20 / 121
2 王立モスキュラード学園
2ー8 エリュメ
しおりを挟む
2ー8 エリュメ
俺とクレアは、しばらく庭のベンチに腰かけてぼんやりと座ってエリュメが泣き止むのを待っていた。
暖かい陽光が降り注ぎ、あまりののどかさに俺は、眠気を誘われる。
くすん、と鼻を鳴らしているエリュメの側には猫の魔物が寄り添っていてなんだか心がほっこりしてしまう。
「リヌ、ありがと。もう、大丈夫、よ」
エリュメが鼻声で呟いて魔物の頭を撫でると魔物は、低く喉を鳴らす。
「あなたたちも、ありがとう」
エリュメに言われて俺とクレアは、恐縮していた。
「あ、あの、わざとじゃないけどあなたを猫に変えてしまってごめんなさい」
クレアがおどおどと頭を下げる。
俺もなんだか、微かに良心が痛むような気がしてくる。
いや!
俺は、何も悪くはない筈!
「試験のこと、たぶん、そんなに悲観しなくても大丈夫だと思うぞ、エリュメ」
俺は、もごもごとうつ向いて呟く。
「試験官だってちゃんと見ていたら、君が最善をつくしたことわかってくれるだろ」
「でも」
エリュメは、ふぅっと吐息を漏らした。
「わたしは、あなたたちを相手にして何もできなかったわ」
「そんなことはないよ」
俺は、エリュメの方を見つめてから慌てて視線をそらす。
エリュメは、俺の上着しか身に付けてなくて、白くてきれいな生足に俺は、顔が熱くなる。
「な、何か、俺にできることがあればいいんだけど」
「じゃあ」
エリュメが突然、俺に告げた。
「わたしと結婚してくれますか?」
はいっ?
俺は、驚いてエリュメの方を見た。
エリュメは、真剣な眼差しで俺を見つめていた。
「いったいなんの話をしているのですか?」
声がして振り向くとそこには、アンドレア王女の姿があった。
それから。
俺たちは、王立学園の食堂のカフェテラスでお茶をしていた。
学園の食堂は、広くて小綺麗でしかもおしゃれなカフェまで併設だれていて学生たちに大人気なのだ、とアンドレア王女からきかされていたので俺も興味があったんだよ。
もともとこの学園は、貴族の子弟のための学舎というだけあってお金持ちが多い。
だからか、食堂もなかなかのお値段だった。
「迷惑をかけたお詫びです。ここは、わたしが支払います」
「しかし、それでは申し訳ないのでは」
アンドレア王女、いや、ただの高位貴族令嬢であるアンディーさんが言うとエリュメがにっこりと微笑む。
「いいんですよ、ほんとにエドワード君たちには迷惑をかけてしまったし。それ以上にこれから迷惑をかけることになるかもしれないのですから遠慮なんてしないでください」
「そうなのですか?」
アンディーさんが俺をちらっと見てふっと口許を緩める。
「では、遠慮なく」
アンディーさんが遠慮なく焼き菓子とお茶のセットを注文する。
俺とクレアも同じものにした。
俺とクレアは、しばらく庭のベンチに腰かけてぼんやりと座ってエリュメが泣き止むのを待っていた。
暖かい陽光が降り注ぎ、あまりののどかさに俺は、眠気を誘われる。
くすん、と鼻を鳴らしているエリュメの側には猫の魔物が寄り添っていてなんだか心がほっこりしてしまう。
「リヌ、ありがと。もう、大丈夫、よ」
エリュメが鼻声で呟いて魔物の頭を撫でると魔物は、低く喉を鳴らす。
「あなたたちも、ありがとう」
エリュメに言われて俺とクレアは、恐縮していた。
「あ、あの、わざとじゃないけどあなたを猫に変えてしまってごめんなさい」
クレアがおどおどと頭を下げる。
俺もなんだか、微かに良心が痛むような気がしてくる。
いや!
俺は、何も悪くはない筈!
