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第2章
第41話 似た者同士だからわかること
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ミイヤに声をかけたのは、伯母であるターナル伯爵夫人の茶会に顔を出していたトローザー第三王子その人だった。
王妃の子であるゴールダインとナイジェルスは金の髪に水色の瞳を持つ、国王によく似た美しい容貌だが、黒髪に緑の瞳を持つトローザーは第二夫人である母によく似ており、母の出自だけでなく、国王に似ないその容姿からも王族としては下に見られることが多かった。
しかし誰よりも優秀で、国王になるべきなのはトローザーだと野心家の母に教育されてきた結果、王太子の座を狙う身の程知らずの若者に育ってしまった。
国王に似た二人の兄に対する強烈な劣等感も相まって、憎しみはトローザーの心に深く根ざす。
そんなトローザーだからこそ、ミイヤの瞳に隠れた闇に気づいたのかも知れなかった。
「ソイスト侯爵家の次女ミイヤと申します」
「へえ、ソイスト侯爵令嬢か。私のことは知ってるだろう?」
「はい、もちろんでございます」
実のところトローザーは、ミイヤがソイスト侯爵の養女だということは既に知っていた。
茶会であまりに妬ましそうにユートリーを見つめる、いや睨みつけるミイヤが目に止まったのだ。
「あちらは姉君だろう?そばにいなくてよいのか?」
「・・・はい」
トローザーの言葉に動いたミイヤの視線の先には、婚約して以来、挨拶がてらふたりで社交に参加するようになった、ナイジェルス王子と微笑むユートリーがいる。
ふたりの仲睦まじい姿に、ミイヤの口元が小さく歪む。
─おやおや、これはまた凄い視線だな。ユートリー嬢に対する怒り?妬みか?それとも我が兄上に対するものか?どちらにしても、ちょっと突付いたら勝手に自爆しそうだ─
ここで笑っては台無しだと、トローザーは誤魔化すようにゴホンと咳をすると言った。
「そんなに見つめるところを見ると、兄上に懸想でもしているのか?貴女の姉上の婚約者だぞ」
ミイヤは弾かれたように振り向いた。
「ちっ、違いますわ懸想などと。見つめてもおりません」
─ふん、誤魔化し方も酷いものだ。平凡な小娘に過ぎんな─
しかしソイスト侯爵家の中にいながら、ソイスト侯爵一家に怒りを抱えているミイヤには利用価値があった。
「ソイスト令嬢、良ければ今度王宮に遊びに来ると良い」
「姉とでございますか?」
「いや、貴女と侍女でおいでなさい。美しい庭を案内してやろう」
「え・・・あの」
「いやか?」
王子から誘われて断ることはできない。
というか、王子である。
トローザーはナイジェルスのように美麗とは言えないが、自分も王子と親しくなって、ユートリーだけじゃないところをあの家族たちに見せつけてやりたかった。
「嫌だなんてとんでもございません。あまりに光栄なことで感激しておりました」
浅はかにもミイヤはトローザーを利用してやろうと考えた。それにあわよくば、自分も王子妃になれるかもしれないと。
しかしトローザーは、兄王子たちを引きずり下ろして自ら王位に着くために、どうミイヤを利用してやるかと考えを巡らせていた。
王妃の子であるゴールダインとナイジェルスは金の髪に水色の瞳を持つ、国王によく似た美しい容貌だが、黒髪に緑の瞳を持つトローザーは第二夫人である母によく似ており、母の出自だけでなく、国王に似ないその容姿からも王族としては下に見られることが多かった。
しかし誰よりも優秀で、国王になるべきなのはトローザーだと野心家の母に教育されてきた結果、王太子の座を狙う身の程知らずの若者に育ってしまった。
国王に似た二人の兄に対する強烈な劣等感も相まって、憎しみはトローザーの心に深く根ざす。
そんなトローザーだからこそ、ミイヤの瞳に隠れた闇に気づいたのかも知れなかった。
「ソイスト侯爵家の次女ミイヤと申します」
「へえ、ソイスト侯爵令嬢か。私のことは知ってるだろう?」
「はい、もちろんでございます」
実のところトローザーは、ミイヤがソイスト侯爵の養女だということは既に知っていた。
茶会であまりに妬ましそうにユートリーを見つめる、いや睨みつけるミイヤが目に止まったのだ。
「あちらは姉君だろう?そばにいなくてよいのか?」
「・・・はい」
トローザーの言葉に動いたミイヤの視線の先には、婚約して以来、挨拶がてらふたりで社交に参加するようになった、ナイジェルス王子と微笑むユートリーがいる。
ふたりの仲睦まじい姿に、ミイヤの口元が小さく歪む。
─おやおや、これはまた凄い視線だな。ユートリー嬢に対する怒り?妬みか?それとも我が兄上に対するものか?どちらにしても、ちょっと突付いたら勝手に自爆しそうだ─
ここで笑っては台無しだと、トローザーは誤魔化すようにゴホンと咳をすると言った。
「そんなに見つめるところを見ると、兄上に懸想でもしているのか?貴女の姉上の婚約者だぞ」
ミイヤは弾かれたように振り向いた。
「ちっ、違いますわ懸想などと。見つめてもおりません」
─ふん、誤魔化し方も酷いものだ。平凡な小娘に過ぎんな─
しかしソイスト侯爵家の中にいながら、ソイスト侯爵一家に怒りを抱えているミイヤには利用価値があった。
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