野良は拾っちゃいけません~溺愛王子とヤンキー子羊~

トモモト ヨシユキ

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21 愛する野良たち

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     スタジオの中は、しんと静まり返っていた。
   あれは、誰の声だ?
   俺は、飛びかけた意識で考えていた。
   あれは。
   低く、すすり泣く声が聞こえる。
   「・・あっ!・・はっ・・」
    「気づいたか?しっかりしてくれよ、コグ」
   西条の声に、俺は、穴という穴から液体を垂れ流しながら、奴の方を見上げた。涙や、唾液でぐしゃぐしゃになった俺の顔を覗き込んで、西条が不気味に笑っているのを、俺は、遠くに見つめていた。
    西条は、言った。
  「この程度の責めで失神なんてないよな、コグ。もっと、お前は、俺を楽しませてくれるんだろう?」
   「あっ・・んぅっ・・さ、いじょ・・」
   西条が俺の後孔へと手を伸ばし、そこで唸りをあげているものをずるりと抜き出し、そして、また、押し込んだ。俺は、堪らず、何回目かの絶頂を極めていた。だが、俺の前は、紐で根本をきつく縛られ、その先端からは、銀色に輝く細い棒を尿道へと入れられていて吐精することは、かなわなかった。
     俺は、蜜口からとろとろと透明な液体を漏らして、低く啜り哭いていた。
   「まったく、あの刈谷の連中は、嫌な奴等だな。あの連中とあのガキのせいで、俺の名に傷がついた。せめて、あいつらのペットになってるお前を貰うぐらいかまわないよなぁ、コグ」
       「あっ・・お、れは、かりやのペット、なんか・・じゃ・・」
   俺は、乱れた呼吸の中で、なんとか、西条を睨み付けて言った。
   「こ、んなこと、して、も・・ムダ、だから、な」
   「いきっぱなしのくせに、まだ、そんな口がきけるのか、コグ」
    西条が俺のそそり立った前へと突き刺さっている銀の棒へと触れ、それをぐりぐりっと掻き回す。頭の奥までぴりぴりくるような痛みと快感が俺の体を貫き、俺は、びくん、と爆ぜた。
   「ひぁっ!・・あっあぁっ!やっ!」
   哭き狂う俺を満足げに笑って見ている西条の姿が、涙に滲んでいく。
   西条は、俺の耳元で言った。
   「俺のとこに戻ると言え、コグ。そうすれば、楽にしてやる」
  「い・・やだっ!お、れは・・」
   いったばかりのところを、更に責められ、俺は、喘ぎ声を漏らした。
   もう、どのぐらいの時間、俺は、西条にこうして責められているのか。
  「あのガキは、もう、脅威じゃない。刈谷は、おいしい獲物だが、これから、ゆっくりと喰らいつくしてやるさ。お前を開発してくれたガキも、じきに、俺の前にひざますかせてやる」
       「どう・・やって・・」
    俺は、西条にきいた。
   西条は、にやりと笑って、言った。
   「奴の最大の弱点は、今、俺の手の中にある」
   西条は、俺の後孔に突き立てられたディルドをぐりゅっと回しながら抜き去ると、まだ、痙攣している俺のそこへと、自分自身を取り出して押しあてた。
   「後は、俺に堕とすだけ、だ」
    玩具で責められていた俺は、とろとろに蕩けていて、奴のものをすんなりと飲み込んだ。俺は、熱い昂りに犯されて、その圧迫感に呻いた。
   「はっ・・あぁっ!くぅっ・・んっ・・」
    「ああ、お前の中だ、コグ」
     西条がずぶりと俺の奥へと押し入りながら、俺の体に覆い被さり、俺にキスしてきた。俺は、奴に舌を吸われ、奴の唾液を飲まされて、再び、意識を飛ばしそうになっていた。
   そんな俺の意識を手放させないように、西条は、言った。
   「ここに、もう、何人の男を咥え込んだんだ?コグ。お前のここ、すっかり開発されてるじゃないか。どろどろで、熱くって、まるで、俺のものを持ってこうとしてるみたいに、きゅうきゅう、締め付けてるぞ」
       「い・・うなっ!」
   俺は、荒い呼吸をしながら、奴を睨んで言った。
   こんな奴に。
   俺は、堕とされたり、しない。
   西条は、俺の奥を貫き、押し開いてきた。内壁を擦られ、掻き乱されて、俺は、びくん、と仰け反った。
   「あぁっ!・・も、そんな・・やめっ!」
    「苦しいか?コグ」
     西条は、俺の中をゆっくりと抽挿し始めた。ぐちゅぐちゅっと淫猥な音が漏れてくる。俺は、また、精を吐かずにいった。
   「また、いったのか?コグ。気持ちいいのか?」
   「よく・・な・・い」
    掠れた声を絞り出す俺に、西条は、言った。
   「じゃあ、これは、どうだ?」
    「あぁっ!」
    西条は、俺の中を突きながら、俺のものに差し込まれている棒をずるり、と抜きかけては、また、奥へと差し込んだ。
    前と後ろを同時に責められ、俺は、よがり哭いた。
   「はっ・・くぅっ・・んっ、あぁっ!も、やめっ・・」
   「なんだ?」
   突然、スタジオのドアが開いて、西条の手下の三下が飛び込んできた。
   「サツです!西条さん」
   「なんだと?」
    「事務所がガサ入れされて、ほとんどの奴がサツにパクられました」
    「マジか。まあ、連中は、いくらでも替えがいるからな」
   西条が言ったとき、ばたばたと足音が聞こえて、誰かが部屋の中へとなだれ込んできた。
    「雅人!」
    「・・か、りや?」
    俺の目に、刈谷の姿が飛び込んできた。西条が舌打ちして、ずるっと奴のものを俺の中から抜き出した。俺は、びくびくっと体を痙攣させた。悠人が西条に飛びかかるのが見えた。
   殴りあう音がしていた。
  「大丈夫か?雅人」
   刈谷が俺を覗き込んだ。
   「すぐに、楽にしてやるから」
   「あぁっ!」
    刈谷の手が俺の前に差し込まれている棒を引き抜き、根本を縛っている紐を解いた。俺は、止めることもできずに、精を迸らせ、そして、意識を手放してしまった。
  
        次に、俺が気づいた時には、俺は、病院らしきところにいた。
   「雅人!」
   刈谷の俺を心配そうに覗き込む顔を見て、俺は、ホッとしてしまった。
   「かり、や・・」
   大丈夫、そう、俺は言おうと思った。
  なのに、声がでなくって。
   俺は、ただ、泣きじゃくっていた。
   そんな俺を刈谷は、優しく抱き締めてくれた。
   俺が落ち着いてから、刈谷は、ゆっくりと話始めた。
   西条に恋人である人を捕らえられ、脅されて生島が俺を呼び出したこと。
   恋人が解放されると、すぐに、生島は、刈谷に連絡をとってくれたのだという。
   それから後は、啓介が手を回して警察を動かして、西条の手下どものいる事務所を押さえたり、それと同時に、西条と俺がいたスタジオを刈谷と悠人たちが襲撃し俺を救出してくれたのだという。
    「西条は、たぶん、当分、外には出てこられないよ。かなり、悪どいことをしてたみたいだし」
   刈谷が俺を抱いたまま、話続けた。
  「もう、大丈夫だから。安心して、雅人」
        刈谷の言葉は、俺を優しく包み込んで、俺は、その温もりの中で、ぎゅっと刈谷にしがみついていた。
   刈谷が囁いた。
   「もう、絶対、離さないから、雅人」
    「うん」
    「俺の、俺だけのもの、だ」
    「ああ」
     俺は、刈谷の腕の中で言った。
   「もう、俺のこと、離さないで」
    離さないで。
   俺は、刈谷の腕に抱かれて思っていた。
   今ぐらい、素直になってもいいだろう。
   「刈谷」
    俺は、言った。
   「俺、お前のことが、好き、だ」
    「こんなときに、何、言って」
   刈谷は、俺を強く抱いて言った。
   「そんなこと、ずっと前から知ってたし」
   マジか。
   俺たちは、抱き合って、そして、優しいキスを交わした。
       
    数日後。
   啓介の家へと帰った俺を、佑とチーちゃんが迎えてくれた。
   「雅人、おかえり」
   「にゃう」
    「ただいま、佑、チーちゃん」
    佑は、俺の手をひいて、リビングへと連れていった。
   そこには、信子や、啓介、悠人たちがいて。
   そして。
   部屋の隅に置かれたクリスマスツリーを指して、佑が笑顔で言った。
   「みんなでツリーを飾ったんだよ。あの、天辺の星は、僕がつけたんだ、雅人」
   「おかえり、雅人」
    「おかえりなさい、雅人くん」
    あんなことがあったのに、みんな、変わらない様子で、俺を受け入れてくれる。
   暖かい場所だった。
   少し、不覚にも、涙ぐんでいる俺に佑が小さな箱を差し出して言った。
    「メリークリスマス、雅人」
    「えっ?」
     「プレゼント、だよ。受け取って」
    「ああ。ありがとう、佑」
    俺は、礼を言って、佑のプレゼントを受け取り、包みを開けた。
   「あれ?」
         俺は、小さな箱の中から出てきたものを手にとって、佑にきいた。
   「これ、何?」
   「指輪だよ、雅人」
    佑が笑顔で言った。
   うん。
   わかってる。
   俺は、頷いて、手のひらの、その、指輪を見ていた。
   シルバーの、飾り気のない、シンプルな指輪だった。
   「ママの」
    佑が言った。
   「死んじゃったママの指輪、だよ」
    「なんで、俺に?」
    俺がきくと、佑が言った。
   「だって、将来、雅人は、僕のお嫁さんになるんだから」
   「はい?」
    「佑ったら」
     信子が笑って、佑を抱き寄せた。
    「本当に、手がはやいんだから。誰に似たのかしらねぇ」
    「それは、私かな」
    ソファに座っていた刈谷の親父さんが笑って言った。
   親父さんと刈谷たち兄弟は、無事に和解していた。刈谷が成人するまで親父さんが当主代理をつとめるということで、親父さんは、納得したのだという。
    「マジで、手がはやすぎるだろ」
    刈谷は、俺の手のひらの指輪を摘まむと、それを佑に返して言った。
   「これは、お前に返す」
   「なんで?」
    「それは」
     刈谷が俺を抱き寄せて言った。
   「この人は、俺のものだから、だ」
    それから。
   泣きじゃくる佑を慰める信子。
   二人を見て、笑ってる啓介と悠人。
   はしゃぎ回るチーちゃん。
   祝杯をあげている親父さん。
   カオス、だった。
   本当に。
   幸せな、カオス。
   俺と刈谷は、見つめあった。
   どちらともなく、微笑んで口づけを交わした。
   「メリークリスマス、雅人」
    「うん」
    クリスマスなんて、たいして好きでもなんともなかったんだが。
   俺は、思っていた。
   これからは、好きになりそうな気がする。
   「メリークリスマス、駿」
    俺が初めて名を呼ぶと、刈谷は、一瞬、きょとんとして、そして。
   俺は、刈谷に抱き締められて、少し、泣いてしまった。
   本当。
   とんでもない野良を拾ってしまったものだ。
   俺は、刈谷の頬にキスをした。
   この世で最も、愛しい野良、だ。
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