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第二章 失恋
5:父の愛
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屋敷へ戻ったリリカは、そのまま庭の散歩をした。
三日ぶりに外の空気を吸った身体は、少し息を吹き返したようだった。
「リリカ!」
呼ばれた方を見ると、梯子に上って木で何か作業をしている人物が、リリカに大きく手を振っている。
「お父様!」
リリカが近寄ると、数日振りのリリカの元気そうな様子に、リチャードは目を細めた。
「サクランボですか?」
「ああ、旬だぞ。手の届くところのを自分で摘んで食べてごらん。私は上の方のを採ってみるから」
リリカは言われるままに、目の前になっていたサクランボを1つちぎって口に入れた。
甘い味が口いっぱいに広がる。
(美味しい! タルトを作って……)
咄嗟にそう考えかけたリリカは、すぐに我に返った。
(もう、差し入れを持って行くことは出来ないのだった……)
ボーッとして覇気のない顔で、無心に次々とサクランボを口に入れているリリカを見て、リチャードは眉を顰める。
「リリカ、食べ過ぎると腹が痛くなるかもしれないよ」
”はっ”と我に返ったリリカが、サクランボを口に入れる手を止めてリチャードを見ると、リチャードはとても優しい表情をしていた。
リチャードは、妻には強く言えない優柔不断なところがあるが、娘を公平に愛し接していた。
父の愛とウィリアムの存在のおかげで、やけにならずに過ごすことが出来ていると、リリカは思っている。
リチャードの、リリカの全てを包み込んでくれるような穏やかな笑顔を見ていると、リリカは自然と目から涙が零れ落ちた。
リチャードは梯子から降りて、そんな娘をそっと抱きしめる。
「リリカが、どれだけウィリアムのことを慕っていたのかは、よくわかっているよ。もし、貧乏研究者でも2人で頑張って行きたいと言うのであれば、私は婚姻を許したかもしれない。……しかし、ウィリアムはそれを望まなかった」
「……」
リリカはハラハラと涙を流しながら、何も言わずに、滲む視界でリチャードを見上げた。
「ウィリアムにその覚悟がないのなら、リリカはあげられない。私の大切な娘だからね」
「お父様……」
リリカは更に大粒の涙を零し出した。
(そうだ、それが一番悲しかったのだわ。ウィリアム様の言うことも、気持ちもわかる。でも、私を必要ないと思われたことが、悲しくて仕方がないのよ……。そもそも私の片想いだったのかもしれない。やっぱり私なんて……)
それでなくても自己肯定感の低いリリカは、一旦そう考えだすと止まらない。
どんどん、抜け出せないマイナス思考の沼へと落ちて行くのだった……
三日ぶりに外の空気を吸った身体は、少し息を吹き返したようだった。
「リリカ!」
呼ばれた方を見ると、梯子に上って木で何か作業をしている人物が、リリカに大きく手を振っている。
「お父様!」
リリカが近寄ると、数日振りのリリカの元気そうな様子に、リチャードは目を細めた。
「サクランボですか?」
「ああ、旬だぞ。手の届くところのを自分で摘んで食べてごらん。私は上の方のを採ってみるから」
リリカは言われるままに、目の前になっていたサクランボを1つちぎって口に入れた。
甘い味が口いっぱいに広がる。
(美味しい! タルトを作って……)
咄嗟にそう考えかけたリリカは、すぐに我に返った。
(もう、差し入れを持って行くことは出来ないのだった……)
ボーッとして覇気のない顔で、無心に次々とサクランボを口に入れているリリカを見て、リチャードは眉を顰める。
「リリカ、食べ過ぎると腹が痛くなるかもしれないよ」
”はっ”と我に返ったリリカが、サクランボを口に入れる手を止めてリチャードを見ると、リチャードはとても優しい表情をしていた。
リチャードは、妻には強く言えない優柔不断なところがあるが、娘を公平に愛し接していた。
父の愛とウィリアムの存在のおかげで、やけにならずに過ごすことが出来ていると、リリカは思っている。
リチャードの、リリカの全てを包み込んでくれるような穏やかな笑顔を見ていると、リリカは自然と目から涙が零れ落ちた。
リチャードは梯子から降りて、そんな娘をそっと抱きしめる。
「リリカが、どれだけウィリアムのことを慕っていたのかは、よくわかっているよ。もし、貧乏研究者でも2人で頑張って行きたいと言うのであれば、私は婚姻を許したかもしれない。……しかし、ウィリアムはそれを望まなかった」
「……」
リリカはハラハラと涙を流しながら、何も言わずに、滲む視界でリチャードを見上げた。
「ウィリアムにその覚悟がないのなら、リリカはあげられない。私の大切な娘だからね」
「お父様……」
リリカは更に大粒の涙を零し出した。
(そうだ、それが一番悲しかったのだわ。ウィリアム様の言うことも、気持ちもわかる。でも、私を必要ないと思われたことが、悲しくて仕方がないのよ……。そもそも私の片想いだったのかもしれない。やっぱり私なんて……)
それでなくても自己肯定感の低いリリカは、一旦そう考えだすと止まらない。
どんどん、抜け出せないマイナス思考の沼へと落ちて行くのだった……
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