2 / 20
初夜はございません
しおりを挟む
父エリオット、母テレサ、兄セヴィアンに別れを告げて到着した屋敷には既に夫が到着していた。
外に出てきた家令やメイド長が挨拶をして、荷物を運ばせていた。
メイド長のローズは体が大きい。
「別棟にお部屋をご希望とのことですので、改装しております。
客間3つ、使用人部屋7つ、応接間、打合せ室、調理場、洗濯場、食堂、奥様のお部屋などご要望通りとなっております。
先に到着したメイド3名と料理人1名は別棟におります」
「ありがとうございました。
ローズメイド長、よろしくお願いします」
「こ、こちらこそ よろしくお願いいたします」
「奥様、何かございましたらお申し付けください。
リオナード様との共通の予定は、既にメイドに渡しておりますので明日にでもご確認ください。
それと後でリオナード様が挨拶にお伺いします」
「……バート様、挨拶は不要ですわ。教会でお会いしたばかりではありませんか。
リオナード様もお疲れでしょう」
「様は結構です。バートとお呼びください。
リオナード様にお伝えしますが、挨拶をしにいらっしゃると思います」
「そう。分かったわ」
メイド長と家令と別れて別棟に入り、ソファに座った。
着替えたいけど違うドレスに着替えるのも嫌だし、寝巻きになって初夜扱いされるのも嫌だったので待った。
待った。
待った。
軽食を二口食べて待った。
待った。
「はぁ。時間を聞いておけば良かったわ。
もう待つのは止めるわ。湯浴みをするからお願い」
やっと締め付けられたウエディングドレスを脱いで浴槽に浸かった。
「ふぅ」
無駄に広くない浴槽の淵に頭を乗せた。
疲れた。
すっごく疲れた。
昨日から食事もほとんど手付かずで、眠っていない。そしてずり落ちないように締め付けられたウエディングドレスで疲労困憊だ。
姉のヴァネッサは5つ歳上で私より長身だった。
姉だけじゃない。家族みんな長身だ。そして美形。
私は父方の祖母似だった。普通の身長で美形ではない。
一緒にいると家族と思われないくらい違う。
姉はとても気の強い我儘な人だった。
歳も離れているから関わることのない人だった。
だけど死んだら悲しい。
「お嬢様、リオナード様がいらっしゃったようです」
湯浴みの後では初夜を希望していると勘違いさせちゃうじゃない!
「はぁ。仕方ないわね。ワンピースを出してちょうだい」
ザバッ
立ち上がった瞬間に目の前が暗くなった。
メイドの悲鳴が聞こえたが、音がおかしい。
揉めている声が遠のく………。
外に出てきた家令やメイド長が挨拶をして、荷物を運ばせていた。
メイド長のローズは体が大きい。
「別棟にお部屋をご希望とのことですので、改装しております。
客間3つ、使用人部屋7つ、応接間、打合せ室、調理場、洗濯場、食堂、奥様のお部屋などご要望通りとなっております。
先に到着したメイド3名と料理人1名は別棟におります」
「ありがとうございました。
ローズメイド長、よろしくお願いします」
「こ、こちらこそ よろしくお願いいたします」
「奥様、何かございましたらお申し付けください。
リオナード様との共通の予定は、既にメイドに渡しておりますので明日にでもご確認ください。
それと後でリオナード様が挨拶にお伺いします」
「……バート様、挨拶は不要ですわ。教会でお会いしたばかりではありませんか。
リオナード様もお疲れでしょう」
「様は結構です。バートとお呼びください。
リオナード様にお伝えしますが、挨拶をしにいらっしゃると思います」
「そう。分かったわ」
メイド長と家令と別れて別棟に入り、ソファに座った。
着替えたいけど違うドレスに着替えるのも嫌だし、寝巻きになって初夜扱いされるのも嫌だったので待った。
待った。
待った。
軽食を二口食べて待った。
待った。
「はぁ。時間を聞いておけば良かったわ。
もう待つのは止めるわ。湯浴みをするからお願い」
やっと締め付けられたウエディングドレスを脱いで浴槽に浸かった。
「ふぅ」
無駄に広くない浴槽の淵に頭を乗せた。
疲れた。
すっごく疲れた。
昨日から食事もほとんど手付かずで、眠っていない。そしてずり落ちないように締め付けられたウエディングドレスで疲労困憊だ。
姉のヴァネッサは5つ歳上で私より長身だった。
姉だけじゃない。家族みんな長身だ。そして美形。
私は父方の祖母似だった。普通の身長で美形ではない。
一緒にいると家族と思われないくらい違う。
姉はとても気の強い我儘な人だった。
歳も離れているから関わることのない人だった。
だけど死んだら悲しい。
「お嬢様、リオナード様がいらっしゃったようです」
湯浴みの後では初夜を希望していると勘違いさせちゃうじゃない!
