笑顔で冷遇する婚約者に疲れてしまいました

ユユ

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新規事業の話題

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大公様は余程喉が渇いたのが、お茶を一気に飲み干し、おかわりをなさった。

「セルヴィー伯爵にお会いしたいのですが」

「残念ながら私以外は全員領地におります。父と兄は用がない限り領地で仕事漬けです」

「それは残念です。
セルヴィー家の新規事業も領地で?」

「はい。親戚の領地に住む鳥から素晴らしい羽毛が取れることはわかっておりましたが、生存率が低いのです。
まず産まれた卵は孵化するのが難しいのです。あらゆる動物に狙われますし、狙われずに残っても何故か孵らずに腐ってしまう卵もあります。
無事に孵ってもまた動物に狙われ続け、狙われなくても母鳥が長く離れると死んでしまいます。でも母鳥も餌を探すために巣から離れなくてはなりません。
そうやって生き残ってもやはりずっと動物に狙われ続けます。
それに産卵率も低めです。
良い羽毛がとれることはわかっておりますが製品にするほど取れません。それに臭いが少しキツくて。

しかし、やはり何とかならないかと試行錯誤した結果 セルヴィーでは繁殖させることに成功し鳥舎を作りました。臭いも解決しました。
ですが、生産量はまだまだ少なく、年間10枚くらいの羽毛布団を出荷することが精一杯です。
もちろん生き物相手ですから、下回る可能性もあります」

「他国の王太子夫妻がうちに来国したときに、彼らからセルヴィー産の羽毛布団の話を聞きまして。彼らの国でも持っているのは国王夫妻だけなのだとか。
その羽毛とセルヴィー産の特級絹織物で作られた高級な羽毛布団は素晴らしい寝心地なのだとか。
重みをほとんど感じることなく、柔らかくて手触りも抜群。真夏を除いてほぼ一年中使えるのですよね?真冬は全く寒くなく たとえ寝汗をかいても不快にならない不思議な羽毛布団だと大絶賛で、王太子殿下が一度だけ国王陛下に貸していただいたそうですよ。
自分も欲しいけど、既に30年先まで予約で埋まっていると嘆いておりました。しかも恐ろしい値段だとか」

「手間が掛かりますし中身も外側も希少ですから。
貴族だとしてもあれを注文できる方はごく僅か。ですがアレを知ってしまえは後戻りは出来ません。
お手入れを見越して2枚購入なさった方もいらっしゃいます」

「クリスティーナ、聞くのが怖いがいくらするんだ?」

ヒューゴ様は聞きたいのか聞きたくないのか分からない表情をしていた。

「お屋敷が完成しそうです」

「うわぁ…」

「すごいわね。なのに30年先まで予約があるなんて」

エルザが目を輝かせた。

「お忙しい高貴な方ほど欲しがるみたい。
例えばとある国の宰相閣下は睡眠時間が2、3時間ということはざらだとか。尚更睡眠の質に拘りたいそうで初販時に2枚購入なさったそうよ」

「切れ者なのね」

「完成する前に情報を仕入れていたみたい。ちょっと怖いかな。成功したら知らせてくれとお手紙が届いて、知らせたらすぐいらっしゃって購入なさったそうよ」

話に耳を傾けていらっしゃる国王陛下は満面の笑みだ。
税として羽毛布団2枚を用立てたから寝心地をご存知だからだ。
羽毛布団に関しては税の先払いが済んだことになり100年干渉されない。

「……」

未だに不満そうなのよね、大公女の顔。


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