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4章 ベイツの過去
38話 街外れに聳え立つ大樹
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リバイブルド王国の北北西に位置する辺境都市リリアム、街の南東には霊峰と呼ばれるスムレット山がある。私たちは南門から入場しており、住んでいる場所も街の南側となる。私たちの目指す大樹は北西の街外れに位置しており、周辺には魔道蒸気列車の走る線路とリリアム駅があるので、南側と同じかそれ以上の活気がある。その駅から少し離れた場所に敷地面積の広い公園があり、現在時刻が午後3時、天気が快晴なら、この時間帯はピクニックを楽しむ人々で賑やかだったかもしれない。今の天気は大雨・暴風・雷となっていて、台風が上陸しているかのような嵐です。
「高価な雨具を購入しておいてよかったよ」
「本当だな。手足が多少冷たいが、これなら問題ない。ただ、風が強いせいで、歩きにくい。フリードはずるいぞ!! 1人だけ障壁を張って、雨を完全遮断しているだろ!!」
そう、これだけの嵐にも関わらず、フリードは全く濡れていないし、風の影響も受けていない。
「法術ですよ。こんな嵐の中を歩くのですから、使って当然でしょう。今後の勉強も兼ねて、あなたたちは自分で何とかしなさい」
うう、フリードが厳しい。
普段なら公園内の道沿いには、数多くの露店が設置されていると聞いているけど、この5日間ずっと大雨だから、今は店もないし、周囲には誰もいない。大雨のせいで地面もかなりぬかるんでいるし、転ばないよう注意して大樹のもとへいこう。
「見えてきたよ。あれが大樹だね」
まだ少し離れているけど、大樹自体がかなり大きいこともあって、ここからでも見える。嵐のせいで、かなり枝が揺れているけど、木そのものは悠然と佇んでいる。近づけば近づくほど、木の雄大さが私にも伝わってくる。
「ここからじゃあ全然わからないな。咲耶、フリード、目の前まで行ってみよう。この嵐の中で覚醒なんかしたら、気付くのが遅れてしまい、何の対処もできずに大惨事となるかもしれない」
外は暴風で、風の音が凄いわ。公園内で木が暴れたとしても、その音は掻き消されてしまう。あれだけ大きいと、スキル[原点回帰]を使えたとしても、巻き戻せる時間だって少ないはずだ。ここから見た限り、おかしな魔力だって感じないから、まだ覚醒していないんだ。今のうちに、地中にある箱を掘り出そう。そんな深くには、埋められていないはずだよ。
到着するまで少し時間もかかるから、今のうちに私の疑問を2人に言っておこう。
「フリード、ユウキ、疑問に思ったことがあるの」
「ほう、疑問ですか? それは何でしょう?」
多分、フリードもユウキも気づいているはずだ。
「私たちの依頼人、ミーシャさんとティリルだよ。この嵐の中を私たちの家までやって来たのに、全然濡れてないし、このエリアに来られないのなら、別に私たちに依頼する必要だってないわ。それと決定的なことがもう一つ、スキル[心通眼]が全く機能しない。これまで赤の他人であっても、私から感覚を寄せれば、ほんの少しだけでも相手の動きや心を読めるのよ。あの場では何も言わなかったけど、あの2人は何者なのかな?」
ユウキもフリードも目を見開き、私を凝視している。
そこまで驚くことかな。
【スキル[心通眼]が働かない】ということは、相手側が私に対して、意図的に心を閉ざしているということ、ミーシャさんだけでなく、私より歳下のティリルも心を閉ざしているのは、絶対におかしい。まるで、スキル[心通眼]のことを知っているかのような対処だよ。
「これは、これは。まさか、冒険者登録をして1ヶ月ほどの新米冒険者が、そこまでの観察力と洞察力を身につけるとは驚きですよ」
フリードに褒められているの?
「咲耶、あの場で何も言わなかったのは正解だ。ギルドを通して出されている依頼は、事前にギルド側で調査されているから、その依頼人も信用できる。だが、直接冒険者に依頼してくる者に関しては、それがどんな人物であろうとも、絶対に信用してはいけない。最悪、冒険者が依頼人自身に裏切られ殺される場合もある」
え、そうなの!?
