27 / 83
本編
25話 視線を感じます
しおりを挟む
私とカイト兄が冒険者ギルドに入ると、早朝ということもあってか、色んな冒険者たちが掲示板のところに屯しており、自分たちに見合う依頼を探している。そこには、私と同年代の子供はいない。ここから見える限り、いるのは10歳くらいの男女混成パーティーくらいだ。
冒険者登録をしてわかったけど、今の時点で私が最年少冒険者で、私と同年代の子供はいない。ここへ来た当初、私は冒険者になるにあたっての初心者講習を受けた。内容自体が私のためになるものばかりだったので、授業を真剣に聞き入れ、内容でいくつか疑問に感じた箇所に関しては、皆のいる前でその都度、申し訳ない気持ちで講師の先生に質問した。そのせいで、講習終了が予定時刻より30分程遅れてしまい、皆に迷惑を掛けてしまったので、その場ですぐに出席者6名(10~13歳)と先生に謝罪したら、皆に怒られるどころか褒められてしまった。講習を終えて、トーイたちが大勢の冒険者たちと話していたので、みんなに講習での出来事を話すと、私の納得のいく答えが返ってきた。
・初心者講習は、誰もが知ってて当たり前のことばかり。そのため、出席者側の殆どにやる気がなく、毎回眠っている人が続出している。先生側はその理由もわかるけど、舐められては困るので、その都度注意を入れるため、喧嘩に発展する場合がある。
・出席者側も真剣に聞き入れることもあるけど、講師側に滅多に質問しない。理由は簡単、その質問自体が知ってて当たり前のものであった場合、ギルド側に名前を覚えられ、評価を落とす可能性があり、ランクが上がりにくくなると思い込んでいる。
今回、私が一番前の席を確保し、真剣に授業に臨み、わからない箇所はその都度質問していたことで、居眠り者はゼロだった。私の質問内容が他の出席者の思っていたものと酷似していたので、質問する手間が省けた。その結果、これまでの講習の中でも最高の終わり方になったので、先生側も出席者側も褒めてくれたみたい。
私は4歳で何も知らなくて当然だし、積極的に質問したことで、両方からかなりの好印象を与え、周囲の雰囲気を緩和させたようだ。初日の登録以降、どういうわけか講習時の私の様子が皆に知れ渡っていたようで、私が訪れると、年齢に関係なく、皆が笑顔となり、多くの人々が挨拶も兼ねて、私の頭を撫でていく。
そして、今日も…
「お~ユミル~~早いな~~」
「本当ね~今日も頑張ってね~~~」
「最年少冒険者さん、魔物と遭遇したら真っ先に逃げるか、近場の冒険者に知らせるようにね」
今日も今日で、私はみんなに頭を撫でられている。
う~ん、なんだか恒例になってきている気がする。
「はい、頑張ります!!」
そんな私を見て、カイト兄も笑顔だ。
「はは、いつもの日常の始まりだな」
「うん、今日も一日頑張るよ!!」
とりあえず、私たちは依頼の貼られている掲示板へと、足を運ぶ。
「新しい依頼が入ったのかな?」
私は登録時の講習で、冒険者についての説明を受けた。冒険者には、[強S・A・B・C・D・E・F弱]の7つのランクがあり、一階の大掲示板には、各ランクに分けられた7つの区画があり、冒険者たちは自分の現ランクと一つ上のランクを受注できる。
私の場合なら、FとEランクだ。
「そうだろうな。あそこまで群がるってことは、高い報酬の依頼が入ったんだ。位置的に、DとEランクかな。まあ、今の俺とユミルには厳しいから、焦らず無難なFランクの依頼から遂行して、ポイントを稼いでいこう」
カイト兄の目標は、Eランクに位置するゴブリン討伐依頼を1人で達成させること。そのためにも、攻撃力の向上が必須事項だ。普通、冒険者はスキル[剣術][身体強化]などで攻撃力を向上させるけど、カイト兄は剣術しか持っていないから、[身体強化]がない分をどうやって補うかで、今も悩んでいる。
……なんだろう?
何か、ねっとりとした視線を感じる。
これって、敵意?
