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東風荘
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祭りから三ヶ月。六月になりそろそろ七月になろうとしている梅雨の中、何故か冬弥の自宅で寛ぐお狐様が三匹。
まだまだやんちゃな秋彪。
どこか抜けているが頭のいい兄の玲。
冷徹冷静と自分で言っているが本当は誰よりも優しい那智。
祭りに来ていた客には見えていなかった様で、下宿屋に住む大学生と高校生には、親の急病にて里帰りと伝えてもらってある。
祭りの後、栞と雪翔に宛てた手紙にそのようにして欲しいと書いたので、那智達3人がたまにこうして集まり、社や下宿などを見ていてくれる。
「おーい、雪翔」
「あ、ただ今帰りました……」
「じゃねーだろ?ただいま!だろ?」
「はい、まだ慣れてなくて……」
「兄貴虐めるなよな。ごめんなぁ、こんな馬鹿でも俺の兄貴なんだ」
「いえそんなこと……」
そんな事言われても、まだまだなれない学校生活と、養子になって1週間ほどしか経っていない冬弥のことが気になり、今日新しく増築した家の完成と聞いてもあまり嬉しさがこみ上げてこなかった。
「お前がいつも帰ってくる時間は知ってたからな、一緒にお披露目式でもと思ってさ」
「棟梁、布とってくださーい」
バサッと掛けてあった布がとれ見えたのは、新しく増築した家。隣とかなり古さと新しさで違和感があると思ったが、うまく融合しているように見える。
今まで冬弥の寝室の前までしか無かった縁側が新しい家の方にも伸び、壁だったところと新しく出来た家の間には、小さな廊下とトイレに洗面。
部屋はふた間あり、一つは10畳ほどの洋室。
そこには今では当たり前のクローゼットがついており、濃いブラウンで統一され、壁には作り付けの本棚が壁一面につけられている。
隣の和室も八畳で、テレビに小さい冷蔵庫が置かれていて、テーブルは一枚木で作った特注だと棟梁が説明してくれた。
「一応傷とかおかしな部分があったら言ってくれ。すぐ直しに来る」
「あの、どうして隣の家と違和感がないんですか?」
「あぁ、壊す時に、いい木は使ってくれって言われててな、それで、新しいのも混ぜて母屋も補修したんだよ。だから、違和感がない!気に入ったか?」
「はい、とても!」
「良いなぁ。俺も欲しいなー。部屋」
「秋彪には社って家があるだろう?」
「まあね」
「雪翔、これを」
那智に封筒を渡され、中を見るとかなりの金額のお金が入っていたので、「い、要りません」と突き返してしまった。
表情があまり顔に出ないので、つい怖がってしまうが、本当はとても優しい人だと分かっている。
他の人よりもよく来てくれて、入学式にもスーツで栞さんと一緒に来てくれた。
それに、しーちゃんも怖がっていない。
「冬弥からの預かり物だから、受け取れ。中に手紙が入っている」
次はちゃんと受け取り手紙を読むと、また涙が出てしまう。
『雪翔へ
新しい家が完成したら、那智からこの手紙が渡されるようにお願いをしておきました。この手紙を雪翔が読んでいると言うことは、私はまだ帰れていないのでしょう。ちゃんとお父さんをすると言ったのに、入学式に行けなくてごめんなさい。
さて、同封のお金ですが、下宿屋に置いてある荷物を持って新しい家に来たらいいですが、備え付けのベッドと学習机なので、それは部屋に置いておいてください。
そのお金で足りると思うのですが、自分の好きなベッドと机、他に必要なものがあれが買いなさい。雪翔が本が好きなのは知っていたので、本棚もあるでしょう?余ったお金で沢山好きな本を買って読んだらいいですが、お友達もちゃんと作らないといけませんよ?
冬弥』
まだまだやんちゃな秋彪。
どこか抜けているが頭のいい兄の玲。
冷徹冷静と自分で言っているが本当は誰よりも優しい那智。
祭りに来ていた客には見えていなかった様で、下宿屋に住む大学生と高校生には、親の急病にて里帰りと伝えてもらってある。
祭りの後、栞と雪翔に宛てた手紙にそのようにして欲しいと書いたので、那智達3人がたまにこうして集まり、社や下宿などを見ていてくれる。
「おーい、雪翔」
「あ、ただ今帰りました……」
「じゃねーだろ?ただいま!だろ?」
「はい、まだ慣れてなくて……」
「兄貴虐めるなよな。ごめんなぁ、こんな馬鹿でも俺の兄貴なんだ」
「いえそんなこと……」
そんな事言われても、まだまだなれない学校生活と、養子になって1週間ほどしか経っていない冬弥のことが気になり、今日新しく増築した家の完成と聞いてもあまり嬉しさがこみ上げてこなかった。
「お前がいつも帰ってくる時間は知ってたからな、一緒にお披露目式でもと思ってさ」
「棟梁、布とってくださーい」
バサッと掛けてあった布がとれ見えたのは、新しく増築した家。隣とかなり古さと新しさで違和感があると思ったが、うまく融合しているように見える。
今まで冬弥の寝室の前までしか無かった縁側が新しい家の方にも伸び、壁だったところと新しく出来た家の間には、小さな廊下とトイレに洗面。
部屋はふた間あり、一つは10畳ほどの洋室。
そこには今では当たり前のクローゼットがついており、濃いブラウンで統一され、壁には作り付けの本棚が壁一面につけられている。
隣の和室も八畳で、テレビに小さい冷蔵庫が置かれていて、テーブルは一枚木で作った特注だと棟梁が説明してくれた。
「一応傷とかおかしな部分があったら言ってくれ。すぐ直しに来る」
「あの、どうして隣の家と違和感がないんですか?」
「あぁ、壊す時に、いい木は使ってくれって言われててな、それで、新しいのも混ぜて母屋も補修したんだよ。だから、違和感がない!気に入ったか?」
「はい、とても!」
「良いなぁ。俺も欲しいなー。部屋」
「秋彪には社って家があるだろう?」
「まあね」
「雪翔、これを」
那智に封筒を渡され、中を見るとかなりの金額のお金が入っていたので、「い、要りません」と突き返してしまった。
表情があまり顔に出ないので、つい怖がってしまうが、本当はとても優しい人だと分かっている。
他の人よりもよく来てくれて、入学式にもスーツで栞さんと一緒に来てくれた。
それに、しーちゃんも怖がっていない。
「冬弥からの預かり物だから、受け取れ。中に手紙が入っている」
次はちゃんと受け取り手紙を読むと、また涙が出てしまう。
『雪翔へ
新しい家が完成したら、那智からこの手紙が渡されるようにお願いをしておきました。この手紙を雪翔が読んでいると言うことは、私はまだ帰れていないのでしょう。ちゃんとお父さんをすると言ったのに、入学式に行けなくてごめんなさい。
さて、同封のお金ですが、下宿屋に置いてある荷物を持って新しい家に来たらいいですが、備え付けのベッドと学習机なので、それは部屋に置いておいてください。
そのお金で足りると思うのですが、自分の好きなベッドと机、他に必要なものがあれが買いなさい。雪翔が本が好きなのは知っていたので、本棚もあるでしょう?余ったお金で沢山好きな本を買って読んだらいいですが、お友達もちゃんと作らないといけませんよ?
冬弥』
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