ユウキの発言に、驚きを隠せない。
依頼人が冒険者を裏切る場合もありえるんだ。
それは、考えたこともなかった。
「あの親子も、何かの事情を抱えているのは間違いない。私のスキル[同調]も機能しなかったからな。ただ、人柄を見た限り、悪い人物ではなさそうだ」
あ、それはわかる。
あの時に見せた切実な懇願、あれは嘘と思えないもの。
ということは、相当な【何か】を抱えているのね。
「あなたたち、大樹に到着しましたよ。ここからは、気を引き締めなさい」
いつの間にか私たちの目の前に、大樹が聳え立っているわ。幹回りも10メートル以上あるし、樹高も30メートルくらいある。ここから見た限り、普通の木に見えるけど、ここに【瘴気】というものが絡んでしまったら、この大樹は本当に魔物化するの?
とりあえず、何か感知できないか、スキル[心通眼]で大樹全体を観察しよう。私は、大樹にそっと触れる。
……やっぱり、このスキルは凄いわ。
私が大樹に触り、心を寄せようとしたら、中から細かく流れる音のようなものが聞こえてきた。もっと深く集中すると、根本から何かを吸収して、それを全体に行き渡らせているみたい。ただ、大樹の中心から少し外れた浅い位置に、何か大きな波動を感じる。私の感知したことのある魔力とは違う何か、何処か禍々しく感じるから、もしかしてこれが瘴気なの? 何故、あの一箇所に集中しているのか不明だけど、浅い位置にあるから、私たちだけで掘り出せるかもしれない。
もしかしたら、あれがミーシャさんの言っていた[箱]なのかな? まだ、大樹自身からは何の異常も見受けられないから、今のうちに掘り出して、依頼を達成させよう。
「地面がずるずるだな。このまま雨が降り続けたら、この大樹も倒れてしまうぞ。今でも、根っこが……ヒ!!」
「ユウキ、突然変な声を出してどうしたの?」
「いや……今根っこが動いたような気がして」
根っこが動く?
もしかして、崩れる直前?
あ、私もジッと根っこを見ていたら、確かに動いたわ。
でも、動き方が何処かおかしい。
崩れる前兆とかじゃなくて、明確な意志を思って動いたように見えた。
「これは不味いですね。瘴気が脈動し始め、大樹内に流れています。どうやら、最悪な事態が起こるようです」
フリードがそう言った瞬間、地面が揺れ動く。私も観察したら、地中の浅い位置にあった波動が、大樹内に流れ込んでいる。やっぱり、あれが瘴気なんだね。
最悪の事態、大樹が今まさに魔物化しようとしているんだ!!
「ギ…ギ…ギ~~~~~ギギギギギ~~~~~『あ…あ…あ~~~~~、もう許せね~~~~~~』」
今の声って…まさか大樹!?
「まずいぞ!! 咲耶、一旦、ここから引くぞ!!」
「え…ちょ…ユウキ!!」
ユウキが私の右手を握り、大樹から離れていこうとした瞬間、大樹側から不可視の重たい何かが私たちに降り注いだ。何故か身体が重くなり、私もユウキも地面に崩れ落ち動けなくなってしまった。
「ギギギギギギギギギ~~~~」
「く、これは叫びによるスキル[威圧]だ。やはり、大樹は脅威度Bのエルダートレントに変化しようとしている」
「これは、まずいですね。今、この場で討伐しないと、大惨事になりますよ」
大樹が根元の根っこを全てバキバキと地面へと露出させていく。
樹高の真ん中付近に、赤黒い二つの目が発生して、その下に大きな口がガパッと開いていく。
「ギギギギギギギギギ~~~~~~~」
大樹が、街全土に轟くほどの雄叫びをあげる。私は雄叫びをあげる意味を理解すると、何故かさっきまで動けなかった身体が弛緩していく。
「くそ、なんて雄叫びと威圧だ。身体を動かせない。距離も近すぎるし、このままじゃ殺されてしまう」
ユウキ自身、威圧に当てられているせいか、身体全体を震わせているわ。
相当な魔力を込めた雄叫びによる威圧なんだ。
「目覚めたばかりで、この魔力量ですか。樹齢が、1000年を超えているだけありますね。ところで咲耶、あなたさっきから平然としていますが、心身に負担はないのですか?」
「え…あ、うん、大丈夫だよ。身体も普通に動かせる」
フリード、心配してくれるのはありがたいのだけど、全然怖くないの。確かに凄い雄叫びではあるけども、大樹の言葉を理解できるせいか、不思議と恐怖を感じることはない。街中に轟くほどの雄叫び、その怨嗟を理解すると、そこまで叫びたくなる気持ちもわかるので、私はむしろあの大樹に同情してしまう。
