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盛夏
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「雪翔君起きてる?」
昼過ぎに栞が部屋に来たので起きているといい部屋に通すと、裁判が近いからか祖父が来ていると言われリビングへと行く。
「雪翔、元気じゃったか?少し痩せたか?」
「うん、でもリハビリは行ってるよ」
「そうか、今回は婆さんが来れんかったから、儂一人で来たが、これを預かってきた」
重箱が目の前に置かれ、開けるとおにぎりや煮物、玉子焼きなどお弁当が作られていた。
「なんでわかったの?」
「手紙がきたからの。那智が孫を叩いてしまったと。それで食事もあまり取っていないと書いてあった」
「雪翔君、はいお茶。食べたら元気も出るわ」
「二段になってるじゃろう?儂も一緒に食べようと思ってこさえてもろうた」
箸を渡され、早く食べようと促されて煮物を食べるととても優しい味でつい泣いてしまった。
「僕……受け入れれてると思ってたのに、何も受け入れれてなかったんだ。だから那智さんにも当たっちゃって……」
「あやつもよく分かっておる。気にせんでもいいが、下宿の者に心配かけるのは関心せんのう?」
「うん……」
「ちゃんとご飯には顔を出しなさい。それだけでいい。ほれ、食べれるだけでいいから食べなさい」
食べたお弁当はとても美味しく、全部食べれたのを見て満足げに頭を撫でられた。
夜は囲炉裏の部屋で祖父と寝て、翌朝板の間に行ってみんなに「おはよう」と挨拶する。
夏休みのお盆はみんなが帰省すると言っていたのを思い出し、また時間を無駄にしてしまったと後悔する。
「みんな何日に帰るの?」
「俺は遠いから明日。今日会えなかったら部屋いくつもりだったよ」と海都が言うと、隆弘と賢司、堀内も合わせて明日にしたと言う。
帰ってくるのは20日~25日とバラバラだったが、堀内は仕事の都合で3日だけ帰るという。
宅配で米とか野菜送るからと隆弘と賢司が言うと、海都の所は漁業が盛んなので、帰る前の朝に送ると言われた。
「前の日って悪くならないの?」
「朝どれのやつを送ってくれるから着いても生きてると思う。去年も生きてたし」
「楽しみね」
「でも寂しくなるな……」
「ちょっとの間だよ。それに俺、新学期終わったらもう修学旅行だぞ?」
「どこに行くの?」
「毎年変わるよな?ビザとったのか?」
「え?」
「あの高校は海外だぞ?私立だし、入学の時に半分入金してるはずだけど」
「今年はなんと、イギリス!と言っても交換留学生とか来てるから、そこの学校にも行くんだって。旅行じゃないよなー」
「いいじゃないか、俺の時はハワイだぞ?」と隆弘が言うと、賢司も同じハワイだったと言い、堀内は項垂れて、「僕は 普通に北海道だった……」と言う。
「嘘?」
「本当だよ?海外が始まったのは僕の次の学年からだから、羨ましいよ。それに、海外に行ったことは一度もない!」
「北海道だったらスキー?」
「そう、それも1月に行ったから寒くてスキーどころじゃなかったよ」
「外国かぁ……英語できたら大抵大丈夫なんだよね?」
「雪翔……それは無理だ!本場じゃ伝わらないぞ?まずドライヤーって言葉がないからな?」
「は?」
「一度話すとゆっくり話してくれないし、習うのと全然違う。慣れてきた頃には帰国だからあまり意味は無い」
そこで撃沈してきたであろう賢司が言って、海都が青ざめる。
「俺、英語どころじゃないよ?イギリスだよ?それもさ、初のイギリスだからって、イギリス英語習わされたよ?英語とまた少し違うからって……俺無理かも……」
「でも、店とかは日常英語でも大丈夫だろ?」
「赤点ギリギリでも?」
「まぁ……頑張ってこい!」
「その前に実家に帰ったらまずコキ使われるから、それも憂鬱だよ」
「何処なの?実家って」
「福井県。親父はサラリーマンだけど、母ちゃんと、母ちゃんのお兄さん夫婦が農家でさ、兄貴は大学生。じいちゃんはまだ船乗って漁に出てるよ」
「なんだか大変そうだね……」
「朝は海、その後は畑手伝いだよ毎年!」
「じゃがその割には楽しそうじゃの?」
「うん、弟達にも会えるから」
「ご馳走様」と言って荷物をまとめてくると海都が言って部屋に行ったので、食べ終わってから薬を飲み、板の間でテレビを見る。
「栞さん、賢司さんに乗せてもらって荷物送ってくるー。買い物はいい?」
「大丈夫よ。気をつけてね」
みんな便乗して荷物を送るとなったらしく、二人が出ていったのを見届け、栞は帰らなくてもいいのかと聞く。
「考えてなかったわ……」
「みんな10日はいないんじゃろう?帰って顔を見せてやるといい」
「でも……」
「雪翔、あちらの儂の家にこんか?病院もその時はないんじゃろう?」
カレンダーを見て無いといい、薬もあるしどうしようと悩む。
「何、あちらにもこちらのものは大抵持ち込める。車椅子も大丈夫じゃ」
「迷惑にならないかな?」
「なるもんかね。栞さんも一緒に帰れば問題なかろう?」
「それなら」
「どうじゃ?一度来てゆっくりしてみんか?あちらでぼーっと過ごすのもいいかもしれんぞ?」
そう言われ行くことに決めてみんなに連絡をし、キャリーバッグに荷物と本を入れて準備する。
昼過ぎに栞が部屋に来たので起きているといい部屋に通すと、裁判が近いからか祖父が来ていると言われリビングへと行く。
「雪翔、元気じゃったか?少し痩せたか?」
「うん、でもリハビリは行ってるよ」
「そうか、今回は婆さんが来れんかったから、儂一人で来たが、これを預かってきた」
重箱が目の前に置かれ、開けるとおにぎりや煮物、玉子焼きなどお弁当が作られていた。
「なんでわかったの?」
「手紙がきたからの。那智が孫を叩いてしまったと。それで食事もあまり取っていないと書いてあった」
「雪翔君、はいお茶。食べたら元気も出るわ」
「二段になってるじゃろう?儂も一緒に食べようと思ってこさえてもろうた」
箸を渡され、早く食べようと促されて煮物を食べるととても優しい味でつい泣いてしまった。
「僕……受け入れれてると思ってたのに、何も受け入れれてなかったんだ。だから那智さんにも当たっちゃって……」
「あやつもよく分かっておる。気にせんでもいいが、下宿の者に心配かけるのは関心せんのう?」
「うん……」
「ちゃんとご飯には顔を出しなさい。それだけでいい。ほれ、食べれるだけでいいから食べなさい」
食べたお弁当はとても美味しく、全部食べれたのを見て満足げに頭を撫でられた。
夜は囲炉裏の部屋で祖父と寝て、翌朝板の間に行ってみんなに「おはよう」と挨拶する。
夏休みのお盆はみんなが帰省すると言っていたのを思い出し、また時間を無駄にしてしまったと後悔する。
「みんな何日に帰るの?」
「俺は遠いから明日。今日会えなかったら部屋いくつもりだったよ」と海都が言うと、隆弘と賢司、堀内も合わせて明日にしたと言う。
帰ってくるのは20日~25日とバラバラだったが、堀内は仕事の都合で3日だけ帰るという。
宅配で米とか野菜送るからと隆弘と賢司が言うと、海都の所は漁業が盛んなので、帰る前の朝に送ると言われた。
「前の日って悪くならないの?」
「朝どれのやつを送ってくれるから着いても生きてると思う。去年も生きてたし」
「楽しみね」
「でも寂しくなるな……」
「ちょっとの間だよ。それに俺、新学期終わったらもう修学旅行だぞ?」
「どこに行くの?」
「毎年変わるよな?ビザとったのか?」
「え?」
「あの高校は海外だぞ?私立だし、入学の時に半分入金してるはずだけど」
「今年はなんと、イギリス!と言っても交換留学生とか来てるから、そこの学校にも行くんだって。旅行じゃないよなー」
「いいじゃないか、俺の時はハワイだぞ?」と隆弘が言うと、賢司も同じハワイだったと言い、堀内は項垂れて、「僕は 普通に北海道だった……」と言う。
「嘘?」
「本当だよ?海外が始まったのは僕の次の学年からだから、羨ましいよ。それに、海外に行ったことは一度もない!」
「北海道だったらスキー?」
「そう、それも1月に行ったから寒くてスキーどころじゃなかったよ」
「外国かぁ……英語できたら大抵大丈夫なんだよね?」
「雪翔……それは無理だ!本場じゃ伝わらないぞ?まずドライヤーって言葉がないからな?」
「は?」
「一度話すとゆっくり話してくれないし、習うのと全然違う。慣れてきた頃には帰国だからあまり意味は無い」
そこで撃沈してきたであろう賢司が言って、海都が青ざめる。
「俺、英語どころじゃないよ?イギリスだよ?それもさ、初のイギリスだからって、イギリス英語習わされたよ?英語とまた少し違うからって……俺無理かも……」
「でも、店とかは日常英語でも大丈夫だろ?」
「赤点ギリギリでも?」
「まぁ……頑張ってこい!」
「その前に実家に帰ったらまずコキ使われるから、それも憂鬱だよ」
「何処なの?実家って」
「福井県。親父はサラリーマンだけど、母ちゃんと、母ちゃんのお兄さん夫婦が農家でさ、兄貴は大学生。じいちゃんはまだ船乗って漁に出てるよ」
「なんだか大変そうだね……」
「朝は海、その後は畑手伝いだよ毎年!」
「じゃがその割には楽しそうじゃの?」
「うん、弟達にも会えるから」
「ご馳走様」と言って荷物をまとめてくると海都が言って部屋に行ったので、食べ終わってから薬を飲み、板の間でテレビを見る。
「栞さん、賢司さんに乗せてもらって荷物送ってくるー。買い物はいい?」
「大丈夫よ。気をつけてね」
みんな便乗して荷物を送るとなったらしく、二人が出ていったのを見届け、栞は帰らなくてもいいのかと聞く。
「考えてなかったわ……」
「みんな10日はいないんじゃろう?帰って顔を見せてやるといい」
「でも……」
「雪翔、あちらの儂の家にこんか?病院もその時はないんじゃろう?」
カレンダーを見て無いといい、薬もあるしどうしようと悩む。
「何、あちらにもこちらのものは大抵持ち込める。車椅子も大丈夫じゃ」
「迷惑にならないかな?」
「なるもんかね。栞さんも一緒に帰れば問題なかろう?」
「それなら」
「どうじゃ?一度来てゆっくりしてみんか?あちらでぼーっと過ごすのもいいかもしれんぞ?」
そう言われ行くことに決めてみんなに連絡をし、キャリーバッグに荷物と本を入れて準備する。
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