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8 魔王と聖者と浄化の旅(2)
8ー1 煽るな
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8ー1 煽るな
僕は、ゆっくりと目覚めていった。
覚えのない天井が見える。
少したって初めて、僕は、ここが魔王国の宿屋の一室だったことを思い出した。
僕は、ベッドの中でロイに抱き締められて眠っていた。
ロイは、無防備に寝息をたてていた。
その長い金色の睫が美しくて、僕は、ため息をついた。
この人が僕を愛していると言ってくれるんだ。
僕は、多幸感に包まれていた。
もう、窓の隙間からは朝日が差し込んでいた。
きっともうすぐキーンが朝のお茶を持ってやってくることだろう。
それまでに昨夜の濃厚な交わりの証の残された体を清めておきたかった。
僕がもぞもぞと動くとロイは、低く呻いて目を開いた。
「ラムダ?」
「おはよう、ロイ」
僕は、ロイにそっと口づけした。
ロイは、僕を抱き寄せると耳元で囁いた。
「勝手にどこかに行くことは許さん」
「あ、あの、ちょっと体を清めたくって」
僕がそういうとロイが、気だるげに告げた。
「私が洗ってやろう」
起き出したロイは、僕を抱き上げるとそのまま風呂場へとつれていった。
風呂場には、すでに湯が張られていた。
さすがは、高級な宿屋だけのことはあるな。
ロイは、僕を洗い場の椅子に座らせると全身を洗い清めていった。
途中、昨日ロイにつけられた跡を指先でたどり、キスをされる。
ロイは、治癒の魔法も使えるけど傷跡を消そうとはしない。
「これは、私だけの宝物だ」
ロイは、僕をゆっくりと洗いながらざぶっとお湯をかける。
「この跡が消えないうちに再びお前を抱く」
ロイは、僕に告げた。
「約束だ」
僕を洗い終えるとロイは、自分の体を洗い流した。
僕は、目の前の筋骨隆々とした男の腹にそっと手を伸ばした。
硬い。
僕は、確かめるようにロイの体に触れていった。
これが、夕べ僕を抱いた男の体だ。
それは、神々の作品だ。
美しい。
僕は、ほぅっと感嘆の吐息を漏らした。
「くすぐったい、ラムダ」
ロイが僕を熱のこもる瞳で見つめる。
「せっかく洗ってやったのに、そんなに煽るな」
僕は、慌てて手を引っ込めた。
その手を掴んで僕を引き寄せるとロイは、荒々しくキスを奪った。
僕は、ゆっくりと目覚めていった。
覚えのない天井が見える。
少したって初めて、僕は、ここが魔王国の宿屋の一室だったことを思い出した。
僕は、ベッドの中でロイに抱き締められて眠っていた。
ロイは、無防備に寝息をたてていた。
その長い金色の睫が美しくて、僕は、ため息をついた。
この人が僕を愛していると言ってくれるんだ。
僕は、多幸感に包まれていた。
もう、窓の隙間からは朝日が差し込んでいた。
きっともうすぐキーンが朝のお茶を持ってやってくることだろう。
それまでに昨夜の濃厚な交わりの証の残された体を清めておきたかった。
僕がもぞもぞと動くとロイは、低く呻いて目を開いた。
「ラムダ?」
「おはよう、ロイ」
僕は、ロイにそっと口づけした。
ロイは、僕を抱き寄せると耳元で囁いた。
「勝手にどこかに行くことは許さん」
「あ、あの、ちょっと体を清めたくって」
僕がそういうとロイが、気だるげに告げた。
「私が洗ってやろう」
起き出したロイは、僕を抱き上げるとそのまま風呂場へとつれていった。
風呂場には、すでに湯が張られていた。
さすがは、高級な宿屋だけのことはあるな。
ロイは、僕を洗い場の椅子に座らせると全身を洗い清めていった。
途中、昨日ロイにつけられた跡を指先でたどり、キスをされる。
ロイは、治癒の魔法も使えるけど傷跡を消そうとはしない。
「これは、私だけの宝物だ」
ロイは、僕をゆっくりと洗いながらざぶっとお湯をかける。
「この跡が消えないうちに再びお前を抱く」
ロイは、僕に告げた。
「約束だ」
僕を洗い終えるとロイは、自分の体を洗い流した。
僕は、目の前の筋骨隆々とした男の腹にそっと手を伸ばした。
硬い。
僕は、確かめるようにロイの体に触れていった。
これが、夕べ僕を抱いた男の体だ。
それは、神々の作品だ。
美しい。
僕は、ほぅっと感嘆の吐息を漏らした。
「くすぐったい、ラムダ」
ロイが僕を熱のこもる瞳で見つめる。
「せっかく洗ってやったのに、そんなに煽るな」
僕は、慌てて手を引っ込めた。
その手を掴んで僕を引き寄せるとロイは、荒々しくキスを奪った。
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