「高価な雨具を購入しておいてよかったよ」
「本当だな。手足が多少冷たいが、これなら問題ない。ただ、風が強いせいで、歩きにくい。フリードはずるいぞ!! 1人だけ障壁を張って、雨を完全遮断しているだろ!!」
そう、これだけの嵐にも関わらず、フリードは全く濡れていないし、風の影響も受けていない。
「法術ですよ。こんな嵐の中を歩くのですから、使って当然でしょう。今後の勉強も兼ねて、あなたたちは自分で何とかしなさい」
うう、フリードが厳しい。
普段なら公園内の道沿いには、数多くの露店が設置されていると聞いているけど、この5日間ずっと大雨だから、今は店もないし、周囲には誰もいない。大雨のせいで地面もかなりぬかるんでいるし、転ばないよう注意して大樹のもとへいこう。
「見えてきたよ。あれが大樹だね」
まだ少し離れているけど、大樹自体がかなり大きいこともあって、ここからでも見える。嵐のせいで、かなり枝が揺れているけど、木そのものは悠然と佇んでいる。近づけば近づくほど、木の雄大さが私にも伝わってくる。
「ここからじゃあ全然わからないな。咲耶、フリード、目の前まで行ってみよう。この嵐の中で覚醒なんかしたら、気付くのが遅れてしまい、何の対処もできずに大惨事となるかもしれない」
外は暴風で、風の音が凄いわ。公園内で木が暴れたとしても、その音は掻き消されてしまう。あれだけ大きいと、スキル[原点回帰]を使えたとしても、巻き戻せる時間だって少ないはずだ。ここから見た限り、おかしな魔力だって感じないから、まだ覚醒していないんだ。今のうちに、地中にある箱を掘り出そう。そんな深くには、埋められていないはずだよ。
到着するまで少し時間もかかるから、今のうちに私の疑問を2人に言っておこう。
「フリード、ユウキ、疑問に思ったことがあるの」
「ほう、疑問ですか? それは何でしょう?」
多分、フリードもユウキも気づいているはずだ。
「私たちの依頼人、ミーシャさんとティリルだよ。この嵐の中を私たちの家までやって来たのに、全然濡れてないし、このエリアに来られないのなら、別に私たちに依頼する必要だってないわ。それと決定的なことがもう一つ、スキル[心通眼]が全く機能しない。これまで赤の他人であっても、私から感覚を寄せれば、ほんの少しだけでも相手の動きや心を読めるのよ。あの場では何も言わなかったけど、あの2人は何者なのかな?」
ユウキもフリードも目を見開き、私を凝視している。
そこまで驚くことかな。
【スキル[心通眼]が働かない】ということは、相手側が私に対して、意図的に心を閉ざしているということ、ミーシャさんだけでなく、私より歳下のティリルも心を閉ざしているのは、絶対におかしい。まるで、スキル[心通眼]のことを知っているかのような対処だよ。
「これは、これは。まさか、冒険者登録をして1ヶ月ほどの新米冒険者が、そこまでの観察力と洞察力を身につけるとは驚きですよ」
フリードに褒められているの?
「咲耶、あの場で何も言わなかったのは正解だ。ギルドを通して出されている依頼は、事前にギルド側で調査されているから、その依頼人も信用できる。だが、直接冒険者に依頼してくる者に関しては、それがどんな人物であろうとも、絶対に信用してはいけない。最悪、冒険者が依頼人自身に裏切られ殺される場合もある」
え、そうなの!?
ユウキの発言に、驚きを隠せない。
依頼人が冒険者を裏切る場合もありえるんだ。
それは、考えたこともなかった。
「あの親子も、何かの事情を抱えているのは間違いない。私のスキル[同調]も機能しなかったからな。ただ、人柄を見た限り、悪い人物ではなさそうだ」
あ、それはわかる。
あの時に見せた切実な懇願、あれは嘘と思えないもの。
ということは、相当な【何か】を抱えているのね。
「あなたたち、大樹に到着しましたよ。ここからは、気を引き締めなさい」
いつの間にか私たちの目の前に、大樹が聳え立っているわ。幹回りも10メートル以上あるし、樹高も30メートルくらいある。ここから見た限り、普通の木に見えるけど、ここに【瘴気】というものが絡んでしまったら、この大樹は本当に魔物化するの?
