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第2章
第43話 甘い嘘
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トローザーは暗殺に対抗するためといって、毒物学が専門の家庭教師をキャロラにつけてもらっていた。
その教師から、飲んでもすぐには効かず、また命を落とすまでしばらく寝たきりとなるので、いつ摂取したかがわかりにくい変わった毒があることを教えられた。
珍しい物で、ガザリア王国では採れないそうだ。
─この計画にぴったりだ!─
すぐに閃き、母に内密に探して入手するよう頼んだ。キャロラ妃は、そのような危険な物を求める息子を諌めるどころか、ニヤリとして頷いただけ。
やろうとしていることを母も認めてくれたと、トローザーは自信を得て計画を進めていく。
まず、ミイヤ・ソイストだ。
ミイヤをキャロラの茶会と称して招き、ふたりだけで庭園を散歩した。
すると、あれほどナイジェルスに熱い視線を送っていた癖に、すぐトローザーに靡いたのだ。
─ふん、雑魚のガキのくせに。あちらがダメならこちらとでも考えているのか、浅ましい─
胸のうちではミイヤを見下していながら、顔はミイヤを見つめて蕩けるように笑って見せる。
その後も定期的に、密かにミイヤを呼び出して逢瀬を重ねた。
トローザーはミイヤに少しの魅力も感じない。機嫌を取り、さも自分がミイヤの手を取りたがっていると思わせるのは、簡単だったが苦痛でしかなかった。
そんな暮らしを一年近く続けた頃。
トローザーは隣国に一月ほどの外遊に出ることになった。
「一月もですか?」
ミイヤが悲しそうに言ったので、トローザーはその手を握りしめ、耳元で囁いてやる。
「ミイヤに会えなくなるのは私もつらく寂しいが、これも王子の仕事なのだ。まさかまだ私と婚約が成立していないミイヤを連れて行くわけにもいかないから我慢して待っていておくれ。いいかい、ミイヤ。王族の婚約は僅かな噂でも邪魔が入って壊されることがある。まして君はユートリー嬢の妹だ。何を意味するかわかるかい?」
「わかりませんわ、私が姉の妹だと何があるのでしょう」
─まったく頭の悪い女だな─
とはおくびにも出さず。
「ミイヤ、一つの侯爵家から姉妹で王族に嫁いだら、その侯爵家の力が強くなり過ぎてしまうだろう?兄上がユートリー嬢とすでに婚約を交わしている以上、とてもデリケートなんだよ私たちのことは。
いつも私が言っていただろう?私たちが会っていることは人に知られてはならないと。十分に根回しができるそのギリギリまで秘されていなければダメなんだ。
今の私の力や立場では、あっという間にミイヤと引き離されてしまうよ。それでもいいのか?」
「い、いやですわ、私ずっとおそばにいたいです」
「では秘密を守れるね」
ミイヤはその言葉に、トローザーが自分と婚約するつもりだと思い込んで、大きく頷いた。
「ええ、秘密は守りますわ。私いい子でトローザー様をお待ちしておりますから、一日も早くお帰りくださいませ」
期待に胸を高鳴らせたミイヤに、ちょろい小娘だと嘲るトローザーの会話はこうして終わりを迎え、トローザーは隣国へ旅立って行った。
その教師から、飲んでもすぐには効かず、また命を落とすまでしばらく寝たきりとなるので、いつ摂取したかがわかりにくい変わった毒があることを教えられた。
珍しい物で、ガザリア王国では採れないそうだ。
─この計画にぴったりだ!─
すぐに閃き、母に内密に探して入手するよう頼んだ。キャロラ妃は、そのような危険な物を求める息子を諌めるどころか、ニヤリとして頷いただけ。
やろうとしていることを母も認めてくれたと、トローザーは自信を得て計画を進めていく。
まず、ミイヤ・ソイストだ。
ミイヤをキャロラの茶会と称して招き、ふたりだけで庭園を散歩した。
すると、あれほどナイジェルスに熱い視線を送っていた癖に、すぐトローザーに靡いたのだ。
─ふん、雑魚のガキのくせに。あちらがダメならこちらとでも考えているのか、浅ましい─
胸のうちではミイヤを見下していながら、顔はミイヤを見つめて蕩けるように笑って見せる。
その後も定期的に、密かにミイヤを呼び出して逢瀬を重ねた。
トローザーはミイヤに少しの魅力も感じない。機嫌を取り、さも自分がミイヤの手を取りたがっていると思わせるのは、簡単だったが苦痛でしかなかった。
そんな暮らしを一年近く続けた頃。
トローザーは隣国に一月ほどの外遊に出ることになった。
「一月もですか?」
ミイヤが悲しそうに言ったので、トローザーはその手を握りしめ、耳元で囁いてやる。
「ミイヤに会えなくなるのは私もつらく寂しいが、これも王子の仕事なのだ。まさかまだ私と婚約が成立していないミイヤを連れて行くわけにもいかないから我慢して待っていておくれ。いいかい、ミイヤ。王族の婚約は僅かな噂でも邪魔が入って壊されることがある。まして君はユートリー嬢の妹だ。何を意味するかわかるかい?」
「わかりませんわ、私が姉の妹だと何があるのでしょう」
─まったく頭の悪い女だな─
とはおくびにも出さず。
「ミイヤ、一つの侯爵家から姉妹で王族に嫁いだら、その侯爵家の力が強くなり過ぎてしまうだろう?兄上がユートリー嬢とすでに婚約を交わしている以上、とてもデリケートなんだよ私たちのことは。
いつも私が言っていただろう?私たちが会っていることは人に知られてはならないと。十分に根回しができるそのギリギリまで秘されていなければダメなんだ。
今の私の力や立場では、あっという間にミイヤと引き離されてしまうよ。それでもいいのか?」
「い、いやですわ、私ずっとおそばにいたいです」
「では秘密を守れるね」
ミイヤはその言葉に、トローザーが自分と婚約するつもりだと思い込んで、大きく頷いた。
「ええ、秘密は守りますわ。私いい子でトローザー様をお待ちしておりますから、一日も早くお帰りくださいませ」
期待に胸を高鳴らせたミイヤに、ちょろい小娘だと嘲るトローザーの会話はこうして終わりを迎え、トローザーは隣国へ旅立って行った。
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