【完結】時戻り令嬢は復讐する

やまぐちこはる

文字の大きさ
42 / 80
第2章

第42話 第三王子の計画

しおりを挟む
 ターナル伯爵家の茶会の翌日。
 早速ソイスト侯爵家に、キャロラ妃から婚約者がいない若い令嬢たちを招く茶会の招待状が届けられた

「ミイヤにキャロラ様の茶会の招待状が?そう。ではドレスメーカーを呼んでやって」

 派閥が違っていても、社交には呼ばれるものだ。侍女から話を聞いたリラは深く考えることなく、ミイヤもそんな年頃になったかと新しいデイドレスを仕立ててやった。
 茶会の頃リラは領主視察があって家を空けねばならず、当日は侍女長ルイーサがミイヤに付いてサポートするよう手配して二週間ほどの旅に向かった。もしリラが在宅していたら、茶会からもどったミイヤに様子を聞いて、何かを感じ取れたかもしれない。



 侯爵令嬢が王宮の茶会に呼ばれることは不思議なことではなかったが、ユートリーが第二王子の婚約者となった以上、ミイヤが第三王子の婚約者となることは許されないと、招待状を見て思わずニヤけたミイヤは気づいていなかった。

 ユートリーが婚約したことによりソイスト侯爵家は第二王子の後ろ盾になることが決まっている。ナイジェルスがゴールダインを支持すると表明すれば、それはそのままゴールダインの後ろ盾と見做されるのだ。
 仮にミイヤがトローザーに気に入られたとしても、ソイスト家が第一・第二王子派と対立するトローザーを支援することはできないし、王子二人に一つの貴族家から姉妹が嫁ぐのはパワーバランスの偏りからも許されない。

 マーカスとリラは忙しさにかまけ、それをミイヤに言い聞かせるのを失念してしまっていた。
 そしてもう一つ、ミイヤには婿をとり、今は人に任せているチスト子爵家を継がせる予定であることも。





 トローザーの母キャロラは子爵家出身、美貌と強い野心、緻密な策略から第二夫人までのし上がったが、後ろ盾がないため息子のトローザーを押し上げるまでにはならず、空回りを続けていた。
 強い力のある貴族家の令嬢をトローザーに迎え、ゴールダインを排さねば愛息子を王太子に据えることは叶わない。

「母上、次の茶会の招待客にソイスト令嬢を入れてください」
「ユートリー嬢を?」
「いえ、妹のミイヤ嬢です」

 キャロラは首を傾げた。

「ユートリー嬢がナイジェルス殿下の婚約者なのだから、呼ぶ必要もないでしょう?」
「でも兄上たちを排除するのに、あちら側にいて使える駒を手に入れることは大切でしょう?」

 恐ろしく物騒なことを述べた息子を注意するでもなく、その意図を理解した妃はくすりと笑って。

「そう、そうね。ええそれはあったほうがいいわね」

 親子は企みに歪んだ顔を互いに寄せて、楽しげににやける。

「それで、ご相談があるのですが」

 キャロラに明かされたトローザーの計画は今日明日すぐ動くものではなく、時間をかけてミイヤを引き込み、ナイジェルスとユートリーを害する。
 その罪をミイヤに負わせることで、ソイスト侯爵家は二度の大きなダメージを負い、ゴールダインの後ろ盾とさえもなれないようにするというもの。

 王子たちの身辺警護は厳重なものだが、臣籍降下を決めたナイジェルスのそれは、以前より少し緩められたと聞く。
 もう少し時間が経てば隙ができる日も来るだろうと、まずはナイジェルスとユートリーから手を染めることに決めた。
 そのあとはスペアとその大きな後ろ盾の一つを失くしたゴールダインだ。

「そのために探してほしいものがあるんです」
しおりを挟む
感想 9

あなたにおすすめの小説

魔法のせいだから許して?

ましろ
恋愛
リーゼロッテの婚約者であるジークハルト王子の突然の心変わり。嫌悪を顕にした眼差し、口を開けば暴言、身に覚えの無い出来事までリーゼのせいにされる。リーゼは学園で孤立し、ジークハルトは美しい女性の手を取り愛おしそうに見つめながら愛を囁く。 どうしてこんなことに?それでもきっと今だけ……そう、自分に言い聞かせて耐えた。でも、そろそろ一年。もう終わらせたい、そう思っていたある日、リーゼは殿下に罵倒され頬を張られ怪我をした。 ──もう無理。王妃様に頼み、なんとか婚約解消することができた。 しかしその後、彼の心変わりは魅了魔法のせいだと分かり…… 魔法のせいなら許せる? 基本ご都合主義。ゆるゆる設定です。

さようなら、私の愛したあなた。

希猫 ゆうみ
恋愛
オースルンド伯爵家の令嬢カタリーナは、幼馴染であるロヴネル伯爵家の令息ステファンを心から愛していた。いつか結婚するものと信じて生きてきた。 ところが、ステファンは爵位継承と同時にカールシュテイン侯爵家の令嬢ロヴィーサとの婚約を発表。 「君の恋心には気づいていた。だが、私は違うんだ。さようなら、カタリーナ」 ステファンとの未来を失い茫然自失のカタリーナに接近してきたのは、社交界で知り合ったドグラス。 ドグラスは王族に連なるノルディーン公爵の末子でありマルムフォーシュ伯爵でもある超上流貴族だったが、不埒な噂の絶えない人物だった。 「あなたと遊ぶほど落ちぶれてはいません」 凛とした態度を崩さないカタリーナに、ドグラスがある秘密を打ち明ける。 なんとドグラスは王家の密偵であり、偽装として遊び人のように振舞っているのだという。 「俺に協力してくれたら、ロヴィーサ嬢の真実を教えてあげよう」 こうして密偵助手となったカタリーナは、幾つかの真実に触れながら本当の愛に辿り着く。

真実の愛のお相手様と仲睦まじくお過ごしください

LIN
恋愛
「私には真実に愛する人がいる。私から愛されるなんて事は期待しないでほしい」冷たい声で男は言った。 伯爵家の嫡男ジェラルドと同格の伯爵家の長女マーガレットが、互いの家の共同事業のために結ばれた婚約期間を経て、晴れて行われた結婚式の夜の出来事だった。 真実の愛が尊ばれる国で、マーガレットが周囲の人を巻き込んで起こす色んな出来事。 (他サイトで載せていたものです。今はここでしか載せていません。今まで読んでくれた方で、見つけてくれた方がいましたら…ありがとうございます…) (1月14日完結です。設定変えてなかったらすみません…)

もう散々泣いて悔やんだから、過去に戻ったら絶対に間違えない

もーりんもも
恋愛
セラフィネは一目惚れで結婚した夫に裏切られ、満足な食事も与えられず自宅に軟禁されていた。 ……私が馬鹿だった。それは分かっているけど悔しい。夫と出会う前からやり直したい。 そのチャンスを手に入れたセラフィネは復讐を誓う――。

婚約破棄されました。

まるねこ
恋愛
私、ルナ・ブラウン。歳は本日14歳となったところですわ。家族は父ラスク・ブラウン公爵と母オリヴィエ、そして3つ上の兄、アーロの4人家族。 本日、私の14歳の誕生日のお祝いと、婚約者のお披露目会を兼ねたパーティーの場でそれは起こりました。 ド定番的な婚約破棄からの恋愛物です。 習作なので短めの話となります。 恋愛大賞に応募してみました。内容は変わっていませんが、少し文を整えています。 ふんわり設定で気軽に読んでいただければ幸いです。 Copyright©︎2020-まるねこ

復讐のための五つの方法

炭田おと
恋愛
 皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。  それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。  グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。  72話で完結です。

<完結> 知らないことはお伝え出来ません

五十嵐
恋愛
主人公エミーリアの婚約破棄にまつわるあれこれ。

【完結】もう、あなたを愛したくありません〜ループを越えた物質主義の令嬢は形のない愛を求める〜

あまぞらりゅう
恋愛
キアラ・リグリーア伯爵令嬢は、同じ人生を繰り返していた。 彼女の最期はいつも処刑台の上。 それは婚約者のダミアーノ・ヴィッツィオ公爵令息の陰謀だった。 死んだら、また過去に戻ってくる。 その度に彼女は婚約者のことを激しく憎んで、もう愛さないと強く胸に誓っていた。 でも、何度回帰しても彼女は彼を愛してしまって、最後は必ず破滅を迎えてしまう。 キアラはもうダミアーノを愛したくなかったし、愛なんてものは信じていなかった。 ――そして七回目の人生で、彼女は真実を知る。 ★元サヤではありません!(ヒーローは別にいます!) ★不快になるような残酷な描写があります! ★他サイト様にも投稿しています!

処理中です...