加工を極めし転生者、チート化した幼女たちとの自由気ままな冒険ライフ

犬社護

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36話 子供たちの自主性を尊重しよう

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ギフト[配置転換]、これには【指定した2つの対象の位置を入れ替える】という隠し効果がある。召喚系のシステムで動いていないので、これなら干渉されることもないだろうけど、今回の場合、普通に入れ替えるだけではすぐに気づかれる。

まずは、2人に通信して会話が可能か確かめるか。

『リノア、聞こえるか?』

何だろう?
繋がってはいるけど、ノイズが激しくて、声を聞き取れない。
やはり、何らかの妨害を受けているようだ。 
先に、ルティナと話し合おう。

『ルティナ、聞こえるか?』
『お兄ちゃんの声が、頭の中に響いてきた!?』

リノアとはテイムで生じた絆、ルティナとは掌握で生じた絆、同じ絆でもギフトで構成されたものの方が強力ということか。

『そういえば、まだ話していなかったかな? 君を掌握しているから、リノア同様、僕とは強い絆で結ばれているんだよ。こうやって離れた場所からでも、頭の中で会話可能なのさ』

『うへ~便利~って、それどころじゃない!! 私たち、背後から急に袋の中に入れられて、今担がれて移動中なの。意識ははっきりしてるんだけど、何故か動けないし、力も入らないんだ』

何らかの薬を、袋の中に入れているようだ。というか、僕としてもそっちの方が都合が良い。

『君たちは誘拐され、旧ラリマンド邸に連れて行かれるだろう』

僕は、神殿側の状況をルティナに教えた。

『4日も経ってるのに、解決の糸口すら見つけられてないの?』

『ああ、今では毎晩10体以上の強いタルパが庭に出現して、邸内にいる全員が討伐に向かう始末だよ。聖魔法を使える巫女たちが6名、神官が11名、タルパに殺され、他にも大怪我を負って戦線離脱した者もいる。今戦力になる巫女は、マクレミーサだけらしい。だから、君たちに協力を求めてるってことさ』

マクレミーサの力は、未だに健在だ。光精霊は、タイミングを窺っているとルティナに言ったそうだけど、この誘拐をどう思っているのだろう?

『最低、散々私を人殺し扱いしておいて……あ、待てよ…良いこと思いついた。リノアも誘拐されたってことは、みんなが私を無実だと思ってるんだよね?』

『その可能性はあるけど、まだ半信半疑ってところだろうね』  

研究所での爆発騒動で、神官たちもマクレミーサに不信感を持ったのは間違いないけど、まだ記事が出て間もないし、旧ラリマンド邸で起きている事件を片付けるのが先決と思い、あまり深く追求していないだろう。現時点で、巫女として戦力になるのは、彼女しかいないのだから。

『だったら、私とリノアだけでタルパをやっつけて、神官たちの前で私たちの仲を証明させる!! 私とリノアが表で頑張っている間、お兄ちゃんが裏から事件を解決させて』

おっと、そうきたか。

『僕のギフトで、こっちに転移させる手段があるけど、どうする?』

『それだと、先延ばしにしてるだけだよ。まどろっこしいのは嫌だから、自分の無実をこのまま証明したいの。だめかな?』

逃げずに、立ち向かうわけか。ここで言い聞かせて転移させることも可能だけど、後々不和をもたらせる可能性があるな。

『危険な手段だよ。奴らのことだから、事件解決後に、《リノアが暴走し君を殺した》ように装い君を殺すか、リノアを討伐して利用価値の高い君だけを監禁する可能性もある』

『お兄ちゃんの中には、神殿側が私たちに謝罪するという選択肢はないの?』
『真の謝罪なんて、ありえないね』

表面上の謝罪はするだろうけど、自分たちの評価が落ちないよう、奴らはあらゆる汚い手段を使うはずだ。

『ルティナ、人の言葉を完全に信じたら、自分で次の選択肢を狭めることになる。常に、最悪を想定して考えるんだ』

人を信じる行為も大切なのはわかるけど、裏切られた後の精神的苦痛がきついんだよ。親しければ、親しい程にね。7歳の時点で、それを味わってほしくない。

『わかった』
『君の考えを、リノアにも伝えておくよ』
『大丈夫、もう聞いたから』

突然、リノアの声が割り込んできた。さっきまでノイズが激しくて聞こえなかったけど、リノアの方で何かしたのか?

『おお、お兄ちゃんを経由することで、3人で話し合えるんだ!! すげ~~~』

いや、3人で話し合えるのを今初めて知ったよ。

『リノア、さっき試したら何かに妨害されていたようだけど?』
『この聖なる袋のせい。これのせいで、力を出せない』

なるほど、聖属性に覆われているせいで、ノイズが走っていたのか。

『リョウトさんに見せてもらった闇魔術[暴食]を狭い範囲だけ使えるようになったから、それで袋の聖属性だけを食ったの。そうしたら魔力量も574に上がって、[聖属性]の耐性スキルを取得した』

おいおい、昨日見せただけの暴食を、もう使えるようになったのか。狭い範囲だけとはいえ、恐ろしい才能を秘めているな。

『私も、ルティナの意見に賛成。このまま先延ばしにしていたら、記事の内容を忘れた頃に、神殿側が私たちに何か仕掛けてくると思う』

2人揃って、同じ意見か。それなら、僕は裏方として行動しよう。

『わかった。君たちの意見に従おう。それとルティナ、聖魔法使用時の感覚を思い出して、魔力に聖属性を纏わせて、それを身体中に循環させろ。聖属性の効果で、身体の回復力が向上するから。その程度なら、今でもできるだろ?』

『お兄ちゃん、物知り!! 大丈夫、できるよ』

『僕も邸に向かうけど、手助けが欲しい時は言ってくれ。遠隔であっても、魔力譲渡程度なら可能だから』

『『了解』』

この子たちは孤児のせいなのか、自主的かつ積極的に動こうとする。冒険者としての資質は申し分ないけど、自分たちの力の限界がどこまでなのかをきちんと把握しているのだろうか? 裏方として、きちんと見守っておく必要があるな。

僕は、今話し合った内容をリオさんに伝える。

「2人の気持ちもわかるけど、無謀すぎるでしょ? よく、許可したわね」
「あそこで反発したら、2人だけで突っ走る気がします」

「あ~、確かに。あの子たちは、ハキハキと自分の意見を主張して行動に移すタイプだから、下手に反発したら怒っちゃうかもね」

その通りです。

「2人には、対抗手段を既に教えていますので、僕は裏方に徹して、邸を調査しますけど構わないですか?」

ルティナにはエリアヒールの多様性、リノアには暴食、どちらもタルパに有効だ。暴食に関しても、いきなり全てを食うのではなく、少しずつ食べていけば問題ない。

「そうね。特殊なギフトを持つあなたなら、解決できるかもしれないわね。ただ、報酬が出るかはわからないわよ。一応、掛け合ってみるけど」

「了解です、交渉の方はお願いします」

こちらも、無駄働きはごめんだからね。

ルティナとリノアが神官やマクレミーサに対して、どんな行動を起こすのか、裏から見させてもらおう。
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