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ダルディーン・ムイゾリオに、知人であるメラロニアス・メンデバーの紹介状と見知らぬ女性からの手紙を受け取った。
「パルティア・エンダライン?知らんが、メラルーからの紹介状ってことは仕事の依頼かあ?」
差出人をちらりと見ただけで読むこともせず、面倒くさそうに放り投げようとしたのだが。
気が変わり、パルティアの手紙を開いてみる。
「新しい事業?」
建物を見るのが子どもの頃からが好きだった。間取りを考えたり扉に可愛らしい装飾を施したりするのが好きで、設計士になろうと決めると、学院を卒業して高名な設計士の一人に弟子入りもした。
しかし、その師匠も依頼者もゴテゴテとやたら大きく派手な装飾で飾り付けた建物ばかりを求めて、ダルディーンが美しいと感じる、温かみを感じさせ落ち着きある意匠はまったく受け入れられなかった。
「静養施設か」
それならゴテゴテとしたものは求めないかもしれないと気がついた。
たまに頼まれる仕事も気が向かないと引き受けないため、そろそろ懐も寂しくなっている。
「話だけでも聞いてみるか」
ダルディーン・ムイゾリオから訪問の連絡が届くと、喜んだパルティアはすぐに時間を調整して、来訪を急がせる食い気味の返事を出す。
「はっや!急いでるのか?」
ダルディーンはしかたなく身支度を整えると馬を出した。
エンダライン侯爵家はダルディーンがいた宿から馬で丸一日はかかるから。
「なかなか活気のある町だな」
店が多く立ち並び、動きを感じさせる。
ようやく着いた近くの店で侯爵家の場所を訊ねると、馬をそちらへと向けた。
「ほう、これがエンダライン侯爵家か。さすがに立派だな」
エンダライン家のタウンハウスは、大きく頑強な鉄門に守られた中に鎮座するが、見るからに前時代的豪華さに溢れていて、ダルディーンは眉を顰める。
「どこもこんなものだが」
そう溢して肩をすくめていると、門番が気づいて急いで門扉を開けた。
「パルティア・エンダライン様と訪問のお約束をしております、ダルディーン・ムイゾリオと申します」
「パルティア様から伺っております、ご案内致しますのでどうぞ」
門番がアプローチから屋敷まで連れて行くと、執事のベニーが待ち受けている。
「ここからは私がご案内申し上げます」
恭しく頭を下げられ、ダルディーンは居心地が悪い。
「パルティア様というのはどんな方なのだ?」
「ご存知なかったのですか?」
訪ねてくるほどだから、パルティアの人となりくらいは知っていると思っていたベニーは意外そうな顔をして振り向いた。
「書状で呼ばれただけなのだよ」
「それは失礼を致しました」
また恭しく頭を下げるベニーに、ダルディーンはむしろ慇懃無礼ではないかと感じていた。
「パルティア・エンダライン?知らんが、メラルーからの紹介状ってことは仕事の依頼かあ?」
差出人をちらりと見ただけで読むこともせず、面倒くさそうに放り投げようとしたのだが。
気が変わり、パルティアの手紙を開いてみる。
「新しい事業?」
建物を見るのが子どもの頃からが好きだった。間取りを考えたり扉に可愛らしい装飾を施したりするのが好きで、設計士になろうと決めると、学院を卒業して高名な設計士の一人に弟子入りもした。
しかし、その師匠も依頼者もゴテゴテとやたら大きく派手な装飾で飾り付けた建物ばかりを求めて、ダルディーンが美しいと感じる、温かみを感じさせ落ち着きある意匠はまったく受け入れられなかった。
「静養施設か」
それならゴテゴテとしたものは求めないかもしれないと気がついた。
たまに頼まれる仕事も気が向かないと引き受けないため、そろそろ懐も寂しくなっている。
「話だけでも聞いてみるか」
ダルディーン・ムイゾリオから訪問の連絡が届くと、喜んだパルティアはすぐに時間を調整して、来訪を急がせる食い気味の返事を出す。
「はっや!急いでるのか?」
ダルディーンはしかたなく身支度を整えると馬を出した。
エンダライン侯爵家はダルディーンがいた宿から馬で丸一日はかかるから。
「なかなか活気のある町だな」
店が多く立ち並び、動きを感じさせる。
ようやく着いた近くの店で侯爵家の場所を訊ねると、馬をそちらへと向けた。
「ほう、これがエンダライン侯爵家か。さすがに立派だな」
エンダライン家のタウンハウスは、大きく頑強な鉄門に守られた中に鎮座するが、見るからに前時代的豪華さに溢れていて、ダルディーンは眉を顰める。
「どこもこんなものだが」
そう溢して肩をすくめていると、門番が気づいて急いで門扉を開けた。
「パルティア・エンダライン様と訪問のお約束をしております、ダルディーン・ムイゾリオと申します」
「パルティア様から伺っております、ご案内致しますのでどうぞ」
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「ご存知なかったのですか?」
訪ねてくるほどだから、パルティアの人となりくらいは知っていると思っていたベニーは意外そうな顔をして振り向いた。
「書状で呼ばれただけなのだよ」
「それは失礼を致しました」
また恭しく頭を下げるベニーに、ダルディーンはむしろ慇懃無礼ではないかと感じていた。
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