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第二王子・クリス視点
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お城の庭で、ただ花が咲いている空間だと思っていたのだが、その時には違った。いつもとは違い、机やら椅子やらがそこに置いてある。そしてそこに、一人、自分よりも少し年上の少女がいた。
「あら、第二王子殿下、ご機嫌よう」
「あなたは?」
「私は、残念ながら第一王子の婚約者であるローズ公爵の娘、ソフィア・ローズと申します。呼び方は好きにお呼びください」
「では、フィーア姉様と呼んでも?」
「…はい。大丈夫ですよ。ですが二人きりの時だけですよ」
「はい!それと、僕のことはクリスと呼んでください」
「はい。クリス様、これからもよろしくお願いします」
フィーア姉様と初めて会った時の会話はこんな感じだっただろうか。二人分のお茶の用意がしてあるのに、一人でお茶を飲んでいる彼女が気になって近づいたのがきっかけだった。
今思えば、あの時からフィーア姉様にとってこの婚約は嫌だったのだろう。あの時の会話では気がつかなかったが、今思い出せばすごいことを言っているのがわかる。
「ふふっ」
「…殿下」
フィーア姉様とのことを思い出し、笑っていると影のものから声をかけられる。どうやら愚兄と父上の話が終わったらしい。今の笑い声が聴かれていなければいいのだが…無理な話か。
こうなってしまえば諦めるしかない。
「…ニアか。どうした」
「陛下が第一王子に対して、フィーア様が嫌がらせをした証拠を見つけることができれば、今回の件を考え直すとおっしゃったそうです」
「…盗み聞きをしたのか」
いくら影とはいえ、陛下との会話を許可なく聞くことは許されない。
「いいえ、さすがに私もそのような命知らずのような行動はしません」
「では、どうして」
「第一王子が廊下でぶつぶつと話しているのをお聞きしました」
「はあ、重要な話だからこそ、個別で話しているものを、どうして…」
「それは何も考えていないからでしょう」
「…お前、不敬だぞ」
「ご冗談を。不敬とは敬うべき人に対して使う言葉です。あれにそのような価値はありません」
「…怒っているのか」
「ソフィア様に対し、暴言を吐いた挙句、ソフィア様があれのせいで死のうとなさったのです。許せるはずがありません。それに、ソフィア様にあんなことをしておいて、まだ王太子になろうなど…」
愚兄はいまだ王太子という身分に拘っているらしい。その立場がどんなことをしなければならないのか、そんなこともわからずに。そんなバカな話があるものか。
「あれが王になるにはソフィア様と婚約するしかない。それだけの能力が彼女にはあり、あれにはない。そのことを未だ理解できていないのが問題だな」
こうなることをフィーア姉様はわかっていたのだろうか?だから僕にあんなことを言ったんだろうか?
「失礼ながらクリス様、あなたのお兄様ではこの国を導いていくことができません。なので、あなた様が王になるでしょう。だから、これまで以上に努力なさってください。できるだけ私も支えたいと思います」
「兄上ではなく、僕がですか?」
「はい。クリス様の方が王に相応しいでしょう」
「わかった。僕、頑張る!だから、フィーア姉様…」
「クリス様、クリス様…」
「…どうした」
「さっき笑っていた時と同じ顔をしていますよ」
「なっ」
「私はこれで失礼したいと思います」
そういい、彼女は目の前から消えていく。好き放題言って帰るとは、彼女にフィーア姉様と王族とどちらに付くかと聞いた時の答えが怖いものだ。
はあ、フィーア姉様が約束を覚えてくれていたらいいんだが、今は特に、王族にいいイメージを持っていないだろう。あの愚兄め。
「わかった。僕、頑張る!だから、フィーア姉様。僕が王になった時には僕の隣で、僕を支えてくれませんか?」
「?ええ、わかりました。クリス殿下。そうなる時を楽しみにしていますね」
