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姉の逆鱗に触れる
しおりを挟むパーティの翌朝、昨夜中に預かった婚約破棄の書類を持って父と王太子夫妻に会いに登城した。
王太子殿下はすぐに側近に指示を出して受理をさせた。
「少し待ってくれ。手紙を書くから」
その間にお姉様が私を撫でてくれた。
「長い間、よく耐えたわね」
「好きではありませんでしたから大丈夫です」
「私は拷問担当に引き渡したかったわよ」
「でも、ダニエルは馬鹿ですから。拷問担当官の方お手を煩わせるのはもったいないです」
「このまま私はフォリー公爵家に行くから貴女は残って暫く滞在なさい」
「姉様?」
「もうあの男の要望を書いて無理に太らなくてもいいのだから、マッサージのスペシャリストに預けるわ。運動もしないとね」
こうして私は連日 騎士団に紛れて運動をして、湯浴みをしてスペシャルマッサージをしてもらう生活を三ヶ月続けた。
「それほど太ってはいなかったし、着膨れしていたのね」
「綿を詰めましたから」
頑張って食べたけど、なかなか太らず、
無理に食べると吐き気がしてしまう為、ほんの少しぽっちゃりだっただけでドレスの中に綿を詰めていた。
私とお姉様は同じ髪色 同じ瞳の色だけど、
「瓜二つだと思っていたけど、違うのだな」
痩せた私を見て王太子殿下が呟く。
「私は父方似で、コゼットは母似なの。弟のロビーはどっちにも似てるわね」
弟は9歳下の待望の男児だ。
「君が夜の女神なら、コゼットは花の妖精だな」
いくら愛する妻の妹だからと言って言い過ぎですよ。
「気のせいです。全くモテません」
「そりゃ、高嶺の花だからね。姉は王太子妃だし」
「そうよ。兵士達が鼻の下をのばしているじゃないの」
「若ければ のばすのでは?」
「そんなはずないわよ」
「で、その豪華な指輪はサヴァン子爵から?」
「はい」
「サヴァン子爵でいいの?」
「お姉様、サヴァン子爵は素敵な方ですわ」
サヴァン子爵とは11歳の歳の差がある。
だけど文通したり、時にはお茶をして歳の離れた友人になってくださった。
あの男がいてもサヴァン子爵のおかげで楽しく過ごせた。
「半年後にダニエルを呼ぶわよ。
本来の貴女を見せましょう。サヴァン子爵もお誘いしないとね」
お姉様の目が笑っていない。
相当怒っているみたい。
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