視線の元を探しキョロキョロしていると、2階から私を見ている10歳くらいの女の子と、目が合った。ここ1階は一部吹き抜けになっているから、2階の廊下から1階を覗ける。
多分、この視線はあの子だ。
水色の髪と瞳、お洒落で貴賓ある服装、貴族かな?
「アイリス、どうしました?」
彼女は誰かに話しかけられたのか、後方を向く。
「お父様、探している子供はあの子でしょうか? 隣に、カイトさんもいます」
ここからだと、会話が聞こえないよ。
あ、今度は30代のおじさんがこっちを見てきた。
優し気な顔で、怖い雰囲気を出していない。
「ああ、間違いありませんね。カイト君から聞いた幼女は、彼女のことでしょう。私たちが行くと目立ちますから、館内放送を流して、我々のいる部屋へ来てもらいましょう」
「はい」
周囲が騒ついているせいもあって、2人の話している内容がこっちまで聞こえてこない。
「カイト兄、2階にいる10歳くらいの女の子が、私を見て何か言ってる」
「あれは、街長のマーカス様と次女のアイリス様じゃないか!! そうか、俺があの件の報告も兼ねて、ユミルのことを話したから、もう様子を見にきたのか」
カイト兄は、スラム地区の状況を街長様に報告する義務がある。ラピスが目覚め、危険な状態を脱し、健康に問題ないと判明したのが昨日、だからカイト兄はリアテイル様の書いた手紙を持って、街長様の邸へと赴いた。
街長様がこの件を知ったら、解決に導いた私の存在を気にかけ、冒険者ギルドを通じて、話し合いの場をセッティングしてくると、リアテイル様やトマス爺、トーイも言っていたけど、昨日の今日でもう会いにきたってことかな。
でも、街長様はわかるけど、どうしてその子供が冒険者ギルドへ来たの?
冒険者登録をしてわかったけど、今の時点で私が最年少冒険者で、私と同年代の子供はいない。ここへ来た当初、私は冒険者になるにあたっての初心者講習を受けた。内容自体が私のためになるものばかりだったので、授業を真剣に聞き入れ、内容でいくつか疑問に感じた箇所に関しては、皆のいる前でその都度、申し訳ない気持ちで講師の先生に質問した。そのせいで、講習終了が予定時刻より30分程遅れてしまい、皆に迷惑を掛けてしまったので、その場ですぐに出席者6名(10~13歳)と先生に謝罪したら、皆に怒られるどころか褒められてしまった。講習を終えて、トーイたちが大勢の冒険者たちと話していたので、みんなに講習での出来事を話すと、私の納得のいく答えが返ってきた。
・初心者講習は、誰もが知ってて当たり前のことばかり。そのため、出席者側の殆どにやる気がなく、毎回眠っている人が続出している。先生側はその理由もわかるけど、舐められては困るので、その都度注意を入れるため、喧嘩に発展する場合がある。
・出席者側も真剣に聞き入れることもあるけど、講師側に滅多に質問しない。理由は簡単、その質問自体が知ってて当たり前のものであった場合、ギルド側に名前を覚えられ、評価を落とす可能性があり、ランクが上がりにくくなると思い込んでいる。
今回、私が一番前の席を確保し、真剣に授業に臨み、わからない箇所はその都度質問していたことで、居眠り者はゼロだった。私の質問内容が他の出席者の思っていたものと酷似していたので、質問する手間が省けた。その結果、これまでの講習の中でも最高の終わり方になったので、先生側も出席者側も褒めてくれたみたい。
私は4歳で何も知らなくて当然だし、積極的に質問したことで、両方からかなりの好印象を与え、周囲の雰囲気を緩和させたようだ。初日の登録以降、どういうわけか講習時の私の様子が皆に知れ渡っていたようで、私が訪れると、年齢に関係なく、皆が笑顔となり、多くの人々が挨拶も兼ねて、私の頭を撫でていく。
そして、今日も…
「お~ユミル~~早いな~~」
「本当ね~今日も頑張ってね~~~」
「最年少冒険者さん、魔物と遭遇したら真っ先に逃げるか、近場の冒険者に知らせるようにね」
今日も今日で、私はみんなに頭を撫でられている。
う~ん、なんだか恒例になってきている気がする。
「はい、頑張ります!!」
そんな私を見て、カイト兄も笑顔だ。
「はは、いつもの日常の始まりだな」
「うん、今日も一日頑張るよ!!」
とりあえず、私たちは依頼の貼られている掲示板へと、足を運ぶ。