僕の言葉を聞いた後に、キョトンとした後、笑って肯定してくれたフィーア姉様。子供の戯言と思われたのだろうか。だけど、僕は諦めていないですから。
昔からずっと、僕はあなたのことを想っています。
「あら、第二王子殿下、ご機嫌よう」
「あなたは?」
「私は、残念ながら第一王子の婚約者であるローズ公爵の娘、ソフィア・ローズと申します。呼び方は好きにお呼びください」
「では、フィーア姉様と呼んでも?」
「…はい。大丈夫ですよ。ですが二人きりの時だけですよ」
「はい!それと、僕のことはクリスと呼んでください」
「はい。クリス様、これからもよろしくお願いします」
フィーア姉様と初めて会った時の会話はこんな感じだっただろうか。二人分のお茶の用意がしてあるのに、一人でお茶を飲んでいる彼女が気になって近づいたのがきっかけだった。
今思えば、あの時からフィーア姉様にとってこの婚約は嫌だったのだろう。あの時の会話では気がつかなかったが、今思い出せばすごいことを言っているのがわかる。
「ふふっ」
「…殿下」
フィーア姉様とのことを思い出し、笑っていると影のものから声をかけられる。どうやら愚兄と父上の話が終わったらしい。今の笑い声が聴かれていなければいいのだが…無理な話か。
こうなってしまえば諦めるしかない。
「…ニアか。どうした」
「陛下が第一王子に対して、フィーア様が嫌がらせをした証拠を見つけることができれば、今回の件を考え直すとおっしゃったそうです」
「…盗み聞きをしたのか」
いくら影とはいえ、陛下との会話を許可なく聞くことは許されない。
「いいえ、さすがに私もそのような命知らずのような行動はしません」
「では、どうして」
「第一王子が廊下でぶつぶつと話しているのをお聞きしました」
「はあ、重要な話だからこそ、個別で話しているものを、どうして…」
「それは何も考えていないからでしょう」
「…お前、不敬だぞ」
「ご冗談を。不敬とは敬うべき人に対して使う言葉です。あれにそのような価値はありません」
「…怒っているのか」
「ソフィア様に対し、暴言を吐いた挙句、ソフィア様があれのせいで死のうとなさったのです。許せるはずがありません。それに、ソフィア様にあんなことをしておいて、まだ王太子になろうなど…」
愚兄はいまだ王太子という身分に拘っているらしい。その立場がどんなことをしなければならないのか、そんなこともわからずに。そんなバカな話があるものか。
「あれが王になるにはソフィア様と婚約するしかない。それだけの能力が彼女にはあり、あれにはない。そのことを未だ理解できていないのが問題だな」
こうなることをフィーア姉様はわかっていたのだろうか?だから僕にあんなことを言ったんだろうか?
「失礼ながらクリス様、あなたのお兄様ではこの国を導いていくことができません。なので、あなた様が王になるでしょう。だから、これまで以上に努力なさってください。できるだけ私も支えたいと思います」
「兄上ではなく、僕がですか?」
「はい。クリス様の方が王に相応しいでしょう」
「わかった。僕、頑張る!だから、フィーア姉様…」
「クリス様、クリス様…」
「…どうした」
「さっき笑っていた時と同じ顔をしていますよ」
「なっ」
「私はこれで失礼したいと思います」
そういい、彼女は目の前から消えていく。好き放題言って帰るとは、彼女にフィーア姉様と王族とどちらに付くかと聞いた時の答えが怖いものだ。
はあ、フィーア姉様が約束を覚えてくれていたらいいんだが、今は特に、王族にいいイメージを持っていないだろう。あの愚兄め。
「わかった。僕、頑張る!だから、フィーア姉様。僕が王になった時には僕の隣で、僕を支えてくれませんか?」
「?ええ、わかりました。クリス殿下。そうなる時を楽しみにしていますね」
僕の言葉を聞いた後に、キョトンとした後、笑って肯定してくれたフィーア姉様。子供の戯言と思われたのだろうか。だけど、僕は諦めていないですから。
昔からずっと、僕はあなたのことを想っています。
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