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本編
26話 カイト兄、反省する
今、私とカイト兄は、冒険者ギルド2階にある応接室にいる。
1階で女の子と視線が合うと、すぐに館内放送が流れて、私とカイト兄が2階執務室へと呼ばれたからだ。中に入ると、そこにはカイト兄の言った街長マーカス様とあの女の子がソファーに座っており、部屋中央奥には大きなデスクが配置されており、ここの主人なのか、40歳前後の褐色肌の男性が自分用の椅子に座っており、私たちに話しかけてきた。
「2人とも、急に呼び出してすまない。まずは、そこにおられる客人の対面側に座りなさい」
私たちは言われるがまま、対面側のソファーへと座る。
「俺は、この冒険者ギルドのギルドマスター・ハインツだ」
この人が、リアテイル様の言っていたギルドマスターなんだ。
元Sランク冒険者で、街長とも旧知の仲と言っていた。
「こちらにおられるのが、街長マーカス様と、そのご息女アイリス様だ。ユミルは俺たちと初見だから、今回呼び出した」
リアテイル様の件で、いつか話し合うと思っていたけど、問題が大きかったせいか、もう話し合いの場を設けてくれたのか。街長のマーカス様、こうやって近くで拝見すると、青色の髪で涼し気な顔をしており、凄く知的な雰囲気を醸し出している。なんとなくだけど、同年代の女性陣からモテる顔立ちだと思う。
「ユミルといいます」
私が平民としての挨拶を交わすと、街長マーカス様が口を開く。
「私は、街長のマーカス・カルバインです。ユミル、精霊リアテイル様のご子息ラピス様を救って頂き感謝します。私たちは王都の聖女様と協力して、ラピス様の魂を探し出す手段をこの1年ずっと模索していましたが、手掛かりになる文献も見つからず、正直手詰まりな状態でした。まさか、転生者の持つオリジナル魔法で助けられるとは思いもしませんでしたよ」
マーカス様は頭を下げ、平民の私に深い感謝の意を示してくれた。貴族は簡単に頭を下げてはいけないと両親から教わっているけど、ここまで感謝してくれるということは、相当悩んでいたんだ。
「あ、あたまをお上げ下さい。私の前世の知識が役立ててなによりです。私のオリジナル魔法は、汎用性が低い代わりに、条件さえ合致すれば、強力な力を発揮してくれるので、これからも街のために貢献していきたいと思います」
転生者とわかっている以上、子供っぽい口調はいらないよね。私の言葉に対して、マーカス様は少し驚くものの、優し気に微笑んでくれた。
「ありがとう。その件については、リアテイル様からも聞いています。君は精霊フェニックス族と使役契約を結べている以上、将来立派な精霊術師になるでしょう。今後はカルバイン子爵家が、君の後ろ盾になりましょう。困ったことが起きたら、私の名前を告げるといい。厄介な連中と遭遇したとしても、それで大抵の事は回避できるはずです」
後ろ盾!?
ここに来て間もないのに、貴族からのこのプレゼントは嬉しいよ!!
「ありがとうございます!! でも、4歳の私が後ろ盾を頂いていいのですか?」
「構いません。あなたには、それだけの価値があります。ただ、[精霊フェニックス][精霊術師][エレメンタルスキル][後ろ盾]に関わる内容を公表しないでもらいたい。私の名に関しては、緊急時のみに使用してください」
それは、当然だよ。
カイト兄やトマス爺、リアテイル様たちと出会ったことで、私とトーイは新たな情報を入手できた。今、この国では精霊術師の数が極端に少ない。100年におけるカーバンクルの束縛が影響しているのかは不明だけど、現在精霊術師になりえる子供の誘拐が起きているくらいだ。
そして、エレメンタルスキル[反射][源泉]、これらは誰もが欲しがるスキルで、まだCまでの範囲でしか使えないけど、それでも周囲に知られると、誘拐される危険性が非常に高い。表沙汰にしたら、私だけでなく、私の周囲にいる人々にも迷惑が掛かる。マーカス様の言葉を、肝に銘じておこう。
「はい、勿論です。ただ、私のエレメンタルスキルが必要な時は、いつでも言ってください。自分の出来うる範囲内で、ご協力致します」
私の意図が伝わったのか、マーカス様もアイリス様もハインツさんも、驚きで目を大きく見開く。
「あははは、賢い子供だ。こうやって話し合うことで、あなたが転生者であることがわかりますよ。ところで、先程の件とは別件で、君に質問したいことがあります」
質問?
「何でしょうか?」
「5日前、ここタウセントから少し離れた街道にて、貴族の馬車が盗賊に襲撃されました。その際、子供が空から降ってきて、盗賊共を雹で撃退したという。その子供は、君のことかな?」
これ…真実を言った方がいいよね。
「あ~それ間違いなく私です。魔法制御をミスっちゃって、荷馬車の上に落ちたんです。その時に遭遇した盗賊には、伝統魔法[雷乃発生]をぶつけました。撃退したのですが、魔力を使い切ってしまって、仲間のトーイに助けられました」
うう、恥ずかしいよ。
「メイリンから聞いた内容と一致していますね」
メイリンって誰?
マーカス様が、懐から何かを取り出した。
あれは、きめ細やかなデザインの施された小袋だ。
それを、テーブルの上に置く。
「これは?」
「先程言った馬車の件ですが、あの中にいたのが私とアイリスなのです」
「ええ!?」
ということは、あの盗賊と戦っていたメイドさんがメイリンさんなの!?
貴族の馬車と思ったけど、その持ち主が目の前にいる人たちだったのか。
「これは、我々からの御礼です」
小袋を貰ったので、中身を確認すると、金貨がなんと20枚も入っていた。
「こ…これ、多過ぎですよ!!」
この街で買い物を何度かしてわかったけど、この世界の金銭の単位は、どの国においてもゴルドで統一されていて、1ゴルド=1円だと思う。金貨20枚は20万ゴルド、つまりは20万円、こんなの受け取れないよ。
「そういうと思いましたよ。でしたら、孤児たちの生活費にすればいいでしょう。元々、カイトが資金不足で、トーイの財布を盗んだ事がきっかけで知り合ったと聞いています。素直に、私か娘たちに言えばいいものを。人様の財布を盗むとは…まあ、そのおかげで、皆が幸せになれたのですから不問にしましたがね」
マーカス様とアイリス様が、ちらっと細めでカイト兄を睨む。
彼は居心地の悪さのせいか、身をすくめる。
「う…すいません」
カイト兄、さぞかし肩身が狭いでしょうね。でも生活資金か、こんな大金を私1人で使ったらダメだ。それなら、みんなのために使わせてもらおう。
「わかりました。この金を基に、私たちの食費だけでなく、勉強に必要な道具を購入していきます。それでいいよね、カイト兄?」
「はい…それで結構です。この度は申し訳ありませんでした」
私に対しての謝罪自体は出会った時点でされているけど、スラム地区にいる孤児たちには、毎月援助金が出されていて、食費面で足りななったから窃盗に走るという行為は、最低だよ。気持ちはわかるけど、素直に街長様に言っておくべきだったね。
1階で女の子と視線が合うと、すぐに館内放送が流れて、私とカイト兄が2階執務室へと呼ばれたからだ。中に入ると、そこにはカイト兄の言った街長マーカス様とあの女の子がソファーに座っており、部屋中央奥には大きなデスクが配置されており、ここの主人なのか、40歳前後の褐色肌の男性が自分用の椅子に座っており、私たちに話しかけてきた。
「2人とも、急に呼び出してすまない。まずは、そこにおられる客人の対面側に座りなさい」
私たちは言われるがまま、対面側のソファーへと座る。
「俺は、この冒険者ギルドのギルドマスター・ハインツだ」
この人が、リアテイル様の言っていたギルドマスターなんだ。
元Sランク冒険者で、街長とも旧知の仲と言っていた。
「こちらにおられるのが、街長マーカス様と、そのご息女アイリス様だ。ユミルは俺たちと初見だから、今回呼び出した」
リアテイル様の件で、いつか話し合うと思っていたけど、問題が大きかったせいか、もう話し合いの場を設けてくれたのか。街長のマーカス様、こうやって近くで拝見すると、青色の髪で涼し気な顔をしており、凄く知的な雰囲気を醸し出している。なんとなくだけど、同年代の女性陣からモテる顔立ちだと思う。
「ユミルといいます」
私が平民としての挨拶を交わすと、街長マーカス様が口を開く。
「私は、街長のマーカス・カルバインです。ユミル、精霊リアテイル様のご子息ラピス様を救って頂き感謝します。私たちは王都の聖女様と協力して、ラピス様の魂を探し出す手段をこの1年ずっと模索していましたが、手掛かりになる文献も見つからず、正直手詰まりな状態でした。まさか、転生者の持つオリジナル魔法で助けられるとは思いもしませんでしたよ」
マーカス様は頭を下げ、平民の私に深い感謝の意を示してくれた。貴族は簡単に頭を下げてはいけないと両親から教わっているけど、ここまで感謝してくれるということは、相当悩んでいたんだ。
「あ、あたまをお上げ下さい。私の前世の知識が役立ててなによりです。私のオリジナル魔法は、汎用性が低い代わりに、条件さえ合致すれば、強力な力を発揮してくれるので、これからも街のために貢献していきたいと思います」
転生者とわかっている以上、子供っぽい口調はいらないよね。私の言葉に対して、マーカス様は少し驚くものの、優し気に微笑んでくれた。
「ありがとう。その件については、リアテイル様からも聞いています。君は精霊フェニックス族と使役契約を結べている以上、将来立派な精霊術師になるでしょう。今後はカルバイン子爵家が、君の後ろ盾になりましょう。困ったことが起きたら、私の名前を告げるといい。厄介な連中と遭遇したとしても、それで大抵の事は回避できるはずです」
後ろ盾!?
ここに来て間もないのに、貴族からのこのプレゼントは嬉しいよ!!
「ありがとうございます!! でも、4歳の私が後ろ盾を頂いていいのですか?」
「構いません。あなたには、それだけの価値があります。ただ、[精霊フェニックス][精霊術師][エレメンタルスキル][後ろ盾]に関わる内容を公表しないでもらいたい。私の名に関しては、緊急時のみに使用してください」
それは、当然だよ。
カイト兄やトマス爺、リアテイル様たちと出会ったことで、私とトーイは新たな情報を入手できた。今、この国では精霊術師の数が極端に少ない。100年におけるカーバンクルの束縛が影響しているのかは不明だけど、現在精霊術師になりえる子供の誘拐が起きているくらいだ。
そして、エレメンタルスキル[反射][源泉]、これらは誰もが欲しがるスキルで、まだCまでの範囲でしか使えないけど、それでも周囲に知られると、誘拐される危険性が非常に高い。表沙汰にしたら、私だけでなく、私の周囲にいる人々にも迷惑が掛かる。マーカス様の言葉を、肝に銘じておこう。
「はい、勿論です。ただ、私のエレメンタルスキルが必要な時は、いつでも言ってください。自分の出来うる範囲内で、ご協力致します」
私の意図が伝わったのか、マーカス様もアイリス様もハインツさんも、驚きで目を大きく見開く。
「あははは、賢い子供だ。こうやって話し合うことで、あなたが転生者であることがわかりますよ。ところで、先程の件とは別件で、君に質問したいことがあります」
質問?
「何でしょうか?」
「5日前、ここタウセントから少し離れた街道にて、貴族の馬車が盗賊に襲撃されました。その際、子供が空から降ってきて、盗賊共を雹で撃退したという。その子供は、君のことかな?」
これ…真実を言った方がいいよね。
「あ~それ間違いなく私です。魔法制御をミスっちゃって、荷馬車の上に落ちたんです。その時に遭遇した盗賊には、伝統魔法[雷乃発生]をぶつけました。撃退したのですが、魔力を使い切ってしまって、仲間のトーイに助けられました」
うう、恥ずかしいよ。
「メイリンから聞いた内容と一致していますね」
メイリンって誰?
マーカス様が、懐から何かを取り出した。
あれは、きめ細やかなデザインの施された小袋だ。
それを、テーブルの上に置く。
「これは?」
「先程言った馬車の件ですが、あの中にいたのが私とアイリスなのです」
「ええ!?」
ということは、あの盗賊と戦っていたメイドさんがメイリンさんなの!?
貴族の馬車と思ったけど、その持ち主が目の前にいる人たちだったのか。
「これは、我々からの御礼です」
小袋を貰ったので、中身を確認すると、金貨がなんと20枚も入っていた。
「こ…これ、多過ぎですよ!!」
この街で買い物を何度かしてわかったけど、この世界の金銭の単位は、どの国においてもゴルドで統一されていて、1ゴルド=1円だと思う。金貨20枚は20万ゴルド、つまりは20万円、こんなの受け取れないよ。
「そういうと思いましたよ。でしたら、孤児たちの生活費にすればいいでしょう。元々、カイトが資金不足で、トーイの財布を盗んだ事がきっかけで知り合ったと聞いています。素直に、私か娘たちに言えばいいものを。人様の財布を盗むとは…まあ、そのおかげで、皆が幸せになれたのですから不問にしましたがね」
マーカス様とアイリス様が、ちらっと細めでカイト兄を睨む。
彼は居心地の悪さのせいか、身をすくめる。
「う…すいません」
カイト兄、さぞかし肩身が狭いでしょうね。でも生活資金か、こんな大金を私1人で使ったらダメだ。それなら、みんなのために使わせてもらおう。
「わかりました。この金を基に、私たちの食費だけでなく、勉強に必要な道具を購入していきます。それでいいよね、カイト兄?」
「はい…それで結構です。この度は申し訳ありませんでした」
私に対しての謝罪自体は出会った時点でされているけど、スラム地区にいる孤児たちには、毎月援助金が出されていて、食費面で足りななったから窃盗に走るという行為は、最低だよ。気持ちはわかるけど、素直に街長様に言っておくべきだったね。
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