転生幼女のチートな悠々自適生活〜伝統魔法を使い続けていたら気づけば賢者になっていた〜

犬社護

文字の大きさ
9 / 83
本編

7話 カーバンクルの抱える事情

しおりを挟む
この3日間の苦労が実り、カーバンクルに友として認められたのは嬉しいけど、皆の抱えている事情って何かな? 

「ユミル、僕たちが先生となって教えた授業の中で、精霊使役についての内容を覚えているかい?」

「勿論、覚えてるよ。魔物は服従、精霊は友達、これらが成立して、使役契約が結ばれる」

みんなが私に色々とレクチャーしてくれたおかげで、精霊術師の素質のある人か、スキル[精霊視]を持つ人以外は精霊を視認できないことも理解できた。ただ、精霊側がその気になれば、誰にでも視認出来るよう力を調節することも可能だ。

「その通り。僕たちカーバンクルは、その使役契約をある理由で正式に結べないんだ。君のステータスで確認してみて」

トーイに言われるがまま確認すると、確かに使役のカーバンクルの箇所から(仮)が外れていない。(仮)の状態だと、精霊特有のエレメンタルスキルを自分の力で行使できるけど、互いに遠距離での通信連絡も取れないし、そのせいで召喚だってできない。

なんで、(仮)が取れてないの?

「先代長を除く精霊カーバンクルは、この国の王都に住む貴族のせいで、約百年もの間、誰とも正式な契約を結べていないし、その貴族以外に姿だって見せていない」

「百年!?」
「そうさ」

精霊は人の持つ魂の清浄さに惹かれ、使役契約を結ぶから、基本悪人とは契約しない。悪人が無闇に何かしようものなら、天罰を下すとも言ってた。

カーバンクルたちに、何があったのだろう?

「今から103年前、先代長はこの国の上位貴族の令息と偶然出会い、友人関係を築いたことで、使役契約が結ばれた。それが、全ての始まりだったのさ」

私は、トーイからカーバンクルの抱える事情を聞いていく。

今から103年前、先代長は一人の貴族令息と使役契約を結んだ。令息自信は穏やかで心も綺麗な人だったけど、その家族はそうでなかった。カーバンクルの力[反射]を我が一族のものにするため、令息を懐柔して長を召喚させると、無許可で隷属契約を結ばせ、この力を永続的に維持させるため、5つの誓約を結ばせた。

①今後、我が一族以外との使役契約を禁じる。
②今後、許可が下りない限り、我が一族以外の人族にその姿を見せてはいけないし、関係性を言ってはいけない。

③今後、活動範囲を聖域のある森のみとする。
④他の精霊たちを、カーバンクルの住む森に侵入させてはいけない。
⑤契約破棄または、契約の破壊行為を禁止とする。

奴隷契約である以上、命令に背けば、先代長は死ぬ。元々、カーバンクルたちはこの国を中心に活動していたけど、全員が長の命令により連れ戻され、一族全員が約100年間聖域のある森に閉じ込められてしまう。森の境界線にて、他の精霊たちに状況を話すことも可能だったけど、それは契約違反行為と判断され、一族全員が実行した時点で絶滅してしまう。完全に逃げ道を防がれているので、トーイたちはこれまで何もできず、100年間も聖域の森という監獄に閉じ込められている。

貴族の所業は、これだけで終わらない。

精霊を使役することで取得できるエレメンタルスキルは、通常のスキルと違い、かなり強力だ。そのため、このスキル類にだけレベルが5つ設定されており、強(S→A→B→C→D)弱となっている。Sだと、あらゆる制限が解放され、反射を自在に扱える。ただ、このレベルは使役精霊との絆の深さを表しており、使役始めの頃は絆も出来て間もないため、誰であろうともDからのスタートらしい。

貴族は先代長に対して、一族全員に反射(S)の力を付けるよう命令したけど、それが不可能とわかると、可能となる(C)を付けさせた。これにより、この人たちは反射を利用してのしあがり、内紛が起きても、国王の敵となる者に対して、反射で強引にねじ伏せ、王から絶大な信頼を得ることに成功し、莫大な富と名声を築き上げた。

先代長は、貴族の力を少しでも削ぎ落とすため、長としての力を息子に継承させた。精霊の【長】という地位は称号で、ステータスに付くと、体が大きくなり、能力もその個体の持つ資質次第で、大幅に引き上げられる。その【長】の称号を息子さんに引き継がせることで、貴族の持つ反射の力を低下させるのが、精一杯の反抗だった。

「酷い話だね。先代長の身体は大丈夫なの?」

全部の話を聞き終えると、私の心の中は、怒りの炎で燃え盛っていた。
トーイは、浮かない顔をして俯く。

「初めは問題なかった。でも、あの一族たちは相当欲深いのか、奴らを憎悪する者たちが年数の経過とともに増えてきて、そのエネルギーが凄まじいせいもあって、反射しきれない一端が隷属契約の影響で、先代の長の中にまで侵入してしまい、身体を少しずつ蝕むようになっていった。そのせいで、あの方の寿命も限界に近付いている。このまま死んでしまうと、蓄積されていた力が僕たちに向いてしまい、この聖域一帯に住むカーバンクルたちに取り憑き、全員が魔物化するだろう」

それって大変なことだよ!!
そうなると、トーイの願いって、もしかして先代長に関係すること?