「新しい依頼が入ったのかな?」
私は登録時の講習で、冒険者についての説明を受けた。冒険者には、[強S・A・B・C・D・E・F弱]の7つのランクがあり、一階の大掲示板には、各ランクに分けられた7つの区画があり、冒険者たちは自分の現ランクと一つ上のランクを受注できる。
私の場合なら、FとEランクだ。
「そうだろうな。あそこまで群がるってことは、高い報酬の依頼が入ったんだ。位置的に、DとEランクかな。まあ、今の俺とユミルには厳しいから、焦らず無難なFランクの依頼から遂行して、ポイントを稼いでいこう」
カイト兄の目標は、Eランクに位置するゴブリン討伐依頼を1人で達成させること。そのためにも、攻撃力の向上が必須事項だ。普通、冒険者はスキル[剣術][身体強化]などで攻撃力を向上させるけど、カイト兄は剣術しか持っていないから、[身体強化]がない分をどうやって補うかで、今も悩んでいる。
……なんだろう?
何か、ねっとりとした視線を感じる。
これって、敵意?
視線の元を探しキョロキョロしていると、2階から私を見ている10歳くらいの女の子と、目が合った。ここ1階は一部吹き抜けになっているから、2階の廊下から1階を覗ける。
多分、この視線はあの子だ。
水色の髪と瞳、お洒落で貴賓ある服装、貴族かな?
「アイリス、どうしました?」
彼女は誰かに話しかけられたのか、後方を向く。
「お父様、探している子供はあの子でしょうか? 隣に、カイトさんもいます」
ここからだと、会話が聞こえないよ。
あ、今度は30代のおじさんがこっちを見てきた。
優し気な顔で、怖い雰囲気を出していない。
「ああ、間違いありませんね。カイト君から聞いた幼女は、彼女のことでしょう。私たちが行くと目立ちますから、館内放送を流して、我々のいる部屋へ来てもらいましょう」
「はい」
周囲が騒ついているせいもあって、2人の話している内容がこっちまで聞こえてこない。
「カイト兄、2階にいる10歳くらいの女の子が、私を見て何か言ってる」
「あれは、街長のマーカス様と次女のアイリス様じゃないか!! そうか、俺があの件の報告も兼ねて、ユミルのことを話したから、もう様子を見にきたのか」
カイト兄は、スラム地区の状況を街長様に報告する義務がある。ラピスが目覚め、危険な状態を脱し、健康に問題ないと判明したのが昨日、だからカイト兄はリアテイル様の書いた手紙を持って、街長様の邸へと赴いた。
街長様がこの件を知ったら、解決に導いた私の存在を気にかけ、冒険者ギルドを通じて、話し合いの場をセッティングしてくると、リアテイル様やトマス爺、トーイも言っていたけど、昨日の今日でもう会いにきたってことかな。
でも、街長様はわかるけど、どうしてその子供が冒険者ギルドへ来たの?
270
あなたにおすすめの小説
魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します
怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。
本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。
彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。
世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。
喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。
チートな転生幼女の無双生活 ~そこまで言うなら無双してあげようじゃないか~
ふゆ
ファンタジー
私は死んだ。
はずだったんだけど、
「君は時空の帯から落ちてしまったんだ」
神様たちのミスでみんなと同じような輪廻転生ができなくなり、特別に記憶を持ったまま転生させてもらえることになった私、シエル。
なんと幼女になっちゃいました。
まだ転生もしないうちに神様と友達になるし、転生直後から神獣が付いたりと、チート万歳!
エーレスと呼ばれるこの世界で、シエルはどう生きるのか?
*不定期更新になります
*誤字脱字、ストーリー案があればぜひコメントしてください!
