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貴族学園
132 転生の暴露
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「じゃ、話してくれるかしら?」
タウンハウスに着いて、メイドたちがお茶の準備を完了させて出ていくと、おもむろにローズマリー嬢が話しかけてきた。
「わかってる。ま、面白い話でもないが、俺は転生者なんだ」
「あら? それだけ?」
「転生者ってなんですか?」
それだけ? と、簡単に言ったのはローズマリー嬢。転生者の存在を知らないのはクリスタだ。
レナは察していたのか、淡々とお茶を飲んでいる。
「あら? クリスタは知らない? 中央では珍しくない話なのだけど……レナは驚いていないのね?」
「辺境伯の系譜では珍しくないことなので」
レナは元・騎士の娘といえど辺境伯の系譜でもあるゲルハルディ家に仕えていた家系……それに比べてクリスタは中央の公爵家の傘下貴族の騎士の家系……その違いだろうな。
中央……というか、王族には何人か転生者がいてヴァイセンベルク王国を発展させてきた。
それは辺境でも同じことで、ゲルハルディ家にはいないが、元々の主家であった南辺境伯の家系には何人かの転生者がいたという話だ。
「ま、簡単にいうと俺には前世の記憶があるって話だ」
「……ええと」
「大丈夫だ、熱があるとかそういうことじゃない」
クリスタが俺の額に手を当てて、熱を測ってきた。まあ、クリスタの気持ちもわかる。知らない人間からしたら、どう考えても熱に浮かされたようにしか聞こえないからな。
「クリスタ、ヴァイセンベルク王国の発展に寄与してきたのが転生者なのよ」
「まあ実際はそんなにすごいものでもないがな。前世で得た知識以上の物はわからないし、そもそもこの世界じゃ通用しないことも多い」
そもそも前提としての技術がなければ使えない知識は多いし、魔法があるから不必要になっている知識も多い。
本当は自動車や列車が作れたら最高なんだが、エンジンの作成や大量な鉄が必要な点、さらにはヴァイセンベルク王国全体に蔓延っている魔獣の問題から頓挫している。
そんな感じで諸々の問題から、単純に異世界に転生しても通用しない技術ってのはあるもんだ。
「で、悪役令嬢やら悪役令息やらってのはその前世が関係してるのかしら?」
「まあそうだな。俺の前世ではこの世界のことは物語として伝えられていた。その中でローズマリー嬢と俺は主人公の邪魔をする悪役だったってわけだ」
ゲームと教えても、そもそもゲームの概念が伝わらないってのは分かっているから、物語と伝える。
この世界ではゲームってのは基本的にボードゲームやスポーツを指すし、テレビやパソコンの概念から教えてもこの世界じゃ再現不可能だしな、
「ふーん。……ってことは、ミネッティ伯爵令嬢も転生者ってこと?」
「多分な。直接確かめたわけじゃないから何とも言えんが、初対面で俺のことを悪役令息と罵ってきたから、多分そうだろう」
「転生者にしては教養の欠片もないわね」
「この世界を物語として認識してるんだろう。ミネッティ伯爵令嬢は物語上では主人公と恋仲になる1人だからな」
「物語として?」
「自分がいるのが物語の中なら、登場人物は物語通りの行動をするし、自分は何をやっても幸せになれると思っているんだろう」
これまで三者三様の反応を示していた、ローズマリー嬢とレナ、それにクリスタだが、この言葉には三人とも困惑していた。
まあ自分が物語の中に入ったなら、という仮定自体が想像しにくいだろうし、だからといって自分が現実にあっている人を架空の物と判断できるかはさらに想像できないだろう。
「ま、この辺は俺の仮定だから、ミネッティ伯爵令嬢がどう思っているのかはわからないがな」
「うーん、それもそうね。……それで? 物語だとどうなるの?」
「ああ、それだが…………」
とりあえず、俺が知っている限りのゲームシナリオを3人に話したが、そもそもミネッティ伯爵令嬢が婚約打診を拒否した時点でストーリーから外れている。
だからローズマリー嬢が悪役令嬢になったきっかけである主人公との邂逅や、俺が悪役令息になってしまう契機を話しても3人とも首をひねっている。
「確かにメーリング領があのままの状況なら、私は領主……前領主の命令で公爵家の良いようにされていたでしょう」
「私もマックス様がお命じになれば、婚約者の護衛兼見張りとして傍に侍るのは当然だと思います」
だがクリスタが公爵家の手ごまとしてマテス侯爵令嬢のお付きとなったこと、レナが俺の命令でミネッティ伯爵令嬢の傍にいることになったことに関してはレナもクリスタも納得していた。
「まあ、ここまで説明してきたが、だからどうするってわけでもないんだ。既に物語とは大本から違ってきてるし、向こうの狙いもよくわからない」
「そうね、聞く限り物語は主人公が勇者として認定されることが前提……でも、勇者の称号は陛下の宣言で永久に廃止されている」
「そういうこと。だからミネッティ伯爵令嬢だったり、主人公が突っかかってこない限りは無視で良いと思う」
というか、それくらいしか対策が出来ないんだよな。
爵位上は俺やローズマリー嬢の方が上とはいえ、貴族学園に通う年齢の子供の戯言でお家取りつぶしは難しいしな。