「君にお願いする内容は、先代長に纏わりつく呪縛を取り除いてほしいのさ」
「なんとなく察していたけど、どうやって?」

家族に使った伝統魔法じゃあ、憎しみなんかを取り除けないよ。

「君の持つ転生特典が、鍵だね。これから、僕と一緒に長のもとへ行こう。先代長の眠る場所でなら、君の家族の時と同様に、転生特典が働いて、新規の伝統魔法を入手できるかもしれない」

そういえば[御霊送りの儀]も、あの転落事故とトーイとの出会いがキッカケで入手できたんだ。私に憎しみを取り払える力があるのかわからないけど、命の恩人が困っている以上、放っては置けない。

「わかった、先代長のもとへ行こう!!」
「いいのかい? 最悪、君が死んじゃうよ?」

死ぬって言われて、ちょっとたじろぐ。

「私だって、死にたくない。でも、困っている精霊を放って置けないよ。やれるだけやってみる!!」

今の時点で、どんな魔法を入手できるか不明な以上、まずは今代の長と会ってお話ししてみよう。


○○○


私はトーイと一緒に、一際大きな樹の根元へと移動する。根元の中心には、大きな穴が空いている。

「ユミル、ここへ入って」
「あれ? 明るい、あ、反射でここへ光を通しているんだ」
「そういうこと」

穴へ入ると、そこにはトーイより3回りほど大きいカーバンクル1体と、2回りほど大きいカーバンクルが1匹いる。小さい方の1匹は身体を丸ませ眠っていて、シールドに護られている。内部には、黒くウネウネしたものが多数いて、眠っているカーバンクルやその横に置かれている100体近くある西洋人形の身体に出たり入ったりしている。

正直言って、怖い。

「長、ユミルを連れてきました」

もう1匹の大きなカーバンクルが私を睨む。
目つきのせいもあって、お世辞にも可愛いとは言えない。

「皮肉なものだ。人間のせいで父が苦しんでいるのに、その柵を救うかもしれない者も人間か。私はガルト、先代長の息子だ」

「ユミルといいます!!」

この人の声、冷酷な声色のせいで、余計に怖い。
でも、自分の父親が人間のせいで死にそうなのだから、当然だよね。

「先代長の横に置かれている人形って何ですか?」

よく観察したら、人形の髪がおかしな形で伸びているものもあるし、表情だって笑っていたり、怒っていたりと様々だ。

私、あれと対決するの? 霊感ないよ?

「憎しみの依代を人形に移すことで、父の負担を少しだけ軽減できるんだ。シールドを解除した途端、あれらも魔物化するだろうな」

本物のお化けだよ‼︎

「それじゃあ、先代長に巻きついている太くて長い鎖は?」

「あれが、貴族と結んだ永代使役契約と奴隷契約だ。本来、目に見えないものを、今回私が反射を応用させて具現化させている」

あれも、私の力で解放出来るの? 

「ユミルは、我々に力を貸してくれるのか?」

「え? 当然だよ。私は、トーイに助けられた。私にとって、カーバンクルは命の恩人!! カーバンクルが私の力を必要としているのなら、私は自分の力を遠慮なく使うよ」

そうでないと、命の恩人に失礼だ。

「良い目をしている。だが、転生特典というのは、人の人生において通常1回しか起こり得ないもので、得られるスキルや魔法類も、通常のものより遥かに強い効果がある。選択肢次第では世界最強となり、地位と名誉を得られるだろう。それを捨て、我らを救う道を選ぶか?」

1回目の転生特典では、選択肢に[経験値×10倍]があった。あれを選べばチートキャラと化して、いずれ世界最強になっていたかもしれない。

「私は、そんな自分本位な選択肢を選びません!!」
「そうか……ならば試させてもらおう。父のもとへ行くといい」

今度は、どんな選択肢が出るの?
願わくば、私を迷わせるものは出ないでほしい。

深く寝ているカーバンクルのもとへ恐る恐る行くと、ステータス画面が表示された。
しおりを挟む
感想 41

あなたにおすすめの小説

魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します

怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。 本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。 彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。 世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。 喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。