「はぁ。仕方ないわね。ワンピースを出してちょうだい」
ザバッ
立ち上がった瞬間に目の前が暗くなった。
メイドの悲鳴が聞こえたが、音がおかしい。
揉めている声が遠のく………。
500
あなたにおすすめの小説
【完結】伯爵令嬢は婚約を終わりにしたい〜次期公爵の幸せのために婚約破棄されることを目指して悪女になったら、なぜか溺愛されてしまったようです〜
よどら文鳥
恋愛
伯爵令嬢のミリアナは、次期公爵レインハルトと婚約関係である。
二人は特に問題もなく、順調に親睦を深めていった。
だがある日。
王女のシャーリャはミリアナに対して、「二人の婚約を解消してほしい、レインハルトは本当は私を愛しているの」と促した。
ミリアナは最初こそ信じなかったが王女が帰った後、レインハルトとの会話で王女のことを愛していることが判明した。
レインハルトの幸せをなによりも優先して考えているミリアナは、自分自身が嫌われて婚約破棄を宣告してもらえばいいという決断をする。
ミリアナはレインハルトの前では悪女になりきることを決意。
もともとミリアナは破天荒で活発な性格である。
そのため、悪女になりきるとはいっても、むしろあまり変わっていないことにもミリアナは気がついていない。
だが、悪女になって様々な作戦でレインハルトから嫌われるような行動をするが、なぜか全て感謝されてしまう。
それどころか、レインハルトからの愛情がどんどんと深くなっていき……?
※前回の作品同様、投稿前日に思いついて書いてみた作品なので、先のプロットや展開は未定です。今作も、完結までは書くつもりです。
※第一話のキャラがざまぁされそうな感じはありますが、今回はざまぁがメインの作品ではありません。もしかしたら、このキャラも更生していい子になっちゃったりする可能性もあります。(このあたり、現時点ではどうするか展開考えていないです)
【完結】愛くるしい彼女。
たまこ
恋愛
侯爵令嬢のキャロラインは、所謂悪役令嬢のような容姿と性格で、人から敬遠されてばかり。唯一心を許していた幼馴染のロビンとの婚約話が持ち上がり、大喜びしたのも束の間「この話は無かったことに。」とバッサリ断られてしまう。失意の中、第二王子にアプローチを受けるが、何故かいつもロビンが現れて•••。
2023.3.15
HOTランキング35位/24hランキング63位
ありがとうございました!
