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サヴァン子爵/離縁
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【 エリック・サヴァンの視点 】
大勢の貴族や王族の前で婚約破棄を告げられた令嬢は嬉しそうに私の手を取った。
今までの拙いダンスが嘘のように妖精のように舞う。
「猛特訓したのですか?」
「いえ。婚約者の足を踏みたくて、下手なフリをしておりました。
デビューの時と、公爵が一緒のときだけダンスをしましたが、いずれも何度か踏ませていただきました。そういう日に限って、特注の靴を履きましたのでかなり痛かったかと」
「そうでしたか。今夜の靴は?」
「踊らないだろうと思いましたので普通の靴を履いて参りましたわ」
「この後は屋敷に送らせてください」
「お願いいたします」
馬車の中でも終始ニコニコしていた。
「ふふっ」
余程 婚約破棄が嬉しいのだろう。
「何か楽しいことでも?」
「これから50年間、フォリー公爵家の収益の半分がブラウニー家に支払われるのですもの。そのお金で何をしようか考えておりますの」
「かなりの大金ですね」
「無理矢理結んだ婚約に条件をいくつか付けましたの。そのうちの一つが、ダニエルからの婚約の解消や破棄の申し入れの場合、慰謝料として支払うというものです。ダニエルは絶対に覚えていませんわ。
当時ダニエルは婚約できないなら死ぬと言ってナイフを首に突きつけたのです。その彼から解消や破棄など夢にも思わない公爵は契約条項に同意なさいました。
公爵様が激怒なさる姿が思い浮かびますわ。
でも公爵様は悪い人じゃなかったから可哀想ですけど」
エントランスで跪き求婚した。
“コゼット嬢。貴女のことが好きです。
少し歳が離れている分 落ち着いた暮らしを与えられます。どうか私と結婚してください”
“はい。サヴァン子爵”
“エリックと呼んで欲しい。コゼット”
“はい、エリック様”
“後日正式に伯爵家に申し込みをさせてもらいます”
「よろしくお願いします」
そして数日後、少し条件を付けられたが許可をもらえた。
王太子妃が私に対して警戒しているのは知っている。それは私が初婚ではないし、慎ましくもないからだ。私が夜会で何をしていたか知っているのだろう。
サヴァン子爵家はいくつかの事業を成功させてもう何代も富豪の仲間となっている。王都にも広い敷地と屋敷を持つ。
今から10年前に政略結婚をした。
まだ20歳だった私はかなり活動的だった。
ほとんどの夜会には一人で参加した。
そして友人達と酒を飲みながら情報交換をして、そのまま後腐れのない女を抱く。
中には愛人の座を狙って寄ってくる女もいた。
時には友人と一緒に乱交をすることもあった。
父上は、妻との間に男児を成して 他所で子を成さなければ文句を言わないと言った。
四つ歳下の弟ウィリアムは少し呆れていた。
ある夜会で声をかけてきた女がいた。
まあまあの美人で人妻だ。
一晩限りの女の名前は聞かないことにしていた。
積極的で楽しめた。
また次に参加した夜会でも声をかけられた。
受け身ではない女だったからまたまぐわった。
それが何回か続いたある日、妻から離縁の申し入れがあった。
父上と一緒に話し合いをしたら妻の顔は怒りで満ちていた。
『もう貴方に抱かれたくないのです』
『子を産むためには仕方ないだろう。何が不満なんだ?』
『ジュディです。貴方が寝ている相手です。
貴族の間ではジュディは貴方の愛人だと噂が立っています。
私は昔から彼女が大嫌いでした。
彼女と交わったソレを私の体の中に挿れたくないのです。
もう生理的に受け付けません。離縁を望みます』
父上とどう説得しようと妻は頑なに拒否をした。
『エリック。どうにもならない。
離縁して新しく妻を娶るんだ』
『分かりました』
慰謝料を払い離縁した。
そしてジュディから誘われても応じなかった。
父上から、そろそろ落ち着くように言われた。
次の縁談に支障が出るからだ。
だが何人か会ったが気乗りしなかった。
婚約していなくて、条件のいい令嬢は皆若過ぎた。
娶るまでに5~6年かかってしまう。
それにまだ女と呼ぶには未発達で、そういう目で見れなかった。
大勢の貴族や王族の前で婚約破棄を告げられた令嬢は嬉しそうに私の手を取った。
今までの拙いダンスが嘘のように妖精のように舞う。
「猛特訓したのですか?」
「いえ。婚約者の足を踏みたくて、下手なフリをしておりました。
デビューの時と、公爵が一緒のときだけダンスをしましたが、いずれも何度か踏ませていただきました。そういう日に限って、特注の靴を履きましたのでかなり痛かったかと」
「そうでしたか。今夜の靴は?」
「踊らないだろうと思いましたので普通の靴を履いて参りましたわ」
「この後は屋敷に送らせてください」
「お願いいたします」
馬車の中でも終始ニコニコしていた。
「ふふっ」
余程 婚約破棄が嬉しいのだろう。
「何か楽しいことでも?」
「これから50年間、フォリー公爵家の収益の半分がブラウニー家に支払われるのですもの。そのお金で何をしようか考えておりますの」
「かなりの大金ですね」
「無理矢理結んだ婚約に条件をいくつか付けましたの。そのうちの一つが、ダニエルからの婚約の解消や破棄の申し入れの場合、慰謝料として支払うというものです。ダニエルは絶対に覚えていませんわ。
当時ダニエルは婚約できないなら死ぬと言ってナイフを首に突きつけたのです。その彼から解消や破棄など夢にも思わない公爵は契約条項に同意なさいました。
公爵様が激怒なさる姿が思い浮かびますわ。
でも公爵様は悪い人じゃなかったから可哀想ですけど」
エントランスで跪き求婚した。
“コゼット嬢。貴女のことが好きです。
少し歳が離れている分 落ち着いた暮らしを与えられます。どうか私と結婚してください”
“はい。サヴァン子爵”
“エリックと呼んで欲しい。コゼット”
“はい、エリック様”
“後日正式に伯爵家に申し込みをさせてもらいます”
「よろしくお願いします」
そして数日後、少し条件を付けられたが許可をもらえた。
王太子妃が私に対して警戒しているのは知っている。それは私が初婚ではないし、慎ましくもないからだ。私が夜会で何をしていたか知っているのだろう。
サヴァン子爵家はいくつかの事業を成功させてもう何代も富豪の仲間となっている。王都にも広い敷地と屋敷を持つ。
今から10年前に政略結婚をした。
まだ20歳だった私はかなり活動的だった。
ほとんどの夜会には一人で参加した。
そして友人達と酒を飲みながら情報交換をして、そのまま後腐れのない女を抱く。
中には愛人の座を狙って寄ってくる女もいた。
時には友人と一緒に乱交をすることもあった。
父上は、妻との間に男児を成して 他所で子を成さなければ文句を言わないと言った。
四つ歳下の弟ウィリアムは少し呆れていた。
ある夜会で声をかけてきた女がいた。
まあまあの美人で人妻だ。
一晩限りの女の名前は聞かないことにしていた。
積極的で楽しめた。
また次に参加した夜会でも声をかけられた。
受け身ではない女だったからまたまぐわった。
それが何回か続いたある日、妻から離縁の申し入れがあった。
父上と一緒に話し合いをしたら妻の顔は怒りで満ちていた。
『もう貴方に抱かれたくないのです』
『子を産むためには仕方ないだろう。何が不満なんだ?』
『ジュディです。貴方が寝ている相手です。
貴族の間ではジュディは貴方の愛人だと噂が立っています。
私は昔から彼女が大嫌いでした。
彼女と交わったソレを私の体の中に挿れたくないのです。
もう生理的に受け付けません。離縁を望みます』
父上とどう説得しようと妻は頑なに拒否をした。
『エリック。どうにもならない。
離縁して新しく妻を娶るんだ』
『分かりました』
慰謝料を払い離縁した。
そしてジュディから誘われても応じなかった。
父上から、そろそろ落ち着くように言われた。
次の縁談に支障が出るからだ。
だが何人か会ったが気乗りしなかった。
婚約していなくて、条件のいい令嬢は皆若過ぎた。
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