チートな転生幼女の無双生活 ~そこまで言うなら無双してあげようじゃないか~

ふゆ
ファンタジー
 私は死んだ。  はずだったんだけど、 「君は時空の帯から落ちてしまったんだ」  神様たちのミスでみんなと同じような輪廻転生ができなくなり、特別に記憶を持ったまま転生させてもらえることになった私、シエル。  なんと幼女になっちゃいました。  まだ転生もしないうちに神様と友達になるし、転生直後から神獣が付いたりと、チート万歳!  エーレスと呼ばれるこの世界で、シエルはどう生きるのか? *不定期更新になります *誤字脱字、ストーリー案があればぜひコメントしてください! *ところどころほのぼのしてます( ^ω^ ) *小説家になろう様にも投稿させていただいています

今さら言われても・・・私は趣味に生きてますので

sherry
ファンタジー
ある日森に置き去りにされた少女はひょんな事から自分が前世の記憶を持ち、この世界に生まれ変わったことを思い出す。 早々に今世の家族に見切りをつけた少女は色んな出会いもあり、周りに呆れられながらも成長していく。 なのに・・・今更そんなこと言われても・・・出来ればそのまま放置しといてくれません?私は私で気楽にやってますので。 ※魔法と剣の世界です。 ※所々ご都合設定かもしれません。初ジャンルなので、暖かく見守っていただけたら幸いです。

【完結】妖精を十年間放置していた為SSSランクになっていて、何でもあり状態で助かります

すみ 小桜(sumitan)
ファンタジー
 《ファンタジー小説大賞エントリー作品》五歳の時に両親を失い施設に預けられたスラゼは、十五歳の時に王国騎士団の魔導士によって、見えていた妖精の声が聞こえる様になった。  なんと十年間放置していたせいでSSSランクになった名をラスと言う妖精だった!  冒険者になったスラゼは、施設で一緒だった仲間レンカとサツナと共に冒険者協会で借りたミニリアカーを引いて旅立つ。  ラスは、リアカーやスラゼのナイフにも加護を与え、軽くしたりのこぎりとして使えるようにしてくれた。そこでスラゼは、得意なDIYでリアカーの改造、テーブルやイス、入れ物などを作って冒険を快適に変えていく。  そして何故か三人は、可愛いモモンガ風モンスターの加護まで貰うのだった。

おばさん冒険者、職場復帰する

神田柊子
ファンタジー
アリス(43)は『完全防御の魔女』と呼ばれたA級冒険者。 子育て(子どもの修行)のために母子ふたりで旅をしていたけれど、子どもが父親の元で暮らすことになった。 ひとりになったアリスは、拠点にしていた街に五年ぶりに帰ってくる。 さっそくギルドに顔を出すと昔馴染みのギルドマスターから、ギルド職員のリーナを弟子にしてほしいと頼まれる……。 生活力は低め、戦闘力は高めなアリスおばさんの冒険譚。 ----- 剣と魔法の西洋風異世界。転移・転生なし。三人称。 一話ごとで一区切りの、連作短編(の予定)。 ----- ※小説家になろう様にも掲載中。

公爵家三男に転生しましたが・・・

キルア犬
ファンタジー
前世は27歳の社会人でそこそこ恋愛なども経験済みの水嶋海が主人公ですが… 色々と本当に色々とありまして・・・ 転生しました。 前世は女性でしたが異世界では男! 記憶持ち葛藤をご覧下さい。 作者は初投稿で理系人間ですので誤字脱字には寛容頂きたいとお願いします。

余命半年のはずが?異世界生活始めます

ゆぃ♫
ファンタジー
静波杏花、本日病院で健康診断の結果を聞きに行き半年の余命と判明… 不運が重なり、途方に暮れていると… 確認はしていますが、拙い文章で誤字脱字もありますが読んでいただけると嬉しいです。

加工を極めし転生者、チート化した幼女たちとの自由気ままな冒険ライフ

犬社護
ファンタジー
交通事故で不慮の死を遂げてしまった僕-リョウトは、死後の世界で女神と出会い、異世界へ転生されることになった。事前に転生先の世界観について詳しく教えられ、その場でスキルやギフトを練習しても構わないと言われたので、僕は自分に与えられるギフトだけを極めるまで練習を重ねた。女神の目的は不明だけど、僕は全てを納得した上で、フランベル王国王都ベルンシュナイルに住む貴族の名門ヒライデン伯爵家の次男として転生すると、とある理由で魔法を一つも習得できないせいで、15年間軟禁生活を強いられ、15歳の誕生日に両親から追放処分を受けてしまう。ようやく自由を手に入れたけど、初日から幽霊に憑かれた幼女ルティナ、2日目には幽霊になってしまった幼女リノアと出会い、2人を仲間にしたことで、僕は様々な選択を迫られることになる。そしてその結果、子供たちが意図せず、どんどんチート化してしまう。 僕の夢は、自由気ままに世界中を冒険すること…なんだけど、いつの間にかチートな子供たちが主体となって、冒険が進んでいく。 僕の夢……どこいった?

処理中です...