愛しい人へ~愛しているから私を捨てて下さい~
ともどーも
恋愛
伯爵令嬢シャティアナは幼馴染みで五歳年上の侯爵子息ノーランドと兄妹のように育ち、必然的に恋仲になり、婚約目前と言われていた。
しかし、シャティアナの母親は二人の婚約を認めず、頑なに反対していた。
シャティアナの父は侯爵家との縁続きになるのを望んでいたため、母親の反対を押切り、シャティアナの誕生日パーティーでノーランドとの婚約を発表した。
みんなに祝福され、とても幸せだったその日の夜、ベッドで寝ていると母親が馬乗りになり、自分にナイフを突き刺そうとしていた。
母親がなぜノーランドとの婚約をあんなに反対したのか…。
母親の告白にシャティアナは絶望し、ノーランドとの婚約破棄の為に動き出す。
貴方を愛してる。
どうか私を捨てて下さい。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
全14話です。
楽しんで頂ければ幸いです。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
私の落ち度で投稿途中にデータが消えてしまい、ご心配をお掛けして申し訳ありません。
運営の許可をへて再投稿致しました。
今後このような事が無いように投稿していく所存です。
ご不快な思いをされた方には、この場にて謝罪させていただければと思います。
申し訳ありませんでした。
愛されていないはずの婚約者に「貴方に愛されることなど望んでいませんわ」と申し上げたら溺愛されました
海咲雪
恋愛
「セレア、もう一度言う。私はセレアを愛している」
「どうやら、私の愛は伝わっていなかったらしい。これからは思う存分セレアを愛でることにしよう」
「他の男を愛することは婚約者の私が一切認めない。君が愛を注いでいいのも愛を注がれていいのも私だけだ」
貴方が愛しているのはあの男爵令嬢でしょう・・・?
何故、私を愛するふりをするのですか?
[登場人物]
セレア・シャルロット・・・伯爵令嬢。ノア・ヴィアーズの婚約者。ノアのことを建前ではなく本当に愛している。
×
ノア・ヴィアーズ・・・王族。セレア・シャルロットの婚約者。
リア・セルナード・・・男爵令嬢。ノア・ヴィアーズと恋仲であると噂が立っている。
アレン・シールベルト・・・伯爵家の一人息子。セレアとは幼い頃から仲が良い友達。実はセレアのことを・・・?
不愛想な婚約者のメガネをこっそりかけたら
柳葉うら
恋愛
男爵令嬢のアダリーシアは、婚約者で伯爵家の令息のエディングと上手くいっていない。ある日、エディングに会いに行ったアダリーシアは、エディングが置いていったメガネを出来心でかけてみることに。そんなアダリーシアの姿を見たエディングは――。
「か・わ・い・い~っ!!」
これまでの態度から一変して、アダリーシアのギャップにメロメロになるのだった。
出来心でメガネをかけたヒロインのギャップに、本当は溺愛しているのに不器用であるがゆえにぶっきらぼうに接してしまったヒーローがノックアウトされるお話。
【短編】記憶を失くした令嬢が、二度目の恋に落ちるまで
夕凪ゆな
恋愛
ある雪の降る日の朝、ヴァロア伯爵家のリディアのもとに、信じられない報せが届いた。
それは、愛する婚約者、ジェイドが遠征先で負傷し、危篤であるという報せだった。
「戻ったら式を挙げよう。君の花嫁姿が、今から楽しみだ」
そう言って、結婚の誓いを残していったジェイドが、今、命を落とそうとしている。
その事実を受け入れることができないリディアは、ジェイドの命を救おうと、禁忌魔法に手を染めた。
公爵令嬢「婚約者には好きな人がいるのに、その人と結婚できないなんて不憫」←好きな人ってあなたのことですよ?
ツキノトモリ
恋愛
ロベルタには優しい従姉・モニカがいる。そのモニカは侯爵令息のミハエルと婚約したが、ミハエルに好きな人がいると知り、「好きな人と結婚できないなんて不憫だ」と悩む。そんな中、ロベルタはミハエルの好きな人を知ってしまう。
君を自由にしたくて婚約破棄したのに
佐崎咲
恋愛
「婚約を解消しよう」
幼い頃に決められた婚約者であるルーシー=ファロウにそう告げると、何故か彼女はショックを受けたように身体をこわばらせ、顔面が蒼白になった。
でもそれは一瞬のことだった。
「わかりました。では両親には私の方から伝えておきます」
なんでもないようにすぐにそう言って彼女はくるりと背を向けた。
その顔はいつもの淡々としたものだった。
だけどその一瞬見せたその顔が頭から離れなかった。
彼女は自由になりたがっている。そう思ったから苦汁の決断をしたのに。
============
注意)ほぼコメディです。
軽い気持ちで読んでいただければと思います。
※無断転載・複写はお断りいたします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる