82 / 102
全ての始まりと終わり
.
しおりを挟む
「どうしたんですか?」
「なに、すぐに帰るんじゃよ。役所仕事が回ってきて、京弥の代わりにお使いじゃ」
「びっくりした……」
「夕飯一人分増えましたねぇ」
「そう言うな。それと、お前にも預かりものじゃ」と風呂敷を渡している。
「誰からですか?」
「昴じゃ。儂の弟子みたいなもんだから、聞いてやらんとのぅ」
「本じゃないですよね?」
「こちらにいるもののリストと言えばわかると言っておった。仙もいまは動きにくいらしくてな、代わりにお前がやれと言っておったぞ?」
「またこれですか……終わったら使いを出します」
「ご飯食べたら帰るの?」
「今回はな。またゆっくり来る」
「あのね、僕学校に行けるんだよ!」
「ほう、それは良かったのぅ。しっかりと勉強せねばな」
「うん」
四人で下宿まで戻ると宅配の人がちょうど来て、受け取りのサインをしてからみんなで中に運ぶ。
「誰から?」
「隆弘と賢司の家からです。米と根菜類ですね……嬉しいんですけど重くて……」
そう言いながらもパンパンの袋二つを片手で持ち、玄関を開けて中に運んでいる。
「力持ち……」
「儂もそのくらいは昔ならできたが、今はやめておこうかの」と小さい箱の方を持って中に行く。
「栞さん、海都君が何か送ってくれるって言ってたよね?」
「明日あたりじゃないかしら?また賑やかになるわね」
「うん」
「じゃあ、明後日はみんな揃うから夕飯は何にしようかしら……」
「これからも栞さんが作るの?」
「基本は冬弥様でしょうけど、私もいつも通りに手伝うわよ?」
中に入って薬を飲んでから、買ってもらったカバンの中に那智から貰ったお守りを付ける。
頓服と薬をポーチに入れて見るとピッタリだったので、一旦出して袋に戻し祖父のところへと行く。
「お爺ちゃん!」
「おお、寝てなくて良いのか?」
「うん」
「寝てなさい……」
「だって……」
「おじいちゃんは逃げませんよ?夕餉も一緒に食べますし、私が直接ここの社からあちらの家の社につなげるので帰りも楽ですから、ゆっくり出来ます」
「本当に?」
「本当じゃ。ほれ、涼しい部屋で休んでおいで」
「はーい」
いつも通りまたしっかりと寝てしまい、慌てて起きる。
「なんで起こしてくれないの?」
「だってよく寝てたんですもの」
「これから僕、昼寝しない!」
「何でじゃ?」
「学校には昼寝の時間がないから……」
「それもそうですよねぇ。明日、お医者さんにそのあたりも相談しましょうか」
「薬なくなったらいいのになぁ」
「まだまだ治るまでは無理ですよ」とまた撫で撫でされる。
自分も手伝うと台に行き、作るものを聞いて冷蔵庫から、もやしとカイワレを出す。
伸ばした豚バラに塩コショウを軽く振り、もやしとカイワレをたっぷりと置いてくるくると巻いていく。ひとり三つとして12個作り、蒸し焼きにしてから、大根おろしの醤油ベースのドレッシングをかけて出来上がり。
中に人参を入れても美味しく、何度か作っていたので最近は色々な野菜を巻いて試していた。
「いいですねぇ、カイワレですか?これは初めてです」
「色々と試してたんだよ。以外に美味しかったし、冷蔵庫にあったから使ったけど」
「良いですよ。カイワレはすぐに出来てくるので困りませんからねぇ」
「あのね、上にチーズ乗せて蒸し焼きしても美味しかった!」
「今度のお楽しみにしましょうか」
「なに、すぐに帰るんじゃよ。役所仕事が回ってきて、京弥の代わりにお使いじゃ」
「びっくりした……」
「夕飯一人分増えましたねぇ」
「そう言うな。それと、お前にも預かりものじゃ」と風呂敷を渡している。
「誰からですか?」
「昴じゃ。儂の弟子みたいなもんだから、聞いてやらんとのぅ」
「本じゃないですよね?」
「こちらにいるもののリストと言えばわかると言っておった。仙もいまは動きにくいらしくてな、代わりにお前がやれと言っておったぞ?」
「またこれですか……終わったら使いを出します」
「ご飯食べたら帰るの?」
「今回はな。またゆっくり来る」
「あのね、僕学校に行けるんだよ!」
「ほう、それは良かったのぅ。しっかりと勉強せねばな」
「うん」
四人で下宿まで戻ると宅配の人がちょうど来て、受け取りのサインをしてからみんなで中に運ぶ。
「誰から?」
「隆弘と賢司の家からです。米と根菜類ですね……嬉しいんですけど重くて……」
そう言いながらもパンパンの袋二つを片手で持ち、玄関を開けて中に運んでいる。
「力持ち……」
「儂もそのくらいは昔ならできたが、今はやめておこうかの」と小さい箱の方を持って中に行く。
「栞さん、海都君が何か送ってくれるって言ってたよね?」
「明日あたりじゃないかしら?また賑やかになるわね」
「うん」
「じゃあ、明後日はみんな揃うから夕飯は何にしようかしら……」
「これからも栞さんが作るの?」
「基本は冬弥様でしょうけど、私もいつも通りに手伝うわよ?」
中に入って薬を飲んでから、買ってもらったカバンの中に那智から貰ったお守りを付ける。
頓服と薬をポーチに入れて見るとピッタリだったので、一旦出して袋に戻し祖父のところへと行く。
「お爺ちゃん!」
「おお、寝てなくて良いのか?」
「うん」
「寝てなさい……」
「だって……」
「おじいちゃんは逃げませんよ?夕餉も一緒に食べますし、私が直接ここの社からあちらの家の社につなげるので帰りも楽ですから、ゆっくり出来ます」
「本当に?」
「本当じゃ。ほれ、涼しい部屋で休んでおいで」
「はーい」
いつも通りまたしっかりと寝てしまい、慌てて起きる。
「なんで起こしてくれないの?」
「だってよく寝てたんですもの」
「これから僕、昼寝しない!」
「何でじゃ?」
「学校には昼寝の時間がないから……」
「それもそうですよねぇ。明日、お医者さんにそのあたりも相談しましょうか」
「薬なくなったらいいのになぁ」
「まだまだ治るまでは無理ですよ」とまた撫で撫でされる。
自分も手伝うと台に行き、作るものを聞いて冷蔵庫から、もやしとカイワレを出す。
伸ばした豚バラに塩コショウを軽く振り、もやしとカイワレをたっぷりと置いてくるくると巻いていく。ひとり三つとして12個作り、蒸し焼きにしてから、大根おろしの醤油ベースのドレッシングをかけて出来上がり。
中に人参を入れても美味しく、何度か作っていたので最近は色々な野菜を巻いて試していた。
「いいですねぇ、カイワレですか?これは初めてです」
「色々と試してたんだよ。以外に美味しかったし、冷蔵庫にあったから使ったけど」
「良いですよ。カイワレはすぐに出来てくるので困りませんからねぇ」
「あのね、上にチーズ乗せて蒸し焼きしても美味しかった!」
「今度のお楽しみにしましょうか」
0
あなたにおすすめの小説
辺境のスローライフを満喫したいのに、料理が絶品すぎて冷酷騎士団長に囲い込まれました
腐ったバナナ
恋愛
異世界に転移した元会社員のミサキは、現代の調味料と調理技術というチート能力を駆使し、辺境の森で誰にも邪魔されない静かなスローライフを送ることを目指していた。
しかし、彼女の作る絶品の料理の香りは、辺境を守る冷酷な「鉄血」騎士団長ガイウスを引き寄せてしまった。
神様の忘れ物
mizuno sei
ファンタジー
仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。
わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。
【12月末日公開終了】有能女官の赴任先は辺境伯領
たぬきち25番
恋愛
辺境伯領の当主が他界。代わりに領主になったのは元騎士団の隊長ギルベルト(26)
ずっと騎士団に在籍して領のことなど右も左もわからない。
そのため新しい辺境伯様は帳簿も書類も不備ばかり。しかも辺境伯領は王国の端なので修正も大変。
そこで仕事を終わらせるために、腕っぷしに定評のあるギリギリ貴族の男爵出身の女官ライラ(18)が辺境伯領に出向くことになった。
だがそこでライラを待っていたのは、元騎士とは思えないほどつかみどころのない辺境伯様と、前辺境伯夫妻の忘れ形見の3人のこどもたち(14歳男子、9歳男子、6歳女子)だった。
仕事のわからない辺境伯を助けながら、こどもたちの生活を助けたり、魔物を倒したり!?
そしていつしか、ライラと辺境伯やこどもたちとの関係が変わっていく……
※お待たせしました。
※他サイト様にも掲載中
冷徹宰相様の嫁探し
菱沼あゆ
ファンタジー
あまり裕福でない公爵家の次女、マレーヌは、ある日突然、第一王子エヴァンの正妃となるよう、申し渡される。
その知らせを持って来たのは、若き宰相アルベルトだったが。
マレーヌは思う。
いやいやいやっ。
私が好きなのは、王子様じゃなくてあなたの方なんですけど~っ!?
実家が無害そう、という理由で王子の妃に選ばれたマレーヌと、冷徹宰相の恋物語。
(「小説家になろう」でも公開しています)
そのご寵愛、理由が分かりません
秋月真鳥
恋愛
貧乏子爵家の長女、レイシーは刺繍で家計を支える庶民派令嬢。
幼いころから前世の夢を見ていて、その技術を活かして地道に慎ましく生きていくつもりだったのに——
「君との婚約はなかったことに」
卒業パーティーで、婚約者が突然の裏切り!
え? 政略結婚しなくていいの? ラッキー!
領地に帰ってスローライフしよう!
そう思っていたのに、皇帝陛下が現れて——
「婚約破棄されたのなら、わたしが求婚してもいいよね?」
……は???
お金持ちどころか、国ごと背負ってる人が、なんでわたくしに!?
刺繍を褒められ、皇宮に連れて行かれ、気づけば妃教育まで始まり——
気高く冷静な陛下が、なぜかわたくしにだけ甘い。
でもその瞳、どこか昔、夢で見た“あの少年”に似ていて……?
夢と現実が交差する、とんでもスピード婚約ラブストーリー!
理由は分からないけど——わたくし、寵愛されてます。
※毎朝6時、夕方18時更新!
※他のサイトにも掲載しています。
【完結】以上をもちまして、終了とさせていただきます
楽歩
恋愛
異世界から王宮に現れたという“女神の使徒”サラ。公爵令嬢のルシアーナの婚約者である王太子は、簡単に心奪われた。
伝承に語られる“女神の使徒”は時代ごとに現れ、国に奇跡をもたらす存在と言われている。婚約解消を告げる王、口々にルシアーナの処遇を言い合う重臣。
そんな混乱の中、ルシアーナは冷静に状況を見据えていた。
「王妃教育には、国の内部機密が含まれている。君がそれを知ったまま他家に嫁ぐことは……困難だ。女神アウレリア様を祀る神殿にて、王家の監視のもと、一生を女神に仕えて過ごすことになる」
神殿に閉じ込められて一生を過ごす? 冗談じゃないわ。
「お話はもうよろしいかしら?」
王族や重臣たち、誰もが自分の思惑通りに動くと考えている中で、ルシアーナは静かに、己の存在感を突きつける。
※39話、約9万字で完結予定です。最後までお付き合いいただけると嬉しいですm(__)m
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる