気づいたら美少女ゲーの悪役令息に転生していたのでサブヒロインを救うのに人生を賭けることにした

高坂ナツキ

文字の大きさ
102 / 140
閑話

102 騎士志望の若手の様子

しおりを挟む
「久々に騎士団のほうに顔を出してみたけど、メーリング領の連中は慣れたのか?」

「はい、騎士志望の子供たちは見習いとして受け入れましたが、見どころのある者が何人かいますよ」

 レナとの仮婚姻式だとか、ゴールディ国関連の商取引なんかが一段落したので、メーリング領から引き受けた若手の様子を見る余裕が出来てきた。
 半数は文官として引き受けたから、屋敷で顔を合わせることもあるんだが、騎士志望の連中はどうなってるのかわからなかったからな。
 騎士団が訓練をしている場所までやってきて、こうしてクルトにどうなってるのか聞いてるというわけだ。

「文官志望の方も何人かゲルハルディ家で雇いたいレベルの者がいたからな。メーリング領はトップがアレだっただけで、下はまともだったってことか」

「かもしれませんね。王都の方から連絡は来ているのですか?」

「メーリング領に関してか? 一応、陛下からの私信ではメーリング領はゲルハルディ家が傘下に加えていいと許可は得ている。前メーリング領主は敵前逃亡と領地放棄の罪で貴族籍をはく奪するそうだ」

「ならば、連れてきた若手たちも本格的に鍛えられますね」

 ま、王都の連中が前メーリング領主……パウル・フォン・メーリングを領主のままにすると判断したら、敵を鍛えるだけになってしまうからな。
 陛下からは内々だが、ライナーを領主代理にする許可も貰っているし、本格的にメーリング領の発展も考えていかないとな。
 爺様からの報告では、メーリング領は交易港にするには難しいが、漁港としては有望らしいのでその方面での活用を考えているんだが、ライナーの意見も聞かないといけないしなぁ。

「で、騎士志望の連中は態度はまじめ?」

「ですね。領主代理になったライナーの娘が、真面目に取り組んでいますので他の者も手が抜けないのでしょう」

「あ~、まあ確かに上に立つことが確約されている人間がまじめにやってるのに、サボるわけにはいかんか」

「ですので、マックス様も、もう少し騎士団に顔を見せていただければ、若手もやる気になるのですよ?」

 おや? メーリング領の連中の態度を聞いていたのに、俺への批判になっていないか?
 ま、確かにここ最近は忙しくて騎士団には顔を見せてなかったからな。
 辺境伯になることがほぼ確定したし、騎士との交流を増やすためにも訓練の時間を長くとっても良いかもな。

「ま、王都へ行くたための準備もあるから直ぐには難しいが、騎士団の方で訓練できるように調整するよ」

「ええ、若手はもちろん、ベテランもマックス様に会いたがっていますから」

「若手は純粋に慕ってくれてるんだろうけど……ベテラン連中はどうせ父上の相手をしてほしいとかだろ?」

「ノーコメントでお願いします」

 答えられない時点で、答えになっているんだよクルト。

「ま、騎士団で訓練しても父上の相手はしないからどうでもいいけど」

「……マックス様」

「クルトたちが命が惜しいように、俺だって命が惜しいからね。父上との訓練なんて命がいくつあっても足りやしない」

「……騎士団に被害が出るのですよ?」

「今まで通りギュンターにやらせておきなよ、騎士団長なんだからさ」

 いつも通りの不毛なやり取りをクルトとしているうちに訓練場に着いたが、ちょうどメーリング領の若手が訓練をしているようだ。
 ああ、あのひと際真面目そうな女の子がライナーの娘、クリスタ・フォン・バルだな。
 デザイナーからは主要登場人物のデザインは一通り見せてもらっていた、というか、酒の席で延々と見せられていたから覚えている。
 サブヒロインはゲーム上ではスチルも立ち絵も存在していないが、デザイナーは律儀にサブヒロインの設定画も作っていたからな。

「マックス様、どうです? メーリング領の若手は?」

「真ん中でショートソードを振っているポニーテールの子は筋が良いな……他もまあまあだが、なんで斧や双剣を振っている奴がいるんだ?」

「真ん中の子はライナーの娘ですね。斧や双剣は……すみません。ベテランの方々が面白がっていろいろと教えていまして」

「だろうなとは思ったよ。ウチの流儀でいえば、好きな武器を振るわせるで良いんだけど、メーリング領に帰る可能性もあることは忘れるなよ」

「はい、皆にも伝えておきます」

 ゲルハルディ領の騎士団は実力至上主義な上に個人主義だから、自分の実力が発揮できればハルバードだろうが、丸太だろうが、針だろうが好きに使えっていう方針だ。
 だけど、他の領の騎士団ではロングソードとラウンドシールドで統一して、集団で戦闘を行っているからな。
 あんまりゲルハルディ式に染めきってしまうと、後が大変だとクルトには伝えておいた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

俺に王太子の側近なんて無理です!

クレハ
ファンタジー
5歳の時公爵家の家の庭にある木から落ちて前世の記憶を思い出した俺。 そう、ここは剣と魔法の世界! 友達の呪いを解くために悪魔召喚をしたりその友達の側近になったりして大忙し。 ハイスペックなちゃらんぽらんな人間を演じる俺の奮闘記、ここに開幕。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

【完結】魅了の魔法にかけられて全てを失った俺は、最強の魔法剣士になり時を巻き戻す

金峯蓮華
ファンタジー
戦に負け、国が滅び、俺ひとりだけ生き残った。愛する女を失い、俺は死に場所を求め、傭兵となり各地を漂っていた。そんな時、ある男に声をかけられた。 「よぉ、にいちゃん。お前、魅了魔法がかかってるぜ。それも強烈に強いヤツだ。解いてやろうか?」 魅了魔法? なんだそれは? その男との出会いが俺の人生を変えた。俺は時間をもどし、未来を変える。 R15は死のシーンがあるための保険です。 独自の異世界の物語です。

兄がやらかしてくれました 何をやってくれてんの!?

志位斗 茂家波
ファンタジー
モッチ王国の第2王子であった僕は、将来の国王は兄になると思って、王弟となるための勉学に励んでいた。 そんなある日、兄の卒業式があり、祝うために家族の枠で出席したのだが‥‥‥婚約破棄? え、なにをやってんの兄よ!? …‥‥月に1度ぐらいでやりたくなる婚約破棄物。 今回は悪役令嬢でも、ヒロインでもない視点です。 ※ご指摘により、少々追加ですが、名前の呼び方などの決まりはゆるめです。そのあたりは稚拙な部分もあるので、どうかご理解いただけるようにお願いしマス。

悪役令息の継母に転生したからには、息子を悪役になんてさせません!

水都(みなと)
ファンタジー
伯爵夫人であるロゼッタ・シルヴァリーは夫の死後、ここが前世で読んでいたラノベの世界だと気づく。 ロゼッタはラノベで悪役令息だったリゼルの継母だ。金と地位が目当てで結婚したロゼッタは、夫の連れ子であるリゼルに無関心だった。 しかし、前世ではリゼルは推しキャラ。リゼルが断罪されると思い出したロゼッタは、リゼルが悪役令息にならないよう母として奮闘していく。 ★ファンタジー小説大賞エントリー中です。 ※完結しました!

悪役令息に転生したけど、静かな老後を送りたい!

えながゆうき
ファンタジー
 妹がやっていた乙女ゲームの世界に転生し、自分がゲームの中の悪役令息であり、魔王フラグ持ちであることに気がついたシリウス。しかし、乙女ゲームに興味がなかった事が仇となり、断片的にしかゲームの内容が分からない!わずかな記憶を頼りに魔王フラグをへし折って、静かな老後を送りたい!  剣と魔法のファンタジー世界で、精一杯、悪足搔きさせていただきます!

異世界に転生したので幸せに暮らします、多分

かのこkanoko
ファンタジー
物心ついたら、異世界に転生していた事を思い出した。 前世の分も幸せに暮らします! 平成30年3月26日完結しました。 番外編、書くかもです。 5月9日、番外編追加しました。 小説家になろう様でも公開してます。 エブリスタ様でも公開してます。

悪徳領主の息子に転生しました

アルト
ファンタジー
 悪徳領主。その息子として現代っ子であった一人の青年が転生を果たす。  領民からは嫌われ、私腹を肥やす為にと過分過ぎる税を搾り取った結果、家の外に出た瞬間にその息子である『ナガレ』が領民にデカイ石を投げつけられ、意識不明の重体に。  そんな折に転生を果たすという不遇っぷり。 「ちょ、ま、死亡フラグ立ち過ぎだろおおおおお?!」  こんな状態ではいつ死ぬか分かったもんじゃない。  一刻も早い改善を……!と四苦八苦するも、転生前の人格からは末期過ぎる口調だけは受け継いでる始末。  これなんて無理ゲー??

処理中です...