32 / 215
ヴェアトリスの帰国
しおりを挟む
「もしかしてクリスティーナのベッドには?」
ヒューゴ様の顔が近い!
「あります」
「よし、今夜泊まりに行くぞ」
「嫌ですよ」
「なあ、その羽毛布団の話、知らなかったぞ?」
「昨年量産が完成したばかりだからです。その前に出来ていた数枚はセルヴィー家と協力してくれた親戚へ。そして量産が成功した時に例の宰相閣下に。その後は宰相閣下の国の国王夫妻と口伝えであっという間に完売になりました。
店頭販売とか宣伝とかする前に完売と予約でいっぱいになってしまいました。今後も店舗とか宣伝が必要無いため ご存知ない方が多いはずです」
「……」
「ヒューゴ様、そんな目をしても駄目ですからね」
「もしかして、それもセルヴィー嬢が?」
「ふふっ
つい、“自然環境で生存し難いなら大事に家で飼えばいいのに”とお兄様に言ってしまいまして。そこから研究が始まりました。
羽の臭いも人の体臭と同じじゃないかと口にしてしまいまして、そこも研究が始まり、4年で何とかなりました」
「それにしても高価ですよね」
「設備と警備費用が莫大だからです」
「え?」
「鳥や卵や製品、あるいは情報を盗みに襲われることを想定して要塞を作ったんです。有名な不落城を参考に小さな不落城を作りました」
「なるほど」
「それに実際、恐ろしい値をつけても複数枚欲しがる方もいらっしゃいますから」
大公様は新たに注がれたお茶を飲み、一呼吸おくと姿勢を正した。
【 ヴェアトリスの視点 】
「…本当に申し訳ないことをしました。
陛下にお願いをして留学を中止して連れて帰ります」
「お、お父様っ」
「これ以上ご迷惑をかけることはできない。
おまえが変わっていなかったことが分かったからな。変わらないという前提で対処する」
「対処!?」
「戻っても外には出さない」
「学園は、」
「通わせない」
「でも、」
「通う資格がない」
「っ!」
「大公家から除籍する代わりに死ぬまで面倒をみてやる」
「お父様!?」
「既にエンブレーズ大公家と国王陛下達に迷惑をかけているんだ。もう庇いきれないし、息子に落ちぶれたエンブレーズを継がせたくない。これ以上家族を苦しめるのは止めてくれ」
「っ!!」
「死ぬまで衣食住には困らないようにしてやる。メイドもつけてやるし敷地内の所定の場所なら散歩もさせてやる。だが外出も人と会うのも駄目だ。月に一度 家族4人で食事をしよう」
「お父様!幽閉なんて嫌です!」
「ならば僻地の修道院へ寄付金無しに行くか?」
「お父様っ、
実の娘にそんな!私は大公女で陛下の姪で、」
「ヴェアトリス!!」
「っ!」
「だからあの時 生かしてやっただろう。
あれからずっと教育係を3人もつけて、金を掛けて育ててやったじゃないか。
他国でチャンスも与えただろう。
貴族令嬢も王女も皆同じ、価値を示さなくてはならない。
目の前にお手本がいるだろう。
ウィロウ侯爵令嬢は優秀かつ品行方正と認められ第二王子の婚約者に選ばれ、令嬢達の手本となっておられるし、セルヴィー伯爵令嬢は自領に富をもたらしている。
おまえとは正反対だろう?
もうおまえの存在は大損害でしかない。これ以上は庇いたくない」
「大損害だなんて、親子ではありませんか」
「平民ならそれでもいいが、私達の暮らしはどう維持している?金貨や宝石が収穫できる木か湧く泉か何かがあるとでも思っているのか?
大公家に生まれて良い暮らしをさせてもらったら その分の恩を返さねばならない。
おまえのせいでエンブレーズが落ちぶれたら命を狙われるぞ」
「っ!」
「国王陛下、寛大なお心で娘を引き受けてくださったにも関わらず、このような結果を招いてしまい申し訳ございません。このまま連れて帰ります」
「残念ですな」
どうしてお父様が私にそこまで酷い対応をするのか理解できなかった。
ヒューゴ様の顔が近い!
「あります」
「よし、今夜泊まりに行くぞ」
「嫌ですよ」
「なあ、その羽毛布団の話、知らなかったぞ?」
「昨年量産が完成したばかりだからです。その前に出来ていた数枚はセルヴィー家と協力してくれた親戚へ。そして量産が成功した時に例の宰相閣下に。その後は宰相閣下の国の国王夫妻と口伝えであっという間に完売になりました。
店頭販売とか宣伝とかする前に完売と予約でいっぱいになってしまいました。今後も店舗とか宣伝が必要無いため ご存知ない方が多いはずです」
「……」
「ヒューゴ様、そんな目をしても駄目ですからね」
「もしかして、それもセルヴィー嬢が?」
「ふふっ
つい、“自然環境で生存し難いなら大事に家で飼えばいいのに”とお兄様に言ってしまいまして。そこから研究が始まりました。
羽の臭いも人の体臭と同じじゃないかと口にしてしまいまして、そこも研究が始まり、4年で何とかなりました」
「それにしても高価ですよね」
「設備と警備費用が莫大だからです」
「え?」
「鳥や卵や製品、あるいは情報を盗みに襲われることを想定して要塞を作ったんです。有名な不落城を参考に小さな不落城を作りました」
「なるほど」
「それに実際、恐ろしい値をつけても複数枚欲しがる方もいらっしゃいますから」
大公様は新たに注がれたお茶を飲み、一呼吸おくと姿勢を正した。
【 ヴェアトリスの視点 】
「…本当に申し訳ないことをしました。
陛下にお願いをして留学を中止して連れて帰ります」
「お、お父様っ」
「これ以上ご迷惑をかけることはできない。
おまえが変わっていなかったことが分かったからな。変わらないという前提で対処する」
「対処!?」
「戻っても外には出さない」
「学園は、」
「通わせない」
「でも、」
「通う資格がない」
「っ!」
「大公家から除籍する代わりに死ぬまで面倒をみてやる」
「お父様!?」
「既にエンブレーズ大公家と国王陛下達に迷惑をかけているんだ。もう庇いきれないし、息子に落ちぶれたエンブレーズを継がせたくない。これ以上家族を苦しめるのは止めてくれ」
「っ!!」
「死ぬまで衣食住には困らないようにしてやる。メイドもつけてやるし敷地内の所定の場所なら散歩もさせてやる。だが外出も人と会うのも駄目だ。月に一度 家族4人で食事をしよう」
「お父様!幽閉なんて嫌です!」
「ならば僻地の修道院へ寄付金無しに行くか?」
「お父様っ、
実の娘にそんな!私は大公女で陛下の姪で、」
「ヴェアトリス!!」
「っ!」
「だからあの時 生かしてやっただろう。
あれからずっと教育係を3人もつけて、金を掛けて育ててやったじゃないか。
他国でチャンスも与えただろう。
貴族令嬢も王女も皆同じ、価値を示さなくてはならない。
目の前にお手本がいるだろう。
ウィロウ侯爵令嬢は優秀かつ品行方正と認められ第二王子の婚約者に選ばれ、令嬢達の手本となっておられるし、セルヴィー伯爵令嬢は自領に富をもたらしている。
おまえとは正反対だろう?
もうおまえの存在は大損害でしかない。これ以上は庇いたくない」
「大損害だなんて、親子ではありませんか」
「平民ならそれでもいいが、私達の暮らしはどう維持している?金貨や宝石が収穫できる木か湧く泉か何かがあるとでも思っているのか?
大公家に生まれて良い暮らしをさせてもらったら その分の恩を返さねばならない。
おまえのせいでエンブレーズが落ちぶれたら命を狙われるぞ」
「っ!」
「国王陛下、寛大なお心で娘を引き受けてくださったにも関わらず、このような結果を招いてしまい申し訳ございません。このまま連れて帰ります」
「残念ですな」
どうしてお父様が私にそこまで酷い対応をするのか理解できなかった。
3,674
あなたにおすすめの小説
「君は地味な裏方だ」と愛人を優遇するサイコパス気質の夫。〜私が去った後、商会の技術が全て私の手によるものだと気づいても、もう手遅れです〜
水上
恋愛
「君は地味だから裏方に徹しろ」
効率主義のサイコパス気質な夫は、妻であるクララの磨いた硝子を愛人の手柄にし、クララを工房に幽閉した。
彼女は感情を捨て、機械のように振る舞う。
だが、クララの成果を奪い取り、夫が愛人を壇上に上げた夜、クララの心は完全に凍りついた。
彼に残した書き置きは一通のみ。
クララが去った後、商会の製品はただの石ころに戻り、夫の計算は音を立てて狂い始める。
これは、深い絶望と、遅すぎた後悔の物語。
「最高の縁談なのでしょう?なら、かわってあげたら喜んでくれますよね!」
みっちぇる。
恋愛
侯爵令嬢のリコリスは20歳。立派な嫁きおくれである。
というのも、義母がなかなかデビューさせてくれないのだ。
なにか意図を感じつつも、周りは義母の味方ばかり。
そん中、急にデビュタントの許可と婚約を告げられる。
何か裏がある――
相手の家がどういうものかを知り、何とかしようとするリコリス。
でも、非力なリコリスには何も手段がない。
しかし、そんな彼女にも救いの手が……?
初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結保証】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。
だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。
しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。
王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。
そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。
地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。
⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。
一年だけの夫婦でも私は幸せでした。
クロユキ
恋愛
騎士のブライドと結婚をしたフローズンは夫がまだ婚約者だった姉を今でも想っている事を知っていた。
フローズンとブライドは政略結婚で結婚式当日にブライドの婚約者だった姉が姿を消してしまった。
フローズンは姉が戻るまでの一年の夫婦の生活が始まった。
更新が不定期です。誤字脱字がありますが宜しくお願いします。
白い結婚で結構ですわ。殿下より、私の自由のほうが大事ですので
鍛高譚
恋愛
「第二王子との婚約? でも殿下には平民の恋人がいるらしいんですけど?
――なら、私たち“白い結婚”で結構ですわ。お好きになさってくださいな、殿下」
自由気ままに読書とお茶を楽しむのがモットーの侯爵令嬢・ルージュ。
ある日、突然“第二王子リオネルとの政略結婚”を押しつけられてしまう。
ところが当の殿下は平民の恋人に夢中で、
「形式上の夫婦だから干渉しないでほしい」などと言い出す始末。
むしろ好都合とばかりに、ルージュは優雅な“独身気分”を満喫するはずが……
いつしか、リナという愛人と妙に仲良くなり、
彼女を巡る宮廷スキャンダルに巻き込まれ、
しまいには婚約が白紙になってしまって――!?
けれどこれは、ルージュが本当の幸せを掴む始まりにすぎなかった。
自分を心から大切にしてくれる“新しい旦那様”候補が現れて、
さあ、思い切り自由に愛されましょう!
……そして、かの王子様の結末は“ざまぁ”なのか“自業自得”なのか?
自由気ままな侯爵令嬢が切り開く、
“白い結婚破談”からの痛快ざまぁ&本当の恋愛譚、はじまります。
結婚初夜、「何故彼女が死んでお前が生きているんだ」と夫に言われました
ましゅぺちーの
恋愛
侯爵令嬢のアリサは婚約者だった王太子テオドールと結婚した。
ちょうどその半年前、アリサの腹違いの妹のシアは不慮の事故で帰らぬ人となっていた。
王太子が婚約者の妹のシアを愛していたのは周知の事実だった。
そんな彼は、結婚初夜、アリサに冷たく言い放った。
「何故彼女が死んでお前が生きているんだ」と。
「あなたは強いから大丈夫よね」、無自覚に人生を奪う姉
恋せよ恋
恋愛
「セリーヌは強いから、一人でも大丈夫よね?」
婚約破棄され「可哀想なヒロイン」となった姉カトリーヌ。
無自覚で優しい姉を気遣う両親と『私の』婚約者クロード。
私の世界は反転した。
十歳から五年間、努力で守ってきた「次期後継者」の座も。
自分に誂えた「ドレス」も……。「婚約者」さえも……。
両親は微笑んで言う。
「姉様が傷ついているの強いお前が譲ってあげなさい」と。
泣いて縋れば誰かが助けてくれると思っているお姉様。
あとはお一人で頑張ってくださいませ。
私は、私を必要としてくれる場所へ――。
家族と婚約者を見限った、妹・セリーヌの物語。
🔶登場人物・設定は筆者の創作によるものです。
🔶不快に感じられる表現がありましたらお詫び申し上げます。
🔶誤字脱字・文の調整は、投稿後にも随時行います。
🔶今後もこの世界観で物語を続けてまいります。
🔶 『エール📣』『いいね❤️』励みになります!
彼女の離縁とその波紋
豆狸
恋愛
夫にとって魅力的なのは、今も昔も恋人のあの女性なのでしょう。こうして私が悩んでいる間もふたりは楽しく笑い合っているのかと思うと、胸にぽっかりと穴が開いたような気持ちになりました。
※子どもに関するセンシティブな内容があります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる