37 / 67
4 舞踏会の夜
4ー6 舞踏会
しおりを挟む
4ー6 舞踏会
こうしてなんとか3日間の魔法演習会が終了した。
ラナン殿下とディナは、魔法演習で優秀賞をもらった。
それというのもディナの炎の演舞とラナン殿下の光の魔法が素晴らしく美しかったからだ。
俺とサハード公爵とサフィラス王太子殿下も少しだけ露店を閉めて見物にいったんだが、2人とも堂々としてて見ごたえがあった。
露店は、ラナン殿下とディナという働き手が抜けたが、サフィラス王太子殿下とサハード公爵のおかげでなんとかなった。
というか。
2人のイケメンに女子は、沸いていた。
さすがに王太子殿下と魔族の公爵に話しかけてくる女子は、少なかったがみな、ちらちらと2人をうかがっていたし!
俺は、というと店の奥から出してもらえなかった。
もちろん調理が忙しかったこともあるが、サハード公爵が接客は任せるように主張したのだ。
おかげで俺は、かわいい女の子と知り合う機会もなくて。
3日目の舞踏会には、参加するのをやめようかなと思っていたのだが、朝、俺の部屋に赤い美しい花の花束と一緒に贈り物の箱が届いた。
それは、サハード公爵からだった。
箱の中身は、紺色の礼服に赤いネクタイが合わされたものでその意味は、俺にもすぐに理解できた。
これを着てサハード公爵と舞踏会に出席することは、俺たちの仲むつまじさを強調することだ。
国のためにはいいことだが、俺の気持ちは複雑だった。
「ここまでされたら断れないのでは?」
ディナに言われなくても俺にもわかっていた。
俺とサハード公爵の婚約は、俺たち個人の問題ではないのだ。
魔王国とアリオスト王国の問題。
国と国の問題なのだ。
俺は、諦めて贈られた衣装を身に付けた。
ディナが俺の髪をとかして左右を編み込んで後ろで赤いリボンをつけた。
「もう、諦められますか?シャル様」
ディナに問われて俺は、口ごもる。
もう、抗えない。
だが。
俺は、まだ、諦めてはいないのだ!
いくら国同士の約束でも、サハード公爵が婚約破棄してくれればなんとかなるのでは?
俺は、サハード公爵に婚約破棄してくれるようにお願いすることにした。
今夜。
舞踏会の夜に、思いきってサハード公爵に全てを話す。
俺が婚約を破棄してもらいたいと思っていることを!
夕方。
白色の礼服に身を包み青いタイをしたサハード公爵が迎えにきて俺は、舞踏会へと向かった。
ディナは、ラナン殿下をエスコートすることになったようだ。
なかなかお似合いの2人に俺は、驚いていた。
きっと、俺は、男同士のカップルが嫌なんじゃなくて、俺が男とカップルになるのが嫌なんだろうな。
それは、きっと前世の記憶のせいかもしれない。
だって、今生では、男同士のカップルもそんなに珍しくはないし。
だからこそ、俺がサハード公爵の婚約者に選ばれたのだから。
こうしてなんとか3日間の魔法演習会が終了した。
ラナン殿下とディナは、魔法演習で優秀賞をもらった。
それというのもディナの炎の演舞とラナン殿下の光の魔法が素晴らしく美しかったからだ。
俺とサハード公爵とサフィラス王太子殿下も少しだけ露店を閉めて見物にいったんだが、2人とも堂々としてて見ごたえがあった。
露店は、ラナン殿下とディナという働き手が抜けたが、サフィラス王太子殿下とサハード公爵のおかげでなんとかなった。
というか。
2人のイケメンに女子は、沸いていた。
さすがに王太子殿下と魔族の公爵に話しかけてくる女子は、少なかったがみな、ちらちらと2人をうかがっていたし!
俺は、というと店の奥から出してもらえなかった。
もちろん調理が忙しかったこともあるが、サハード公爵が接客は任せるように主張したのだ。
おかげで俺は、かわいい女の子と知り合う機会もなくて。
3日目の舞踏会には、参加するのをやめようかなと思っていたのだが、朝、俺の部屋に赤い美しい花の花束と一緒に贈り物の箱が届いた。
それは、サハード公爵からだった。
箱の中身は、紺色の礼服に赤いネクタイが合わされたものでその意味は、俺にもすぐに理解できた。
これを着てサハード公爵と舞踏会に出席することは、俺たちの仲むつまじさを強調することだ。
国のためにはいいことだが、俺の気持ちは複雑だった。
「ここまでされたら断れないのでは?」
ディナに言われなくても俺にもわかっていた。
俺とサハード公爵の婚約は、俺たち個人の問題ではないのだ。
魔王国とアリオスト王国の問題。
国と国の問題なのだ。
俺は、諦めて贈られた衣装を身に付けた。
ディナが俺の髪をとかして左右を編み込んで後ろで赤いリボンをつけた。
「もう、諦められますか?シャル様」
ディナに問われて俺は、口ごもる。
もう、抗えない。
だが。
俺は、まだ、諦めてはいないのだ!
いくら国同士の約束でも、サハード公爵が婚約破棄してくれればなんとかなるのでは?
俺は、サハード公爵に婚約破棄してくれるようにお願いすることにした。
今夜。
舞踏会の夜に、思いきってサハード公爵に全てを話す。
俺が婚約を破棄してもらいたいと思っていることを!
夕方。
白色の礼服に身を包み青いタイをしたサハード公爵が迎えにきて俺は、舞踏会へと向かった。
ディナは、ラナン殿下をエスコートすることになったようだ。
なかなかお似合いの2人に俺は、驚いていた。
きっと、俺は、男同士のカップルが嫌なんじゃなくて、俺が男とカップルになるのが嫌なんだろうな。
それは、きっと前世の記憶のせいかもしれない。
だって、今生では、男同士のカップルもそんなに珍しくはないし。
だからこそ、俺がサハード公爵の婚約者に選ばれたのだから。
91
あなたにおすすめの小説
【新版】転生悪役モブは溺愛されんでいいので死にたくない!
煮卵
BL
ゲーム会社に勤めていた俺はゲームの世界の『婚約破棄』イベントの混乱で殺されてしまうモブに転生した。
処刑の原因となる婚約破棄を避けるべく王子に友人として接近。
なんか数ヶ月おきに繰り返される「恋人や出会いのためのお祭り」をできる限り第二皇子と過ごし、
婚約破棄の原因となる主人公と出会うきっかけを徹底的に排除する。
最近では監視をつけるまでもなくいつも一緒にいたいと言い出すようになった・・・
やんごとなき血筋のハンサムな王子様を淑女たちから遠ざけ男の俺とばかり過ごすように
仕向けるのはちょっと申し訳ない気もしたが、俺の運命のためだ。仕方あるまい。
クレバーな立ち振る舞いにより、俺の死亡フラグは完全に回避された・・・
と思ったら、婚約の儀の当日、「私には思い人がいるのです」
と言いやがる!一体誰だ!?
その日の夜、俺はゲームの告白イベントがある薔薇園に呼び出されて・・・
ーーーーーーーー
この作品は以前投稿した「転生悪役モブは溺愛されんで良いので死にたくない!」に
加筆修正を加えたものです。
リュシアンの転生前の設定や主人公二人の出会いのシーンを追加し、
あまり描けていなかったキャラクターのシーンを追加しています。
展開が少し変わっていますので新しい小説として投稿しています。
続編出ました
転生悪役令嬢は溺愛されんでいいので推しカプを見守りたい! https://www.alphapolis.co.jp/novel/687110240/826989668
ーーーー
校正・文体の調整に生成AIを利用しています。
婚約破棄されてヤケになって戦に乱入したら、英雄にされた上に美人で可愛い嫁ができました。
零壱
BL
自己肯定感ゼロ×圧倒的王太子───美形スパダリ同士の成長と恋のファンタジーBL。
鎖国国家クルシュの第三王子アースィムは、結婚式目前にして長年の婚約を一方的に破棄される。
ヤケになり、賑やかな幼馴染み達を引き連れ無関係の戦場に乗り込んだ結果───何故か英雄に祭り上げられ、なぜか嫁(男)まで手に入れてしまう。
「自分なんかがこんなどちゃくそ美人(男)を……」と悩むアースィム(攻)と、
「この私に不満があるのか」と詰め寄る王太子セオドア(受)。
互いを想い合う二人が紡ぐ、恋と成長の物語。
他にも幼馴染み達の一抹の寂寥を切り取った短篇や、
両想いなのに攻めの鈍感さで拗れる二人の恋を含む全四篇。
フッと笑えて、ギュッと胸が詰まる。
丁寧に読みたい、大人のためのファンタジーBL。
他サイトでも公開しております。
この俺が正ヒロインとして殿方に求愛されるわけがない!
ゆずまめ鯉
BL
五歳の頃の授業中、頭に衝撃を受けたことから、自分が、前世の妹が遊んでいた乙女ゲームの世界にいることに気づいてしまったニエル・ガルフィオン。
ニエルの外見はどこからどう見ても金髪碧眼の美少年。しかもヒロインとはくっつかないモブキャラだったので、伯爵家次男として悠々自適に暮らそうとしていた。
これなら異性にもモテると信じて疑わなかった。
ところが、正ヒロインであるイリーナと結ばれるはずのチート級メインキャラであるユージン・アイアンズが熱心に構うのは、モブで攻略対象外のニエルで……!?
ユージン・アイアンズ(19)×ニエル・ガルフィオン(19)
公爵家嫡男と伯爵家次男の同い年BLです。
黒豚神子の異世界溺愛ライフ
零壱
BL
───マンホールに落ちたら、黒豚になりました。
女神様のやらかしで黒豚神子として異世界に転移したリル(♂)は、平和な場所で美貌の婚約者(♂)にやたらめったら溺愛されつつ、異世界をのほほんと満喫中。
女神とか神子とか、色々考えるのめんどくさい。
ところでこの婚約者、豚が好きなの?どうかしてるね?という、せっかくの異世界転移を台無しにしたり、ちょっと我に返ってみたり。
主人公、基本ポジティブです。
黒豚が攻めです。
黒豚が、攻めです。
ラブコメ。ほのぼの。ちょびっとシリアス。
全三話予定。→全四話になりました。
【完結済】虚な森の主と、世界から逃げた僕〜転生したら甘すぎる独占欲に囚われました〜
キノア9g
BL
「貴族の僕が異世界で出会ったのは、愛が重すぎる“森の主”でした。」
平凡なサラリーマンだった蓮は、気づけばひ弱で美しい貴族の青年として異世界に転生していた。しかし、待ち受けていたのは窮屈な貴族社会と、政略結婚という重すぎる現実。
そんな日常から逃げ出すように迷い込んだ「禁忌の森」で、蓮が出会ったのは──全てが虚ろで無感情な“森の主”ゼルフィードだった。
彼の周囲は生命を吸い尽くし、あらゆるものを枯らすという。だけど、蓮だけはなぜかゼルフィードの影響を受けない、唯一の存在。
「お前だけが、俺の世界に色をくれた」
蓮の存在が、ゼルフィードにとってかけがえのない「特異点」だと気づいた瞬間、無感情だった主の瞳に、激しいまでの独占欲と溺愛が宿る。
甘く、そしてどこまでも深い溺愛に包まれる、異世界ファンタジー
婚約破棄された公爵令嬢アンジェはスキルひきこもりで、ざまあする!BLミッションをクリアするまで出られない空間で王子と側近のBL生活が始まる!
山田 バルス
BL
婚約破棄とスキル「ひきこもり」―二人だけの世界・BLバージョン!?
春の陽光の中、ベル=ナドッテ魔術学院の卒業式は華やかに幕を開けた。だが祝福の拍手を突き破るように、第二王子アーノルド=トロンハイムの声が講堂に響く。
「アンジェ=オスロベルゲン公爵令嬢。お前との婚約を破棄する!」
ざわめく生徒たち。銀髪の令嬢アンジェが静かに問い返す。
「理由を、うかがっても?」
「お前のスキルが“ひきこもり”だからだ! 怠け者の能力など王妃にはふさわしくない!」
隣で男爵令嬢アルタが嬉しげに王子の腕に絡みつき、挑発するように笑った。
「ひきこもりなんて、みっともないスキルですわね」
その一言に、アンジェの瞳が凛と光る。
「“ひきこもり”は、かつて帝国を滅ぼした力。あなたが望むなら……体験していただきましょう」
彼女が手を掲げた瞬間、白光が弾け――王子と宰相家の青年モルデ=リレハンメルの姿が消えた。
◇ ◇ ◇
目を開けた二人の前に広がっていたのは、真っ白な円形の部屋。ベッドが一つ、机が二つ。壁のモニターには、奇妙な文字が浮かんでいた。
『スキル《ひきこもり》へようこそ。二人だけの世界――BLバージョン♡』
「……は?」「……え?」
凍りつく二人。ドアはどこにも通じず、完全な密室。やがてモニターが再び光る。
『第一ミッション:以下のセリフを言ってキスをしてください。
アーノルド「モルデ、お前を愛している」
モルデ「ボクもお慕いしています」』
「き、キス!?」「アンジェ、正気か!?」
空腹を感じ始めた二人に、さらに追い打ち。
『成功すれば豪華ディナーをプレゼント♡』
ステーキとワインの映像に喉を鳴らし、ついに王子が観念する。
「……モルデ、お前を……愛している」
「……ボクも、アーノルド王子をお慕いしています」
顔を寄せた瞬間――ピコンッ!
『ミッション達成♡ おめでとうございます!』
テーブルに豪華な料理が現れるが、二人は真っ赤になったまま沈黙。
「……なんか負けた気がする」「……同感です」
モニターの隅では、紅茶を片手に微笑むアンジェの姿が。
『スキル《ひきこもり》――強制的に二人きりの世界を生成。解除条件は全ミッション制覇♡』
王子は頭を抱えて叫ぶ。
「アンジェぇぇぇぇぇっ!!」
天井スピーカーから甘い声が響いた。
『次のミッション、準備中です♡』
こうして、トロンハイム王国史上もっとも恥ずかしい“ひきこもり事件”が幕を開けた――。
俺が王太子殿下の専属護衛騎士になるまでの話。
黒茶
BL
超鈍感すぎる真面目男子×謎多き親友の異世界ファンタジーBL。
※このお話だけでも読める内容ですが、
同じくアルファポリスさんで公開しております
「乙女ゲームの難関攻略対象をたぶらかしてみた結果。」
と合わせて読んでいただけると、
10倍くらい楽しんでいただけると思います。
同じ世界のお話で、登場人物も一部再登場したりします。
魔法と剣で戦う世界のお話。
幼い頃から王太子殿下の専属護衛騎士になるのが夢のラルフだが、
魔法の名門の家系でありながら魔法の才能がイマイチで、
家族にはバカにされるのがイヤで夢のことを言いだせずにいた。
魔法騎士になるために魔法騎士学院に入学して出会ったエルに、
「魔法より剣のほうが才能あるんじゃない?」と言われ、
二人で剣の特訓を始めたが、
その頃から自分の身体(主に心臓あたり)に異変が現れ始め・・・
これは病気か!?
持病があっても騎士団に入団できるのか!?
と不安になるラルフ。
ラルフは無事に専属護衛騎士になれるのか!?
ツッコミどころの多い攻めと、
謎が多いながらもそんなラルフと一緒にいてくれる頼りになる受けの
異世界ラブコメBLです。
健全な全年齢です。笑
マンガに換算したら全一巻くらいの短めのお話なのでさくっと読めると思います。
よろしくお願いします!
【本編完結】最強魔導騎士は、騎士団長に頭を撫でて欲しい【番外編あり】
ゆらり
BL
帝国の侵略から国境を守る、レゲムアーク皇国第一魔導騎士団の駐屯地に派遣された、新人の魔導騎士ネウクレア。
着任当日に勃発した砲撃防衛戦で、彼は敵の砲撃部隊を単独で壊滅に追いやった。
凄まじい能力を持つ彼を部下として迎え入れた騎士団長セディウスは、研究機関育ちであるネウクレアの独特な言動に戸惑いながらも、全身鎧の下に隠された……どこか歪ではあるが、純粋無垢であどけない姿に触れたことで、彼に対して強い庇護欲を抱いてしまう。
撫でて、抱きしめて、甘やかしたい。
帝国との全面戦争が迫るなか、ネウクレアへの深い想いと、皇国の守護者たる騎士としての責務の間で、セディウスは葛藤する。
独身なのに父性強めな騎士団長×不憫な生い立ちで情緒薄めな甘えたがり魔導騎士+仲が良すぎる副官コンビ。
甘いだけじゃない、骨太文体でお送りする軍記物BL小説です。番外は日常エピソード中心。ややダーク・ファンタジー寄り。
※ぼかしなし、本当の意味で全年齢向け。
★お気に入りやいいね、エールをありがとうございます! お気に召しましたらぜひポチリとお願いします。凄く励みになります!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる