加工を極めし転生者、チート化した幼女たちとの自由気ままな冒険ライフ

犬社護

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37話 世の中、そんなに甘くない *ルティナ視点

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お兄ちゃんに言われた通り、私は聖魔法を使用するかのように、自分の魔力に聖属性を載せて魔力を循環させると、身体がどんどん軽くなっていき、感覚も元に戻っていくのを感じた。聖属性を載せて魔力を循環させるだけなら、聖属性を扱えるものなら、誰でもできるのに、なんで聖女様は私たちに教えてくれなかったの?

お兄ちゃんは、どうして知っているの?
考えてもわからない。
お兄ちゃんは不思議な人だけど、私たちの味方だ。
お兄ちゃんのおかげで、私の願いが1つ実現出来そうだ。
だから、裏から私たちを見守ってくれる事を信じて、前に進む。

「お~い、言われた通りにして連れてきたぞ」
「よくやった。これは、依頼料だ。いいか、他言無用で頼む」

誘拐犯が、目的地に到着したんだ。

「わかってるよ。これがバレたら、俺たちは他の冒険者たちに殺される。ただ、これだけは言っておくぞ。もし、リノアちゃんとルティナちゃんに何かあったら、冒険者たちは真っ先にあんたらを疑う。そして、この誘拐がバレてしまったら、王都にいる全ての冒険者がお前らの住む神殿を破壊しにいくと思ってくれ。いいか、これは脅しじゃない。あの2人は、冒険者にとって癒しの存在だ。俺たちだって、金に困ってなかったら、こんな事をしたくなかった」

優しい言葉だ。

そういえば、私たちって袋の中に入れられて担がれているのに、凄く居心地が良かった。もしかして、私たちを怪我させないよう、丁寧に運んでくれていたの?

「ああ……わかった。一つ、聞いていいか?」
「なんだ?」
「ルティナとリノアの仲は、どうなっている?」

「あんたらも、今朝の新聞記事を見たろ? いつも、仲睦まじいよ。2人から、あんたらのしたことを聞いている。どちらが正しいのかは一目瞭然、そこにいる女性がマクレミーサ様なんだろ? ここにはリノアちゃんもいるから、どっちが正しいのかはすぐにわかるさ。それじゃあな」

すぐ近くに、マクレミーサがいるんだ。
あ、痛くならないよう、優しく地面に置いてくれた。
お金に困っていて私たちを誘拐したけど、誘拐犯たちも善人に入るかもしれない。

私が袋の中から抜け出すと、タルパ(半透明)状態のリノアも丁度抜け出てたところで、私たちの正面には、大勢の神官たちがいた。一番近くにいる神官は、本来私たちを引率して、一緒にここ旧ラリマンド邸へ行く予定だったジェイコブ先生だ。その隣に、マクレミーサがいる。

「ルティナ…リノア…」

マクレミーサ、こいつだけは絶対に許せない。
リノアも私と同じ事を思っているのか、彼女を睨む。
あ、怨みの根源がここにいるんだから、負の感情に支配されないかな?

「どうもマクレミーサ様。我が身可愛さで、風魔法を使い、私たちをタルパごと庭へ吹っ飛ばしてくれたこと、私は死んだ今でも覚えていますよ。おまけに、タルパになった私に暗殺者を差し向けましたね。リョウトさんとルティナが来なければ、私は討伐されていた。世の中、あなたの思い通りにいかないものですね」

凄、リノアがはっきりした物言いで、マクレミーサに嫌味を言ってる。あの様子だと、怒ってこそいるけど、負の感情には支配されていないのかな。

「あなたは自分がやったことを、ルティナがやったように吹聴したんですね。おまけに、彼女に真実の口に偽装した奴隷の首輪を付けさせて、自分の思い通りのことをあの会議で話させ、追放処分になったらなったで、会話封印、筆記封印とかを施して、彼女を生きていけないようにしましたね」

マクレミーサは驚きの表情を浮かべたけど、すぐに引っ込めて怒りを表した。

「そんな証拠が…どこにあるというのよ?」

リノアが、私の言いたいことを全部言ってくれてる。
そのおかげで、周囲にいる神官様たちが明らかに動揺している。

「今朝の朝刊を読んでないのですか? 私たち、自分たちの身に起きた真実を、全部新聞記者に話しちゃいました。私という証拠付きでね」

「なんですって!?」

「ちなみに、冒険者の人たちには、冒険者登録した時点で、洗いざらい全部ぶちまけています。これだけ大勢の神官様たちがいるのですから言い逃れなんて出来ませんからね」

神官様たちが、マクレミーサのことを懐疑的な目で見てる。いくら彼女でも、神官全員をお金で買収できるわけないよ。

「待て待て!! ルティナ、リノア、待ってくれ。君たちの言い分はわかる。殺されたリノア自身がそう言っているのだから、真実なのも理解した」

ジェイコブ先生が、私たちの間に無理矢理入ってきた。この人は、最後まで私を庇ってくれた人だから、他の人たちよりは信頼できる。

「今は、緊急時なんだ。ルティナ、リノア、我々に協力してくれないか?」
「協力? 私とルティナを誘拐しておいて?」

そうだよ。冒険者ギルドではっきりと言ってくれればいいのに、こんな事までして自分たちだけで解決したいの?

「それはすまない。神殿側にも、プライドがある。タルパ関係の依頼で、冒険者ギルドと共闘を望まない神官もいて仕方がなかったんだ」

「でも、そのプライドのせいで、私を含めた大勢の巫女が死んだ。現在、王都にいない教皇様や聖女様、枢機卿様がこの事態を知ったら、どのみち皆の処分は免れませんよ?」

リノアが、本気で怒っているところを初めて見る。自分だけでなく、私のこと、死んでいった巫女たちのために、本気で怒ってくれている。

「それに関しては……私たちも覚悟を決めている。そもそも、私が引率していれば、こんな事態にはならなかったのだから」

多分、ジェイコブ先生は本気で言ってくれてる。
この人は、きちんと悔いてくれている。

他の人たちだって………あれ?
後方にいる神官たちのマクレミーサを見る目、何か…違う。

まだ、スキル[同調]を取得してないけど、相手の感情くらいなら、少し読み取れるようになった。ここにいる神官は全部で12人、先生以外の11人が謝罪と異なる感情を宿してる。

これって……悪意だ。
この状況下で、なんでマクレミーサに対して悪意を抱いているの?
気持ちはわかるけど、今は悪意を抱く状況じゃない。
嫌な予感がする。

私は、どう動くのが正解なの?
聖女様なら、こんなマクレミーサでも助けるのかな?

今言えるのは、この人たちと共闘したら、あの悪意に巻き込まれるかもしれない。多分、あの人たちは状況次第で、ころころと方針を変えてくる。

「リノア、この人たちは信用できない。私たちは、あの人たちとは別行動でタルパを倒そう。というか、もう私たちだけで悪いタルパを討伐しちゃおう。昨日と今日で相談したアレらが上手く機能してくれれば、簡単にできる」

信用出来ないのなら、極力関わらない方がいい。これだけ強気に言えば、あっちも気分を害して、私たちと関わることを拒むんじゃないかな?

「そうだね…この人たちは自分勝手な都合で、私たちを振り回すような気がする。ジェイコブ先生以外、信用できない」

リノアも、不穏な気配を感じ取ったんだ。

「お…おい、正気か? 君たちの力量では、不可能だ」

「先生…私とルティナ、最高の師匠と出会えたんです。私たちにとっては、聖女様以上の存在なんだ。その証拠を、今日見せて差し上げます。タルパが出現したら、何もしないでください。邪魔だから。まあ、間に入ってきたら……あなた方を食っておしまいですけどね」

怖!? リノアが怖いよ!!

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