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「・・・同病相憐れむというやつか」
「ひどいわ、そんな言い方!」
「じゃあ傷を舐め合う?」

 ぷぅっとパルティアの頬が膨らんでいくのをみて、メラロニアスが慌てて謝る。

「ごめんごめん、悪かったよ。なんかちょっと妬けて意地悪したくなった」
「妬ける?」
「ああ、慰めに来たのになんかすごく楽しそうに言うからさ」
「そうね。こんなに変われたのもきっとアレクシオス様とエルシドの友人たちのお陰だわ!私、今やってみたいことが次々に湧き上がってくるの。それって素晴らしいことじゃない?だからうれしくてたまらないのよ」

 メラロニアスはちょっぴり恨めしそうな顔になる。
 子どもの頃から憧れていたパルティアが婚約者と別れたと聞いて自分が慰め、あわよくば自分が次の婚約者にと思ったのに。隣国に行っていてすぐ戻れずにいる間に、美味しいところをセリアズ公爵の令息に攫われてしまったから。
 しかしまだパルティアは意識していないようだ。

「パーチィ、やはり私にもなにか手伝わせてくれないか?」

 少しでも可能性があるならと、パルティアのそばにいられるよう手伝いを申し出る。

「ありがとうメラルー、そうねえ、設計士に知り合いはいないかしら?ドアラン子爵以外で」
「設計士?駆け出しでもいいのか?」
「ええ、私の作りたいものをわかってくださる方なら」

 話し終わるのを待たず、メラロニアスが手紙を書き始めた。

「これ、紹介状だ。こいつちょっと変わってるから引き受けるというかは正直わからないが、パーチィから依頼の手紙を出してみるといい」
「ありがとう!えーっとこれは、ダルディン・ムーゾリオと読むのかしら」
「ダルディーン・ムイゾリオだな」

 メラロニアスの紹介状をしまい込んだパルティアが、ダルディーン・ムイゾリオについて教えてくれと強請る。

「変わってるってどんなところが?」
「金には靡かないし、地位にも興味がない。ただ、建物が大好きでな。あちこちの古い建物を見て回ったりしているうちに、自分で作ってみたくなったそうだ。駆け出しのくせに気に入った仕事しか引き受けないので、生意気というか、あまり好かれていないらしい」
「いやな人ということ?」
「私とは気があうぞ」

 ふうんと小さく呟いて、遠くを見る。
 カーライルの妹を母に持つメラロニアスは、三男ゆえの自由奔放さから伯母夫婦も手を焼いているらしい。
 一族でも変わり者と呼ばれるが、そのメラロニアスと馬の合う男。

 ─面白そう!─

「メラルー、ありがとう!すぐに使いを出してみるわ」
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