とりあえず、何か感知できないか、スキル[心通眼]で大樹全体を観察しよう。私は、大樹にそっと触れる。
……やっぱり、このスキルは凄いわ。
私が大樹に触り、心を寄せようとしたら、中から細かく流れる音のようなものが聞こえてきた。もっと深く集中すると、根本から何かを吸収して、それを全体に行き渡らせているみたい。ただ、大樹の中心から少し外れた浅い位置に、何か大きな波動を感じる。私の感知したことのある魔力とは違う何か、何処か禍々しく感じるから、もしかしてこれが瘴気なの? 何故、あの一箇所に集中しているのか不明だけど、浅い位置にあるから、私たちだけで掘り出せるかもしれない。
もしかしたら、あれがミーシャさんの言っていた[箱]なのかな? まだ、大樹自身からは何の異常も見受けられないから、今のうちに掘り出して、依頼を達成させよう。
「地面がずるずるだな。このまま雨が降り続けたら、この大樹も倒れてしまうぞ。今でも、根っこが……ヒ!!」
「ユウキ、突然変な声を出してどうしたの?」
「いや……今根っこが動いたような気がして」
根っこが動く?
もしかして、崩れる直前?
あ、私もジッと根っこを見ていたら、確かに動いたわ。
でも、動き方が何処かおかしい。
崩れる前兆とかじゃなくて、明確な意志を思って動いたように見えた。
「これは不味いですね。瘴気が脈動し始め、大樹内に流れています。どうやら、最悪な事態が起こるようです」
フリードがそう言った瞬間、地面が揺れ動く。私も観察したら、地中の浅い位置にあった波動が、大樹内に流れ込んでいる。やっぱり、あれが瘴気なんだね。
最悪の事態、大樹が今まさに魔物化しようとしているんだ!!
「ギ…ギ…ギ~~~~~ギギギギギ~~~~~『あ…あ…あ~~~~~、もう許せね~~~~~~』」
今の声って…まさか大樹!?
「まずいぞ!! 咲耶、一旦、ここから引くぞ!!」
「え…ちょ…ユウキ!!」
ユウキが私の右手を握り、大樹から離れていこうとした瞬間、大樹側から不可視の重たい何かが私たちに降り注いだ。何故か身体が重くなり、私もユウキも地面に崩れ落ち動けなくなってしまった。
「ギギギギギギギギギ~~~~」
「く、これは叫びによるスキル[威圧]だ。やはり、大樹は脅威度Bのエルダートレントに変化しようとしている」
「これは、まずいですね。今、この場で討伐しないと、大惨事になりますよ」
大樹が根元の根っこを全てバキバキと地面へと露出させていく。
樹高の真ん中付近に、赤黒い二つの目が発生して、その下に大きな口がガパッと開いていく。
「ギギギギギギギギギ~~~~~~~」
大樹が、街全土に轟くほどの雄叫びをあげる。私は雄叫びをあげる意味を理解すると、何故かさっきまで動けなかった身体が弛緩していく。
「くそ、なんて雄叫びと威圧だ。身体を動かせない。距離も近すぎるし、このままじゃ殺されてしまう」
ユウキ自身、威圧に当てられているせいか、身体全体を震わせているわ。
相当な魔力を込めた雄叫びによる威圧なんだ。
「目覚めたばかりで、この魔力量ですか。樹齢が、1000年を超えているだけありますね。ところで咲耶、あなたさっきから平然としていますが、心身に負担はないのですか?」
「え…あ、うん、大丈夫だよ。身体も普通に動かせる」
フリード、心配してくれるのはありがたいのだけど、全然怖くないの。確かに凄い雄叫びではあるけども、大樹の言葉を理解できるせいか、不思議と恐怖を感じることはない。街中に轟くほどの雄叫び、その怨嗟を理解すると、そこまで叫びたくなる気持ちもわかるので、私はむしろあの大樹に同情してしまう。
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