貴族学園を越えた……それこそゲームのストーリー通りゲルハルディ領に対して攻め込んででも来れば話は違うんだがな。
タウンハウスに着いて、メイドたちがお茶の準備を完了させて出ていくと、おもむろにローズマリー嬢が話しかけてきた。
「わかってる。ま、面白い話でもないが、俺は転生者なんだ」
「あら? それだけ?」
「転生者ってなんですか?」
それだけ? と、簡単に言ったのはローズマリー嬢。転生者の存在を知らないのはクリスタだ。
レナは察していたのか、淡々とお茶を飲んでいる。
「あら? クリスタは知らない? 中央では珍しくない話なのだけど……レナは驚いていないのね?」
「辺境伯の系譜では珍しくないことなので」
レナは元・騎士の娘といえど辺境伯の系譜でもあるゲルハルディ家に仕えていた家系……それに比べてクリスタは中央の公爵家の傘下貴族の騎士の家系……その違いだろうな。
中央……というか、王族には何人か転生者がいてヴァイセンベルク王国を発展させてきた。
それは辺境でも同じことで、ゲルハルディ家にはいないが、元々の主家であった南辺境伯の家系には何人かの転生者がいたという話だ。
「ま、簡単にいうと俺には前世の記憶があるって話だ」
「……ええと」
「大丈夫だ、熱があるとかそういうことじゃない」
クリスタが俺の額に手を当てて、熱を測ってきた。まあ、クリスタの気持ちもわかる。知らない人間からしたら、どう考えても熱に浮かされたようにしか聞こえないからな。
「クリスタ、ヴァイセンベルク王国の発展に寄与してきたのが転生者なのよ」
「まあ実際はそんなにすごいものでもないがな。前世で得た知識以上の物はわからないし、そもそもこの世界じゃ通用しないことも多い」
そもそも前提としての技術がなければ使えない知識は多いし、魔法があるから不必要になっている知識も多い。
本当は自動車や列車が作れたら最高なんだが、エンジンの作成や大量な鉄が必要な点、さらにはヴァイセンベルク王国全体に蔓延っている魔獣の問題から頓挫している。
そんな感じで諸々の問題から、単純に異世界に転生しても通用しない技術ってのはあるもんだ。
「で、悪役令嬢やら悪役令息やらってのはその前世が関係してるのかしら?」
「まあそうだな。俺の前世ではこの世界のことは物語として伝えられていた。その中でローズマリー嬢と俺は主人公の邪魔をする悪役だったってわけだ」
ゲームと教えても、そもそもゲームの概念が伝わらないってのは分かっているから、物語と伝える。
この世界ではゲームってのは基本的にボードゲームやスポーツを指すし、テレビやパソコンの概念から教えてもこの世界じゃ再現不可能だしな、
「ふーん。……ってことは、ミネッティ伯爵令嬢も転生者ってこと?」
「多分な。直接確かめたわけじゃないから何とも言えんが、初対面で俺のことを悪役令息と罵ってきたから、多分そうだろう」
「転生者にしては教養の欠片もないわね」
「この世界を物語として認識してるんだろう。ミネッティ伯爵令嬢は物語上では主人公と恋仲になる1人だからな」
「物語として?」
「自分がいるのが物語の中なら、登場人物は物語通りの行動をするし、自分は何をやっても幸せになれると思っているんだろう」
これまで三者三様の反応を示していた、ローズマリー嬢とレナ、それにクリスタだが、この言葉には三人とも困惑していた。
まあ自分が物語の中に入ったなら、という仮定自体が想像しにくいだろうし、だからといって自分が現実にあっている人を架空の物と判断できるかはさらに想像できないだろう。
「ま、この辺は俺の仮定だから、ミネッティ伯爵令嬢がどう思っているのかはわからないがな」
「うーん、それもそうね。……それで? 物語だとどうなるの?」
「ああ、それだが…………」
とりあえず、俺が知っている限りのゲームシナリオを3人に話したが、そもそもミネッティ伯爵令嬢が婚約打診を拒否した時点でストーリーから外れている。
だからローズマリー嬢が悪役令嬢になったきっかけである主人公との邂逅や、俺が悪役令息になってしまう契機を話しても3人とも首をひねっている。
「確かにメーリング領があのままの状況なら、私は領主……前領主の命令で公爵家の良いようにされていたでしょう」
「私もマックス様がお命じになれば、婚約者の護衛兼見張りとして傍に侍るのは当然だと思います」
だがクリスタが公爵家の手ごまとしてマテス侯爵令嬢のお付きとなったこと、レナが俺の命令でミネッティ伯爵令嬢の傍にいることになったことに関してはレナもクリスタも納得していた。
「まあ、ここまで説明してきたが、だからどうするってわけでもないんだ。既に物語とは大本から違ってきてるし、向こうの狙いもよくわからない」
「そうね、聞く限り物語は主人公が勇者として認定されることが前提……でも、勇者の称号は陛下の宣言で永久に廃止されている」
「そういうこと。だからミネッティ伯爵令嬢だったり、主人公が突っかかってこない限りは無視で良いと思う」
というか、それくらいしか対策が出来ないんだよな。
爵位上は俺やローズマリー嬢の方が上とはいえ、貴族学園に通う年齢の子供の戯言でお家取りつぶしは難しいしな。
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