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外伝 リリアンジェラ
可愛いらしい王女はニヤリと笑う10 ─リリアンジェラ─
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リリアンジェラの兄嫁捕獲作戦は早くも二年が過ぎていた。双子王子たちはある程度絞り込んでいるようだが、肝心の長兄エルロールだけはまだその気配さえなかった。
「私がこれほどエル兄様のために、これだけの令嬢たちを集めて差し上げているのに、何故その中から選ぼうとなさらないのかしら!」
リリアンジェラの怒りはいつも、エルロールの側近でカテナの従兄弟テューダーに向けられた。
生まれた時から身近におり、何でも言いやすい相手の一人である。
「リリ様の仰りたいことは、私にもよーっくわかりますよ!でもこればっかりは私にもどうしようもできなくて、ほんっとーっ!に困っているんですわたしも!」
リリアンジェラが頻繁にテューダーに文句を言うため、王女に圧をかけられたらどう回避するのが一番いいか、テューダーは経験で知り尽くしていた。
「私だってあの素晴らしいご令嬢たちの何が不満なんだって思いますよ!私ならどのご令嬢だって大喜びで婚約・・・あ、いや、私には可愛い婚約者がおりますので、ものの例えに過ぎませんが、エル殿下には何か違うらしいんですよね。何がだめなのか言ってくれたらこちらも打つ手があると思うんですが、エル殿下は違うとしか言わないんですから」
愚痴には愚痴を、怒りには怒りを返して協調して見せ、同志感が高まった頃、王女は諦めたように大きなため息をついた。
「いいわ、何かわかったら教えなさいよ。このままじゃ本当にメル兄様かカル兄様が王太子になっちゃうかもしれないし、私も王太子なんて面倒くさくて嫌だわ」
─カルとメルは即却下だが、リリ様が王太子とか、いや、ちょっとゾッとするな─
テューダーは王太子となった猛禽のようなリリアンジェラに、首根っこを押さえられて猛烈に働かされている自分を想像し、ぶるぶるっと震えた。
─エル一択だ!─
理由はそれぞれだったが、目指すところはみな同じである。
「私もそろそろ学院卒業して、他に面白いことを見つけようかしら」
「いや、卒業ってまだ何年もありますよね」
「誰にその口をきいているのかしら?わたくしは入学する前の事前学習で単位をすべて取得しているのよ。学院に通わなくても卒業認定してくれることになっていたけど、お母様が学生生活を経験しろと仰るから行っているだけ」
「え?でも試験受けていますよね?」
「ええ。受ける必要はないのだけど、満点取るのは面白いから」
ことも無げに言ったリリアンジェラに、テューダーはチッと小さく舌を鳴らした。
「今のなあに?」
「なんにも聞こえませんでしたよ私には」
「あらそう?おかしいわね、チッて聞こえた気がしたけど」
「気のせいでしょう」
「ふーん」
─こういうところ、王妃様にそっくりだ─
テューダーはもう一度ぷるりと身を震わせた。
「私がこれほどエル兄様のために、これだけの令嬢たちを集めて差し上げているのに、何故その中から選ぼうとなさらないのかしら!」
リリアンジェラの怒りはいつも、エルロールの側近でカテナの従兄弟テューダーに向けられた。
生まれた時から身近におり、何でも言いやすい相手の一人である。
「リリ様の仰りたいことは、私にもよーっくわかりますよ!でもこればっかりは私にもどうしようもできなくて、ほんっとーっ!に困っているんですわたしも!」
リリアンジェラが頻繁にテューダーに文句を言うため、王女に圧をかけられたらどう回避するのが一番いいか、テューダーは経験で知り尽くしていた。
「私だってあの素晴らしいご令嬢たちの何が不満なんだって思いますよ!私ならどのご令嬢だって大喜びで婚約・・・あ、いや、私には可愛い婚約者がおりますので、ものの例えに過ぎませんが、エル殿下には何か違うらしいんですよね。何がだめなのか言ってくれたらこちらも打つ手があると思うんですが、エル殿下は違うとしか言わないんですから」
愚痴には愚痴を、怒りには怒りを返して協調して見せ、同志感が高まった頃、王女は諦めたように大きなため息をついた。
「いいわ、何かわかったら教えなさいよ。このままじゃ本当にメル兄様かカル兄様が王太子になっちゃうかもしれないし、私も王太子なんて面倒くさくて嫌だわ」
─カルとメルは即却下だが、リリ様が王太子とか、いや、ちょっとゾッとするな─
テューダーは王太子となった猛禽のようなリリアンジェラに、首根っこを押さえられて猛烈に働かされている自分を想像し、ぶるぶるっと震えた。
─エル一択だ!─
理由はそれぞれだったが、目指すところはみな同じである。
「私もそろそろ学院卒業して、他に面白いことを見つけようかしら」
「いや、卒業ってまだ何年もありますよね」
「誰にその口をきいているのかしら?わたくしは入学する前の事前学習で単位をすべて取得しているのよ。学院に通わなくても卒業認定してくれることになっていたけど、お母様が学生生活を経験しろと仰るから行っているだけ」
「え?でも試験受けていますよね?」
「ええ。受ける必要はないのだけど、満点取るのは面白いから」
ことも無げに言ったリリアンジェラに、テューダーはチッと小さく舌を鳴らした。
「今のなあに?」
「なんにも聞こえませんでしたよ私には」
「あらそう?おかしいわね、チッて聞こえた気がしたけど」
「気のせいでしょう」
「ふーん」
─こういうところ、王妃様にそっくりだ─
テューダーはもう一度ぷるりと身を震わせた。
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