*ところどころほのぼのしてます( ^ω^ )
*小説家になろう様にも投稿させていただいています
今さら言われても・・・私は趣味に生きてますので
sherry
ファンタジー
ある日森に置き去りにされた少女はひょんな事から自分が前世の記憶を持ち、この世界に生まれ変わったことを思い出す。
早々に今世の家族に見切りをつけた少女は色んな出会いもあり、周りに呆れられながらも成長していく。
なのに・・・今更そんなこと言われても・・・出来ればそのまま放置しといてくれません?私は私で気楽にやってますので。
※魔法と剣の世界です。
※所々ご都合設定かもしれません。初ジャンルなので、暖かく見守っていただけたら幸いです。
【完結】妖精を十年間放置していた為SSSランクになっていて、何でもあり状態で助かります
すみ 小桜(sumitan)
ファンタジー
《ファンタジー小説大賞エントリー作品》五歳の時に両親を失い施設に預けられたスラゼは、十五歳の時に王国騎士団の魔導士によって、見えていた妖精の声が聞こえる様になった。
なんと十年間放置していたせいでSSSランクになった名をラスと言う妖精だった!
冒険者になったスラゼは、施設で一緒だった仲間レンカとサツナと共に冒険者協会で借りたミニリアカーを引いて旅立つ。
ラスは、リアカーやスラゼのナイフにも加護を与え、軽くしたりのこぎりとして使えるようにしてくれた。そこでスラゼは、得意なDIYでリアカーの改造、テーブルやイス、入れ物などを作って冒険を快適に変えていく。
そして何故か三人は、可愛いモモンガ風モンスターの加護まで貰うのだった。
おばさん冒険者、職場復帰する
神田柊子
ファンタジー
アリス(43)は『完全防御の魔女』と呼ばれたA級冒険者。
子育て(子どもの修行)のために母子ふたりで旅をしていたけれど、子どもが父親の元で暮らすことになった。
ひとりになったアリスは、拠点にしていた街に五年ぶりに帰ってくる。
さっそくギルドに顔を出すと昔馴染みのギルドマスターから、ギルド職員のリーナを弟子にしてほしいと頼まれる……。
生活力は低め、戦闘力は高めなアリスおばさんの冒険譚。
-----
剣と魔法の西洋風異世界。転移・転生なし。三人称。
一話ごとで一区切りの、連作短編(の予定)。
-----
※小説家になろう様にも掲載中。
公爵家三男に転生しましたが・・・
キルア犬
ファンタジー
前世は27歳の社会人でそこそこ恋愛なども経験済みの水嶋海が主人公ですが…
色々と本当に色々とありまして・・・
転生しました。
前世は女性でしたが異世界では男!
記憶持ち葛藤をご覧下さい。
作者は初投稿で理系人間ですので誤字脱字には寛容頂きたいとお願いします。
余命半年のはずが?異世界生活始めます
ゆぃ♫
ファンタジー
静波杏花、本日病院で健康診断の結果を聞きに行き半年の余命と判明…
不運が重なり、途方に暮れていると…
確認はしていますが、拙い文章で誤字脱字もありますが読んでいただけると嬉しいです。
加工を極めし転生者、チート化した幼女たちとの自由気ままな冒険ライフ
犬社護
ファンタジー
交通事故で不慮の死を遂げてしまった僕-リョウトは、死後の世界で女神と出会い、異世界へ転生されることになった。事前に転生先の世界観について詳しく教えられ、その場でスキルやギフトを練習しても構わないと言われたので、僕は自分に与えられるギフトだけを極めるまで練習を重ねた。女神の目的は不明だけど、僕は全てを納得した上で、フランベル王国王都ベルンシュナイルに住む貴族の名門ヒライデン伯爵家の次男として転生すると、とある理由で魔法を一つも習得できないせいで、15年間軟禁生活を強いられ、15歳の誕生日に両親から追放処分を受けてしまう。ようやく自由を手に入れたけど、初日から幽霊に憑かれた幼女ルティナ、2日目には幽霊になってしまった幼女リノアと出会い、2人を仲間にしたことで、僕は様々な選択を迫られることになる。そしてその結果、子供たちが意図せず、どんどんチート化してしまう。
僕の夢は、自由気ままに世界中を冒険すること…なんだけど、いつの間にかチートな子供たちが主体となって、冒険が進んでいく。
僕の夢……どこいった?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる