転生幼女のチートな悠々自適生活〜伝統魔法を使い続けていたら気づけば賢者になっていた〜

犬社護

文字の大きさ
26 / 96
本編

24話 冒険者として活動を始めます

ラピスと出会ってから、4日が経過した。

このたった4日で、両手で持ち上げるサイズだったラピスの身体は、母親リアテイル様からの魔力をご飯として食べたことで一回り成長し、灰色だった毛も緋色へと変化しつつある。初日はよろよろと立ち上がるのも必死だったけど、今ではゆっくりとてとてと床を歩いており、その回復力には目を見張るものがあり、見ている私たちも非常に癒される。それに、ラピスの羽が日増しにフワフワモフモフになりつつある。完全な健康体になったら、トーイの時のように抱きしめたい。

今は赤ん坊で不安定な状態だから、私も我慢しないとね。ラピスも元気になりつつあるせいか、教会から出ていこうとする私を見て、毎回『僕も行きたい!!』と宣言するのだけど、当然リアテイル様の許可は下りない。

「ユミル、僕も外へ行きたい!!」

ほら、今回も私が教会の外に出ようとしたら、気持ちを私にぶつけてきた。

「ダメです。今は、我慢の時ですよ。あなたの身体が年齢に見合うようになるまで、もう少しの我慢です。今出ていけば、身体を壊してしまい、すぐに倒れてしまいます。そんな事になれば、ユミルも悲しみますよ」

リアテイル様からのお叱りで、ラピスはしゅんと項垂れてしまう。弱々しかったあの声が、ここまで元気になるのは嬉しいけど、今は我慢の時だ。こうやってお叱りを受けた後、ラピスは必ず悲しげな表情をとり、『僕を連れてって』と潤んだ目で私を見つめてくる。子犬が飼い主に向かって必死に訴えているようで、私も連れていきたい衝動に駆られてしまうから要注意だ。

「ラピス、焦りは禁物だよ。今はいっぱい食べて、よく眠ることが大事なの。あなたのお母さんも、『いっぱい食べて必死に魔力訓練を行えば、2年分の成長が身体に順応して大きくなる』と言ってたでしょ? それまでは、我慢だよ。私も強くなって、あなたの足手纏いになりたくないの」

「それは…わかってるけどさ」

ラピスの成長速度が、非常に速い。

初日は母親のリアテイル様から魔力を少し貰っていただけで何も食べていないけど、2日目からはふやかした野菜類とかを食べ始めていき、3日目になると、その量が2倍に増え、母親の魔力をもっと欲しいとねだるようになった。

昨日の時点で、私の魔力量を既に超えているとトーイから教えられた時は、かなりショックだったよ。私もラピスも最弱だから強くならなきゃいけないのだけど、魔力量で既に追い抜かれているから、私自身も体力や魔力、スキル、魔法を鍛えていかなきゃだね。

「ユミル、僕はガルト様やリアテイル様と話し合うから、申し訳ないけど今日もカイトと2人で頑張ってね」

リアテイル様とラピスに出会って以降、トーイはカーバンクル族とフェニックス族の橋渡しの役目に徹している。

リアテイル様自身にはギンガ、キシリス、ドーズという側近の3人がいて、普段はスラム地区内の偵察と護衛を行なっている。3人はトーイと年齢も近いのだけど、人化すると何故か18歳くらいの男性になる。これに関しては個体差があるようだ。私も挨拶し、時折交流を図っているので、今ではお友達同士となっており、鳥になると、それぞれが異なる綺麗な羽色をしているので、すぐに区別も付く。強さ的にはトーイと同じくらいと言われたのだけど、彼女自身がどの程度強いのかがわからないこともあり、とりあえず【凄いです!! 3人はリアテイル様とラピスを守る守護騎士なんですね!!】と言ったら、言葉の響きが良かったこともあり、私のことを気に入ってくれた。

私とトーイは、この4人と出会った経緯をすぐに長ガルト様に通信で伝えると、彼も驚いたようで、100年間の情報が欲しいとリアテイル様に訴えたことで、今はトーイを経由することで毎日会議を実施している。[私が長をここへ召喚すればいいのでは?]と思ったのだけど、どうやら3日前に聖域にいる先代長が目覚め、健康に関しては問題ないのだけど、100年以上眠り続けていたこともあり、現状況を把握してもらうため、今はカーバンクルに起きた出来事を100年分説明しているところらしい。そこに、私とトーイが精霊フェニックス族と出会った報告を2日前に行ったものだから、渡りに船という形となって、現在互いの情報交換を行なっているのだ。

トーイは、私を護衛できなくなったことで、かなり心配していたけど、カイトさんが私と一緒に行動を共にしてくれることになったし、この街の治安が思った以上に良いので、不安ではあるけども、私たちの事情の一部を知るカイトさんに任してくれたようだ。彼がトーイと合流するまで、討伐依頼を受けず、採取依頼や雑用依頼だけをこなしていくと言ってくれたことが決めてとなった。

「カイト兄と合流してから、冒険者ギルドへ向かうね。行ってきま~す」

スラム地区には幽霊43人と、私と同年代の孤児が4人住んでおり、トマス爺が全員を紹介してくれたことで、私はその人たちとも仲良くなって、友達関係を築くことに成功している。孤児4人は私と年齢も近く、すぐに打ちけることに成功した。4人全員がカイトさんのことを慕っており、【カイト兄】と呼んでいるので、今は私もそう呼ばせてもらっている。

43人の幽霊さんたちは、前街長が既に処刑されていることもあり、半透明の身体以外は普通の人間と大差なく、全員が今の生活を楽しんでいる。リアテイル様の悩みも解決したことで、全員が成仏する日も近づいているけど、それはもう少し先の話になるかな。

リアテイル様の悩みを解決させた翌日、私とトーイはカイト兄の案内で冒険者ギルドへ行き、私だけ冒険者登録を行い、Fランク冒険者になった。冒険者には年齢制限がないけど、4歳の私は周囲から浮いているようで、みんなが私に注目した。そんな中でカイト兄を見つけたのだけど、なんだか元気がなかったので、私の方から話しかけてみた。

どうやら、切実な悩みを抱えているようで、私もトーイも困ってしまった。

彼はスキル[神経強化]を入手したことで、同年代の冒険者仲間たちに、パーティーに入れてもらえないかと相談したけど、誰も了承してくれなかった。カイト兄が嫌われているんじゃなくて、今のみんなが求めている者が、回復や補助魔法に長けた者だったからだ。

私とトーイの場合、回復に関してはスキルとポーション類で、補助に関してはスキルと魔法で補えるので、今は火力のある仲間が欲しい。今のカイト兄では火力不足だけど、その後の訓練次第で延びる可能性もあるので、仲間に引き入れた。私たちが了承すると、ここがギルド内であるにも関わらず、喜びを爆発させたので、こっちとしては少し恥ずかしかったよ。

ラピスの件を解決させて以降、カイト兄には私とトーイの抱えている事情を全て話しているから、私たちの力を知っている。精霊カーバンクルのトーイに認められたのが、相当嬉しかったのはわかるけど、事情を知らない周囲の人たちは、そんな彼を見て、あからさまにドン引きしていた。

カイト兄の持つスキル[神経強化]の方だけど、毎日回避訓練や感覚強化訓練を重ねているので、扱い方にも慣れたようだけど、目下の彼の悩みは攻撃力だ。魔力が皆無な分、こっちはどうしても一般人よりも劣ってしまう。今は、攻撃を強化させる筋力トレーニングと新規のスキルの習得を目指しているけど、焦りは禁物とトーイから言われているので、彼は素直に意見を聞き入れ、基礎訓練に励んでいる。私なりに考えていたこともあるけど、今は身体作りに専念してもらった方がいいかな。

その後、私だけ冒険者として活動するための初心者講習を2階の教室にて学び、無事に終わってから1階へ戻ると、カイト兄とトーイは既に周囲の冒険者たちと打ち解けており、大勢で談笑していたので驚いたよ。雰囲気も和やかだったので、初心者講習で起きたことを皆に言うと、多くの冒険者が大笑いして、私の頭を撫でてくれたっけ。

パーティー編成が12歳のカイト兄、見た目12歳のトーイ、4歳の私とかなり偏っているから周囲と打ち解けられるか気になっていたけど、それも杞憂で終わった。皆が私に優しく接してくれており、虐める人は誰もいなかったのだから。

さあ、今日もカイト兄と一緒に冒険者を楽しもう!!
感想 49

あなたにおすすめの小説

聖女様と間違って召喚された腐女子ですが、申し訳ないので仕事します!

碧桜
恋愛
私は花園美月。20歳。派遣期間が終わり無職となった日、馴染の古書店で顔面偏差値高スペックなイケメンに出会う。さらに、そこで美少女が穴に吸い込まれそうになっていたのを助けようとして、私は古書店のイケメンと共に穴に落ちてしまい、異世界へ―。実は、聖女様として召喚されようとしてた美少女の代わりに、地味でオタクな私が間違って来てしまった! 落ちたその先の世界で出会ったのは、私の推しキャラと見た目だけそっくりな王(仮)や美貌の側近、そして古書店から一緒に穴に落ちたイケメンの彼は、騎士様だった。3人ともすごい美形なのに、みな癖強すぎ難ありなイケメンばかり。 オタクで人見知りしてしまう私だけど、元の世界へ戻れるまで2週間、タダでお世話になるのは申し訳ないから、お城でメイドさんをすることにした。平和にお給料分の仕事をして、異世界観光して、2週間後自分の家へ帰るつもりだったのに、ドラゴンや悪い魔法使いとか出てきて、異能を使うイケメンの彼らとともに戦うはめに。聖女様の召喚の邪魔をしてしまったので、美少女ではありませんが、地味で腐女子ですが出来る限り、精一杯頑張ります。 ついでに無愛想で苦手と思っていた彼は、なかなかいい奴だったみたい。これは、恋など始まってしまう予感でしょうか!? *カクヨムにて先に連載しているものを加筆・修正をおこなって掲載しております

魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します

怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。 本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。 彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。 世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。 喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。

姉に代わって立派に息子を育てます! 前日譚

mio
恋愛
ウェルカ・ティー・バーセリクは侯爵家の二女であるが、母亡き後に侯爵家に嫁いできた義母、転がり込んできた義妹に姉と共に邪魔者扱いされていた。 王家へと嫁ぐ姉について王都に移住したウェルカは侯爵家から離れて、実母の実家へと身を寄せることになった。姉が嫁ぐ中、学園に通いながらウェルカは自分の才能を伸ばしていく。 数年後、多少の問題を抱えつつ姉は懐妊。しかし、出産と同時にその命は尽きてしまう。そして残された息子をウェルカは姉に代わって育てる決意をした。そのためにはなんとしても王宮での地位を確立しなければ! 自分でも考えていたよりだいぶ話数が伸びてしまったため、こちらを姉が子を産むまでの前日譚として本編は別に作っていきたいと思います。申し訳ございません。

異世界転生ファミリー

くろねこ教授
ファンタジー
辺境のとある家族。その一家には秘密があった?! 辺境の村に住む何の変哲もないマーティン一家。 アリス・マーティンは美人で料理が旨い主婦。 アーサーは元腕利きの冒険者、村の自警団のリーダー格で頼れる男。 長男のナイトはクールで賢い美少年。 ソフィアは産まれて一年の赤ん坊。 何の不思議もない家族と思われたが…… 彼等には実は他人に知られる訳にはいかない秘密があったのだ。

料理スキルで完璧な料理が作れるようになったから、異世界を満喫します

黒木 楓
恋愛
 隣の部屋の住人というだけで、女子高生2人が行った異世界転移の儀式に私、アカネは巻き込まれてしまう。  どうやら儀式は成功したみたいで、女子高生2人は聖女や賢者といったスキルを手に入れたらしい。  巻き込まれた私のスキルは「料理」スキルだけど、それは手順を省略して完璧な料理が作れる凄いスキルだった。  転生者で1人だけ立場が悪かった私は、こき使われることを恐れてスキルの力を隠しながら過ごしていた。  そうしていたら「お前は不要だ」と言われて城から追い出されたけど――こうなったらもう、異世界を満喫するしかないでしょう。

異世界に召喚されたけど、従姉妹に嵌められて即森に捨てられました。

バナナマヨネーズ
恋愛
香澄静弥は、幼馴染で従姉妹の千歌子に嵌められて、異世界召喚されてすぐに魔の森に捨てられてしまった。しかし、静弥は森に捨てられたことを逆に人生をやり直すチャンスだと考え直した。誰も自分を知らない場所で気ままに生きると決めた静弥は、異世界召喚の際に与えられた力をフル活用して異世界生活を楽しみだした。そんなある日のことだ、魔の森に来訪者がやってきた。それから、静弥の異世界ライフはちょっとだけ騒がしくて、楽しいものへと変わっていくのだった。 全123話 ※小説家になろう様にも掲載しています。

転生能無し少女のゆるっとチートな異世界交流

犬社護
ファンタジー
10歳の祝福の儀で、イリア・ランスロット伯爵令嬢は、神様からギフトを貰えなかった。その日以降、家族から【能無し・役立たず】と罵られる日々が続くも、彼女はめげることなく、3年間懸命に努力し続ける。 しかし、13歳の誕生日を迎えても、取得魔法は1個、スキルに至ってはゼロという始末。 遂に我慢の限界を超えた家族から、王都追放処分を受けてしまう。 彼女は悲しみに暮れるも一念発起し、家族から最後の餞別として貰ったお金を使い、隣国行きの列車に乗るも、今度は山間部での落雷による脱線事故が起きてしまい、その衝撃で車外へ放り出され、列車もろとも崖下へと転落していく。 転落中、彼女は前世日本人-七瀬彩奈で、12歳で水難事故に巻き込まれ死んでしまったことを思い出し、現世13歳までの記憶が走馬灯として駆け巡りながら、絶望の淵に達したところで気絶してしまう。 そんな窮地のところをランクS冒険者ベイツに助けられると、神様からギフト《異世界交流》とスキル《アニマルセラピー》を貰っていることに気づかされ、そこから神鳥ルウリと知り合い、日本の家族とも交流できたことで、人生の転機を迎えることとなる。 人は、娯楽で癒されます。 動物や従魔たちには、何もありません。 私が異世界にいる家族と交流して、動物や従魔たちに癒しを与えましょう!

チートな転生幼女の無双生活 ~そこまで言うなら無双してあげようじゃないか~

ふゆ
ファンタジー
 私は死んだ。  はずだったんだけど、 「君は時空の帯から落ちてしまったんだ」  神様たちのミスでみんなと同じような輪廻転生ができなくなり、特別に記憶を持ったまま転生させてもらえることになった私、シエル。  なんと幼女になっちゃいました。  まだ転生もしないうちに神様と友達になるし、転生直後から神獣が付いたりと、チート万歳!  エーレスと呼ばれるこの世界で、シエルはどう生きるのか? *不定期更新になります *誤字脱字、ストーリー案があればぜひコメントしてください! *ところどころほのぼのしてます( ^ω^ ) *小説家になろう様にも投稿させていただいています