「試験のこと、たぶん、そんなに悲観しなくても大丈夫だと思うぞ、エリュメ」
俺は、もごもごとうつ向いて呟く。
「試験官だってちゃんと見ていたら、君が最善をつくしたことわかってくれるだろ」
「でも」
エリュメは、ふぅっと吐息を漏らした。
「わたしは、あなたたちを相手にして何もできなかったわ」
「そんなことはないよ」
俺は、エリュメの方を見つめてから慌てて視線をそらす。
エリュメは、俺の上着しか身に付けてなくて、白くてきれいな生足に俺は、顔が熱くなる。
「な、何か、俺にできることがあればいいんだけど」
「じゃあ」
エリュメが突然、俺に告げた。
「わたしと結婚してくれますか?」
はいっ?
俺は、驚いてエリュメの方を見た。
エリュメは、真剣な眼差しで俺を見つめていた。
「いったいなんの話をしているのですか?」
声がして振り向くとそこには、アンドレア王女の姿があった。
それから。
俺たちは、王立学園の食堂のカフェテラスでお茶をしていた。
学園の食堂は、広くて小綺麗でしかもおしゃれなカフェまで併設だれていて学生たちに大人気なのだ、とアンドレア王女からきかされていたので俺も興味があったんだよ。
もともとこの学園は、貴族の子弟のための学舎というだけあってお金持ちが多い。
だからか、食堂もなかなかのお値段だった。
「迷惑をかけたお詫びです。ここは、わたしが支払います」
「しかし、それでは申し訳ないのでは」
アンドレア王女、いや、ただの高位貴族令嬢であるアンディーさんが言うとエリュメがにっこりと微笑む。
「いいんですよ、ほんとにエドワード君たちには迷惑をかけてしまったし。それ以上にこれから迷惑をかけることになるかもしれないのですから遠慮なんてしないでください」
「そうなのですか?」
アンディーさんが俺をちらっと見てふっと口許を緩める。
「では、遠慮なく」
アンディーさんが遠慮なく焼き菓子とお茶のセットを注文する。
俺とクレアも同じものにした。
46
あなたにおすすめの小説
はずれスキル『本日一粒万倍日』で金も魔法も作物もなんでも一万倍 ~はぐれサラリーマンのスキル頼みな異世界満喫日記~
緋色優希
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて異世界へやってきたサラリーマン麦野一穂(むぎのかずほ)。得たスキルは屑(ランクレス)スキルの『本日一粒万倍日』。あまりの内容に爆笑され、同じように召喚に巻き込まれてきた連中にも馬鹿にされ、一人だけ何一つ持たされず荒城にそのまま置き去りにされた。ある物と言えば、水の樽といくらかの焼き締めパン。どうする事もできずに途方に暮れたが、スキルを唱えたら水樽が一万個に増えてしまった。また城で見つけた、たった一枚の銀貨も、なんと銀貨一万枚になった。どうやら、あれこれと一万倍にしてくれる不思議なスキルらしい。こんな世界で王様の助けもなく、たった一人どうやって生きたらいいのか。だが開き直った彼は『住めば都』とばかりに、スキル頼みでこの異世界での生活を思いっきり楽しむ事に決めたのだった。
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?
火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…?
24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?
元外科医の俺が異世界で何が出来るだろうか?~現代医療の技術で異世界チート無双~
冒険者ギルド酒場 チューイ
ファンタジー
魔法は奇跡の力。そんな魔法と現在医療の知識と技術を持った俺が異世界でチートする。神奈川県の大和市にある冒険者ギルド酒場の冒険者タカミの話を小説にしてみました。
俺の名前は、加山タカミ。48歳独身。現在、救命救急の医師として現役バリバリ最前線で馬車馬のごとく働いている。俺の両親は、俺が幼いころバスの転落事故で俺をかばって亡くなった。その時の無念を糧に猛勉強して医師になった。俺を育ててくれた、ばーちゃんとじーちゃんも既に亡くなってしまっている。つまり、俺は天涯孤独なわけだ。職場でも患者第一主義で同僚との付き合いは仕事以外にほとんどなかった。しかし、医師としての技量は他の医師と比較しても評価は高い。別に自分以外の人が嫌いというわけでもない。つまり、ボッチ時間が長かったのである意味コミ障気味になっている。今日も相変わらず忙しい日常を過ごしている。
