色だったのです。刺繍をシルバーにしようと思ったのですが地味になりそうだったので金になりました」
「……」
ドレスの布地はリュカ様の瞳の色。刺繍はリュカ様の髪の色。
ランドルフ様の気配は何処にもないドレスだ。
誤解されないか心配だ。
先日オデット侍女長と行ったレストランの話で盛り上がっているとあと10分と言われた。
「リリアーナ様、カザハ公爵様はオヌール公爵様より遠縁になりますが保守派の礼儀に厳しい方ですので最初が肝心です。陛下にご挨拶するように丁寧になさってください。慎ましい感じで乗り切るといいと思います」
「オデット侍女長、ありがとうございます。
助言通りにしますわ」
緊張する~!
呼ばれて謁見の間に入ると全員が揃っていた。
ランドルフ様は驚いているし、リュカ様は微笑んでる。
カザハ公爵一家へ挨拶する番がやってきた。深く膝を折り、丁寧にカーテシーをした。
公爵様は頷いて
「クロノス伯爵令嬢、美しいな」
「恐れ入ります」
「素敵なご挨拶をありがとう。妻のキャサリンと申します」
「お会いできて光栄にございます」
「嫡男のドミニクです。どうぞ宜しく」
「宜しくお願い致します」
「ドミニク様の妻のイライザですわ。もしかして最近流行りの布地ではなくて?素敵だわ」
「ありがとうございます。入手が難しかったようです。イライザ様のドレスもナディア王国の西の伝統的なレース編みを用いておられ、とても優雅でございますね」
「まぁ!分かるのね!凄いわ!リリアーナ様とお呼びしていいかしら。イライザと呼んでくださるかしら」
「はい、イライザ様。リリアーナとお呼びください」
「料理が冷めぬうちに席に着こう」
「はい、陛下」
よし!このまま気を引き締めて…
席は左隣にランドルフ様、右隣にイライザ様、正面にカザハ公爵夫人、斜め左向かにカザハ公爵様、斜め右にはサンドル侯爵令嬢が座った。
「リリアーナ様はどうしてお詳しいのですか?」
「学園に入ってから個人で講師を雇いまして、社交に役立ちそうな教育を施してくださるのです。
ドレスの歴史を観に行くこともありますし、人気の仕立て屋さんに話を聞きに行くこともありました。
歴史の先生は国内外の歴史を、外国語の先生は国外の様々な事を教えてくださるのです」
「素晴らしい。リリアーナ嬢の最近の気になることは何かな」
「はい、カザハ公爵様。先日、北の国境付近で発生した不明の病です。患者が増えているという記事を読みました」
「どう思う」
「国境の先の隣国では騒がれていないようですので、特効薬的な物があるのか、予防となる物があるのかと気になりました」
「発症がないらしい」
「だとしたら、隣国で口にされる物で、こちらでは口にしないものの中に予防か毒消になるような物があるのかもしれません。
体質かもしれませんが。
逆に隣国で食べず、北の国境付近で口にする何かか、触れる何かかもしれません。
浅知恵で恥ずかしいのですがそのくらいしか思いつきません」
「触れる何か?」
「虫や鳥や動物、植物や水です。
井戸や川が汚染されていますと、飲むことで患うのか、植物が吸い上げて患うのか、川魚が二次汚染されて患うのか。
可能性が多すぎて気になって仕方がないのです」
「成程」
「優しいのね」
「他人事とは思えません。原因によっては国全体に広がり、大事な人が苦しむかもしれません」
「その通りだな。探りを入れてみよう。何か分かったら知らせよう」
「恐れ入ります」
「サンドル侯爵令嬢の最近気になることは何かな」
「えっ、…私も国境の病には気になっておりましたわ」
「サンドル侯爵令嬢も国境新聞を読んだのかな」
「はい。毎月読んでおります」
あ~引っかったな。残念。
「では症状を説明してあげてくれ。患っているとすぐ分かる症状だ。新聞に載っていただろう」
「……」
「リリアーナ。教えてあげてくれ」
呼び捨て~
「口の周りに白い発疹、爪の色も少し変色します」
「北の国境の新聞の発刊は?」
「……不定期です。発刊予告は王宮発行の新聞の最後の方に載ります」
「素晴らしい。勤勉で所作も実に優雅だ。
サンドル侯爵令嬢、貴女は王子妃になりたいのなら国内外の情報に敏感でないとならない。
知らないことは下手に知っているふりをすると恥をかく。王子妃になってからやれば国の恥だ」
「申し訳ございません」
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