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ヴェアトリスの屈辱
【 ヴェアトリスの視点 】
「心よりお詫び申し上げます」
お父様が深々と頭を下げた。王弟で大公のお父様が伯爵令嬢に…
しかも私を“愚女”だなんて。
「正直驚きました。
大公女は祖国でも同じように振る舞われていたのでしょうか」
国王陛下の問いに お父様は私のことを話しだした。
「お恥ずかしながら、子供の頃に問題を起こして以来、ヴェアトリスは社交から身を引いております。従兄とは会えますし学園も通えましたが、やはり貴族社会はたとえ学園でも茶会やパーティなどの話が中心で、ヴェアトリスについていける話題ではありませんし、貴族達から嫌煙されてしまいました。
隣国に押し付けるという意味ではなく、今のヴェアトリスが友人を作ることができたらと留学をお願いしました。
それは間違っておりました。ご迷惑をお掛けしましたことを心よりお詫び申し上げます。
ウィロウ侯爵令嬢にもご迷惑をおかけしました。
未来の王子妃として娘を叱責してくださったと聞きました。ありがとうございました」
「私も水を掛けてしまいました」
「当然のことです」
お父様!?
なんで!なんで王弟のお父様が格下の貴族令嬢なんかに敬語を使って頭を下げるの!?
「ヒューゴ殿、お久しぶりです」
「お久しぶりですね、大公閣下」
「2年ぶりですね。公爵はご健勝でいらっしゃいますか」
「はい。お陰様で元気に仕事をしております」
「ヒューゴ殿はセルヴィー伯爵令嬢の友人だとか」
「はい。特別な友人です」
「本来ならジオ家とセルヴィー家の結び付きに警戒すべきところですが、ジオ家は陛下のご親戚、セルヴィー家は仕事が好きで権力に興味のない家門ですし、今回ご令嬢が忠臣と証明なさったようですので、王家としても喜ばしいことでしょう」
「そのように見ていただけるとは」
「確かにセルヴィー家は仕事熱心な一家だな。クリスティーナ嬢も発案したり王都の店舗を管理しているのだったよな?」
陛下が私を見ながら仰った。
どうして知っているの!?
「大したことはしておりません」
「色を作り出したり化粧品の概念を彼女が変えたと聞いているぞ。隠す化粧ではなく活かす化粧としてシリーズ化したのだよな?」
「は、はい」
「厚くなったり余計なものを付けたりして肌荒れを悪化させて、さらに厚く塗るという白いバケモノが紛れていたのに、今や肌を整え美しく健康的な肌を取り戻し笑顔になった女性が何人もいたな。
それにヒューゴの肌、見違えたぞ。治らない吹き出物に苦しんでいたのに今では美肌だ。実に素晴らしい」
「領民や従業員が毎日身を粉にして薬草などを育てて研究を重ねた結果です」
「もしかして、最近輸出が始まったシルクレースはセルヴィー嬢が?」
「大公様、そんな大したことではございません。特産の特級絹糸でレースも作ればいいのにと言ってしまった結果で、…内緒にしてください。知られたらきっと大陸中の殿方が私を敵だと認識してしまいます」
「確かに、恐ろしい高級品ですからね。宝石以上の値が付いているのに手入れも必要で保管も特別でシミも落とし難いし 洗い方次第では風合いを損ねてしまいますからね。引っ掛けたら終わりですよ。
脅すわけではありませんが、メイドからも敵だと思われてしまいますよ。レース付きのハンカチ一枚でメイドのクビが簡単に飛ぶ値段なのに、彼女達が寿命の縮む思いで洗いますから。
メイドはそのハンカチを使って欲しくなくても、妻はここぞという茶会やパーティに持っていきますから」
「ふふっ 絶対内緒にしてください」
「分かっていますよ」
お父様と公爵令息に面識があるの!?
この女の家門にお父様が敬意をはらってる!?
信じられなかった。
「心よりお詫び申し上げます」
お父様が深々と頭を下げた。王弟で大公のお父様が伯爵令嬢に…
しかも私を“愚女”だなんて。
「正直驚きました。
大公女は祖国でも同じように振る舞われていたのでしょうか」
国王陛下の問いに お父様は私のことを話しだした。
「お恥ずかしながら、子供の頃に問題を起こして以来、ヴェアトリスは社交から身を引いております。従兄とは会えますし学園も通えましたが、やはり貴族社会はたとえ学園でも茶会やパーティなどの話が中心で、ヴェアトリスについていける話題ではありませんし、貴族達から嫌煙されてしまいました。
隣国に押し付けるという意味ではなく、今のヴェアトリスが友人を作ることができたらと留学をお願いしました。
それは間違っておりました。ご迷惑をお掛けしましたことを心よりお詫び申し上げます。
ウィロウ侯爵令嬢にもご迷惑をおかけしました。
未来の王子妃として娘を叱責してくださったと聞きました。ありがとうございました」
「私も水を掛けてしまいました」
「当然のことです」
お父様!?
なんで!なんで王弟のお父様が格下の貴族令嬢なんかに敬語を使って頭を下げるの!?
「ヒューゴ殿、お久しぶりです」
「お久しぶりですね、大公閣下」
「2年ぶりですね。公爵はご健勝でいらっしゃいますか」
「はい。お陰様で元気に仕事をしております」
「ヒューゴ殿はセルヴィー伯爵令嬢の友人だとか」
「はい。特別な友人です」
「本来ならジオ家とセルヴィー家の結び付きに警戒すべきところですが、ジオ家は陛下のご親戚、セルヴィー家は仕事が好きで権力に興味のない家門ですし、今回ご令嬢が忠臣と証明なさったようですので、王家としても喜ばしいことでしょう」
「そのように見ていただけるとは」
「確かにセルヴィー家は仕事熱心な一家だな。クリスティーナ嬢も発案したり王都の店舗を管理しているのだったよな?」
陛下が私を見ながら仰った。
どうして知っているの!?
「大したことはしておりません」
「色を作り出したり化粧品の概念を彼女が変えたと聞いているぞ。隠す化粧ではなく活かす化粧としてシリーズ化したのだよな?」
「は、はい」
「厚くなったり余計なものを付けたりして肌荒れを悪化させて、さらに厚く塗るという白いバケモノが紛れていたのに、今や肌を整え美しく健康的な肌を取り戻し笑顔になった女性が何人もいたな。
それにヒューゴの肌、見違えたぞ。治らない吹き出物に苦しんでいたのに今では美肌だ。実に素晴らしい」
「領民や従業員が毎日身を粉にして薬草などを育てて研究を重ねた結果です」
「もしかして、最近輸出が始まったシルクレースはセルヴィー嬢が?」
「大公様、そんな大したことではございません。特産の特級絹糸でレースも作ればいいのにと言ってしまった結果で、…内緒にしてください。知られたらきっと大陸中の殿方が私を敵だと認識してしまいます」
「確かに、恐ろしい高級品ですからね。宝石以上の値が付いているのに手入れも必要で保管も特別でシミも落とし難いし 洗い方次第では風合いを損ねてしまいますからね。引っ掛けたら終わりですよ。
脅すわけではありませんが、メイドからも敵だと思われてしまいますよ。レース付きのハンカチ一枚でメイドのクビが簡単に飛ぶ値段なのに、彼女達が寿命の縮む思いで洗いますから。
メイドはそのハンカチを使って欲しくなくても、妻はここぞという茶会やパーティに持っていきますから」
「ふふっ 絶対内緒にしてください」
「分かっていますよ」
お父様と公爵令息に面識があるの!?
この女の家門にお父様が敬意をはらってる!?
信じられなかった。
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