そんなある日、俺は一人の少女を庇って事故にあう。そして、気が付いてみれば・・・
「俺、死んでるじゃん・・・」
目の前に現れたのは結構”チャラ”そうな自称 創造神。彼とのやり取りで俺は異世界に転生する事になった。
新たな家族と仲間と出会い、翻弄しながら異世界での生活を始める。しかし、医療水準の低い異世界。俺の新たな運命が始まった。
元外科医の加山タカミが持つ医療知識と技術で本来持つ宿命を異世界で発揮する。自分の宿命とは何か翻弄しながら異世界でチート無双する様子の物語。冒険者ギルド酒場 大和支部の冒険者の英雄譚。
元万能技術者の冒険者にして釣り人な日々
於田縫紀
ファンタジー
俺は神殿技術者だったが過労死して転生。そして冒険者となった日の夜に記憶や技能・魔法を取り戻した。しかしかつて持っていた能力や魔法の他に、釣りに必要だと神が判断した様々な技能や魔法がおまけされていた。
今世はこれらを利用してのんびり釣り、最小限に仕事をしようと思ったのだが……
(タイトルは異なりますが、カクヨム投稿中の『何でも作れる元神殿技術者の冒険者にして釣り人な日々』と同じお話です。更新が追いつくまでは毎日更新、追いついた後は隔日更新となります)
外れスキル?だが最強だ ~不人気な土属性でも地球の知識で無双する~
海道一人
ファンタジー
俺は地球という異世界に転移し、六年後に元の世界へと戻ってきた。
地球は魔法が使えないかわりに科学という知識が発展していた。
俺が元の世界に戻ってきた時に身につけた特殊スキルはよりにもよって一番不人気の土属性だった。
だけど悔しくはない。
何故なら地球にいた六年間の間に身につけた知識がある。
そしてあらゆる物質を操れる土属性こそが最強だと知っているからだ。
ひょんなことから小さな村を襲ってきた山賊を土属性の力と地球の知識で討伐した俺はフィルド王国の調査隊長をしているアマーリアという女騎士と知り合うことになった。
アマーリアの協力もあってフィルド王国の首都ゴルドで暮らせるようになった俺は王国の陰で蠢く陰謀に巻き込まれていく。
フィルド王国を守るための俺の戦いが始まろうとしていた。
※この小説は小説家になろうとカクヨムにも投稿しています
転生したけど平民でした!もふもふ達と楽しく暮らす予定です。
まゆら
ファンタジー
回収が出来ていないフラグがある中、一応完結しているというツッコミどころ満載な初めて書いたファンタジー小説です。
温かい気持ちでお読み頂けたら幸い至極であります。
異世界に転生したのはいいけど悪役令嬢とかヒロインとかになれなかった私。平民でチートもないらしい‥どうやったら楽しく異世界で暮らせますか?
魔力があるかはわかりませんが何故か神様から守護獣が遣わされたようです。
平民なんですがもしかして私って聖女候補?
脳筋美女と愛猫が繰り広げる行きあたりばったりファンタジー!なのか?
常に何処かで大食いバトルが開催中!
登場人物ほぼ甘党!
ファンタジー要素薄め!?かもしれない?
母ミレディアが実は隣国出身の聖女だとわかったので、私も聖女にならないか?とお誘いがくるとか、こないとか‥
◇◇◇◇
現在、ジュビア王国とアーライ神国のお話を見やすくなるよう改稿しております。
しばらくは、桜庵のお話が中心となりますが影の薄いヒロインを忘れないで下さい!
転生もふもふのスピンオフ!
アーライ神国のお話は、国外に追放された聖女は隣国で…
母ミレディアの娘時代のお話は、婚約破棄され国外追放になった姫は最強冒険者になり転生者の嫁になり溺愛される
こちらもよろしくお願いします。
竜の国のカイラ~前世は、精霊王の愛し子だったんですが、異世界に転生して聖女の騎士になりました~
トモモト ヨシユキ
ファンタジー
辺境で暮らす孤児のカイラは、人には見えないものが見えるために悪魔つき(カイラ)と呼ばれている。
同じ日に拾われた孤児の美少女ルイーズといつも比較されていた。
16歳のとき、神見の儀で炎の神の守護を持つと言われたルイーズに比べて、なんの神の守護も持たないカイラは、ますます肩身が狭くなる。
そんなある日、魔物の住む森に使いに出されたカイラは、魔物の群れに教われている人々に遭遇する。
カイラは、命がけで人々を助けるが重傷を負う。
死に瀕してカイラは、自分が前世で異世界の精霊王の姫であったことを思い出す。
エブリスタにも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる